フジ、マックスバリュ西日本と2022年3月に経営統合-四国最大手スーパー、イオンの傘下に

四国地方の地場流通最大手「フジ」(愛媛県松山市)と「イオン」(千葉市美浜区)は、「フジ」とイオン子会社であり「マックスバリュ」「マルナカ」などを運営する「マックスバリュ西日本」(広島県広島市)が2022年3月に経営統合、2024年3月までに両社が合併することを2021年9月1日に発表した。
これにより、フジはイオン傘下のスーパーとなる。

フジ最大の店舗である「エミフル松前」(愛媛県松前町)。

長年のライバルだった「フジ」と「イオン」

フジは1967年10月、愛媛県宇和島市に1号店「フジ宇和島店」を出店。2017年に50周年を迎え、ロゴマークを一新していた。
2018年現在、大型ショッピングセンター「エミフルMASAKI」「フジグラン」、食品スーパー「フジ」などを四国4県・広島県・山口県に約100店舗以上を展開する。2021年2月期の連結営業収益は3153億円。
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フジグラン緑井(広島市安佐南区)

フジはもともと1946年創業、1950年設立の広島市の繊維卸問屋「十和織物株式会社」(法人格としては現「ヨンドシーHD」、宝飾品大手の「4℃」。卸業は4℃傘下の「アスティ」が引き継ぐ)をルーツに持っており、フジは4℃の筆頭株主となっていた。
追記:フジのイオンとの提携に先立ち、ヨンドシーはフジの保有株を自社取得している。

フジ宇和島店(旧店舗)

フジは近年は中四国の経営難となったスーパーの運営を引き継ぐなど積極的な経営規模の拡大をおこなっており、子会社を通じて愛媛県内で「スーパーABC」4店舗、広島県内で「ピュアークック」10店舗なども展開している。
一方、経営統合する「マックスバリュ西日本」は2018年に「中国・四国エリアにおける市場シェアNO.1のリージョナルSM企業」を目的にマックスバリュ西日本(広島市)とマルナカ(香川県高松市)、山陽マルナカ(岡山市南区)の経営統合を発表、2021年にはマックスバリュ西日本がマルナカ・山陽マルナカを吸収合併、経営規模を大きく拡大していた。

マルナカ本店(田町店)。

ユニー、イズミヤと提携するもののイオンに接近したフジ

フジは2009年以降、流通大手「ユニー」(愛知県名古屋市)「イズミヤ」(大阪市西成区)とPB商品「スタイルワン」を共同開発するなど提携関係にあった。
しかし、2014年にイズミヤが「H2Oリテイリング」(阪急阪神百貨店)と経営統合、2016年にユニーが「ファミリーマート」と経営統合し、2018年10月にディスカウント「ドン・キホーテ」への売却が決定したことで関係が希薄化していた。
そうしたなか、イオンは2019年にフジの発行済株式総数の15%を取得、フジも同年に「マックスバリュ西日本」(広島市南区)の株式の7%を取得。2021年9月には「イオンタウン川之江」にフジが出店する予定であるなど、提携関係を進めていた。

フジ、イオン傘下のスーパーに

イオンとフジは2018年の業務提携により、商品や店舗資材の共同調達、中国・四国地域限定PB商品の共同開発、店舗のリニューアル、物流・プロセスセンター・オフィス業務の統合、各種カードの共同利用などをおこなうとしていた。
今回の経営統合では、2022年3月1日に「フジ(店舗運営会社)」と「マックスバリュ西日本」がイオン連結子会社となる共同持ち株会社(現:フジ、上場維持)の傘下となり、2024年3月までに「フジ」と「マックスバリュ西日本」が合併、新会社を設立する計画。
今後、フジはイオン傘下のスーパーとして営業することとなり、四国の流通地図が大きく塗り変わる。

同じ企業の運営となるマルナカの店舗。
(写真はマルナカイオンタウン宇多津店)

追記:「フジ」のイオングループ入りに伴い、スーパーマーケットはフジ子会社として設立された「フジ・リテイリング」が展開することとなる。

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