グランモール水巻、2021年2月以降は商業テナント「1店」のみに-核テナントは「バナナ畑」

福岡県北九州市と遠賀郡水巻町をまたぐ、国道3号線と国道199号線沿いの分岐点にある元・大型商業施設(現・バナナ畑)「グランモール(GRANDMALL)」の商業ゾーンが、2021年1月17日の「Kid’s US.LANDグランモール水巻店」閉店にともない僅か1店舗のみとなった。

バナナ畑として営業するグランモール水巻。

バブル期から計画、2011年にようやく開業したが…

グランモール水巻の事実上の前身となる「生活城塞都市メルカート」は、1993年に北九州の地場不動産ディベロッパー「ダイフク興産」が出店計画を表明したもの。
その後、経済状況の変化などから開発計画は幾度となく延期。
2010年5月に九州初出店となるディスカウントスーパー「ラ・ムー」を核店舗とする豊田通商運営のショッピングセンター「グランモール」として2010年5月に第1期プレ開業、同年12月に第2期開業。そして2011年7月に約60店舗を要する大型ショッピングセンターとして17年越しにグランドオープン(第3期開業)していた。
建物は地上2階建で、敷地面積約69,600㎡、延床面積約52,300㎡であった。
詳しくはこちら。

植物状態のグランモール、植物工場に-残るは1店舗

グランモール水巻では、2011年7月のグランドオープン後もテナントの出店が続き、最盛期には専門店80店舗ほどが出店することとなった。
しかし、競合店の多さや(道路構造上の問題による)寄り付きの悪さなどが祟って集客が芳しくなかったとみられ、2014年6月に専門店10店舗超が一斉撤退(スポルトなどは近隣商業施設へ移転)するなどテナントの撤退が続出。同年9月には大規模減床リニューアル(リフレッシュオープン)に至った。

「ボウリング場開業準備中」。

その後も、核テナントの1つであったナフコが施設正面に学研都市店(北九州市若松区)の案内看板を設置したのち2015年11月に、ダイソー・ピノキオランド・サイゼリヤといった主力テナントも2016年6月に撤退し、地元金融機関各行もATMを撤去。同年7月9日には2階で唯一残っていたKid’s US.LANDが施設西側の1階ダイソー跡に移転、同年8月31日には美容室のイッツスタイルが撤退したため、第1期のプレ開業時点と同様に施設西側(水巻町側/ラ・ムー区画一帯)のみの営業となった。
ラ・ムー水巻店。

殆どのテナントが撤退し「植物状態」となったグランモールは、2018年に、投資アパート開発「明豊エンタープライズ」を経て不動産投資会社「都市綜研インベストファンド」(本社:大阪市北区)が取得。施設の大部分を、同社が投資物件(みんなで大家さん)として取り扱う屋内型バナナ栽培工場(植物工場)「アグレボバイオテクノロジーセンター」に転換された。

バナナ畑となったグランモール水巻。

その後は大部分がバナナ畑となり、2020年時点にはグランモール水巻の商業区画は建物西側のごく一部のみ、テナントは時間制屋内型遊園地「Kid’s US.LAND」とディスカウントスーパー「ラ・ムー」のみとなっていた。
しかし、2021年1月17日には「Kid’s US.LAND」が撤退。2021年3月現在、商業区画はラ・ムー1店舗だけが営業を続けている。
かつて多くの店舗が出店していた館内は、殆どの区画でバナナが生い茂っているものと思われる。

かつての駐車場入り口。

商業テナントが殆ど撤退したことにより、バナナ畑・植物工場の更なる増床などもおこなわれる可能性があり、建物全体の今後についても注目される。

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