上海新天地ビル・ラオックス大阪日本橋店、2020年5月解体開始-LaOX中国企業傘下入りの発端だったチャイナモール

大阪府大阪市中央区日本橋のでんでんタウン近くにある中国系複合商業施設「上海新天地ビル」(チャイナモール上海新天地)が2020年4月をもって全館を閉店した。建物は5月から解体工事が行われている。

上海新天地ビル。

ラオックス免税店化のきっかけとなった上海新天地

上海新天地ビルの前身となる大型家具・インテリア専門店「ワールドインテリアビル」は1975年12月に開業。建物は地上7階建、店舗面積は2,945㎡。
開業当初は施設の大部分を輸入家具店が占めていたが、1990年代に低層フロアを他業種に賃貸。1997年8月に台湾発祥の大手PCメーカー「Gateway2000」(現在はエイサーが買収)直営店「大阪ゲートウェイカントリー」が出店、2002年には大阪・日本橋に本店を構える家電量販店「中川ムセン」のバラエティ雑貨店「ナカヌキヤなんば店」が出店するなど電気街ならではのテナントがみられるようになった。
その後、2004年5月には高層フロアに中文産業グループ(社長:羅怡文)の大型中国物産・食品専門店「チャイナモールOSAKA上海新天地」が開業。2006年1月には東京・秋葉原に本社を置く家電量販店「ラオックス」の関西直営1号店・免税専門店新業態「ラオックスDUTY FREE 大阪」が出店するなど、上海新天地ビルとして中国系住民や中国人観光客を対象とした施設として方向転換を図った。

上海新天地。

ラオックスは2009年6月に羅怡文氏が経営する中国大手家電量販店「蘇寧電器(現・蘇寧易購)」と中文産業グループの「日本観光免税(旧・上海新天地)」傘下となっており、上海新天地ビルはラオックスの中国傘下入り及び免税店化のきっかけとなった施設といえる。

再開発構想あった新天地、新型コロナで計画加速か?

上海新天地ビルは、2010年9月に日本最大級の総合免税店「ラオックス大阪日本橋店」を核とする施設に全面リニューアルを実施した。それに前後して、施設周辺には中国系住民を対象とした食料品店や雑貨店が相次ぎ開店するなど、中華街としての様相を強めた。

ラオックス大阪日本橋店。

その一方、2018年には地主ビジネスで知られる大手不動産会社「日本商業開発」が将来的な再開発を視野に建物を取得。2020年3月には新型コロナの感染拡大を発端とした訪日外国人観光客の減少を受けてラオックスが撤退(当初は一時休業)、4月には上海新天地が中華食品専門店「新天地」として、近隣の松屋町筋の天下一品近く(浪速区下寺1-1-3)に縮小移転したため、施設の解体が早まったとみられる。
再開発を主導する日本商業開発は、上海新天地ビルの跡地利用などについての詳細を2020年7月現在明らかにしていない。
日本橋では近年、訪日外国人観光客をターゲットにしたホテルの開業が相次いでいたが、訪日外国人観光客によるインバウンド需要の消滅もあり、再開発の難航が予想される。

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