カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

戸田書店静岡本店、2020年7月26日閉店-静岡最大の書店、葵タワーの核店舗

静岡県静岡市のJR静岡駅前にある複合施設「葵タワー」の核店舗である「戸田書店静岡本店」が、2020年7月26日に閉店する。

戸田書店静岡本店(公式FBより)。

丸善ジュンク堂と提携、店舗整理すすめていた

戸田書店は1923年に静岡県清水町(現・清水区)で創業。永年静岡県を中心に展開していたが、1980年代からは本州各地への展開を開始、その後も鍋倉修六社長の出身地である宮崎県、そして沖縄県など遠隔地にも出店し、2000年代中盤には全国約70店舗・売上高130億円へと成長した。
しかし、2010年代からはネット通販の台頭などにより経営規模を縮小。2016年8月には大手書店グループ「丸善ジュンク堂書店」と業務提携を締結し、書籍の仕入調達や一部のシステムを丸善ジュンク堂系に移行した。
2020年に入るとさらなる事業整理を進め、1月には沖縄県最大の郊外型書店だった「豊見城店」を閉店、2月には自社ポイントサービスを廃止、3月には丸善ジュンク堂書店に「富士店」「富士川店」「長岡店」「桐生店」「三川店」4店の運営を移管。2020年5月現在の店舗数は18店舗、売上高は約60億円ほどとなっている。(丸善ジュンク堂運営の5店舗除く)

戸田書店本店閉店、ジュンク堂との競合も影響か

戸田書店静岡本店は2002年12月に総合スーパー「長崎屋静岡店」(同年2月閉店)跡に開店。建物は地上5階地下1階建、営業フロアは地上4階~地下1階、売場面積は約2,975㎡で、県内随一の大型複合書店として50万冊超の在庫を取揃えていたが「静岡駅前紺屋町地区第一種市街地再開発事業」の一環により2007年1月をもって閉店、同年2月に「戸田書店呉服町店」として移転した。
現在の戸田書店静岡本店は、再開発事業に伴い開業した葵タワー(地上25階地下2階建)の商業フロアの核店舗として2010年4月に開店。呉服町店は同店の出店に伴い閉店した。

葵タワー。

戸田書店静岡本店の営業フロアは地上2階~地下1階、店舗面積は4,478㎡。静岡県内一の規模の書店であり、3階の静岡市美術館などとともに静岡市の文化発信拠点として親しまれた。
閉店は近年のネット通販の台頭などの影響によるもの。また、葵タワーの徒歩圏の新静岡セノバには同社と提携する丸善ジュンク堂書店が運営する「MARUZEN & ジュンク堂書店 新静岡店」があり、競合関係にあったことも大きいであろう。
なお、同社が永年本店としていた清水区中心部にある清水本店についても2011年に閉店(現在は本社事務所として使用)しており、今後は清水区郊外にある江尻台店を新本店と位置づけるという。

葵タワー、後継店舗は未定

葵タワーの商業床では、戸田書店の閉店後も飲食街やセブン-イレブンなどはそのまま営業を続けるとみられる。
一方で、商業フロアの大部分を占める戸田書店の後継店舗などに関しては2020年6月現在まだ発表されていない。

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ラオックス道頓堀店、2020年7月4日全面開業-LaOX「食」新業態、中国大手「奈雪の茶」日本初出店

大阪府大阪市中央区道頓堀のパルコが運営する商業ビル「道頓堀ゼロゲート」に、大手総合免税店「ラオックス」の食特化型新業態「ラオックス道頓堀店」が2020年7月4日に全面開業した。

ラオックス道頓堀店。

世界の食や雑貨を集めたラオックス新業態

ラオックス道頓堀店は、パルコが運営する大型専門店ビル「道頓堀ゼロゲート」の核店舗「FOREVER21大阪道頓堀店」跡に出店するもので、建物は地上3階建、延床面積は約3,800㎡。2019年12月より一部開業していたが、新型コロナの影響により全面開業が遅れ、それに合わせて開業済みの売場もコロナ禍に合わせた業態に改装を進めていた。
コンセプトに「」を掲げた新業態1号店として、1階には食品専門フロア「Laox Food Market」、2階には化粧品や雑貨・理美容家電・時計売場、3階には大阪土産売場や展示スペース、ポップアップストアを展開する。

Laox Food Market.

1階食品専門フロアでは、日本・中国・韓国・台湾・東南アジアなど世界の食が揃うグロサリーゾーンに加え、希少銘柄の日本酒やおつまみなどを取扱う「本氣の日本酒酒屋 JANOME」や中国・深圳発祥のフルーツティ・ベーカリーカフェ「奈雪の茶」、代官山に本店を構えるりんご飴専門店カフェ「キャンディーアップル」、心斎橋に本店を構えるいちごスイーツの専門店「ストロベリーマニア」といったブランドが出店する。

「奈雪の茶」は日本初出店

テナントであるフルーツティ・ベーカリーカフェ「奈雪の茶」(中国でも同名・日本読みで展開)は中国大手の日本風・茶スイーツ・ベーカリー店で、2015年に中国・深圳で創業。2020年時点では中国の約50都市とシンガポールにチェーン展開する。

シンガポールの店舗。(写真提供:れめさん

道頓堀店は日本初出店で、日本人客のほか、地元に住む中国人と思われる客も多く見かけられた。同店では「たこ焼きパン」など店舗限定商品の販売もおこなわれる(取材時は完売)。

Nayuki Tea &Bakery.

3階には催事スペース

3階展示スペース・ポップアップフロアでは、7月23日から現代ホスト界の帝王と呼ばれるカリスマホスト・ROLANDの展覧会「Ro LAND~俺か、俺以外か~」(主催:ラオックス)が開催。9月17日からは劇場新作の公開が予定されている人気アニメ作品の展覧会「エヴァンゲリオン展in道頓堀」(監修:庵野秀明・カラー)といったイベントも開催される。

POPUP FLOOR.

アフターコロナを見据えた食特化型新業態、成功なるか

ラオックスは、2006年に「ラオックスDUTY FREE大阪」を出店して以降、2014年6月に「ラオックス大阪道頓堀店」(初代店舗・道頓堀法善寺ビル)、2015年3月に「ラオックス大丸心斎橋店」「ラオックス心斎橋オーパ店」、同年9月には「ラオックス心斎橋筋店」(イズミヤFISMY心斎橋・CECIL McBEE跡)を出店するなど、訪日外国人観光客の増加によるインバウンド需要拡大を受けて、大阪・ミナミでの新規出店・増床リニューアルを相次ぎ打ち出していた。
しかし、2019年に発生した新型コロナの感染拡大を受け、2020年3月から大型免税店舗の大半を休業、その後大丸心斎橋店を除く全店舗を完全閉店した。
ラオックス関西1号店「ラオックス大阪日本橋店」。
(現在は閉店)

ラオックスは高額な家電製品から手頃感のある化粧品や医薬品にインバウンド需要がシフトしつつあったため、2016年2月に「千葉ポートタウン」を取得、2019年1月に兵庫県加古川市の地方百貨店「加古川ヤマトヤシキ」を完全子会社するなど、リスク分散を目的とした事業の多角化を推し進めていた。あわせて、中国資本傘下入り前から手掛けていたホビー専門店「アソビットシティ」を大幅縮小、旧・さくらや系の腕時計専門店「WATCH.」を廃止するなど、不採算事業からの撤退も行っていた。
同社が主力としていた総合免税店事業は、新型コロナの影響を受けた出入国規制を理由に、依然として先行き不透明な状況にある。
今後の状況次第では、中国傘下入りを機に家電量販店から総合免税店への業態転換を図ったように、日本人客も取り込めるような「食」を中心とした事業モデルを強化することも予想され、道頓堀店はラオックスの今後を占う試金石となるだろう。

ラオックス道頓堀店

住所:大阪市中央区道頓堀1-8-22
営業時間:10時~22時(2020年7月現在)奈雪の茶は11時〜20時

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伊藤忠、ファミマを完全子会社化-2020年7月発表

大手商社「伊藤忠商事」(本社:大阪府大阪市北区/東京都港区)が、TOBにより傘下のコンビニエンスストア大手「ファミリーマート」(東京都豊島区)を完全子会社化することが2020年7月8日に判明した。

伊藤忠商事本社がある大阪駅ノースゲートビル。

ファミマ、伊藤忠の完全子会社に-TOBで

ファミリーマート」は1972年に西友の子会社として設立されたが、西武セゾングループ崩壊により1998年から伊藤忠商事が筆頭株主となっていた。
2020年現在、伊藤忠商事は同社株式の約50.1%を保有する。

ファミリーマート。

伊藤忠商事はTOB(株式公開買い付け)により、ファミリーマートを完全子会社化する。
ファミリーマート側も、7月8日に伊藤忠商事から公開買い付けの提案を受けていることは事実であると発表している。買い付け総額は約5,000億円以上になるとみられる。
大手コンビニエンスストアを巡っては、かつてダイエー傘下として創業した「ローソン」が2017年に三菱商事の子会社となるなど(株式の約50%を保有)、経営規模の拡大にともない大手総合商社との連携を強めている。

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かましんカルナ駒生店、2020年7月17日全面開業-サンユー跡地、かましん核のショッピングセンターに

栃木県宇都宮市駒生の栃木県道70号線(大谷街道)沿いに、かましんのショッピングセンター「カルナ駒生」が2020年7月17日に全面開業する。

かましんカルナ駒生店。

関東自動車のショッピングセンターだった

カルナ駒生の前身となる関東自動車グループの「関東キングボウル」は1973年に開業。ボウリング場閉鎖後は、1986年5月に宇都宮市地盤の食品スーパー「サンユー駒生店」を核とする関東自動車のショッピングセンター(1,475㎡)としてリニューアルし、テナントとしてハーマンやサトーカメラが出店していたが、老朽化のため2018年をもって閉店していた。

かましん核の地域密着型ショッピングセンターに

カルナ駒生は2020年4月に竣工。敷地面積は約12,596㎡、店舗面積は3,856㎡、建築面積は5,539㎡、延床面積は5,441㎡。かましんの店舗としては20店舗目、カルナとしては4店舗となる。
カルナ駒生では、7月9日に核店舗の直営食品スーパー「かましんカルナ駒生店」とインストアベーカリー「ボンヌフ」、クリーニング「サンドライ」が先行して営業を開始している。
7月16日にはドラッグストア「マツモトキヨシ」、7月17日には100円ショップ「Seria」も開店し、地域密着型ショッピングセンターとして全面開業することとなる。

かましんカルナ駒生店

住所:栃木県宇都宮市駒生町1288-1
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ドン・キホーテ アピタ宇都宮店、2020年7月17日開店-アピタも存続する「ハイブリッド型」に

栃木県宇都宮市のアピタ宇都宮店2階に、パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)のディスカウントストア「ドン・キホーテ アピタ宇都宮店」が、2020年7月17日午前9時に開店する。

アピタ宇都宮店。

リニューアルすすめていた宇都宮のアピタ

アピタ宇都宮店は、2000年9月にアドバンテックグループの旧・東洋特紙工業横川工場・旧東洋濾紙技術センター跡地に開業。建物は地上4階建で、売場面積は27,089㎡。
開業以来最大規模となるリニューアル第1弾を2020年6月に実施し、ユニー直営総合スーパー売場を1階に集約、一部専門店の館内移転を行うなど改装を進めていた。
2020年7月現在は、改装前から引き続き、ファミリーファッションブランド「COMME CA ISM(コムサ・イズム)」「Right on(ライトオン)」やコナカのスーツ専門店「SUIT SELECT」、ワールドの生活提案型雑貨店「one’s」、総合雑貨店「無印良品」、「くまざわ書店」、ペットショップ「ワンラブ」、ロッテリアのフードコート業態「ロッテリアフードスクエア」、ハンバーガーショップ「バーガーキング」など50を超える専門店が出店。別棟には家電量販店「ヤマダ電機」や100円ショップ「ダイソー」も出店する。

「アピタのなかのドンキ」を活かした店舗に

ドン・キホーテアピタ宇都宮店の直営売場面積は4,666㎡。
フロアレイアウトのテーマに「ドン・キホーテ独自の「圧縮陳列」と回遊のしやすさの融合」を掲げ、メイン通路を広くして各コーナーの視認性を確保しながら、コーナーの中に入るにつれて“どこに何があるのかわからない”魔境感のある演出を施す。
また、ドンキが主要顧客とする若年層・シングル層から人気の高い家電製品・化粧品・カジュアル衣料・インポートブランド・玩具の拡充に加え、アピタが主要顧客とするニューファミリー層を意識した日用消耗品・インナーウエア・バッグ・シューズ・菓子・酒・飲料などを展開するなど、店舗の立地特性を活かした売場づくりをめざす。
今回の改装は従来とは異なる「アピタ」と「ドンキ」の共存であり、これによりアピタの顧客を維持しつつ、新たな客層の取り込みをめざすと考えられる。

どうなる長崎屋の再開発

ドン・キホーテは、2003年4月に北関東1号店「ドン・キホーテ宇都宮店(現・宇都宮簗瀬店)」を出店して以降、2010年8月に市内中心部の西武百貨店跡に出店していた長崎屋を「MEGAドン・キホーテ ラパーク宇都宮店」に業態転換するなど、積極的な事業展開を行っていた。

宇都宮パルコ跡と再開発が検討されるドンキ。

その一方で、宇都宮周辺の既存店はいずれも百貨店やゲームセンターを居抜き出店したもので老朽化が進んでおり、とくに西武百貨店跡のメガドンキは耐震性不足が指摘されるなど、再開発・建替えが喫緊の課題となっていた。
ドンキは、PPIHグループとなったアピタ宇都宮店への新規出店により老朽店舗の統廃合という次の一手を実現しやすくなったといえ、今後は宇都宮市中心部の再開発の動きに拍車がかかる可能性もあろう。

ドン・キホーテ アピタ宇都宮店

住所:栃木県宇都宮市江曽島本町22番7号
営業時間:午前9時~午後10時

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マルキュウ浅江店、2020年7月16日開店-レッツ光ショッピングセンターのマックスバリュ跡、丸久に

山口県光市の国道188号線沿いにある「ミコー・レッツ光ショッピングセンター」1階に、リテールパートナーズグループの食品スーパー「マルキュウ浅江店」(丸久)が2020年7月16日に開店する。

マルキュウ浅江店。

しまむらやSeriaが出店するショッピングセンター

レッツ光ショッピングセンターは1987年5月に「キャルパーク」として開業。2002年3月のキャルパーク廃業を機に、岩国市に本社を構えるミコー食品に運営が移行し、現在の施設名に改称した。建物は地上2階建、敷地面積は11,032㎡、店舗面積は3,338㎡。
レッツ光への施設名改称以来、ミコー食品直営の「食品館レッツ光店」「シネマ館光店」2店舗を中心とするフロア構成であったが、2015年春をもってミコー食品が直営売場が閉鎖。2015年6月からは「マックスバリュ光店」(1,578㎡)を食品核に、総合衣料品店「ファッションセンターしまむら」や100円ショップ「Seria」が出店するテナント中心の施設に転換した。

マルキュウ屋号ながらアルク並みの品揃えをめざす

マルキュウ浅江店は、マックスバリュ跡に出店するもので、売場面積は約1,385㎡、延床面積は2,335㎡。浅江店の開店により丸久運営店舗は88店舗、山口県内店舗は79店舗となる。
浅江店は、同社が2020年現在主力業態とする大型食品スーパーブランド「アルク」ではなく、創業当初からの標準店ブランド「マルキュウ」を店舗名に冠する。
その一方で、青果部門では有機野菜や地元県産品に加えてカットフルーツなどを展開、精肉コーナーでは建設中の新センターによる商品供給を実施予定。惣菜コーナーでは店内製造の広島風お好み焼きや焼鳥・餃子を展開。また、一般食品・日用雑貨コーナーでは「河村醤油」(光市)「重枝醤油」(柳井市)「徳山コーヒーボーイ」(周南市)といった地元のこだわりブランドを販売するなど「アルク店舗並みの品揃え」をめざすとしている。

マルキュウ浅江店

住所:山口県光市浅江3丁目22-10
営業時間:午前9時~午後10時

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台湾博物館鉄道部園区、2020年7月7日開館-台湾総督府鉄道部、鉄道博物館に

台湾・台北市大同区延平北路(旧・台北市泉町)にある旧「台湾総督府鉄道部」の本庁舎が、「国立台湾博物館」の別館である鉄道博物館エリア「台湾博物館鉄道部園区」(台灣博物館鐵道部園區)として、2020年7月7日に開館する。

台湾総督府鉄道部の本庁舎。博物館となる。

整備が進められていた旧・台湾総督府交通局鉄道部

台湾総督府交通局鉄道部は清朝が敷設した鉄道設備を引き継ぐかたちで1899年に設立。現在ある庁舎は1918年に建築されたもので、1990年まで台湾鉄路局の庁舎として使われた。
その後、いったん未活用となったのち、2005年に古蹟に指定され、鉄道博物館とすべく整備が進められていた。

台湾の鉄道の歴史が学べる施設に

台湾総督府鉄道部の庁舎は国立台湾博物館の別館として「台湾博物館鉄道部園区」の一部となる。
国立台湾博物館は1908年に開館した台湾総督府博物館を前身とするもので、本館は台北駅南側に位置する。

1908年に開館した台湾博物館。

台湾博物館鉄道部園区の区域内には、旧総督府鉄道部の本庁舎のほか、大きく分けて食堂、八角楼、電気室、工務室、戦時作戦指揮センター(以上、国指定古蹟)、鉄道部台北工場、清朝の機械局跡(以上、市指定古蹟)の8つの文化財がある。

展示室となる総督府鉄道部本庁舎は築102年。

展示場はおもに本庁舎内が使われており、実車輌として「莒光号」で使われた客車が展示されるほか、1970年代の台北駅周辺を再現した大型ジオラマや鉄道部品の展示、近隣にありアメリカ軍の空襲によって焼失した台北鉄道ホテルについてなどの歴史紹介がおこなわれる。
また、防空壕を活用した「戦時作戦指揮センター」など、園区内の各施設を見学することもできる。

戦時作戦指揮センター。防空壕を利用したもの。

鉄道博物館の整備すすむ台北-今後は車両基地も

台北市では、台北市松山区にあった車輌基地・旧台北機廠(総督府鉄道部松山工廠、一部のみ公開中)についても鉄道博物館として開放する計画があり、すでに日本の寝台特急電車である583系の輸入などがおこなわれるなど準備が進められている。

旧・台北機廠。

これまで台湾には苗栗市、彰化市、高雄市、台東市、花蓮市など全国各地に鉄道展示施設があった一方で、国内最大の都市である台北市内にはそうした施設が少なかった。
台湾博物館鉄道部園区に加え、旧・台北機廠の整備が完成すれば、台北が台湾最大の「鉄道ファンの聖地」となるかも知れない。

台湾博物館鉄道部園区

住所(地址):台北市大同區延平北路一段2號
開館時間:9時半~17時
料金:100元/台湾博物館4館共通券は130元
/6歳~12歳・65歳以上半額

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沼津新仲見世商店街のアーケード撤去、2020年6月開始-街路リニューアルへ向けてSNSで情報発信

静岡県沼津市の「沼津新仲見世商店街」で、アーケードの撤去作業とそれに伴うリニューアル工事が2020年6月から開始された。

沼津新仲見世商店街。

沼津仲見世の南側、アーケード撤去でリニューアルへ

新仲見世商店街は駅に近い仲見世商店街の南側にある商店街。
アーケードは1969年に設置されたもので、老朽化が進んでいたという。
アーケード撤去後は、それに合わせて街路や照明のリニューアルがおこなわれるとみられる。
新仲見世アーケード。老朽化していた。

アーケード解体に際し、新仲見世商店街会長・井草呉服店の井草雅彦氏は「#100日後位に無くなるアーケード屋根」と題してツイッターでアーケード解体と商店街リニューアルのようすを発信している。
また、商店街ではリニューアルに向けた記念グッズの販売などもおこなわれている。

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ユニー・ピアゴイセザキ店、2020年8月9日閉店-松喜屋・ほていやから101年の歴史に幕

横浜市中区のイセザキモールにあるユニーの総合スーパー「ユニー・ピアゴイセザキ店」が、2020年8月9日18時に閉店する。

ピアゴイセザキ店。

伊勢佐木町のユニー、建替えから僅か5年で閉店

ピアゴイセザキ店は1919年に呉服店「松喜屋」として開業。その後、百貨店化した。のちに建物にシンボルとして赤い灯台が設置されたことから「赤燈台」の愛称で親しまれたという。
その後、1969年にユニーの前身「ほていや」の傘下となり、ほていやは1971年にユニーとなった。

旧店舗。2013年に建て替えのため閉店した。

現在の建物は2015年7月に建て替え開業したもので、3階建て。店舗面積は3,100㎡。建物は自社所有となっている。
一方で、ピアゴ近隣のニューオデオンビルには2014年にドン・キホーテの大型店が出店したばかり。ユニーは2019年よりPPIH(ドンキ)の完全子会社となったため、グループ内で競合関係となっていた。

現在ドンキグループとなっている。

すぐそばにドンキ…今後はどうなる?

先述したとおり、ピアゴイゼザキ店は5年前に建て替えられたばかりで、建物はまだ新しい。
すぐそばにあるニューオデオンビルのドンキは賃貸物件であるため、今後はピアゴ跡に店舗移転することも考えられるが、建物の活用方法などについては7月時点では発表されていない。
(撮影協力:昭和日記さん

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リムふくやま、2020年8月30日閉店-旧・福山そごう、ごく一部のみ活用へ

広島県福山市のJR福山駅西側にある複合商業ビル「リム福山」(エフピコRiMふくやま)が、2020年8月30日に閉館する。

リム福山。

なお、核店舗のミスターマックスは閉店に先駆けて8月16日限りで閉店する。

そごうのなかでも特に豪華な店舗だった

リム福山は大手百貨店「福山そごう」として1992年4月29日に開店。
建物は地上9階・地下2階、店舗面積は34,440㎡(そごう27,222㎡)。出店地は福山駅西側、駅から徒歩6分の工場跡で、建物はそごうグループが、土地は元々この場所に工場を構えていた山陽染工が所有していた。

福山そごう。(提供:黒崎そごうメモリアル

キャッチフレーズは「夢発信、素敵が集うミュージアム」で、福山市では駅前に地場百貨店「天満屋」(本店:岡山市)があったため、そごう各店のなかでもとくに豪華な造りの店舗となった。

中央の吹き抜け。(提供:黒崎そごうメモリアル

当初の商圏は北は松江市、南は今治市までを収める計画であり、当初年商は350億円・将来的には年商600億円台を目標、さらにJR福山駅前の伏見町(天満屋の北側)にも同規模のそごう店舗を出店するとしていたが、実際の年商は200億円台に留まり、そごうの経営破綻に伴い2000年12月に閉店した。伏見町の再開発は2020年時点でも実施されていない。
なお、閉店により一部の百貨店向けテナントは天満屋へと移転した。

天満屋が再生するも10年で再閉店

福山市長はそごうの破綻は福山市側にとって「落ち度が無いにも関わらず降って沸いた天災のような難題」(福山市長)であるとし、当初は破綻処理に関わらない方針であったが、入居する企業が見つからないことから結局は市が建物を約26億円で買い取り、また土地所有者の山陽染工は土地を福山市に寄贈することとなった。
市が購入したことにより家賃が減免されたことで、閉店から約2年半後の2003年4月にようやく「天満屋」が10年契約で出店。同社のファッションビル「福山ロッツ」となった。 
福山ロッツ。

福山ロッツは天満屋が運営する百貨店とファッションビルの中間業態として営業することとなり、豪華な内装などはある程度維持されることとなった。

エントランス。2階にはモロゾフも。


中央の吹き抜け。

福山ロッツには中国地方初の「コムサストア」を核に、米国の大手アパレル「GAP」、イズミの高級ブランド店「エクセル」、地場大手書店「廣文堂」、雑貨・書店「ヴィレッジヴァンガード」、雑貨店「ロフト」(2007年から出店)、雑貨店「Francfrancfranc」、子供服ミキハウスの旗艦店「MIKI HOUSE こどもぱぁく」、天満屋の食品売場、地場大手家具店「小田億」(のちに天満屋の家具売場)、「福山市立ふくやま書道美術館」、フードコート、レストラン街などが出店。中国地方初のテナントも少なくなく、百貨店系の都市型ファッションビルとして当初は賑わいを見せた。

コムサストア福山。

地階・キッチンガーデン。天満屋が運営。


2階。ファッションフロア。


5階・福山ロフト。天満屋に移転した。


8階・レストラン街。まだ多くのテナントがあった頃。

しかし、駅から少し距離があるうえ、2007年11月に駅構内の商業施設「さんすて」がリニューアルしたこと、郊外ショッピングセンターの増加などを受け、売上の低下から10年間の営業を以て以降の契約を更新せず2013年4月に閉店。一部のテナントは天満屋へと移転した。

ロッツからリムへ-近年はテナント撤退が相次ぐ

福山ロッツの閉店後、2013年4月(9月までは暫定営業)に大和ハウスグループの「大和情報サービス」が運営する「リム福山」(エフピコがネーミングライツを取得し「エフピコRiMふくやま」)として営業を再開した。

リム福山・エントランス。


中央の吹き抜け。

地下は家電量販店・ディスカウントストア「ミスターマックス」の生鮮導入(総合スーパー)業態となり、コムサストアは縮小されたものの「コムサスタイル」として継続出店することとなった。
そのほか「くまざわ書店」、100円ショップ「セリア」、ファミリーレストラン「サイゼリヤ」、家具「ナフコ」などが出店、また「ヴィレッジヴァンガード」、「福山市立ふくやま書道美術館」などが継続出店した。
公共施設も拡大され、福山市男女共同参画センター、少年サポートセンターふくやま、子育て応援センター、ひろしましごと館福山サテライト、ものづくり交流館などが設けられた。

リム福山イメージキャラクター・リムムン。


公共施設・ものづくり交流館。

しかし、ロッツに比べて郊外型店舗が増えたことによりテナント構成の見劣り感は否めず、開店直後からコムサ、ナフコ、any SiSなど有力テナントの閉店が相次いだほか、川の流れるレストラン街はほぼテナントを埋められない状態であった。
郊外店と直接バッティングするテナントが増えたこともあり、2018年ごろからは下層階にも穴埋めとして物販以外の店舗の出店が相次ぎ、売場は歯抜け状態となった。

2020年の1階。物販店は少なく空き床が目立つ。


川の流れていたレストラン街はほぼ空き床。

さらに、館内設備の老朽化も運営上の大きな課題となった。照明や空調など多くの設備はそごう時代のものを引き継いでおり、現在の商業施設と比べるとランニングコストも高かった。
そのため、大和情報サービスはリム福山の運営から撤退することで福山市と合意、2020年8月30日の営業を以て閉店することとなった。

館内にはさよならメッセージが。

ごく小規模で再生へ-「1階だけ個人商店主体」案も

福山市は「スピード重視」の観点からリム福山のごく一部だけを用いて複合施設として再生される考え。
現時点では建物は「1階のみ」(延床6,800㎡)を活用する方針だといい、市は一例として「小規模な飲食店」「チャレンジショップ」等を入居させる案を提案している。
2020年7月からは再生に向けたサウンディング調査を開始しており、その後に新たな事業者を募集。2021年にはそれらの事業者によるプレゼンテーション大会をおこなったうえ、新事業者に駐車場を含めて一括貸借し、2022年4月の開業を目指すとしている。

リム福山の再生案(一例)(福山市)。
核店舗を設けず小規模の個人商店を多く並べている。
高知市の「ひろめ市場」のような施設を想定したものか。

一方で、福山そごう時代には近隣にダイエーなど複数のスーパーがあったものの、現在リム福山周辺の最寄りスーパーは約500メートル東(駅寄り)にあるアイネスふくやまの小型スーパー「フレスタおかず工房」であるなど周辺にはスーパーマーケットが少ない状態となっており、リム福山は周辺のマンション住民などにとって貴重な大型スーパーとしても利用されていた。

地域住民の利用が多かったミスターマックスも閉店。

そのため「プレゼンテーションなどにより選ばれた個性的な店舗」よりも大型スーパーの再入居を望む声や、利用者の多かった100円ショップや書店、ファミレスの復活など「日常生活に便利な店の差異出店」を望む声も大きいと思われる。
しかし、現時点ではそうした店舗の再出店は「望み薄」であるといえよう。
(福山そごう提供:黒崎そごうメモリアル

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