大手流通グループ「イオン」(本社:千葉市美浜区)と同社傘下5社「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」(USMH/本社:東京都千代田区)「ダイエー」(本社:神戸市中央区)「光洋」(本社:大阪市北区)「マックスバリュ関東」(本社:東京都江東区)「イオンマーケット」(本社:東京都杉並区)は「経営統合の協議開始に向けた基本合意書」を2025年8月4日に締結した。
USMH完全子会社の「マルエツ」。
イオングループ各社による基本合意締結に基づき、同年12月を目処に最終契約を締結、2026年3月1日を目処にマックスバリュ関東(USMH完全子会社)がダイエー関東事業とイオンマーケットを経営統合する。
事業規模縮小続くMV関東、買物体験型で存続図っていた
マックスバリュ関東(MV関東)は2009年12月にイオンリテールから首都圏1都4県の食品スーパー「マックスバリュ」17店舗を分社化するかたちで設立。2013年5月からは旧テスコ日本法人「イオンエブリ(旧テスコジャパン)」より都市型食品スーパー「つるかめランド」を順次承継し、最盛期となる2014年には首都圏40店舗体制を構築するなど業容を拡大した。
2015年3月にはイオン・丸紅出資による持株会社「USMH」子会社となるかたちでカスミ・マルエツと経営統合、2020年3月から「買物体験型スーパーマーケット」を掲げた既存店の活性化と不採算店舗の閉鎖に取組んでおり、2025年8月現在は30店舗体制となっている。
マックスバリュ関東が一部店舗を引継いだ「つるかめランド」。
同じく事業縮小続くピーコック、店舗数は最盛期から半減
イオンマーケットは、1951年4月に関西地盤の大手百貨店「大丸」子会社「大丸食品工業」として設立。1960年4月に社名を「ピーコック産業」に変更し同年9月に食品スーパー1号店「大丸ピーコック香里店」を開店した。2007年9月には当時の親会社である大丸が松坂屋HDと経営統合したため、2008年9月に両社食品スーパー事業再編の一環として「ピーコックストア」に社名変更、英王室御用達スーパー「Waitrose」PB導入を始め高級路線の深化を図った。
一方、2013年4月にはJフロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)の本業集中/不採算事業撤退にともないイオン傘下に移行、2014年3月には旧松坂屋ストア運営6店舗をイオン系東海圏子会社「マックスバリュ中部(現マックスバリュ東海)」に譲渡、2016年3月には近畿圏23店舗をイオン系近畿圏地域子会社「光洋」に承継するなど首都圏に営業地域を集約。2017年12月には現体制1号店として豊四季台店を開店、2019年12月にはイオンタウンの食品核として稲城長沼店を開店、2023年10月には自由が丘デュアオーネ店を開店したが、稲城長沼店を除き既存店のスクラップ&ビルド扱いであり、2025年8月現在の店舗数は最盛期の半減となる首都圏35店舗体制となっている。
USMH、首都圏イオン再編で売上高1兆円早期実現めざす
USMHは「総売上高1兆円超のSM(スーパーマーケット)企業集団」をめざすべく、2024年11月にイオンと資本業務提携関係にあった首都圏地場同業「いなげや」と経営統合している。同社は2026年2月期から始まる「第4次中期経営計画」において「イオングループのネットワークとアセットを最大限に活用した経営改革」を推進しており、改革の早期実現に向けた「1兆円を超える事業規模と店舗ネットワーク」が必要との考えの下、ダイエー関東事業とイオンマーケットの現有事業基盤、人財、経営資源を結集することが必要と判断し経営統合の検討に着手することになったという。
基本合意書締結時点において、経営統合の具体的な方法に関して協議中の段階にあるが、イオンは首都圏における食品スーパーの中核企業をUSMHと位置付けているため、USMH主導での新体制構築が実現するものとみられる。
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