福岡パルコ、2026年閉店-「旧岩田屋本館」建替再開発で90年近い歴史に幕、仮店舗出店も検討

福岡県福岡市中央区天神の西鉄福岡(天神)駅・福岡市営地下鉄天神駅に直結するJ・フロントリテイリング系のファッションビル「福岡パルコ(福岡PARCO)」が2026年をもって閉店する。

福岡パルコ

九州初のターミナルデパートとして開業した旧岩田屋本館

福岡パルコの建物は、1936年10月に地場老舗呉服店を前身にもつ百貨店「岩田屋」本店として開業。2022年10月現時点での本館の建物は地上8階地下1階建で延床面積は23,873㎡、新館の建物は地上6階地下3階建で延床面積は13,895㎡。
岩田屋は九州鉄道福岡駅(現西鉄福岡(天神)駅)に併設する「九州初のターミナルデパート」として開業した経緯もあり、西鉄とともに九州有数の繁華街である天神の形成に大きな役割を担った。また、1976年3月には隣接地に新館(現福岡パルコ新館/地上12階建地下3階建)を開業し、立体駐車場を備える駅直結の都市型百貨店として、地域一番店としての確固たる地位を築いた。
しかしその後、岩田屋は1991年9月に西鉄と締結した「ソラリアターミナルビル(ソラリアステージ)」への出店合意を1992年12月に白紙撤回したことで、両社の関係性が一時悪化。

旧岩田屋本店本館

1996年9月にはソラリアへの増床の代替として、セゾングループ(西武百貨店/ロフト)との共同出店を検討していたNTT福岡中央支店跡地に百貨店新業態「岩田屋Z-SIDE」を開業したが、Z-SIDEへの過剰投資が災いとなり私的整理ガイドラインに基づく再建を余儀なくされた。
再建の一環として、1999年8月に百貨店創業の地である本館(岩田屋A-SIDE)と隣接する新館(岩田屋A-LIVE)の建物を都築学園グループに売却し、2004年2月をもって同地での営業を終了した。(岩田屋本館は旧Z-SIDEに移転)

旧岩田屋Z-SIDEに移転した岩田屋本店本館

都築学園グループは2004年2月の岩田屋本店全面移転後、旧岩田屋本店本館を隣接する旧新館(都築学園ビル/天神ハッチェリービル)同様に同学園運営の専門学校とする構想を掲げていたが、地元の反対の声や同学園の不祥事が重なり断念。2005年の大手雑貨店「ロフト」出店も福岡西方沖地震を背景に断念となるなど長期間空きビル状態となった。
その後、都築学園グループは2008年2月に大手ファッションビル「パルコ」と賃貸借予約契約を締結。パルコとの賃貸借契約締結にあわせて、建物を全面改修したことで、2010年3月に福岡初となるパルコが開業した。

好調な業績背景に拡大続けてたパルコ

福岡パルコは競合施設も数多いなかでの開業であったが、開業1年間(2010年3月19日~2011年3月18日)の売上高は当初目標110億円を25.4%上回る約138億円、入館客数は当初目標1,000万人を40%上回る約1,400万人を記録するなど好調な業績と集客を維持。

開業当日の福岡パルコ

2013年3月には都築学園グループから旧岩田屋本店2館の建物を取得し、同年5月に新館の減築リニューアルを開始。2014年11月に「福岡パルコ新館」を開業した。その後も2015年3月に西鉄からソラリアステージの一部(西鉄福岡駅ビル/コトブキヤ福岡天神・タワーレコード福岡店跡)を賃借し増床、2017年12月には新館一部フロア(フタバ図書跡)をシェアオフィスに転換したもの、天神ビッグバンによる施設の相次ぐ閉店も重なり、2022年10月現在は天神地区最大のファッションビル(店舗面積27,555㎡)となっている。

再開発で一旦閉店

福岡パルコの閉店は再開発によるもの。
福岡パルコ本館は1936年10月に開業した旧岩田屋本店本館の建物一式、新館は1976年3月に開業した旧岩田屋本店新館の地下部を引継いでおり、本館は戦前の百貨店建築に由来する天井の低さやエスカレーターホールの段差も課題となっていた。
パルコは再開発中の仮店舗として、同社の同じくJ・フロントリテイリングに属する百貨店「博多大丸(大丸福岡天神店)」を検討しているが、仮店舗の詳細や再開発後の営業形態など明らかにしていない。
J・フロントリテイリングは2022年10月11日の「2023年2月期第2四半期決算発表会」にて、2024年以降の中長期的な成長につながる開発プロジェクトとして「福岡・天神地区の大型プロジェクト」を挙げており、現店舗開業から50年近く経過する大丸福岡天神店との一体的な店舗再編も予想される。

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