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太平洋百貨店潮州驛站商場、2020年10月17日一期開業-台鐵潮州駅の高架下に

台湾・屏東県潮州鎮の台鐵屏東線潮州駅に、太平洋百貨店の新店舗「太平洋百貨 潮州驛站商場(太平洋百貨店 潮州駅ショッピングセンター)」が2019年10月17日に一部先行開業した。

太平洋百貨 潮州驛站商場。

潮州駅にアパレル・飲食・娯楽施設が揃う百貨店が誕生

太平洋百貨潮州驛站商場は台鐵屏東線潮州駅高架下北側に出店。営業フロアは1階で延床面積は約6,611㎡。
潮州駅は1920年に台湾総督府鉄道の駅として開業。現在の駅舎は複線化・電化にともない2015年にグランドオープンしたもの。高雄都市圏の台鐵捷運化(運行本数増加政策)により当駅の始発列車も多く設定されるようになり、同年以降に利用客が大幅増加、1日の乗降客は7,000人ほどとなっている。
同店は太平洋建設グループで「太平洋百貨屏東店」「日光廣場(Sunny Park)」を展開する豊屏興業が開発・運営を手掛けるもので、台鐵高架下への出店は2018年12月に開業した「太平洋百貨屏東驛站商場」に次ぎ2店舗目となる。
太平洋百貨屏東店。

太平洋百貨潮州驛站にはテナントとして、レディスカジュアル「Pink New Girl」、女性下着「思薇爾(SWEAR)」、「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」、ベーカリーカフェ「多麥綠烘焙美食(Domalie)」「馬徳里(ROYAL MADRID)」、世界各地の粥料理が楽しめる「粥BAR 聯合國粥品 FRESH to go!」、コンビニエンスストア「萊爾富(Hi-Life)」、玩具量販店「TOYWORLD」、電話ボックス型個室カラオケ「K-HOUSE」、アミューズメント施設「快樂100遊樂(HAPPY100)」、「ガシャポン」など1期開業時点で20近い専門店が出店する。
(一部専門店は開店準備中)

KFC 屏東潮州店。


2019年12月現在、館内の半数近くが工事中となっている。


Happy100遊樂館潮州驛站。

大型商業施設不在の潮州、太平洋百貨の進出で便利に

潮州鎮(鎮は日本の「町」にあたる自治体)は人口約5万人の地方都市でありながら、中心市街地には、以前より大手ディスカウント「光南大批發」「小北百貨(SHOWBA)」や食品スーパー「814生鮮超市」「潮州鎮農会生鮮超市」などが営業しているほか、2019年8月には寶雅の新業態「寶家五金百貨(POYA HOME)」と台湾ファストファッション最大手「NET」の複合店舗が新規出店するなど、小都市としてはかなり規模の大きな商業集積が見られていたものの、地域内には百貨店や大型ショッピングセンターは存在しなかった。
今回開業した太平洋百貨潮州驛站商場は、従来地域に存在しなかったアパレルブランドや飲食店、アミューズメント施設が出店しており、潮州鎮地域住民の生活利便性向上に繋がるだろう。

太平洋百貨 潮州驛站商場

住所:屏東縣潮州鎮信義路111號
営業時間:
平日11:00~21:30
土日祝 10:30~21:30

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富士急百貨店沼津店、2019年12月に解体はじまる-11月18日に最後のテナント撤退で

殆どのフロアが閉鎖されていた静岡県沼津市のJR沼津駅南口にある「富士急百貨店沼津店(富士急沼津ビル)」が、2019年11月18日をもって閉鎖され、12月2日から解体工事が開始された。富士急百貨店沼津店。

沼津を代表する大型店のひとつだった「富士急百貨店」

富士急百貨店沼津店は1965年12月に「富士急名店会館」として創業。1967年10月の新館(現・エイブルコア)開業を機に百貨店に転換した。
富士急百貨店は、高島屋を幹事とする共同仕入機構「ハイランドグループ」に加盟する百貨店として、近隣の西武百貨店、丸井、長崎屋とともに沼津駅前の商業核としての役割を担っていた。また、開業当初より本館1階に「富士急バスターミナル」を併設するなど、グループの流通事業の要、沼津における重要拠点となっていた。
2002年4月には1~3階に百貨店フロアを集約、地階に提携関係にあった地場食品スーパー「キミサワ沼津富士急店(新館から移転)」、4階に地場老舗書店の漫画専門店「マルサン書店マンガフロンティア」、5階に100円ショップ「ダイソー富士急百貨店」を導入する大規模リニューアルを実施、合わせて耐震補強工事を実施するなど、百貨店業態から転換し大型専門店の誘致による生き残りを目指した。富士急百貨店沼津店本館と旧・新館(エイブルコア)。
手前は富士急窓口移転先となる商連ビル(旧・ニチイ)。

その一方、富士急百貨店の改装に前後して、2002年1月に徒歩圏にあった長崎屋沼津店が、2004年5月に丸井沼津店が閉店。
富士急百貨店でも、2010年2月に長年の食品核であったキミサワがイオンによる完全子会社化に先駆けて閉店するなどテナントの撤退が相次ぎ、賃貸契約終了に合わせて2012年4月をもって一旦全館を閉鎖。
その後、本館1階に100円ショップ「ミーツ沼津富士急店」、ファストフード店「モスバーガー富士急沼津店」が開店するなど、一部低層フロアのみで営業を再開した。

ラブライブの聖地となった富士急、54年の歴史に幕

モスバーガー富士急沼津店はアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」とコラボした「沼津まちあるきスタンプ(桜内梨子)」を2017年に設置。駅前にして梨子ちゃんビームが浴びれる人気スポットとなったが、賃貸契約の終了に伴い2019年11月18日に閉店した。
このほか、2019年11月5日に「富士急バス沼津駅南口窓口(切符売場)」が駅側向かいにある沼津商連会館ビル(旧・ニチイ沼津店)に移転、11月10日にはミーツも閉店しており、富士急百貨店沼津店は富士急名店会館から54年の歴史に幕を下ろすこととなった。

富士急百貨店に設置されていた沼津まちあるきスタンプ。

建物は2002年4月に耐震工事を終えていたが、2012年以降は低層階の一部しか店舗が入居しておらず、2019年時点で築50年以上経過するなど老朽化が進んでいたため、解体に至ったとみられる。
解体工事は2020年12月に完了する予定。1月現在、跡地活用については未定となっている。また、スタンプの移転先も未定となっている。
なお、モスバーガー富士急沼津店は2月21日(11時~18時)・22日(9時~15時)にプラザウェルデ前の物産展に出店するなど不定期での営業をおこなうとしている。
この期間限定店のブースには店舗に設置されていたスタンプ、缶バッジ、等身大パネルが設置される予定となっている。

富士急百貨店

住所:静岡県沼津市大手町3丁目2-1

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西友・サニー那珂川中原店、2020年1月10日閉店-西友の食品スーパー九州1号店、20年の歴史に幕

福岡県那珂川市のJR博多南駅前で営業する西友の食品スーパー「サニー那珂川中原店」が、2020年1月10日をもって閉店する。

サニー那珂川中原店。

西友の九州における食品スーパー1号店だった

サニー那珂川中原店は2000年2月に「西友那珂川店」として開店。2008年7月の運営会社再編に伴い現在の店名に変更した。
建物は平屋建、店舗面積は2,380㎡。
西友那珂川店の開店当時、同社は九州においてショッピングセンター「ザ・モール」を始めとする大型店に特化した店舗展開を行っており、食品スーパー業態の店舗を出店していなかった。
西友は那珂川店の開店後、2000年9月に地域子会社「九州西友」を設立、2001年に福岡市天神に本店を構える老舗百貨店「岩田屋」傘下の「サニー」を子会社化するなど、九州での影響力を強化しており、同店は九州での食品スーパー展開への足掛かりといえる店舗であった。

那珂川の玄関口で営業するサニー、早期の跡地活用に期待

サニー那珂川中原店が出店する那珂川市(旧・筑紫郡那珂川町)は2010年9月に人口5万人を突破、2018年10月に市制施行するなど、福岡都市圏のベッドタウンとして人口が年々増加傾向にある。
同店は那珂川市の玄関口ともいえるJR博多南駅前に位置することから、代替となる新たな食品スーパーの進出や商業・住居機能を備えた複合施設への建替えなど、早期の跡地活用が期待される。

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エトモ溝の口、2019年12月13日から順次開業-東急溝の口駅構内、東急フードショーの新業態など出店

神奈川県川崎市高津区の東急田園都市線・大井町線溝の口駅構内に、東急グループの商業施設「etomo溝の口(エトモ溝の口)」が2019年12月13日から順次開業する。

etomo溝の口。

溝の口発祥のピッツェリアブランドなど9店舗が出店

etomo溝の口は東急溝の口駅構内既存商業施設の改装により開業するもので、店舗面積は約1,981㎡。etomoとしては11施設目となる。
施設コンセプトに「暮らし・楽しむ・Mizonokuchi」を掲げ、待ち合わせまでの空き時間や自分へのご褒美など、さまざまなシーンで利用可能な施設を目指す。
etomo溝の口には、従来から駅構内に出店していた食品スーパー「東急ストア」や駅売店「toks」、ベーカリーカフェ「ヴィ・ド・フランスカフェ」、立ち食いそばスタンド「梅もと」に加えて、東急フードショーの新業態「東急フードショースライス<暦-KOYOMI->」、焼肉ファストフード「焼肉ライク」、溝の口発祥ピッツェリアブランドの駅ナカ対応新業態「ピッツェリアマリオエクスプレス」、立ち食い寿司店「寿司 魚がし日本一」、プロントのビアカフェ業態「ビアテリア プロント」など9店舗が2020年2月までに順次出店する。

東急フードショーはスイーツ特化の新コンセプト業態に

今回etomo溝の口に出店する「東急フードショースライス溝の口店」の店舗面積は約26㎡。小型食品専門店業態「スライス」としては5店舗目となる。

東急フードショースライス<暦-KOYOMI->。

東急フードショースライス溝の口店は、東急百貨店が「新規事業の強化」の一環として出店するもので、スイーツのセレクトショップとして売場名称に「暦-KOYOMI-」を冠し、暦に合わせたスイーツを和洋のジャンルを超えて展開する。
同社は今後も東急沿線を中心にスライス業態の新規出店を目指すとしており、スライス業態のなかでも特に狭小な「暦」ブランドの店舗も各駅に広がるとみられる。

東急フードショースライス<暦-KOYOMI->ロゴマーク。

etomo溝の口のテナント一覧
店舗名 業種
焼肉ライク
(2019年12月13日開店)
焼肉ファストフード
ピッツェリア マリオ エクスプレス
(2020年1月12日開店予定)
ピッツェリア
寿司 魚がし日本一
(2020年2月開店予定)
立喰い寿司
東急フードショースライス<暦-KOYOMI->
(2019年12月26日開店)
和洋菓子・雑貨
ビアテリア プロント
(2019年12月24日開店)
ビアカフェ
東急ストア スーパー
toks
(2019年12月13日リニューアル)
売店
ヴィ・ド・フランス カフェ ベーカリーカフェ
梅もと そば
etomo溝の口

住所:神奈川県川崎市高津区溝口2丁目1番1号(田園都市線・大井町線溝の口駅構内) 
営業時間:店舗により異なる

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ヤマダ電機、大塚家具を子会社化-2019年12月30日付の第三者割当増資で株式の過半数を取得

家電量販店最大手「ヤマダ電機」(群馬県高崎市)は、2019年12月30日付で家具販売大手「大塚家具」(東京都江東区)株の過半数となる51.74%(議決権比率)を第三者割当増資により取得し、子会社化する資本業務提携契約を2019年12月12日に締結した。 ヤマダ電機本社。(群馬県高崎市)

ヤマダ電機、大塚家具との連携強化を推し進めていた

ヤマダ電機は2011年に住宅メーカー「エス・バイ・エル」を買収し住宅関連事業に本格参入して以降、2012年に旧日立化成系の住宅設備メーカー「ハウステック」を買収するなど関連事業の強化を推進、家電販売事業との相乗効果が期待される「スマートハウス」の拡販を目指している。
同社は2016年11月、東京都立川市に生活提案型業態「LABI LIFE SELECT」1号店を出店、2017年6月には群馬県前橋市の同社アウトレット店舗跡を業態転換する形で家具・インテリア専門店「インテリアリフォームYAMADA」を出店、同年9月には茨城県ひたちなか市の同社店舗跡に家電製品と家具・インテリアの併売、直営カフェの併設を行う新業態「家電住まいる館YAMADA」1号店を出店しており、2019年5月末時点では80店舗を展開する。
ヤマダ電機家電住まいる館。(福岡市東区)

ヤマダ電機は2019年2月に大塚家具と資本業務提携を締結して以降、3月に人的交流を開始、5月にはヤマダ電機一部店舗での大塚家具商品の取扱いを開始、7月には群馬県前橋市のインテリアリフォームYAMADAを大塚家具とのコラボ店舗に転換するなど、両社間での連携を強めていた。

IDC大塚家具新宿ショールーム。(東京都新宿区)

依然として経営不振続く大塚家具、株価はストップ高に

大塚家具は2019年2月のヤマダ電機の資本業務提携に合わせて、越境EC事業を手掛ける「ハイラインズ」と資本業務提携を締結。2019年6月には阿里巴巴集団(アリババグループ)の中国大手ネット通販「天猫国際(T-MALL)」に出店、7月にはアリババ系家具小売大手「北京居然之家云地匯新零售連鎖有限公司」(居然之家/Easyhome/イージーホーム)への高級羽毛布団の供給を開始したが、同社の売上高は依然として減少傾向にあり、株価も2019年2月の資本業務提携契約締結時の半分以下の水準に落ち込むなど、経営再建の道筋が不透明となっていた。
大塚家具の株価は2019年10月以降、1株160円前後を推移していたが、ヤマダ電機により子会社化の方針を受けストップ高となり前日比30.86%となる1株212円で取引時間終了を迎えた。

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天神ビブレ、2020年2月11日閉店-再開発で、12月7日から閉店セール始まる

福岡県福岡市中央区天神の西鉄福岡(天神)駅、地下鉄天神駅近くにあるイオングループのファッションビル「天神ビブレ」が再開発のため2020年2月11日に閉店することに伴い、2019年12月7日から閉店セールが開始された。

閉店セールが始まった天神ビブレ。

天神コアとともに流行を牽引してきたファッションビル

天神ビブレは1976年11月に、大手総合スーパー「ニチイ」の百貨店業態「ニチイ天神ショッピングデパート」として西鉄街・因幡町商店街などを再開発して生まれた再開発ビル「天神第一名店ビル」に開業。建物は地上10階地下2階建、営業フロアは地上8階~地下2階、営業面積は10,754㎡、専門店数は約70店舗。(2019年現在)
1982年3月に同社ファッションビル「天神ビブレ21」に転換して以降は館内通路で直結する西鉄グループの「天神コア」とともに九州有数の若年層向けファッション集積地を形成、8階に大規模音楽ライブホール「ビブレホール」を整備するなど、福岡の流行を牽引してきた。

隣接する天神コア、2020年3月閉店予定。

天神ビブレは1997年2月に、因幡町通りを挟み隣接する天神東急プラザとして開業した「MMTマルチマート天神ビル」(地上9階地下2階建)の低層階(ベスト電器福岡本店仮店舗跡)に新館「天神ビブレ2」を開業するなど、マイカルグループ(当時)の九州における旗艦店として営業を続けていたが、同社の経営破綻を受けて2001年3月をもって新館を閉店していた。

天神ビブレとMMT。

その後、運営会社の再編に伴い2011年3月に「イオンリテール」のビブレ・フォーラス事業部に、2016年3月には旧ダイエー系でイオンモール完全子会社の「オーパ」に運営移管されている。
なお、MMTビルについては現在福岡地所が所有しており、核テナントとして「ジュンク堂書店福岡店・丸善福岡店」や「ダイソー」、「ヒューマンアカデミー」などが出店している。

近年はサブカル強化、福岡吉本の劇場も

近年は近隣の岩田屋本店旧本館跡にパルコが進出、博多駅周辺にもJR博多シティ(アミュプラザ博多・博多阪急)や丸井といった競合施設が相次ぎ進出したことから、以前から定評のあったゴスロリ・甘ロリ系の店舗に加えて、「アニメイト」「文教堂ホビー」「駿河屋」などサブカル系の店舗や「スポーツオーソリティ」「Mt.石井スポーツ」などスポーツ・アウトドア関連の店舗集積を強化、ファストファッション「GU」の大型店を導入、2018年9月にはビブレへの業態転換当初から営業していたビブレホールを「よしもと天神ビブレホール」にリニューアルするなど独自の立ち位置を構築していた。
天神ビブレでは、2019年12月7日より閉店セールが開催されている。

福ビル、天神コアと一体再開発へ-地階にイオン

天神エリアでは、福岡市が「天神ビッグバン」と称して高さ制限や容積率の規制緩和による民間再開発促進事業を推進しており、2024年を目処に天神ビブレと同じ区画内にある「福岡ビル」(2019年3月閉館)及び「天神コア」(2020年3月閉店予定)の跡地にオフィスやハイクオリティホテルを備えた西鉄グループの複合商業施設(地上19階地下4階建、延床面積約100,000㎡、高さ約96m)が開業を予定しており、天神ビブレはこの新ビルの一部として取り込まれる。

福岡ビル・天神コア跡地に建設予定の建物イメージ。

新ビルは低層部分が商業施設となり、地下1階・地下2階にはビブレに変わって同じイオングループの「イオンモール」などが出店する食品売場、飲食街が設けられる予定。また、中層階にはオフィスが、高層階にはホテルが設けられる。
今後、2024年の1期開業を目指して工事が進められる。


新ビルのフロアプラン。地下部分はイオンが出店。

MMTビル跡にはジュンク堂が再出店検討

一方、隣接するMMTビルとその周辺(新生飯店・楽天地など)も近く再開発を実施し、福岡市役所北別館とともに19階建て規模の複合ビルを建設することが計画されている。

MMTビル。

都商研の取材と地元メディアの報道などによると、ジュンク堂書店は2020年6月を目処に閉店。高層階はオフィスとなるほか下層階には現在MMTビルに出店する「ジュンク堂書店」が再出店することを検討しているという。

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シークベース アキオカ マニュファクチュア、2019年12月12日第1期開業-秋葉原・御徒町駅間の高架下に

東京都千代田区の秋葉原から御徒町駅間の高架下に、JR東日本都市開発の「SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTURE(シークベース アキオカ マニュファクチュア)」が2019年12月12日に第1期開業する。

SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTURE.

秋葉原ならではの専門ショップ集まる高架下商業施設

SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTUREの建物は商業施設4棟・宿泊施設1棟、敷地面積は約4,000㎡。そのうち、第1期開業エリアは商業施設平屋建2棟、延床面積1,280㎡、98㎡。宿泊施設地上2階建1棟、ホテル面積923㎡となる。
JR東日本都市開発は2010年12月に「2k540 AKI-OKA ARTISAN」を開業して以来、「ちゃばらAKI-OKA MARCHE」「御徒町らーめん横丁 AKI-OKA GOURMET」といったテーマ性のある高架下商業施設を相次ぎ開発しており、AKI-OKAシリーズの施設としては4施設目となる。
SEEKBASEという施設名は「探求する(=SEEK)基地として、マニアックな探求に興味を持つ人たちが集まる場所、大人の基地」「新たなモノ、コト、出会いが生まれる(製造される)場所」という意味が込められたもので、コンセプトに「「未知のワクワクとスグレモノを探すことができる」専門ショップが大集結」を掲げ、かつての電気街を意識した専門的で独特な世界観をもった施設を目指すとしている。

フロアイメージ。

テナントとしては、まんだらけのソフビ専門新業態「まんだらけCoCoo(こくう)」や三宝カメラの中古カメラ専門店「2nd BASE」、イヤホン・ヘッドホンブランドの直営店「final STORE」、オーディオ専門店「オーディオみじんこ」、国産時計ブランドの直営コンセプトショップ「KENTEX BASE」、アナログレコード・DJ機材販売専門店のDJスクール「OTAIRECORD MUSIC SCHOOL」など9店舗(期間限定店舗含む)が出店。国内観光客や訪日外国人観光客、近隣ワーカーを主要客層とする宿泊施設「UNDER RAILWAY HOTEL AKIHABARA」(12月6日先行開業)も併設する。
また、2020年春には飲食エリアと別棟(和太鼓教室)が開店する予定となっている。

UNDER RAILWAY HOTEL AKIHABARA.

SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTUREのテナント一覧
(第1期開業テナント)
  • 2nd BASE(カメラ)
  • final STORE(イヤホン・ヘッドホン)
  • まんだらけCoCoo(トイ)
  • KENTEX BASE(腕時計)
  • オーディオみじんこ(オーディオ)
  • OTAIRECORD MUSIC SCHOOL(DJスクール)
  • buychari(自転車)
  • 常陸野ブルーイング東京蒸酒所(飲食・蒸酒所)
  • レコファン秋葉原バザール(レコード・CD他)
    ※期間限定店
SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTURE

住所:東京都千代田区神田練塀町 13-1、14-2(商業施設棟)
住所:東京都千代田区神田練塀町 15-1(宿泊施設棟)
営業時間:テナントにより異なる

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イオン東北、2020年3月1日発足-マックスバリュ東北とイオンリテール東北が経営統合、イオンの完全子会社に

マックスバリュ東北(秋田市)とイオンリテール東北カンパニー(仙台市青葉区)は、2019年12月10日の取締役会決議により、2020年3月1日をもって経営統合することを発表した。

イオンリテール東北カンパニーの店舗(仙台市青葉区)。

今回の経営統合により、マックスバリュ東北はイオン(千葉市美浜区)の完全子会社となり上場廃止、イオン東北に商号変更する。

経営統合により発足するイオン東北、売上高2000億円に

イオンリテールは2008年4月、イオングループの持株会社化に伴い発足。2011年3月にマイカルと経営統合、2016年3月にダイエーから東北・東海地方の店舗を承継した。
2019年現在、東北地方の店舗は「イオンリテール東北カンパニー」が運営を管轄する。
東北カンパニーは主に総合スーパー「イオン」を運営するほか、2013年から仙台市内で都市型食品スーパー「イオンエクスプレス」の出店を開始、2015年からは売場面積1,000㎡前後の食品スーパー「イオン」を仙台市太白区、福島県広野町に出店するなど、宮城、福島での食品スーパー事業から撤退したマックスバリュ南東北に代わり、小型食品スーパーの強化を進めていた。
東北カンパニー単体の売上高は 1006億7600万円。

イオンリテール東北カンパニーの店舗(富谷市)。

マックスバリュ東北は1981年12月、羽後ショッピングとして設立。経営破綻した「亀屋みなみチェーン」(青森市)や同和鉱業傘下のスーパー「同友」の店舗を承継し、現在は青森県、秋田県、山形県、岩手県の東北4県に出店している。
店舗の屋号は「マックスバリュ」「ザ・ビッグ」の2ブランド。
2019年2月期の売上高は1,032億6500万円。
マックスバリュ東北の店舗(岩手県盛岡市)。

イオンリテール東北カンパニーとマックスバリュ東北の売上高の合計は2000億円超であり、新たに発足するイオン東北はセブン&アイHD傘下の「ヨークベニマル」(福島県、2019年2月期売上高4452億9700万円)に次ぐ経営規模となる見込み。
経営統合により、重点エリアへの新規出店の加速や既存老朽店舗の活性化、プロセスセンターの新設を含む製造・物流網の最適化、商品力の強化を目指すとしており、スケールメリットを活かした経営体質強化による収益力向上が予想される。

イオンの東北地方スーパー運営会社、3社に再編

今回の経営統合に伴い、マックスバリュ東北はイオンの完全子会社となり、2020年2月27日付で上場廃止する。これに合わせて、イオンリテールは東北6県の小売事業(イオン59店舗、リカー売場20店舗、出店予定店舗2店舗)、ディベロッパー事業(29施設)を会社分割(吸収分割)し、マックスバリュ東北に事業承継する。経営統合後の本社機能は、2020年3月1日のイオン東北への商号変更後も現在のマックスバリュ東北の本社が置かれている秋田市に置かれる予定。
イオングループの東北地方におけるスーパーマーケット運営会社は2020年3月以降、今回新たに発足する「イオン東北」、スーパーセンターを展開する「イオンスーパーセンター」(岩手県盛岡市)、福島県・宮城県で「ザ・ビッグ」を展開する「マックスバリュ南東北」(仙台市青葉区)の3社となる。

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TSUTAYA BOOKSTORE 南港店、2019年12月6日開業-ツタヤ「台湾最大」の大型旗艦店

台湾・台北市南港区の台鐵・高鐵(台湾新幹線)・ 台北捷運(台北MRT)南港駅に直結する潤泰グループ(RUENTEX GROUP)の大規模複合商業施設「CITYLINK南港店」に、TSUTAYAグループの台湾旗艦店「TSUTAYA BOOKSTORE 南港店」が2019年12月6日に開業した。
TSUTAYA BOOKSTORE 南港店。

南港に台湾TSUTAYA「最大」となる大型旗艦店

CITYLINK南港店(潤泰南港駅ビル)は、大手不動産ディベロッパー「三菱地所」と台湾大手企業グループ「潤泰グループ」との共同開発プロジェクト「南港駅前複合開発プロジェクト」の一環として2014年12月に開業。
建物は地上30階建(オフィス棟・ホテル棟)地上14階建(商業施設棟・駐車場棟)、敷地面積は約67,230㎡、店舗面積は約52,400㎡、延床面積は約196,790㎡。
三菱・潤泰系のショッピングセンター「CITYLINK」のほか、冠徳建設系のショッピングセンター「環球購物中心(グローバルモール)」、マリオット系のホテル「Courtyard by Marriott Taipei」が入居する。

CITY LINK南港店。

TSUTAYA BOOKSTORE 南港店は、CITYLINK南港A棟2階のファッション・カフェ関連フロア跡に出店するもので、売場面積は約1652.89㎡。TSUTAYAの地域子会社である臺灣蔦屋股份有限公司が運営する。
TSUTAYA BOOKSTORE(蔦屋書店)は2012年12月に台湾1号店を出店しており、南港店は台湾5店舗目となるが、同業態としては台湾最大規模の売場面積を有する「旗艦店」となる。
TSUTAYA BOOK STORE南港店。

台湾TSUTAYA初キッズエリア、日本コスメコーナーも

南港店ではコンセプトに「他にはない「子どもとの時間」を提案する生活提案型書店」を掲げ、台湾初となるキッズエリアを導入し、児童書の品揃えを拡充する。また、蔦屋書店限定のPB雑貨やTSUTAYAのPB文具ブランド「HEDERA(ヘデラ)」、日本全国のご当地コスメを取扱う「J47 日本選物 九州コスメ」、「MADE IN TAIWAN」のPOP UP売場を展開する。

WIRED CHAYAはWIRED CAFEによる「和」がテーマの新業態

テナントとしては、WIRED CAFEが展開する和スタイルのカフェ「WIRED CHAYA」や台湾地場大手カフェ「路易莎咖啡(LOUISA COFFEE)」、台湾地場ティーバッグ専門店「小草作」の3店舗が出店、日本のTSUTAYA BOOKSTORE(蔦屋書店)と同様にBOOK&CAFEスタイルの空間を構築する。

LOUISA COFFEEは「第三波咖啡(3rd Wave)」業態となる

TSUTAYA BOOKSTOREはこのほかに高雄市の大立百貨店に高雄市旗艦店を出店する計画を発表しており、台湾各地への展開拡大も予想される。

発展著しい南港、さらなる施設間競争の激化も?

高鐵(台湾新幹線)南港駅の開業以来、台北の新都心として開発が進む南港エリアでは、2021年を目処に三井不動産グループによる「(仮称)三井ショッピングパーク ららぽーと台湾南港」の開業が予定されている。
CITY LINKはTSUTAYAの導入に合わせて、台湾大手のスーパードラッグ+雑貨店「寶雅(POYA)」や全世界に4,000店舗を展開する雑貨店「MINISO 名創優品」を導入するリニューアルを行っており、今後も地域間・施設間競争のさらなる激化が見込まれる。

TSUTAYA BOOKSTORE 南港店

住所:台北市南港區忠孝東路七段369號 CITYLINK南港店 A棟 2階
営業時間:11:00~21:30(月~木曜日)
営業時間:8:30~22:00(金・土曜日)
営業時間:8:30~21:30(日曜日)

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長門コミュニティータウンウェーブ・サンリブ長門、2019年12月31日閉店-JR長門市駅前

山口県長門市のJR長門市駅南側で営業する商業施設「長門コミュニティータウン・ウェーブ(WAVE)」が2019年12月31日をもって閉店する。

サンリブ長門。

長門市中心部の大型商業施設、28年の歴史に幕

長門コミュニティータウン・ウェーブの前身となる「長門ショッピングプラザ(ながとプラザ)」1975年3月に開店。
ながとプラザは、長門市駅前の商業核として地元資本の専門店や金子みすゞ顕彰会が運営する記念館が入居していたが、ウェーブの開業に伴い1991年9月をもって閉店していた。
後継となったウェーブは1991年10月に開業。建物は地上3階地下1階で営業フロアは地上2階~地下1階、建物面積は18,762㎡、売場面積は7,731㎡。
開業当初は、サンリブの食品スーパー「サンリブ長門」と地元スーパー「まるみストアー(サンフレールまるみ・サラダ館)」を核に、ながとプラザ内に入居していた地場資本の専門店や金子みすゞ記念館(仙崎に2003年移転)など約40店舗が出店しており、同時期に開業した「丸久長門アトラス(現・フジ長門店)」とともに、長門市を代表する商業施設となっていた。
ウェーブは2011年の改装で、元々同社がFC運営していた大型アミューズメント施設「さんさんランド長門(旧・セガハイテクランド長門)」が廃止され、まるみストアー直営売場を集約するとともに家電量販店「ヤマダ電機」を導入した。

ヤマダ電機が準核テナントとして出店する。

しかし、2019年7月をもってまるみストアーが総合衣料品店「サンフレールまるみ」を廃業したため、2019年12月現在は1階の大部分が閉鎖状態にある。

後継店舗は未定

長門市は、ウェーブを核として近隣に太陽家具、明屋書店、眼鏡市場、ゲオ、ジョイフルなど多くのチェーン店が出店しており、山陰の小都市では珍しい「歩いて暮らせる駅チカ中心商業地」が形成されていた。
それゆえに跡地の再活用方法が注目されるが、今後については12月現在まだ発表されていない。
(写真:全国スーパーめぐりさん)

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