カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

フジ、マックスバリュ西日本と2022年3月に経営統合-四国最大手スーパー、イオンの傘下に

四国地方の地場流通最大手「フジ」(愛媛県松山市)と「イオン」(千葉市美浜区)は、「フジ」とイオン子会社であり「マックスバリュ」「マルナカ」などを運営する「マックスバリュ西日本」(広島県広島市)が2022年3月に経営統合、2024年3月までに両社が合併することを2021年9月1日に発表した。
これにより、フジはイオン傘下のスーパーとなる。

フジ最大の店舗である「エミフル松前」(愛媛県松前町)。

長年のライバルだった「フジ」と「イオン」

フジは1967年10月、愛媛県宇和島市に1号店「フジ宇和島店」を出店。2017年に50周年を迎え、ロゴマークを一新していた。
2018年現在、大型ショッピングセンター「エミフルMASAKI」「フジグラン」、食品スーパー「フジ」などを四国4県・広島県・山口県に約100店舗以上を展開する。2021年2月期の連結営業収益は3153億円。
rimg5931
フジグラン緑井(広島市安佐南区)

フジはもともと1946年創業、1950年設立の広島市の繊維卸問屋「十和織物株式会社」(法人格としては現「ヨンドシーHD」、宝飾品大手の「4℃」。卸業は4℃傘下の「アスティ」が引き継ぐ)をルーツに持っており、フジは4℃の筆頭株主となっていた。
追記:フジのイオンとの提携に先立ち、ヨンドシーはフジの保有株を自社取得している。

フジ宇和島店(旧店舗)

フジは近年は中四国の経営難となったスーパーの運営を引き継ぐなど積極的な経営規模の拡大をおこなっており、子会社を通じて愛媛県内で「スーパーABC」4店舗、広島県内で「ピュアークック」10店舗なども展開している。
一方、経営統合する「マックスバリュ西日本」は2018年に「中国・四国エリアにおける市場シェアNO.1のリージョナルSM企業」を目的にマックスバリュ西日本(広島市)とマルナカ(香川県高松市)、山陽マルナカ(岡山市南区)の経営統合を発表、2021年にはマックスバリュ西日本がマルナカ・山陽マルナカを吸収合併、経営規模を大きく拡大していた。

マルナカ本店(田町店)。

ユニー、イズミヤと提携するもののイオンに接近したフジ

フジは2009年以降、流通大手「ユニー」(愛知県名古屋市)「イズミヤ」(大阪市西成区)とPB商品「スタイルワン」を共同開発するなど提携関係にあった。
しかし、2014年にイズミヤが「H2Oリテイリング」(阪急阪神百貨店)と経営統合、2016年にユニーが「ファミリーマート」と経営統合し、2018年10月にディスカウント「ドン・キホーテ」への売却が決定したことで関係が希薄化していた。
そうしたなか、イオンは2019年にフジの発行済株式総数の15%を取得、フジも同年に「マックスバリュ西日本」(広島市南区)の株式の7%を取得。2021年9月には「イオンタウン川之江」にフジが出店する予定であるなど、提携関係を進めていた。

フジ、イオン傘下のスーパーに

イオンとフジは2018年の業務提携により、商品や店舗資材の共同調達、中国・四国地域限定PB商品の共同開発、店舗のリニューアル、物流・プロセスセンター・オフィス業務の統合、各種カードの共同利用などをおこなうとしていた。
今回の経営統合では、2022年3月1日に「フジ(店舗運営会社)」と「マックスバリュ西日本」がイオン連結子会社となる共同持ち株会社(現:フジ、上場維持)の傘下となり、2024年3月までに「フジ」と「マックスバリュ西日本」が合併、新会社を設立する計画。
今後、フジはイオン傘下のスーパーとして営業することとなり、四国の流通地図が大きく塗り変わる。

同じ企業の運営となるマルナカの店舗。
(写真はマルナカイオンタウン宇多津店)

追記:「フジ」のイオングループ入りに伴い、スーパーマーケットはフジ子会社として設立された「フジ・リテイリング」が展開することとなる。

関連記事:フジ、しんばし5店舗の譲受を2021年7月発表-運営の大見屋、2020年8月に倒産・閉店
関連記事:イオンタウン川之江、2021年秋リニューアル開業-イオン初「フジ」核のショッピングセンター
関連記事:フジ、2018年3月から店舗ロゴを変更へ-創業50周年で、新スローガンも制定

イムズ(IMS)が「おしまイズム」-2021年8月31日、再開発で消えた「天神のシンボル」最終営業日

福岡県福岡市中央区天神の大型商業施設(ファッションビル)「イムズ」(IMS:Inter Media Station)が、再開発のため2021年8月31日午後8時に閉館し「おしまイムズ」を迎えた。

最終日のイムズ。

天神のシンボル的「イムズ」僅か32年で閉館

イムズは1989年4月に開業した三菱地所系ファッションビル。西鉄福岡駅向かいに立地し、地下4階、地上14階建で、売場面積は17,109㎡。
当時流行した黄金色を用いた外装と豪華な内装は、天神のランドマークの1つとして親しまれた。

最終営業日のイムズ館内。

一方で、天神エリアでは、福岡市が「天神ビッグバン」と称して高さ制限や容積率の規制緩和による民間再開発促進事業を推進。当初イムズは規制緩和区域ではなかったものの、イムズもこれに合わせて2019年1月に規制緩和区域への編入を求めるとともに、建替える方針を決定。
2021年3月にはイムズに隣接する「天神ツインビル(福岡信用金庫本店など)」「西日本渡辺ビル(大丸福岡天神店・西日本新聞本社など)」とともに「天神一丁目地区」(約2.3ha)として航空法高さ制限が従来の約65m〜約67mから約80m〜約96mに緩和された。

閉館に向け昨年からキャンペーン実施していた

イムズでは2020年9月から「おしまイムズ」と題した大規模キャンペーンを開始。キャンペーンの一環として、スーツケースブランド直営アウトレット店「TRARIUM by ACE」やキャンプ女子初のアウトドア用品旗艦店「キャンジョストア」、TNCのサテライトスタジオ併設ショップ「生放送てんじんnow!」といった新規ブランド・ショップを月1ペースで導入していた。
あわせて、ファビュラスな一流芸能人「叶姉妹や福岡を拠点とするかぶりもの劇団「ギンギラ太陽’sを起用した販促を展開。外壁(有田焼タイル)やイムズのブランドを活かした記念グッズの販売を実施するなど、最後まで注目を集め続けた。

福岡天神では恒例となった商業施設間でのエール交換も。(福岡パルコ)

おしゃれイムズ、32年の歴史に幕

営業最終日となる8月31日には、平日ながら朝から閉館を惜しむ客が数多く訪れた。

イムズから周辺店舗へのメッセージ。


入口に掲げられたメッセージ。

地下2階の「大アーカイブ展」や6階の「アーカイブギャラリー」では開業当初から閉館に至るまでのポスターや冊子、模型の展示もあり来場客による思い思いの時間を過ごす姿がみられた。
天神が発祥の老舗アメリカンマフィン専門店「Mrs.Elizabeth Muffin」(ロイヤル系)では天神地下街入口を経て地下1階まで購入待機列が形成されるなど、いつもの味や懐かしの味を求める客の姿もみられた。

最終営業日のイムズ。

閉館セレモニーは配信に

閉館当日には、イムズホールでFM福岡が企画した閉館記念生放送(抽選観覧制200名)などを実施。さらに、閉館直前となる18時30分からはイムズホールで閉館セレモニーが開催された。
セレモニーは、福岡県が緊急事態宣言下であることからホールでの観覧を先着申込200名に制限、吹抜空間に設置された大画面や公式サイト(YouTube)でのライブ配信を活かしたソーシャルディスタンス対応の観覧となった。

お別れメッセージが書かれたリボンが舞う。

セレモニーは、中島浩二やギンギラ太陽’sを主宰する大塚ムネト氏によるトークを中心に進行。スペシャルとして博多華丸・大吉氏やナオト・インティライミ氏、DREAMS COME TRUEといった著名芸能人によるイムズにまつわるエピソードも流された。
その後、三菱地所やテナント関係者によるコメントを経て、32年の歴史に幕をおろした。

施錠されたイムズ。

「中学高校時代はちょっと大人の建物という感じだった。天神のなかでも落ち着く場所、友達といつも行ってたオクタホテルカフェが無くなるのは寂しい。」(20代女性)
「オクタホテルがフランスから買付けてきた雑貨は見るだけで楽しかった。夢がある商品が多かった。」(50代女性)
イムズのイズム、ビッグバン後も継承なるか

天神の顔であったイムズであるが、天神ビッグバンの最中という背景もあり、イムズに本店を構えていた雑貨セレクトショップ「Octà Hotel」やアメリカンマフィン専門店「Mrs.Elizabeth Muffin」といった人気店を含め、入居テナントの多くが今後の福岡での営業方針・移転先を未定としている。

オクタホテル。

大手セレクトショップ「TOMORROWLAND」はソラリアプラザ1階への移転を、大手楽器店「島村楽器」は岩田屋本店への移転を閉館直前の8月下旬に発表するなど、全国的な知名度をもつブランド・ショップも同様であり、移転先の選定に難航しているとみられる。
物販のみならずサービスにも強みをもったイムズが天神から抜けた穴は大きそうだ。

移転する店舗も。

イムズ跡、2024年ごろ新たなビル誕生へ

イムズの周辺では、先述の「天神ビッグバン計画」による規制緩和策により、福岡地所による「天神ビジネスセンター開発プロジェクト」、西日本鉄道による「福ビル街区建替プロジェクト天神一丁目11番街区開発プロジェクト」、積水ハウスによる大名小学校跡地再開発(ザ・リッツ・カールトンなどが進出)などさまざまな再開発が進行している。

一足先に閉店した天神コア。解体済み。

この規制緩和は2024年12月までの予定であり、三菱地所は新たな建物を2024年中に建設するとみられる。
新たなビルの具体的な内容やテナント構成などについては、2021年8月時点は未定となっており、イムズに負けないような新たな「天神のシンボル」の誕生が期待される。

関連記事:ジュンク堂書店福岡本店、2020年6月30日閉店ーMMT再開発で、西通りに仮店舗開設
関連記事:天神ビブレ、44年の歴史に幕-2020年2月11日閉店、多くの市民に惜しまれた最終営業日
関連記事:天神コア、2020年3月31日閉館-西鉄「天神一高い」複合ビル建設へ
関連記事:天神ショッパーズ福岡、2019年4月25日開業-旧ダイエー、複合商業施設に
関連記事:福岡ビル、2019年3月31日閉館-TSUTAYAはショッパーズに、西鉄本社は博多に移転
関連記事:変わる「天神のショッパーズ」(2)-「ミーナ」「ノース」、福岡スタンダード石油に売却・将来的には再開発検討へ
関連記事:変わる「天神のショッパーズ」(1)-旧ダイエー、複合オフィス「天神ショッパーズ」として2019年リニューアル

イオンタウン旭、2022年春開業-国保旭病院となり、テーマは「健康」

千葉県旭市の国保旭中央病院となりに、イオン系ショッピングセンター「イオンタウン旭」が2022年春に開業する。

イオンタウン旭。

「楽しく健康」コンセプトのイオンタウン

イオンタウン旭が出店するのは「国保旭中央病院」や「道の駅季楽里あさひ」に近い農地の跡。
大和ハウス工業が主体となり官民連携で推進している「生涯活躍のまち・みらいあさひ」事業の商業核となる。商業核以外としては多世代交流施設「おひさまテラス」などが設けられる。
イオンタウン旭の建物は2階建て、総賃貸面積は約11,654㎡。
コンセプトは「地域とともに『楽しく健康になる』ための持続可能な多世代交流拠点づくり ウエルネスタウンASAHI」で、テナントとしてスーパーマーケットやドラッグストア、クリニック、フィットネスなど約20店舗が出店する予定となっている。

イオンタウン旭

住所:旭市イ字振田4322番地外20筆

関連記事:MEGAドン・キホーテUNY佐原東店、2019年12月3日開店-ショッピングセンターパルナの核、アピタ跡に
関連記事:三越伊勢丹、小型百貨店5店舗を2021年2月28日閉店-馬事公苑店・新所沢・成田・MI河辺・セントレア、3月にはMI登米佐沼も

H2Oリテイリング(阪急阪神)、関西スーパーを2021年12月に子会社化

エイチ・ツー・オーリテイリング」(H2O・阪急阪神グループ)は、地場大手スーパー「関西スーパーマーケット」(兵庫県伊丹市)が発行する新株を2021年12月までに取得、2022年2月にイズミヤ・阪急オアシスと経営統合するかたちで子会社化することを2021年8月31日に発表した。
hankyu2
阪急百貨店うめだ本店。

攻めの姿勢見せるH2O、セブンアイとも資本業務提携

H2Oリテイリングは百貨店「阪急阪神百貨店」、百貨店系高級スーパー「阪急オアシス」に加えて大手スーパー「イズミヤ」を傘下に持つ流通大手グループ。関西の有力私鉄「阪急」「阪神」を母体に持ち、京阪神エリアの沿線住民を中心に根強い支持を集めている。2016年10月6日には、流通大手「セブン&アイホールディングス」との資本業務提携を発表している。

阪急オアシスの店舗。

2014年に傘下に収めた大手スーパー「イズミヤ」では、100円均一パン「阪急ベーカリー香房」の導入や輸入食品の充実、ポイントサービスの共通化といった施策を実施、店舗への積極的な投資を進める一方、関西と中国大陸以外のイズミヤを全店閉店させるなど事業の選択と集中を行っている。

H2O傘下となっているイズミヤ。

H2Oとの関係つよめていた関スー

関西スーパー」は大阪・兵庫・奈良を中心に展開する地場大手の食品スーパー。
オール日本スーパーマーケット協会(AJS)の中核企業で「くらし良好」(生活良好)ブランドのPB商品を販売。自社指定牧場「720牧場グループ」ブランドの牛肉など精肉部門にも定評があった。
関西スーパーは、2016年10月よりH2Oリテイリングと資本業務提携を結んでおり、2021年時点でH2Oは関西スーパー株の約10.2%を保有する。
提携以降、関西スーパーでのH2O子会社の商品取扱い、共通ポイントサービス「Sポイント」(旧・STACIA)導入、阪急阪神百貨店の中元・歳暮商品取扱い、レジスターの共同開発をおこなうなど、協力関係を強めていた。
また、2021年7月には地場スーパー「万代」とも包括業務提携を結んでいた。

関西スーパー。

一方で、2016年9月には首都圏を中心にディスカウントスーパーを展開する「オーケー」(神奈川県横浜市)も関西スーパー株を大量取得。2021年時点でオーケーは関西スーパー株の約7.2%を保有する。

「イズミヤ・阪急オアシス・関スー」3社で経営統合

H2Oは、2021年12月までに関西スーパーマーケットが発行する新株を取得し、出資比率を58%まで高めて同社を子会社化する。関西スーパーは子会社化後も上場を維持する予定。そして、2022年2月までに傘下のスーパー「イズミヤ」「阪急オアシス」と経営統合するかたちで子会社化する。
経営統合後の売上高は約4000億円規模になるとみられ、H2Oは今回の統合によって「関西でナンバー1の地位を確立することが可能になる」としている。

H2Oによる経営統合の概要図。

関連記事:アズナス、2021年中にもローソンに転換-H2O傘下の阪急エキナカコンビニ

MEGAドン・キホーテUNY碧南店、2021年9月14日開店ーピアゴ跡、「地元と連携」で特設コーナー開設

愛知県碧南市天王町にパン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)の総合ディスカウントストア「MEGAドン・キホーテUNY碧南店」が2021年09月14日午前9時に開店する。

MEGAドン・キホーテUNY碧南店。

碧南のピアゴ、MEGAドンキUNYに業態転換

MEGAドン・キホーテUNY碧南店の前身となるユニーグループの総合スーパー「ユニー碧南店」は1975年10月に開店。2009年2月にはグループの運営会社及び店舗ブランド再編に伴い、店舗名を「ピアゴ碧南店」に改称していたが、2014年5月14日に建替のため閉店、2015年に再オープンしていた。建物は地上3階建、店舗面積は5,000㎡。
店舗は名鉄三河線碧南中央駅から徒歩5分ほどの距離に位置しており、周辺には住宅が集積。2〜3世代が同居する4人以上の持ち家世帯が比較的多い地域である。ドンキへの業態転換のため、2021年6月27日に直営売り場を閉店、一部専門店のみ営業を継続していた。

地元と連携した「碧南お土産コーナーを」展開

MEGAドン・キホーテUNY碧南店は地上3階建、営業フロアは1〜2階、直営売場面積は3,600㎡。
ドンキとしては愛知県内40店舗目で、ユニー・ドンキ双方のブランドを冠したダブルネーム店舗としては愛知県内20店舗目。UDリテールが店舗を運営する。
碧南店は「3世代一緒に買い物を楽しめるワンフロア型ディスカウントストア」を掲げ、食料品売場では、一般加工食品や酒、お菓子の品揃えを大幅に拡充し、3世代の家族向けに大容量パックの品揃えを強化すると共に、まとめ売りコーナーを展開する。また、要望の多かった干物、塩漬け魚、冷凍食品などを揃えるなど、顧客のニーズにも応える。
住居関連売場では、既存のインナーウェア、日用消耗品、家庭雑貨品などを拡充するほか、カラーコンタクトレンズ、スマホパーツ、香水などを新たに導入し、高校生、ニューファミリー層向けの品揃えも強化するとしている。また、近隣に大型の専門量販店がないことを生かし、小型家電、スポーツ用品、玩具の品揃えにも力を入れる。

また、碧南商工会議所・観光協会と連携し、醸造業が盛んである碧南市の特色を生かして、地場の醤油、みりんなどを取り扱った「碧南お土産コーナー」を展開し、地場産業の活性化に寄与するとしている。

MEGAドン・キホーテUNY碧南店

住所:愛知県碧南市天王町2丁目1
営業時間:午前9時〜午前2時
(14日〜16日は営業時間を「午前9時〜午後10時」に短縮)


関連記事: MEGAドン・キホーテUNY江南店、2021年4月20日開店ー旧・ビアアピタ、市内初のユニー・ドンキ複合店に
関連記事:ピアゴパワー妙光寺店、2021年3月19日開店ーアピタ・ユーストア跡のPIAGOプラス、9ヶ月で業態転換
関連記事:ドン・キホーテ栄三丁目店、2021年2月26日開店ー松坂屋前のGAP跡に、名古屋栄店は「栄本店」としてリニューアル
関連記事:MEGAドン・キホーテUNY吉良店、2020年11月17日開店ーユーストア・ピアゴ跡、「サービスコンシェルジュ」導入

サン宝石、2021年8月27日倒産-新型コロナ影響で民事再生法申請、営業は継続

山梨県中央市(田富町)のジュニアアクセサリー・ファンシー雑貨販売大手「サン宝石」が、2021年8月27日に民事再生法を申請し、倒産した。


サン宝石の商品(公式ツイッターより)。

「ほっぺちゃん」で知られるファンシー雑貨販売

サン宝石は1965年に創業。
イメージキャラクターは「ほっぺちゃん」で、女子小学生・中学生を中心ターゲットとしたアクセサリー・ファンシー雑貨の販売をおこなっており、全国のショッピングセンターなどに「ファンシーポケット」の店名で店舗を展開。
百貨店やショッピングセンターでの催事も頻繁におこなっていた。

楽天市場にも「シュガーパルフェ」として出店。
(クリックで店舗に飛びます)

新型コロナで業績悪化-営業は継続

帝国データバンクによると、新型コロナウイルスの感染拡大により急速に収益が悪化したという。負債総額は約21億7000万円。

サン宝石イメージキャラクター「ほっぺちゃん」。
(Amazonより)

8月現在、スポンサー候補先への打診を開始しており、営業は継続しているという。

関連記事:ミカヅキモモコ、2021年2月7日全店閉店-運営会社の三日月百子、新型コロナで倒産・破産申請へ
関連記事:セシルマクビー、2021年2月までに全店閉店-「109系」人気ブランド、新型コロナ影響か

池袋マルイが閉店-2021年8月29日、69年の歴史を終えた「西口の顔」最終営業日

東京都豊島区の池袋駅西口にあるファッションビル「池袋マルイ」(丸井池袋店・マルイシティ池袋)が、2021年8月29日午後6時30分過ぎに閉店した。

営業最終日の池袋マルイ。

池袋の丸井、69年もの歴史に幕

池袋への丸井の進出は1952年1月、池袋駅東口の都道池袋架線橋の降り口付近に6階建ての店舗として開業。その後、1963年11月には池袋駅西口にも店舗を開業し、東口・西口の2館体制で営業していた。
現店舗は池袋西口共同ビルに「丸井ニュー池袋西口店」として1977年2月25日に開店。開店時西口・東口に既存店があったため、このような名称で出店した。(東口の店舗は代替閉店)。
キャッチコピーは「半日遊びに来ませんか。新しい丸井です。」で、当時は丸井の店舗の中で最大の売場面積だった。建物は日本土地建物が所有する。売場面積は12,170㎡。かつては近隣の家具店「丸井インザルーム池袋」など複数の別館があったが、いずれも閉店している。

在りし日の池袋マルイ。

2021年現在は「池袋マルイ」として営業(看板は「マルイシティ池袋」のまま)。丸井直営売場のほか、GAP、モンベル、グローバルワークなどファッション店舗に加え、仏壇・仏具光雲堂、セリア、カメラのキタムラ、ココカラファインなど雑貨店や生活に便利な店舗など様々なテナントが出店する。
また、かつて飲食店と売場であった8階は2014年から「ビックカメラ」「コジマ」が池袋本部のオフィスとして利用している。

閉店理由は競争激化と老朽化に伴うもの

池袋マルイはファッションビルでありながらも100円ショップや輸入食材店など業態に絞られないテナントの導入、池袋はアニメやゲームの街であることに合わせ、サブカルチャー関連のイベントやショップに力を入れるなど、地域密着型の店舗として愛されてきた。
しかし、2020年3月期の売上高は54億円とピーク時の2割まで激減。近隣の商業施設との競争激化による売上低下に加え、建物の老朽化が進んでいるため営業終了を2020年10月に発表していた
建物の老朽化により、閉店は新型コロナウイルスの感染拡大前より検討されていたものだという。

最終営業日、身動きもできないほど混雑

営業最終日となった8月29日の館内は朝から多くの客で賑わい、44年間の歴史と別れに名残惜しむように老若男女問わず幅広い客が訪れていた。特に地階から2階にかけては通路が客でごった返している状態であり、歩行が困難になるくらいの混雑ぶりであった。

多くの客で混みあう1階通路。

館内では「さよなら大感謝祭」と題してセールを全館で開催しており、それぞれお買い得品を求めて店頭に客が群がる光景があちこちで見られた。

お会計に行列ができている売場も。

更に4階のエスカレーター脇では「皆さまと共に池袋マルイヒストリー思い出写真館」と題し、44年前の開店当時からの懐かしい写真の展示や、ショップ店員が作った池袋マルイの段ボール模型の展示、昔の丸井CMの上映などが行われ、多くの客が立ち止まり記念撮影を行う姿が見られた。
更に近くの壁一面には同店が寄せ書きコーナーが設けられ、別れを惜しんだり、感謝を述べたメッセージが多数掲出されていた。

寄せ書きコーナー。ありがとう丸井の文字も。

営業終了の30分前から正面玄関の一部のシャッターが閉まり始め、正面玄関前には閉店の瞬間を見ようと多くの買物客が集まり始めた。

閉店間際にはほぼ売り切れた1階の輸入食品店。


6時15分過ぎに閉まり始めた正面玄関のシャッター。

午後6時30分過ぎには、高橋雄一池袋マルイ店長を始めとする従業員による閉店式典が開始。閉店式典において高橋店長は「44年に渡って営業できたのはご愛顧頂いた皆様のおかげであり、本当に感謝している。」「昨年9月の閉店発表以来、淋しい・悔しい気持ちもあったが、残り2年あるのでそれまでお客様に喜んでもらえるような商売を続けようと切り替え、今日まで来た。」と感謝の言葉を述べ、池袋西口商店街の方々から高橋店長に花束贈呈が行われた。
最後に「本当に地域の皆様とお客様に支えていただいた44年間でした。誠にありがとうございました。」との言葉で締めくくられた。

池袋マルイの最後の瞬間。

午後6時40分過ぎにシャッターが閉まって以降も買物客による記念撮影、感謝の言葉や拍手は鳴りやまず、正面玄関前は非常に混雑している状況が続いた。

閉店後の池袋マルイ。多くの人が残っていた。

池袋で相次ぐ閉店、再開発で「街の姿一変」も

閉店後の跡地活用は2021年8月現在まだ決まっていない。
建物は老朽化が進んでいたため所有者が建て替えを検討しているといい、解体され、近い将来に再開発がおこなわれる可能性も高いであろう。
池袋は他にも9月にサンシャイン通りの大型ゲームセンター「セガ池袋GiGO」の閉店や、10月に大型雑貨店「東急ハンズ」の閉店も発表されているほか、近隣でもアニメイト隣接地や「ハレザ池袋」など、大規模な再開発が完成、もしくは複数計画されている。
近い将来、西口「池袋の街」が一変する可能性もあり、今後の動向が注目されている。

関連記事:池袋マルイ、2021年8月閉店-池袋西口の丸井シティ、44年の歴史に幕
関連記事:セガ池袋GiGO、2021年9月20日閉館-10月閉店の「東急ハンズ」向かいにある大型ゲーセン
関連記事:東急ハンズ池袋店、2021年10月31日閉店-ハンズ旗艦店、37年の歴史に幕
関連記事:ビックカメラ池袋東口カメラ館、2021年1月11日閉店-本店に集約、池袋5館体制に

イズミヤ百舌鳥店、2021年10月3日閉店-百舌鳥八幡駅そばの大型ショッピングセンター、53年の歴史に幕

大阪府堺市堺区の南海高野線百舌鳥八幡駅近く、向陵公園そばにあるH2Oリテイリング(阪急阪神百貨店)系総合スーパー「イズミヤ百舌鳥店(イズミヤ百舌鳥ショッピングセンター)」が2021年10月3日に閉店する。

イズミヤ百舌鳥店。

「いづみや」として開業した古参店舗

イズミヤ百舌鳥店は「いづみや百舌鳥店(いづみや百舌鳥ショッピングセンター)」として1968年7月に開業。1979年の社名変更にあわせて現在の店舗表記に改称した。建物は地上4階建、営業フロアは1~3階、店舗面積は7,410㎡。2021年時点では、イズミヤの他に、地場大手クリーニングチェーン店「ライフクリーナー」・オイシスが運営するベーカリー「アローム」・喫茶店・園芸用品店が入居している。

イズミヤ百舌鳥店のフロアガイド。

イズミヤ百舌鳥店は長らく地域有数の大型総合スーパーであったが、イズミヤが“日本初のショッピングセンター”と称する岸和田店(1968年4月開店/2021年現在は閉店)とほぼ同時期に開業し、築50年以上経過していたこともあり、老朽化が顕著であった。

閉店を知らせる貼り紙。

さらに、2017年3月の要緊急安全確認大規模建築物耐震診断結果公表によって耐震性能の不足が明らかとなっていた。

百舌鳥店は「完全閉店」、跡地活用の方針は未定

イズミヤは2016年12月に建替えのため“一時閉店”した住道店(大阪府大東市/現・カナートモール住道)を皮切りに、同社創業店の花園店(大阪市西成区/現・デイリーカナート花園店)など10店舗近くをショッピングセンターや食品スーパーに転換しているが、百舌鳥店に関しては“完全閉店”の方針を打ち出しており、2021年8月現在は跡地活用の詳細などを明らかにしていない。

閉店セールが実施されている。

百舌鳥店は最寄駅の百舌鳥八幡駅に加え、南海高野線と大阪メトロ御堂筋線が接続する中百舌鳥駅や南海高野線・泉北高速鉄道線とJR阪和線が接続する三国ヶ丘駅から1km圏内という非常に良好な交通アクセスを有しており、隣接する平面駐車場とともに「好立地」を活かした跡地活用が期待される。

関連記事:そよら新金岡、2021年7月17日開店-旧新金岡サティ跡地、イオン新業態2号店に
関連記事:ベスピア堺インター、2021年2月28日全面リニューアル開業-「ライフ」核に「コーナンPRO」「ニトリ」出店
関連記事:ライフ初芝東店、2020年1月23日開店-初芝店仮店舗、わずか10ヶ月で閉店した食品館アプロ跡に
関連記事:ライフ初芝店、2021年1月18日閉店-47年の歴史に一旦幕、現地での建替え再出店めざす
関連記事:西友のぞみ野店、2020年10月27日閉店-和泉市の旧・松源、わずか7年で
関連記事:イオンフードスタイル津久野店、2020年5月30日開店-ダイエー、建替えで面積4分の1のミニスーパーに
関連記事:イケチュー、2019年9月29日全店閉店-9月30日に自己破産申請

三越徳島、2021年10月15日より順次開店-そごう跡2フロアに、からくり時計は撤去へ

徳島県徳島市のJR徳島駅前の複合商業ビル「アミコ」にあった百貨店「そごう徳島店(徳島そごう)」跡に、新たな核店舗として三越伊勢丹HDの子会社「高松三越」運営の「三越徳島」が2021年10月15日に開店する。

旧・そごう徳島店。

三越、そごう跡2階・5階に-ロフトなども営業継続中

高松三越が出店するのは「アミコ」のそごう跡のうち2階と5階、合わせて約2,510㎡。徳島そごう閉店以降、徳島県には百貨店が1店舗もなく、県内唯一の百貨店となる。
館内2階では食品や婦人服、化粧品を販売。5階は催事場となる。
また、都内の三越や伊勢丹とオンラインで結び、徳島店では扱えないような商品の販売をおこなう。
2021年10月時点では2階の一部で営業を開始、順次営業面積が拡大される予定としている。このほか、11月より6階でお歳暮ギフトセンターを開設する。
アミコのそごう跡では「ロフト」「紀伊國屋書店」「無印良品」や屋上遊園地など、多くの専門店が営業を継続している。
三越の出店により空き床はさらに少なくなることとなり、今後のテナント誘致にも弾みがかかるものと期待される。

「世界の人形時計」撤去へ

改装に伴い、そごうエントランスにあったからくり時計「世界の人形時計」は三越出店のリニューアルに伴い撤去されることになったとみられ、2021年8月より足場が組まれた状態となっている。

世界の人形時計。

「三越徳島」開店当日のようすはこちら。

関連記事:生鮮夢市場がんばりや、2020年8月30日廃業・全店舗閉店-徳島市中心部から食品スーパー消滅
関連記事:ウィリーウィンキー、2020年9月中旬までに全店閉店-JR四国のベーカリー、一部店舗はリトルマーメイドに
関連記事:MEGAドン・キホーテ徳島店、2019年9月27日開店-PPIH、全都道府県出店達成
関連記事:イオンモール徳島、2017年4月27日開業-旧ジャスコ跡、8年越しの再出店

アピタパワー新守山店、2021年8月27日開業-アピタ全面改装の新業態、「ユーストア」「ドンキ」出店

愛知県名古屋市守山区の新守山駅前に、パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)グループの新業態ショッピングセンター「アピタパワー新守山店(APITAパワー)」が2021年8月27日午前9時に開店した。

アピタパワー新守山店。

新守山駅前、JR貨物所有のアピタ

アピタパワー新守山店の前身である「アピタ新守山店」は、JR新守山駅の貨物ホーム跡に建設された「JRF(JR貨物)新守山ショッピングセンター」の核店舗として開店。
建物は5階建て、売場は1階から2階、店舗面積は15,000㎡で、建物はJR貨物が所有する。
当初は総合スーパーであったが、2017年から2018年にかけてリニューアルされ、TSUTAYAとユニーの協業による「草叢BOOKS/TSUTAYA」の1号店や「GU」が出店。合わせてユニー直営の衣料品売場が廃止されている。

テナント案内板。

ユニー新業態、1階に「ユーストア」「ドンキ」出店

アピタパワー新守山店はアピタ新守山店を改装して開業。「アピタパワー」は新業態で、同店が1号店となる。
ユニーとしての売場は1階食品のみとなり、地域最安値を目指す「食の殿堂ユーストア」になった。
ユーストアの店舗面積は2,512㎡。改装にともない営業時間を延長するほか、精肉売場が2倍になるなど全面改装がおこなわれている。

ユーストア新守山店。

このほか1階には「ドン・キホーテ」が出店。
同店は閉店した「アカチャンホンポ」「カルディーコーヒーファーム」などの跡への出店で、店舗面積は2,129㎡。ディスカウントでありながら各々ににシャレた世界観を持つを持つ7つのゾーン「日用・消耗/レディス/ホビー・玩具/メンズファッション/インテリア/アクティブ/食品」で売場を構成するとしている。運営はMEGAドン・キホーテUNYなどを運営するUDリテールとなる。

ドンキホーテ新守山店。

このほか「ドトールコーヒー」などが新規出店。1階の「スガキヤ」、2階の「草叢BOOKS」「GU」「JINS」「Seria」「スターバックス」などは継続出店する。総テナント数は約30店舗となる。

アピタパワー新守山店・館内案内。

緊急事態宣言下での開店、「入口閉鎖」も

開店初日となった8月27日は多くの人が詰めかけた。新型コロナウイルスの感染拡大により愛知県に緊急事態宣言が発令されているため、ドンキなど一部店舗ではコロナ対策で入口が一部閉鎖されるなどの対応がおこなわれていた。

8月30日まで開店記念キャンペーンを実施中。

アピタパワー新守山店

住所:愛知県名古屋市守山区新守山2830
営業時間:午前9時~午前0時

(撮影:アイビスさん

関連記事:イーアス春日井、2021年10月開業-ザ・モール跡に西友・無印良品など再出店、ステンドグラスも復活
関連記事:ピアゴパワー妙興寺店、2021年3月19日開店-アピタ・ユーストア跡のPIAGOプラス、9ヶ月で業態転換
関連記事:ミュープラット大曽根、2020年7月15日開業-名鉄大曽根駅の新商業施設