殆どのフロアが閉鎖されていた静岡県沼津市のJR沼津駅南口にある「富士急百貨店沼津店(富士急沼津ビル)」が、2019年11月18日をもって閉鎖され、12月2日から解体工事が開始された。富士急百貨店沼津店。
沼津を代表する大型店のひとつだった「富士急百貨店」
富士急百貨店沼津店は1965年12月に「富士急名店会館」として創業。1967年10月の新館(現・エイブルコア)開業を機に百貨店に転換した。
富士急百貨店は、高島屋を幹事とする共同仕入機構「ハイランドグループ」に加盟する百貨店として、近隣の西武百貨店、丸井、長崎屋とともに沼津駅前の商業核としての役割を担っていた。また、開業当初より本館1階に「富士急バスターミナル」を併設するなど、グループの流通事業の要、沼津における重要拠点となっていた。
2002年4月には1~3階に百貨店フロアを集約、地階に提携関係にあった地場食品スーパー「キミサワ沼津富士急店(新館から移転)」、4階に地場老舗書店の漫画専門店「マルサン書店マンガフロンティア」、5階に100円ショップ「ダイソー富士急百貨店」を導入する大規模リニューアルを実施、合わせて耐震補強工事を実施するなど、百貨店業態から転換し大型専門店の誘致による生き残りを目指した。富士急百貨店沼津店本館と旧・新館(エイブルコア)。
手前は富士急窓口移転先となる商連ビル(旧・ニチイ)。
その一方、富士急百貨店の改装に前後して、2002年1月に徒歩圏にあった長崎屋沼津店が、2004年5月に丸井沼津店が閉店。
富士急百貨店でも、2010年2月に長年の食品核であったキミサワがイオンによる完全子会社化に先駆けて閉店するなどテナントの撤退が相次ぎ、賃貸契約終了に合わせて2012年4月をもって一旦全館を閉鎖。
その後、本館1階に100円ショップ「ミーツ沼津富士急店」、ファストフード店「モスバーガー富士急沼津店」が開店するなど、一部低層フロアのみで営業を再開した。
ラブライブの聖地となった富士急、54年の歴史に幕
モスバーガー富士急沼津店はアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」とコラボした「沼津まちあるきスタンプ(桜内梨子)」を2017年に設置。駅前にして梨子ちゃんビームが浴びれる人気スポットとなったが、賃貸契約の終了に伴い2019年11月18日に閉店した。
このほか、2019年11月5日に「富士急バス沼津駅南口窓口(切符売場)」が駅側向かいにある沼津商連会館ビル(旧・ニチイ沼津店)に移転、11月10日にはミーツも閉店しており、富士急百貨店沼津店は富士急名店会館から54年の歴史に幕を下ろすこととなった。
富士急百貨店に設置されていた沼津まちあるきスタンプ。
建物は2002年4月に耐震工事を終えていたが、2012年以降は低層階の一部しか店舗が入居しておらず、2019年時点で築50年以上経過するなど老朽化が進んでいたため、解体に至ったとみられる。
解体工事は2020年12月に完了する予定。1月現在、跡地活用については未定となっている。また、スタンプの移転先も未定となっている。
なお、モスバーガー富士急沼津店は2月21日(11時~18時)・22日(9時~15時)にプラザウェルデ前の物産展に出店するなど不定期での営業をおこなうとしている。
この期間限定店のブースには店舗に設置されていたスタンプ、缶バッジ、等身大パネルが設置される予定となっている。
富士急百貨店
住所:静岡県沼津市大手町3丁目2-1
関連記事:淡島ホテル、2019年12月20日破産手続開始-沼津の大型リゾートホテル、新会社が営業継続へ
関連記事:スルガ銀行、ノジマが筆頭株主に-2019年10月29日までに株式の約2割取得
関連記事:ららぽーと沼津、2019年10月4日開業-「ライブモール」コンセプトに「ラブライブ!」コラボも
関連記事:サントムーン柿田川オアシス館、2020年3月開業-大東紡織三島100年記念事業、3館を「連絡通路で接続」
関連記事:沼津ステーションビル・アントレ、2018年10月19日全面リニューアル-JR沼津駅
関連記事:西武百貨店沼津店跡地に「ラブライブ!サンシャイン!!カフェ」、2016年11月8日開店