流通大手「アークス」(北海道札幌市中央区)は、宮城県地盤の食品スーパー「伊藤チェーン」(イトーチェーン、宮城県柴田町)との株式交換による経営統合を2019年7月5日に締結した。
今回の株式交換契約締結に伴い、アークスは伊藤チェーンの創業家5名から全株式を取得、9月1日に完全子会社化する。
イトーチェーン柴田店(公式サイトより)。
アークス、宮城の地場有力食品スーパーを買収
アークスは1961年10月に「ダイマルスーパー」(大丸スーパー)として北海道札幌市で創業。1989年3月の「丸友産業」(金市舘)との経営統合により「ラルズ」に社名変更、2002年11月の「福原」との経営統合に伴う「アークスグループ」発足により現社名に変更、純粋持株会社に移行した。
2019年2月時点では、北海道・東北地方で総合スーパー「ラルズプラザ」「東光ストア」(旧札幌東急ストア)、食品スーパー「スーパーアークス」「ラルズマート」「ビッグハウス」など334店舗を展開する。
2018年12月には「新日本スーパーマーケット同盟」を東海地方地盤の「バローHD」、西日本地盤の「リテールパートナーズ」と設立、流通再編の新たな核として注目されている。
アークス。
伊藤チェーンは1975年8月に宮城県仙台市の中田青空市場で創業。2008年6月からは「ホームセンタームサシ」への食品館業態店舗を出店開始、2011年9月にはアークスグループも加盟する共同仕入機構「CGCグループ」に加盟、2013年からは東北初となる高級スーパー「北野エース」の新業態「フーズブティック」を導入、2015年7月には東日本大震災より甚大な被害を受けた岩沼市による高台集団移転の商業核として新業態「フーズガーデン玉浦食彩館」を開店、2019年3月には宮城県内のスーパーとしては初となるスマホ決済「PayPay」を導入するなど、意欲的な事業展開を進めている。
2019年7月現在、同社は宮城県内に「食品館イトー」「イトーチェーン」など9店舗展開している。
アークスグループ、手薄な宮城県内での店舗網を強化
アークスグループは2011年10月に青森地盤の「ユニバース」と経営統合して以来、岩手地盤の「ジョイス」「ベルプラス」を相次ぎ買収するなど、東北への出店攻勢を強めていたが、2017年2月の「ジョイス仙台松森店」閉店に伴い宮城県内から食品スーパー業態の店舗を全面撤退したことで、アークスグループが宮城県内で運営する店舗は2019年7月現在、食品ディスカウント業態の「ビッグハウス」7店舗のみとなっていた。
アークスの地盤となる北海道では過疎化が深刻であり、同社の店舗でも中心市街地の店舗の閉店や老朽店舗のスクラップ&ビルドが続いている。今回の買収により、買収店舗を足掛かりとしたさらなる「アークス店舗網の南下」もありうるであろう。
2017年に閉店したジョイス仙台松森店。
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