イオン、いなげやを2023年11月めどに連結子会社化ーイオン系スーパー連合USMHと統合で「首都圏で1兆円」目指す

流通大手の「イオン」(千葉市美浜区)は首都圏を地盤に食品スーパーを展開する「いなげや」(東京都立川市)を2023年11月をめどに連結子会社化し、2024年11月をめどにいなげやと「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」(USMH、東京都千代田区)が経営統合すると発表した。 いなげや保谷駅南店(東京都練馬区)。

いなげや、USMHと経営統合へ

いなげやは東京都多摩地域を中心に、食品スーパー132店舗(2022年4月現在)を展開するほか、子会社の「ウェルパーク」(東京都立川市)がドラッグストアを140店舗(2022年3月現在)展開している。ウェルパーク西東京富士町店(東京都西東京市)。

いなげやは、1900年に現在の東京都立川市で創業した鮮魚商「稲毛屋」が前身。1948年に法人化し、1956年に東京都多摩地域では初となるセルフサービス方式のスーパーマーケットを始めた。1978年に東証2部、1984年に東証1部に上場し、現社名に変更した。1989年に不動産会社「秀和」が、スーパーマーケット「忠実屋」といなげやの株を大量に取得。忠実屋といなげやは、対抗措置をとったが「忠実屋・いなげや事件」と呼ばれる裁判に発展し勝訴した。1992年、秀和はダイエーのTOBに応じ忠実屋株を手放すも、いなげやに対しては筆頭株主であり続けた。2002年に秀和が保有するいなげや株をイオンに売却し、イオンがいなげやの株式の26%を取得し筆頭株主となった。2004年にはイオンといなげやが業務提携を締結した。2023年4月現在、イオンはいなげやの株式の17.01%を保有している。忠実屋1号店であったダイエーグルメシティ八幡町店。

いなげやはイオングループの電子マネー「WAON」を導入していないほか、同グループのプライベートブランド「トップバリュ」の導入も一部商品にとどまっている。2015年に首都圏のイオン系スーパー「マルエツ」「カスミ」「マックスバリュ関東」が経営統合しUSMHを設立したが、いなげやはこれに参加せず独立路線を歩んでいた。マックスバリュ田無西久保店(東京都西東京市)。

USMHと統合で「首都圏で1兆円」目指す

イオンは2023年11月をめどにいなげやへの出資比率を現在の17%から50%超へ引き上げ、連結子会社化する。2024年11月をめどにいなげやとUSMHが経営統合し、いなげやはUSMHの完全子会社となる。イオン・いなげや・USMHの3社の業務提携ではトップバリュの導入拡大や商品の共同調達、電子マネーやポイントカードなどの共同利用などを進めるという。

USMHは2022年2月期の売上高は7,264億円だが、売上高1兆円・1000店舗で首都圏ナンバーワンのスーパーマーケットを目指している。いなげやの2022年3月期の売上高は2,514億円で、両社の売上高を単純に合算すると9,778億円となり目標である売上高1兆円に大きく近づくこととなる。マルエツ蘇我南町店(千葉市中央区)。

首都圏で食品スーパーを運営する「ベルク」(埼玉県鶴ヶ島市)はイオンが15%出資してイオンの持ち分法適用会社となっているものの、イオングループの電子マネーWAONを導入しておらず、トップバリュの他に自社のプライベートブランドを展開するなど自主独立路線を歩んでいる。自主路線を歩んでいたいなげやがUSMHと経営統合することで、ベルクの先行きも注目される。ベルクフォルテ蘇我店(千葉市中央区)。

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