大手靴量販店「ABCマート」(東京都渋谷区)は、セブン&アイHD傘下のスポーツ用品店「オッシュマンズ・ジャパン」を2022年3月1日付で買収した。オッシュマンズ吉祥寺店。
ヨーカドーとの提携で日本進出した米スポーツ用品店
オッシュマンズ・ジャパンは、大手総合スーパー「イトーヨーカ堂」と米国大手スポーツ用品店「OSHMAN’S」(米国内店舗は2000年代に廃業)の業務提携により1984年12月に設立。1985年7月に日本1号店を原宿駅前の原宿第1マンションズ(現ウィズ原宿)に出店した。
西武池袋本店内に入居するオッシュマンズ池袋店。
設立の経緯もあり、2000年代初頭までヨーカドー系百貨店「ロビンソン百貨店」(宇都宮・春日部)など首都圏近郊に限った店舗展開を行っていたが、2015年10月に関西1号店をルクア大阪に出店、2017年4月に名古屋1号店をJR名古屋高島屋(タカシマヤゲートタワーモール)に出店するなど、店舗網の拡大を試みていた。2022年2月時点での店舗数は国内9店舗、うち2店舗はセブン&アイHD系の商業施設(西武池袋本店・グランツリー武蔵小杉)となっている。
ABCマート、スポーツ分野全般に事業領域拡大へ
ABCマートは以前からコロナ禍による生活様式の変化を背景にアウトドア分野やパーソナルスポーツ分野(ウェア・グッズなど)への参入を検討、セブン&アイHDは2021年7月の中期経営計画においてオッシュマンズの他社との提携を含めた検討を重ねていたという。
OSHMAN’S関西1号店のルクア大阪店。
ABCマートは2010年8月のセレクトショップ「UNITED ARROWS」売却後も、スポーツ・カジュアルウェアを取扱う新業態「ABC-MART SPORTS」やスポーツパフォーマンスに特化した新業態「ABC-MART ATHLETE」を開発するなど靴一本からの脱却を模索しており、オッシュマンズの買収でスポーツ分野全般に事業領域を拡大することとなた。今後は自社の出店関連データや店舗運営システムの活用により、オッシュマンズのブランド価値や世界観を変えることなく、発展拡大と運営効率化を図るとしている。
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