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名鉄レジャック、2023年3月31日閉館-名駅前にあるメルサの複合施設、契約満了と老朽化で再開発へ

愛知県名古屋市中村区の名古屋駅近くにある名鉄グループ系(メルサ)の複合商業施設「名鉄レジャック」が、2023年3月31日をもって閉館する。

名鉄レジャック。

名駅有数のアミューズメント系商業施設だった

名鉄レジャックは1972年11月に開業。建物は地上8階地下3階建で営業フロアは地上6階~地下2階。施設は2015年4月まで名鉄グループの同名企業による運営であったが、グループ再編を機に系列ファッションビル「メルサ」のレジャック事業部による運営となった。
2022年6月時点では、開業以来施設の核を担う直営ボウリング場「レジャック・ボウリング」を始め、名古屋地盤のサウナ&カプセルホテル「ウェルビー」や会員制レストラン「エスカイヤクラブ」、AOKI系の複合カフェ「インターネット&コミックカフェ自遊空間」、名古屋地盤の飲食チェーン「あんかけ亭」「四代目横井製麺所」「赤から」など専門店21店舗が入居。加えて、名鉄百貨店の本社事務所機能を併設する。

レジャック館内。

運営体制変更後も名駅有数の飲食・娯楽特化型の商業施設として営業を続けており、近年も飲食店の出店・退店などの動きが多くあった。2021年1月には地下1階ワンフロアに三河・岡崎地盤のアウトドアスペース運営会社「ウッドデザインパーク」による無人カフェ「仕事・勉強・打合せスペース専門店 セルフカフェ」が開店。セルフカフェは“OPENからわずか435日で営業終了”を打ち出しており、コロナ後を見据えた2023年春以降のリニューアルも予想されていた。

レジャック閉館、名駅再開発の第一歩に?

名鉄レジャックの閉館は建物の老朽化と親会社との賃貸借契約満了によるもの。
名鉄が2017年3月に発表した名古屋駅地区再開発全体計画では、従来の名鉄・近鉄名古屋駅ビル(売場面積72,891㎡)にあわせて、太閤通の西側(名鉄レジャックなど)を含む約400mを駅拡張範囲(計画策定対象区域)と定めていたが、2022年度開始予定の再開発工事は建築資材高騰やコロナ禍を背景に延期となっている。
レジャックの閉館が名駅前における再開発進展に繋がる可能性もある。

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スーパーセンターイズミヤ堅田店、2023年1月閉店-びわ湖タワー跡地の同社滋賀1号店、イズミヤ滋賀県から撤退

滋賀県大津市のJR湖西線堅田駅近くにあるH2Oリテイリング(阪急阪神百貨店)系の大型総合スーパー「スーパーセンターイズミヤ堅田店」が、2022年冬をもって閉店する。
追記:2023年1月9日閉店となる。

異色のイズミヤ大型店、21年の歴史に幕

スーパーセンターイズミヤ堅田店(SuCイズミヤ堅田店)は、2005年12月に遊園地「びわ湖タワー」跡地を活用し開店。建物は地上2階建で営業フロアは1階、敷地面積は27,069㎡、店舗面積は14,863㎡、延床面積は39.538㎡。同社としては滋賀県初の店舗、SuC業態としては3店舗目だった。
堅田店では「Every Day LOW Price~まいにちやすい~」「みんなの「欲しい!」がいっぱいある。」を掲げ、開店当初は食料品から衣料品(紳士服・婦人服・子供服など)、住居関連品(インテリア雑貨・DIY用品・スポーツ用品・アウトドア用品・玩具・ゲーム・文具・書籍など)を集中レジ方式でフルライン展開。
飲食関連を中心に専門店20店舗を導入するなど、従来型総合スーパー業態とは異なる欧米型スーパーセンター業態の確立をめざした。

スーパーセンターイズミヤ堅田店。
2013年当時は隣接地にイーゴス108も試験稼働していた。

その一方、2008年11月に滋賀県地盤の総合スーパー「平和堂アルプラザ堅田」がショッピングセンターとして建替リニューアルを実施。2014年12月には琵琶湖(琵琶湖大橋有料道路)を挟み対岸にある「ピエリ守山」が“明るい廃墟”から全面リニューアルを実施。2016年4月には京都地場大手食品スーパー「フレスコ堅田店」が、2019年7月に京都地場中堅食品ディスカウント「ハッピーテラダTOKUYA大津堅田店」が近隣の量販店跡に相次ぎ出店するなど、競合店が増加していた。

平和堂も2018年に全面リニューアルを実施した。

イズミヤ堅田店では競争激化の対応として、直営フロアの段階的なリニューアルや100円ショップ「ダイソー」導入などテコ入れを図ったが、2022年までにフードコートが閉鎖となるなど、不振が目に見える状態となった。

イズミヤからスーパーセンター業態が消滅する日も?

イズミヤはH2Oリテイリング傘下となって以来、従来型総合スーパーの構造改革を進めており、スーパーセンター(SuC)に関しても業態解体を進めていた。
2018年6月の八幡店(京都府八幡市/同業態2号店)改装時は従来通りの運営形態を維持したもの、2019年秋の八尾店(大阪府八尾市/同業態1号店)改装時には集中レジ・直営フルライン展開の廃止と無印良品・オークワWAY書店を始めとする専門店導入により、ショッピングセンター型の店舗に運営形態を刷新。
後の神戸玉津店(兵庫県神戸市)や広陵店(奈良県北葛城郡)の改装においても、スーパーセンターという業態名こそ残したもの、直営食品・衣料品売場を核とするショッピングセンターとなった。
近い将来、イズミヤからスーパーセンターという業態が消える可能性もあろう。

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アピタパワー新潟亀田店、2022年7月1日開店-8月開店の「ドン・キホーテ アピタ新潟亀田店」核に県内初「ユーストア」も

新潟県新潟市江南区の国道49号線亀田バイパス鵜ノ子ICそばに、パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)傘下のユニーによる大型総合スーパー「APITAパワー新潟亀田店」が2022年7月1日に一期開店した。

改装中だった「ユニー新潟旗艦店」

APITAパワー新潟亀田店の前身となる「アピタ新潟亀田店」は2000年11月に開店。建物は地上3階建で営業フロアは1~2階、売場面積は37,642㎡、直営売場面積は11,603㎡。
アピタ新潟亀田店は開店当初、県内最大の商業施設として、ユニー直営総合スーパーと系列ホームセンター「ユーホーム」を核に100店舗近い専門店が入居していた。
2007年にイオン新潟南ショッピングセンター(現イオンモール新潟南)開業の対抗策として、ユーホームに代わる新たなサブ核「ニトリ」「アカチャンホンポ」導入を目玉とする大規模リニューアルを実施。2021年夏からは直営フロアの改装売り尽くしセールや専門店の再編を段階的に進め、2022年6月28日には直営食品・生活用品フロアを一時閉店していた。

ドンキ流で初の全面刷新、専門量販店化で差別

APITAパワー新潟亀田店は、旧アピタ開店以来初の全面改装として、1階直営フロアには直営食料品専門量販店「ユーストア Produced by APITA」(同社6店舗目、県内初)に加え、住居関連用品売場「CLASHI no Marche(くらしのマルシェ)」を展開。2階直営フロアにはアウトドアウェア店「greenstage」、カバン店「VARIESH」、靴量販店「Walk Away」を展開する。

APITAパワー新潟亀田店。

1階ユーストアの青果売場では“地産地消意識”の高い立地特性を活かした道の駅風「新潟県産コーナー」を展開。鮮魚売場では屋号に「魚優」を掲げ、一般鮮魚や冷凍魚に加えて地場魚惣菜を展開。精肉売場では屋号に「亀田ミートセンター」を掲げ、従来比2倍の売場で味付肉・冷凍肉・肉惣菜やPB商品「悠健豚」のハム・ソーセージを新たに展開。そのほか、ご当地餃子や輸入食材(韓国食材など)、銘店「新潟加島屋」を導入することで、ニューファミリー層の獲得を図る。
また、くらしのマルシェでは「コスメと5つの専門量販店を展開する1階住居関連用品売場」として、全国初となる雑貨専門店「365キッチン」やバラエティコスメショップ「AtoZ」、小型家電店「雑貨倉庫」、寝具店「快眠倶楽部」、総合文具店「亀田文具店」、玩具店「クラデントイズ」を導入する。
(上記店名は殆どがユニーの直営)

8月上旬にはドンキが出店、全館開業へ

APITAパワー新潟亀田店では今後も改装をすすめ、7月15日に産直生鮮グロサリー店「わくわく広場」が開店予定、8月上旬にはUDリテール運営のディスカウントストア「(仮称)ドン・キホーテ アピタ新潟亀田店」が開店する予定となっている。

APITAパワー新潟亀田店

住所:新潟県新潟市江南区鵜ノ子4丁目466番地
営業時間:午前9時~午後9時

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スタンダードプロダクツ広島八丁堀店、2022年6月30日開店-ZARA跡にダイソー新業態の大型旗艦店

広島県広島市中区八丁堀の広島電鉄八丁堀電停・立町電停前に、100円ショップ最大手「大創産業」の300円ショップ新業態「Standard Products by DAISO 広島八丁堀店(スタンダードプロダクツ広島八丁堀店)」が2022年6月30日に開店した。

スタンダードプロダクツとしては最大の広さ

Standard Products広島八丁堀店は、2022年1月に閉店した外資系ファストファッションブランド「ZARA広島店」跡に出店するもので、建物は地上2階建、売場面積は約188坪(約621㎡)。同業態は国内外通算9店舗目で、大創産業本社のある中四国では初の店舗となる。
広島八丁堀店では同業態初となる2フロア体制を活かし、2022年4月にリブランディングした300円ショップ「THREEPPY(スリーピー)」を併設。2ブランドを融合させることで、買い物客のさまざまなニーズに対応するとしている。

6月30日に開店したStandard Products広島八丁堀店。

お膝元の地域産業活かした商品展開も

Standard Productsでは、ブランドコンセプトに「ちょっといいのが、ずっといい。」を掲げ、300円を中心価格帯に据え、リビング用品やインテリア雑貨などを展開。

日本全国の伝統技術を活かしたアイテムが揃う。

広島八丁堀店では同業態ならではの取組みとして、広島県の地域産業“熊野の毛筆の製法”を活かしたメイクブラシを全国に先がけて発売。良質で心地よい商品やサステナビリティと環境問題を意識した製品の提供を目指し、持続可能で豊かな社会の実現へ積極的に貢献するとしている。

Standard Products by DAISO 広島八丁堀店

住所:広島県広島市中区八丁堀 16-3
営業時間:午前10時~午後9時

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天満屋広島緑井店、2022年6月30日20時閉店-賑わう営業最終日、今後「フジグランと一体化」へ

広島県広島市安佐南区のJR可部線緑井駅近くにある百貨店「天満屋広島緑井店」が2022年6月30日午後8時に閉店し、25年の歴史に幕をおろした。

最終営業日の天満屋緑井店。

地域密着型「郊外型百貨店」だった

天満屋広島緑井店は1997年10月に開業。建物は地上4階地下1階建で営業フロアは1~3階、店舗面積は15,540㎡。同社広島市内の店舗としては広島八丁堀店、広島アルパーク店に次ぐ3店舗目であった。
天満屋は当初、広島緑井店を広島市北部副都心の玄関口に相応しい広域集客型の複合商業施設として出店する構想を打ち出していたが、バブル崩壊後の景気低迷を受けて、ローコスト型の百貨店として出店方針を変更。開業後は「毎日、デパート。」を掲げ、食物販やデイリーファッションの拡充に加え、靴量販店「ABC-MART」やインテリア雑貨店「Passport(現HAPINS)」といった多数の専門店を導入することで、広島市中心部の百貨店との差別化を図った。
また、隣接地の「フジグラン緑井」(着工時は「緑井サティ」)「コジマNEW広島インター緑井店」開店後は、駐車場サービスの共通化や共同販促を打ち出すなど、各店舗が一体となり集客をめざした。

フジグラン緑井。天満屋跡にも出店する。

一方、天満屋は2012年3月に広島八丁堀店を閉店、2020年1月には広島アルパーク店を閉店。また、広島緑井店自体もデイリーユースに注力していたため、フジグランを始めとする大型商業施設と競合が起きていた。こうした背景もあり、天満屋は2021年9月にフジへの広島緑井店譲渡を発表し、広島市内での百貨店事業から全面撤退することとなった。

買物客であふれる明るい最終日

天満屋広島緑井店では2022年3月16日に「閉店売りつくしセール」を開始。4月からはパネル展も行われるなど、天満屋の広島撤退を惜しむ客で賑わいをみせた。

閉店当日6月30日には午前中から連絡橋や吹抜けを始め各所で記念撮影を行う買物客や長蛇のレジ待機列に並ぶ買物客、店員との思い出話に花を咲かせる買物客の姿がみられるなど、館内外を明るい雰囲気が覆った。

最終営業日の天満屋緑井店。

午後8時10分には閉店式典が開催。城本吉徳店長は広島緑井店に対する25年のご愛顧への感謝やオープン当時のキャッチフレーズを交えつつ「お客様のご要望に100%お応えすることが難しくなった」「お客様には感謝しかございません。」とコメント。
買物客からの問合せも多いという施設の今後に関しては「幸いにも支持いただいている食品を始め後継のフジさんで継続する売場も決まっております。」「天満屋としては本日で最終日を迎えますが、今後も地元にお客様に愛されるフジさんのお店として新たにスタート致しますので、これからもこの店舗をご愛顧のほどよろしく申し上げます。」とコメントを残し、フジに広島緑井店跡のたすきを渡した。

最終営業日の天満屋緑井店。

式典は「25年間本当に本当にありがとうございました。」との言葉で締めくくられ、木星(Jupiter)をBGMに幕引きすることとなった。

フジが出店-「再出店」発表したブランド・店舗も

天満屋とフジは2022年6月時点において、天満屋広島緑井店跡の新施設に関する具体的な運営形態、開業時期などを明らかにしていない。
マツモトキヨシ」「横浜元町ポンパドウル」「奥出雲そば処一福」を始めとする一部テナントは「2022年夏」「2022年8月以降」営業再開する方針を正式発表している。
その他一部テナントも同地で営業再開する方針を固めており、買物客に「また来てください」と声をかける従業員もみられた。従来の百貨店に代わる新たな商業施設として姿をみせる日も近そうだ。

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セブン-イレブン、関西でのSポイント取り扱いを2022年6月30日終了-セブン&アイとH2Oの提携解消へ

コンビニエンスストア大手の「セブン-イレブン・ジャパン」(東京都千代田区)は2022年6月30日、関西の店舗で実施していた阪急阪神グループの共通ポイント「Sポイント」のサービスを終了する。また、流通大手「セブン&アイ・ホールディングス」(東京都千代田区)と「阪急阪神百貨店」「イズミヤ」などを傘下に持つ「エイチ・ツー・オーリテイリング」(H2O、大阪府大阪市北区)は両社の業務提携関係を解消する。

セブンイレブンの店舗。(東大阪市)

7&i、H2Oと提携するも関係深まらず

流通大手「セブン&アイ・ホールディングス」はコンビニ最大手「セブン-イレブン・ジャパン」や総合スーパー「イトーヨーカ堂」を傘下に持ち、関西2府4県ではセブンイレブン2,774店舗のほかイトーヨーカドー7店舗を展開している(店舗数は2022年5月末時点)。
H2Oリテイリングは「阪急百貨店」「阪神百貨店」を関西を中心に15店舗展開するほか総合スーパー「イズミヤ」や食品スーパー「関西スーパー」「阪急オアシス」を傘下に持つなど関西の有力小売グループの1つとなっている。2021年12月には関西スーパーがH2Oグループ入りした。

セブン&アイとH2Oは2016年10月、資本業務提携の合意を発表した。2017年10月にはセブン&アイ傘下の「そごう・西武」が運営していた「そごう神戸店」(神戸市中央区)と「西武百貨店高槻店」(大阪府高槻市)をH2Oグループに譲渡。2019年10月にそれぞれ「神戸阪急」「高槻阪急」と店名を変更し再開店した。そごうの旗艦店であった神戸店は「神戸阪急」となった。

また、2018年5月からは阪急阪神グループの共通ポイント「Sポイント」が関西2府4県のセブンイレブンで利用可能になった。
しかしそれ以上の関係強化は進まず、資本提携は立ち消えになったほか、2021年7月にはH2O傘下のコンビニ「アズナス」がローソンに転換するなど、提携の先行きが不透明なものとなっていた。ローソンに転換となったアズナス。(十三店)

H2O、今後はローソンと関係強化を図る

関西2府4県のセブンイレブン約2,800店舗で実施していた阪急阪神の共通ポイント「Sポイント」の付与・利用のサービスを2022年6月30日23時59分で終了する。また、阪急阪神クーポンの利用も同時刻をもって終了する。セブン&アイとH2Oの提携も解消される見通し。

セブンイレブンの店舗。(大阪市)

H2Oは2021年5月にローソンと包括業務提携契約を締結しており、2022年1月にはH2Oとローソンが共同開発した商品が発売されている。H2Oは今後ローソンとの関係強化を図っていくとしている。

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カウボーイ家族、2022年6月30日までに全店閉店-ロイホのステーキ専門店、”ロイホ1号店”だった青山店閉店で消滅

福岡県北九州市八幡西区の筑豊電鉄萩原電停近くにあるロイヤルグループのハンバーグステーキ・サラダバーレストラン「カウボーイ家族青山店」(ロイヤルホスト1号店)が2022年6月30日をもって閉店した。
コロナ禍のなか店舗数を減らしていた「カウボーイ家族」業態はこれで全店閉店となった。

カウボーイ家族青山店。

青山店はロイホ1号店から50年の歴史に幕

カウボーイ家族青山店は、福岡発祥の大手飲食グループ「ロイヤル」によるファミリーレストラン業態1号店「ロイヤルホスト黒崎店」として1971年12月28日に開店。ロイヤルホスト黒崎店は黒崎駅前への出店などにより「ロイヤルホスト青山店」への改称を経て約40年間営業を続けたものの、リーマンショック後の経営不振もあり2012年11月7日をもって一旦閉店。同社が2010年に“次の柱となる事業”として立ち上げたハンバーグステーキ専門の新業態「カウボーイ家族青山店」として同年11月26日に新装開店した。

カウボーイ家族青山店の店内。

 

カウボーイ家族ではサラダバーの拡大といった改装をしつつ、ロイヤルホスト時代からの装飾や対面キッチンを維持。高価格高付加価値型の業態に強みをもつロイヤル色を前面に打ち出し、ロイヤルホストが近隣にある店舗を中心に同業態への業態転換をすすめた。

カウボーイ家族は11年の歴史に幕

店舗網を全国に拡大するなど順調に成長しつつあったカウボーイ家族であったが、競合他社類似業態との競争に加えて「コロナ禍による商品提供方式変更」といった業態特有の制約も重なり、閉店を加速。2022年4月には石神井店(東京都/同業態1号店)が閉店し、東京から撤退。青山店1店舗を残すのみとなっていた。

ロイヤルHDは2022年6月現在、カウボーイ家族青山店跡の活用方法に関して発表しておらず、ロイヤルホスト黒崎店から50年の歴史に幕を下ろすこととなる。また、カウボーイ家族に関しても2010年12月のテスト展開から11年の歴史に幕を下ろすこととなった。

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お茶の山口園、2022年6月倒産・破産手続き開始-九州各地の商業施設でお馴染み、新型コロナで

九州周辺の多くのショッピングセンターに出店していた茶販売大手「お茶の山口園」と関連会社の「山口園商事」(長崎県長崎市)が、2022年6月17日に破産手続き開始決定を受けた。

お茶の山口園。

イオン九州やゆめタウンのテナントでお馴染みだった

お茶の山口園は1962年に創業。
九州・沖縄・中国地方西部周辺各地の「イオン」「サティ」「ダイエー」「寿屋」「ゆめタウン」や、長崎県や福岡県等の商店街・ロードサイドなどに「お茶の山口園」「Jima Coffee」を展開し、茶葉や茶関連商品、コーヒー豆などを販売していた。
破産を報じた帝国データバンクによると、最盛期には約60店舗を展開、2002年9月期には年売上高約25億1500万円を計上していた。しかし、近年は贈答品の売上が低下していたほか、コロナ禍で店舗の休業や時短営業が続き、2021年9月期には売上高が約10億3500万円にまで下がっていたという。

「お茶の山口園」は全店閉店

店舗は2022年6月までに全店閉店している。
負債額は2社合計で約29億1000万円に及ぶという。

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玉屋トリアーダ宗像、2022年6月25日全面開業-同日開業のドン・キホーテ宗像店と3月開業のフードウェイを物販核に刷新

福岡県宗像市の国道3号線沿いにある玉屋グループのショッピングセンター「トリアーダ宗像」が2022年6月25日に全面開業し、パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)のディスカウントストア「ドン・キホーテ」が施設の核店舗のひとつとして同日開店する。

福岡でも異色なパチンコ核の商業施設として誕生

玉屋は1953年8月に福岡県飯塚市で創業。2022年6月現在は地場大手パチンコチェーンとして「パチンコの玉屋」「おもしろいこといつもここから」を前面に掲げ、福岡・佐賀県内に14店舗を展開する。
トリアーダ宗像は、1994年に同社によるパチンコ店を核に据えた大型複合店構想の一環として誕生。1995年4月に直営パチンコ店「玉屋宗像店(TAMAYA宗像)」が先行開業、1996年3月までにサンリブのディスカウント食品スーパー「マルショクエル」と中堅コンビニ「ポプラ」を中心とする商業ゾーンが全面開業した。商業ゾーンの建物は平屋建で店舗面積は1,473㎡。
同施設の開業を皮切りに、近隣ではホームプラザナフコ南宗像店や星寿ショッピングモールSTAR(ベスト電器宗像バイパス店)といった大型施設が集積することとなったが、施設老朽化による再開発のため、2020年秋以降段階的に閉店していた。

ドンキ・フードウェイ核に全面刷新

再開発後のトリアーダ宗像は2021年4月に第1期開業、2022年3月に第2期開業、同年6月に全面開業。敷地面積は約39,066㎡、売場面積は5,699㎡、延床面積は7,617㎡。駐車場は548台、駐輪場は137台。大和ハウスが設計・施工、玉屋が運営を担う。
同施設は「生活にイロドリを与える『娯楽』『物販』『飲食』の3つの価値がそろった複合商業施設」として、大手ディスカウント「ドン・キホーテ」と地場大手食品スーパー「フードウェイ」を核に、眼鏡店「メガネのヨネザワ」、飲食店「Cafeレストランガスト」「カレーハウスCoCo壱番屋」「大衆焼肉かの助」「天ぷら定食たからや」など15店舗ほどが入居する。

ドン・キホーテ宗像店。

ドン・キホーテ宗像店の売場面積は2,790㎡。
同店では「福岡市と北九州市の両都市へのアクセスが便利」というベットタウンの立地特性を活かし、アジアンコスメ・中国韓国東南アジア系食品を始めとするSNS人気商品や大容量品・スーパーセールコーナー・カプセルトイコーナーを始めとするファミリー向けラインナップを強化。季節にあわせたアウトドア関連商品の通年展開など提案型の商品陳列・演出を行う。また、屋根にドンキ公式キャラクター「ドンペン」を配置する。
玉屋はトリアーダ宗像の全面開業(再開発完成)にあわせ、宗像市と防災協定を締結するとしており、今後は従来以上の集客・サービスを提供する施設として役割を担うとみられる。

トリアーダ宗像

住所:福岡県宗像市光岡290他
営業時間:午前9時~翌午前2時(ドン・キホーテ)

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イオンモール北大路、2022年6月24日開業-ビブレ全面刷新で賑わう開業日、KOHYO・無印良品など長蛇の列も

京都府京都市北区の京都市営地下鉄烏丸線北大路駅・京都市営バス北大路バスターミナルに直結する複合商業施設「キタオオジタウン」に、イオングループのショッピングセンター「イオンモール北大路」が2022年6月24日午前10時に開業した。

イオンモール北大路。

京都最後のビブレ、イオンモールに

イオンモール北大路の前身となるショッピングモール「北大路ビブレ」は、1995年3月にマイカルグループ系複合商業施設「キタオオジタウン」の核店舗として開業。同施設の建物は地上4階地下3階建で営業フロアは1~4階、店舗面積は23,123㎡。ビブレとしては河原町、宝ヶ池に次ぎ3店舗目であった。(2店舗ともに閉店済)

マイカル末期のキタオオジタウン・北大路ビブレ。

北大路ビブレは京都市主導の京都市電烏丸車庫跡地再開発プロジェクト「京都市交通局北大路地区有効利用計画」により開業した経緯もあり、公共交通のターミナル機能に加えて公共施設を併設するなど、京都市北部を代表する施設のひとつであった。しかし、度重なる施設の運営方針変更や運営会社再編もあり、2022年5月10日に施設ブランドの変更とリニューアルを発表。6月23日に北大路ビブレとしての27年の歴史に幕をおろした。

地元を中心にSNSで話題となった縦読み。

無印良品や大垣書店が増床、飲食の大幅拡充も

イオンモール北大路の敷地面積は約17,600㎡、総賃貸面積は約22,900㎡、延床面積は76,200㎡、駐車場台数は約480台。コンセプトに「~お客さまに笑顔と感動を!~地域の皆さまに愛される「HUBSTATION MALL」へ」を掲げ、食物販フロア「ビブレキッチン」跡や南テラスを刷新するなど、2012年4月の大規模リニューアル。
1階では6店舗が新規出店、1店舗が館内移転、2店舗がリニューアルした。(新規出店のうち1店舗は既存店の業態転換)
ビブレキッチン跡の大部分はフードコート「KITAOJI DINING(北大路ダイニング)」(全8店舗、約220席)として、関西初となる蕎麦店「小木曽製粉所」や京都府内初となるバナナジュース店「バナナライフ」、京都市内初となるカレー専門店「100時間カレー」が新規出店。あわせて、有機食品スーパー「オーガニックプラザ」、ファストフードショップ「マクドナルド」、イタトマの新業態カフェ「カッフェイタリアントマト」が新規出店、輸入食品・コーヒー専門店「ジュピター」が館内移転リニューアルした。

2階では3店舗が新規出店、3店舗が館内移転、2店舗がリニューアルした。
従来から2階フロアの大部分を占めていたライフスタイルブランド「無印良品」は、従来比2倍となる売場面積1,700㎡に増床リニューアル。無印では地場野菜や近隣店舗(無印良品京都山科)開発商品に加え、冷凍食品やチルド菓子、量り売り菓子を新たに取扱い開始するなどフルラインの店舗となった。2階フロア内では、H-WORKSの大型韓国専門店「PANCHA2(パンチャパンチャ/番茶番茶)」やインテリア雑貨店「MAMAIKUKO(ママイクコ)」、バンダイナムコ系のガシャ専門店「gashacoco(ガシャココ)」が新規出店するなど、トレンドを意識した専門店が揃うこととなった。

2階無印良品では自社アプリ利用者向け優待を実施。
売場各方面にレジ待機列がみられた。

4階では大垣書店ビブレ店が大型複合書店「大垣書店&cafeイオンモール北大路店」(940㎡)として全面増床リニューアル。同店の大規模改装は2012年2月以来約10年ぶりであり、CD・DVDコーナーや文具雑貨の品揃えに加え、大人の隠れ家として自社ブランドのカフェを新たに併設した。

4階の「VIVRE COSE」。

開業当日は記念式典も、オープニングセール続く

イオンモール北大路では、開業当日午前9時20分から“グランドリニューアルオープン”を祝う式典が開催された。式典は同志社大学応援団吹奏楽部の行進曲により華やかに始まり、イオンモール大作大志CX創造本部営業統括部京滋・北陸事業部長や光洋安井弘紀取締役営業本部長に加え、京都市関係者の参加もみられるなど、施設の新たな門出に相応しい賑わいとなった。
イオンモール担当者は、北大路ビブレが小売中心から専門店中心の施設にシフトした経緯や光洋の売場全面刷新、新たな感動や体験価値訴求に向けた施策に触れつつ「ハブステーションモール」の魅力をアピール。京都市担当者は交通局の経営環境にも触れつつ「お互いがプラスになるような関係を続けたい」「地域の多くの方にさらに愛着をもっていただきたい」とアピールした。

グランドリニューアルオープン記念式典。

イオンモール北大路では、6月26日までイオンモールアプリ利用者向けの大抽選会が開催される。また、ビブレ時代から営業を続ける「KOHYO」「MR.MOSTMAV」「LUSSO」「VIVRE COSE」といった専門店含め、最大60%OFFの割引販売やセット販売、ノベルティ配布といったグランドオープンセールが7月3日まで開催される。
そのほか、ビブレ時代から40回超開催実績のあるアコースティックライブイベント「musicマルシェ」や関西有名大学サークル・エンターテイナー参加の「北大路フレッシュライブ」、M-1グランプリ王者「ミルクボーイ」や京都住みます芸人「タナからイケダ」参加の「吉本お笑いステージ」、「暴太郎戦隊ドンブラーズ」「デリシャスパーティープリキュア」キャラクターショーも7月9日まで開催が決まっており、今後も賑わいは続きそうだ。

イオンモール北大路(旧北大路ビブレ)

住所:京都府京都市北区小山北上総町49-1
営業時間:午前10時~午後9時
※一部専門店は異なる

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