広島県府中町の「イオンモール広島府中」が増床・全面リニューアルし、2016年11月18日にグランドオープンを迎えた。
イオンモール広島府中。
キリン工場跡地に開業した広島最大のイオンモール
イオンモール広島府中は2004年3月にキリンビール広島工場跡地(キリンビアパーク広島)に「ダイヤモンドシティソレイユ」としてオープン。
ジャスコ広島府中店を核とし、「フタバ図書」、「無印良品」、「スポーツオーソリティ」、映画館「広島バルト11」などが約200の専門店が出店。
運営会社の経営統合やブランド再編により、2011年10月より現在の施設名称となった。
「ダイヤモンドシティソレイユ」。1枚目写真とほぼ同地点。
当初は一部区画に工場時代の煙突や小規模なブルワリー、キリン直営レストラン(事務所跡・被爆建造物)といった「ビール工場時代の名残」が多く見られたが、キリンの撤退やイオンモールの増床もあり、イオンモール館内の蒸留釜(インフォメーション)を残し大半が撤去されている。
吹き抜けの案内所には蒸留釜が使われている。
なお、JR可部線の短縮により三段峡駅から移設・展示されていたSL(C11 189)も、今回のリニューアルに合わせて再整備されている。
再整備されたC11 189。1940年製、75年廃車。
実はおもに鹿児島で活躍した車両。
2015年から続いた既存棟改装、新たなアパレル・食物販導入
今回の大規模改装、増床工事は2015年より行われていたもので、リニューアルコンセプトは「『HIROSHIMA RUNWAY』~輝きある未来のワタシ、発見~」。
増床にさきがけて、2016年春から夏にかけては段階的な既存棟リニューアルを実施していた。
増床中のようす(2015年)。
2016年春の第1弾リニューアルでは、サブ核としてワールドが運営する大型ライフスタイルストア「フラクサス」が「Every day in Styleストア」をコンセプトに掲げ、新ブランドや地産地消カフェを導入。
コーエンの新コンセプト店舗「coen Grand Store」や、ニコルの「Grand PARK NICOLE」が広島県内初出店、イオングループの専門店「R.O.U」(雑貨店)、「NEWCOM」(Apple製品ショップ)、「コスメーム」(化粧品セレクトショップ)などが新規オープンした。
また、2016年夏の第2弾リニューアルでは、1階のイオン食品売場隣に「GRAN TABLE」と題した食物販ゾーンを開設。ブーランジェリーカフェ「デリフランス」、ドリンクスタンド「ムーミンスタンド」が中四国初出店、宗家源吉兆庵プロデュースの米菓・和菓子店「満果惣」、高品質グロサリー「久世福商店」、チョコレート専門店「GIDIVA」、唐揚専門店「唐十」など19店舗が導入された。3階のフードコートも「フードパーク」として改装、「ペッパーランチ」、「大阪王将」が新規オープンしていた。
「リニューアルの集大成」、待ちに待った増床棟開業
今回行われた第3弾リニューアルでは、長期間工事が行われていた増床棟が開業、晴れて全館のグランドオープンを迎えることとなった。
新規出店店舗のうち、プチプラブームで脚光を浴びた北欧・デンマーク発の低価格雑貨店「フライング・タイガー コペンハーゲン」、ファストファッション「FOREVER21」、「A|X ARMANI EXCHANGE」、インテリアセレクトショップ「ルナワールド」は中四国初出店となる。
東海地方地盤のルナワールドは中四国初出店。
そのほか、家電量販店「コジマ&ビックカメラ」、2プライススーツで知名度を高めた紳士服店「オンリー」、ユーズドアパレル「WEGO」、ファストファッション「American Eagle Outfitters(アメリカンイーグルアウトフィッターズ)」、アーバンリサーチの低価格ライン「SENSE OF PLACE by URBAN RESEARCH」、クラフトハートトーカイの新業態・体験型キャラクター手芸専門店「キャランキャラン」などが新規出店した。
アメリカンイーグルは広島初出店。
また、プレイパークと北欧玩具店が融合した「ボーネルンド・トットガーデン」やカーショールーム「Balcom」、パパイヤ鈴木プロデュースの「パパイヤ式セイハダンスアカデミー」など、特色あるテナントも導入された。Balcomは広島地盤の「BMW」「MINI」「Harley-Davidson」ディーラーで、「未来の可能性」をテーマに店内に実車を展示し、輸入車を身近な存在に感じさせられる店舗となっている。このようなイオンモール館内での実車の展示・販売をおこなうテナントは全国的にも珍しい。
Balcom。
家電量販店「コジマ&ビックカメラ」では、広島市内の近隣店舗(緑井店・宇品店)と共同で、西日本のコジマで初となる地域密着サービス「くらし応援便」を導入。家電製品に対する相談から、最短30分の購入商品即日配送、商品の訪問設置、取付工事といった顧客の細かい要望に応える。提供エリアは広島市内及び府中町全域で、9月14日に開業したばかりのビックカメラ広島駅前店とともに、広島都市圏における「ビックカメラ」ブランドの更なる浸透を図る狙いがあるとみられる。
コジマ&ビックカメラ。
イオン広島府中店、生活提案型の「イオンスタイル」に
また、今回の改装に合わせて、核店舗の総合スーパー「イオン広島府中店」も「イオンスタイル広島府中」へと大きくリニューアルされている。
イオンスタイル広島府中。
1階食品は広島名物も充実、酒売場にはインストアバルも
1階食品売場の「セレクトマリアージュ」では、イオンスタイル初の試みとなるイタリア・スペインの輸入生ハム、ナチュラルチーズコーナーを展開。また、注文してから生地を焼き上げる本格派ナポリピザ「ピッツアソリデラ」や、食卓を彩るような「野菜バイキング」を導入。
野菜バイキングコーナー。
また、八天堂のクリームパンや呉のメロンパンといった広島名物の品揃えも強化。イオンが運営する広島県安芸高田市の農場からの直送野菜を販売するなど、「広島県ならではのワンランク上の商品」を求める声に応える。
イオン安芸高田農場からの直送コーナー。
イオンリカーが運営する輸入商品・酒売場「イオンリカー・カフェランテ」には、インストアバル「広島府中BAR」を併設。
カフェランテでは輸入食品も扱う。
インストアバルでは、「常設樽生サーバー」から注ぎ出されるキリンビールや、108円で味わえる直輸入ワインなど、店内に居ながら気軽にお酒を楽しむことができる。
イオンリカーにはインストアバルを設置。
2階衣料・雑貨は高品質志向に-未来屋書店と融合も
2階衣料・雑貨売場はイオングループの書籍部門「未来屋書店 Life with Books」と融合した売場となっており、服や雑貨、アウトドア用品など各コーナーのテーマに沿った書籍の販売を行う。
2階直営衣料・雑貨売場全体がまるで大型書店のような雰囲気。
鍋コーナーにおいてはエバラの鍋物調味料を陳列することで食品売場との融合も図られるなど、各所で付加価値提案型の売場が展開されている。
調味料とカセットコンロが並ぶ鍋コーナー。
また、メンズ雑貨コーナーの「MARCHE blanc(マルシェ ブラン)」では、イタリアの服飾ブランド「Orobianco(オロビアンコ)」とコラボした「DESERTIKA(デザルチカ)」の直輸入バッグなどを展開。
生活雑貨コーナーでも、従来のイオンのイメージを一新するようなデザイン性の高い商品を多く取り揃える。
従来のイオン直営売場とは異なるデザイン性の高い商品が。
ダイニングコーナーでは福井県小浜市の最高級箸ブランド「兵左衛門」や「一双」、ブランド包丁「境源吉」(大阪・堺)「藤次郎」(新潟・燕)を取り揃えるなど、高品質志向の商品展開を目指す。
高級箸の品揃えも豊か。
なお、2階では広島東洋カープグッズの販売も行われている。
広島カープグッズ。
3階の目玉は増床棟キッズリパブリック
3階の増床棟ではイオンが手掛けるベビー・キッズ大型店「キッズリパブリック」を展開。売場面積は約3,600㎡。
キッズパブリック入口。
おもちゃコーナーでは最新のおもちゃ体験ができる「タッチ&トイコーナー」をはじめ、様々なブランド玩具やキャラクターグッズを取り揃える「モントイズ」、知育玩具を集めた「ラーニングキッズ」、カラフルな輸入菓子や食玩などが並ぶ「おかしランド」といったように、各コーナーごと明確なテーマ性を提示することで、子供の興味を惹きつける。
また、館内の各所でソファやベビールームを設置し、子供が買物疲れをしない環境を整備している。
「キッズリパブリック」には遊び心があふれるトンネルも。
そして、キッズリパブリック、トイザらス、キッズ関連専門店を中心とした3階の約2/3にあたるエリアを、巨大なキッズゾーン「Mama TokoTown -ママ ト コドモ ノ アルクマチ-」として一体化。
ママトコタウン。
キッズリパブリック、トイザらスの売場と、子供服・ベビー服専門店「BREEZE(ブリーズ)」や、鉄道模型店「ポポンデッタ」などが違和感なく繋がることで、子供が思わず夢中になるような空間を作り出している。
キッズリパブリックと一体感あるポポンデッタ。
イオンVSイズミVSフジ…激化する大型店競争
近年、広島都市圏では郊外型商業施設の新規出店、大規模リニューアルが相次いでいる。
2015年6月には広島県内最大となるゆめタウン「ゆめタウン廿日市」が開業したほか、2016年10月には緑井駅前の「フジグラン緑井」が大規模リニューアルを敢行。さらに、広島商工センターでは、イズミが手がけるショッピングセンター「LECT」(レクト)が、2017年春に開業する予定。同施設には蔦屋書店やカインズホームセンターも出店を決めている。
広島市中心部にはイズミの本店「ゆめタウン広島」も。
今回の増床で、イオンモール広島府中の総賃貸面積は約98,000㎡となり、「西日本最大規模のイオン」を謳っていた「イオンモール岡山」(総賃貸面積:92,000㎡)を上回ることになる。
その一方で、店舗の周辺では「地方流通の雄」であるイズミやフジが決死の覚悟で「イオン包囲網」を着々と形成している。
広島カープも驚くほどの「死闘」とも言える広島都市圏の大型店競争。この闘いの「優勝」を勝ち取ることができるのは一体どの企業となるのだろうか。
イオンモール広島府中
広島県安芸郡府中町大須2-1-1
TEL:(082)561-0001
営業時間(専門店):午前10時~午後10時
営業時間(イオン):午前9時~午後11時(食品は7時から営業)
外部リンク:イオンモール広島府中公式ホームページ
外部リンク:イオンスタイル広島府中
外部リンク:“HIROSHIMA RUNWAY PROJECT”「イオンモール広島府中」11月18日(金)10:00 第3期リニューアル増床棟オープン
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