天満屋広島アルパーク店、2020年1月31日閉店-三井不動産系から大和ハウスに施設売却

広島県広島市西区のJR山陽本線新井口駅・広島電鉄宮島線商工センター入口駅に直結するショッピングセンター「アルパーク」の核テナント「天満屋広島アルパーク店」(アルパーク天満屋)が、2020年1月31日をもって閉店する。

アルパーク西棟・天満屋広島アルパーク店。

まもなく開業30周年を迎える「アルパーク」

アルパークは1990年4月に、広島市西部で進められた臨海部開発プロジェクト「広島西部開発事業」(商工センター)の商業核として、広島市や大手不動産ディベロッパー「三井不動産」、準大手ゼネコン「フジタ」(現在は大和ハウス傘下)など民間企業複数社により開業した。

アルパーク東棟。

アルパークの建物は地上10階地下2階塔屋2階建(東棟)、地上5階地下1階塔屋1階建(西棟)、地上8階地下2階塔屋2階建(南棟・駐車場)、地上4階建(北棟)、施設全館の店舗面積は約90,200㎡、延床面積は約197,400㎡。
2019年7月現在は、西棟に百貨店「天満屋」、東棟に食品スーパー「スパーク」(広電ストアマダムジョイ跡)、紳士服「ORIHICA」、セレクトショップ「WEGO」、ファストファッション「UNIQLO」「GU」「Gap」、ベビー服・ベビー用品店「アカチャンホンポ」、靴量販店「ABC-MART」、雑貨「無印良品」、100円ショップ「ダイソー」、アミューズメント「namco」など専門店約140店舗が出店。北棟には「フタバ図書アルティ」、「スーパースポーツゼビオ」、「109シネマズ」のほか飲食店4店舗、美容院が出店する。

アルパーク通り。

天満屋グループの広島における旗艦店だった

天満屋広島アルパーク店は1990年4月に「アルパーク天満屋」として開業。運営会社再編の一環により1997年に現在の店名となった。営業フロアは1~4階、売場面積は26,421㎡。
2012年3月の「天満屋広島八丁堀店」(現・天満屋広島八丁堀ビル)閉店後も、天満屋の広島市内における百貨店旗艦店として営業を継続していたが、競争激化による業績不振を理由に2020年1月31日をもって閉店することが決定した。

天満屋は広島八丁堀店も閉店済み。

天満屋グループが広島市内で営業する百貨店店舗は、安佐南区のJR可部線緑井駅前に位置する「天満屋緑井店」(緑井天満屋)1店舗のみとなる。また、アルパーク天満屋が管轄する山口県周南市の「アルパーク天満屋周南ショップ」の営業継続については現時点で発表されていない。

三井不動産、アルパークを売却-大和ハウス系の運営に

アルパークは開業時には中四国で最大の商業施設で、日本国内では数少ない「郊外型百貨店」を核に据えた広域集客型ショッピングセンターである一方、郊外ながら駅からペデストリアンデッキを通じて直結するなど、競合施設よりも交通アクセスにおいて高い優位性を備えていたことから、山口県東部からも集客していた。
アルパークは2000年10月に東棟を増床、2008年からの大規模改装により2009年4月には北棟を新設するなど、集客力の向上のために設備投資を続けたものの、2019年5月には三井不動産グループが「競合商業施設新規開業の影響による施設売上下落」「築年数経過による施設競争力維持のためコスト増加」を理由に西棟・東棟を大和ハウス工業に売却。施設の運営形態及び専門店の営業継続が不透明なものとなっていた。

競争激化するショッピングセンターー後継テナントは?

アルパーク周辺では、2015年6月にイズミのショッピングセンター「ゆめタウン廿日市」、2017年4月にイズミの生活提案型ショッピングセンター「LECT(レクト)」が相次ぎ開業。

LECT.

さらに、アルパークからは距離があるものの同じく山陽本線の駅と直結する「イオンモール広島府中」が2015年から2016年にかけて増床を実施し中四国最大となる延床面積約256,000㎡を有するショッピングセンターとなったほか、2018年4月にイオンモール初となるアウトレットブランド「THE OUTLETS HIROSHIMA(ジ・アウトレット 広島)」が開業するなど、イズミとイオンの大手2社によるショッピングセンター競争が激化している。
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2019年現在中四国最大のSC「イオンモール広島府中」。

アルパークは2019年現在も、中四国地方ではイオンモール広島府中、イオンモール岡山に次ぐ規模を有するが、開業から築30年近く経過。さらに、開業当初から営業を続ける西棟・東棟と大型専門店や映画館が入居する北棟が分断されているなど、施設の構造が時代の変化に対応しきれていないといった課題が存在する。

既存のアルパークと離れた位置にある「アルパーク北館」。

アルパークでは2019年7月現在、売却以前と同様に「三井不動産商業マネジメント」により「三井ショッピングパーク アルパーク」として運営が行われているが、11月下旬を目処に三井ショッピングパークカードでのポイント付与を終了することを天満屋の閉店発表に先行して告知している。
アルパークは今後も営業を続けるものの、段階的に三井不動産との関係を薄めていき、将来的には完全に大和ハウスグループによる運営に移行するとみられる。
競合施設に存在しない「百貨店」の撤退は集客力に影響を及ぼす結果となるか、また、これを機に天満屋以上の集客力を持つテナントを誘致することができるのか、今後の動きが注目される。

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