セブンアイ、傘下の「そごう・西武」売却を2022年11月11日発表-米ファンド・ヨドバシ連合に

セブン&アイHD(本社:東京都千代田区)は、傘下に収めていた大手百貨店「そごう・西武」の全株式を、ソフトバンク系投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」(本社:米国)に売却することを2022年11月11日に発表した。

そごう広島店。

モノ言う株主、不振の百貨店売却を求めていた

そごう・西武の前身である「そごう」は1830年に大坂で古着店「大和屋」として創業。経営破綻により西武百貨店と経営統合し、2003年6月にそごうと西武百貨店の中間持株会者「ミレニアムリテイリング」を発足させた。一方の「西武百貨店」は1940年に武蔵野鉄道(のちの西武鉄道)傘下の百貨店「武蔵野デパート」として創業したことを起源とする。
セブン&アイHDは、2006年6月に「ミレニアムリテイリング(そごう・西武百貨店と合併して現在は「そごう・西武」を傘下に収め、(当時)国内最大手流通グループの一員となった。セブン&アイHDは、2007年にはグループ共通PB「セブンプレミアム」と共通電子マネー「nanaco」を相次ぎ取扱開始、米高級百貨店「バーニーズニューヨーク」日本法人やベビー用品店「アカチャンホンポ」買収による事業領域の拡大を図るなど、グループの規模拡大をおこなった。

そごう心斎橋本店。
セブンアイ傘下となったのち2009年8月に閉店。

一方、セブン&アイHDは2011年11月のイオンによるマルナカ買収で業界首位の座から陥落、コンビニ事業を除き業績不振が続いていた。こうした背景もあり、2021年5月までにセブン&アイHD株の4.4%を取得した米投資ファンド「バリューアクト・キャピタル・マネジメント」は、中核事業(コンビニ事業)への専念と非中核事業(百貨店の全株売却・総合スーパーの分離)の撤退、国外コンビニ事業の運営見直しに向けたロードマップ策定を要求していた。そごう・西武の売却も、こうした事業見直しの一環であった。

ヨドバシも買収資金拠出、店舗にヨドバシ出店へ

「フォートレス・インベストメント・グループ」は「そごう・西武」売却のパートナーとしてヨドバシカメラの持ち株会社の「ヨドバシホールディングス」(本社:新宿区)と提携、ヨドバシも買収資金を拠出する。
さらに、ヨドバシが一部の不動産を取得し、そごう・西武の旗艦店にヨドバシカメラを出店させるとみられる。

ヨドバシカメラが出店するとみられる池袋西武。

旗艦店の処遇のほか、一部不動産を保有する閉鎖店舗(川口そごうなど)や地方店舗の行方も注目され、今後の詳細発表が待たれる。

そごう川口店。
現在は空き店舗だがそごう・西武が一部不動産を保有する。

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