カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

山交百貨店、2019年9月30日閉店-JR甲府駅前

山梨県甲府市のJR甲府駅前にある大型商業施設「山交百貨店」が2019年9月30日に閉館する。

山交百貨店。

JR甲府駅前の大型商業施設

山交百貨店は1954年に「甲府松菱」として開業。1965年に旧山梨交通甲府駅跡附近に移転し、山交百貨店に改称された。
現在の建物は1989年に建築されたもので、スパイラルエスカレータや時計台が設置されるなど豪華な建物となった。
シンボルであった時計台は2008年に撤去されている。建物は地上5階、地下4階(地下2~4階は駐車場など)売場面積は15,774㎡。
日本百貨店協会には加盟していないが、東急百貨店の商品券を利用することができる。

閉店は経営難のためだというか、建物は築29年ほどとまだ新しく、今後の処遇が注目される。

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フジ、サニーTSUBAKIとスポンサー契約締結-フジ傘下で再建目指す

四国地方の地場流通大手「フジ」(愛媛県松山市)は、地場食品スーパー「サニーTSUBAKI」(サニー椿)(愛媛県松山市)との間で民事再生手続におけるスポンサー契約を締結することを2019年2月27日に発表した。

サニーTSUBAKI道後店。

一斉閉店と商品券騒動で話題となった愛媛の地場スーパー

サニーTSUBAKIは1954年創業。愛媛県松山市に古川店(旧・椿店)、桑原店、道後店の3店舗を展開する。
松山市民を中心に長らく「サニーマート」の屋号で親しまれていたが、高知県に本社を置く地場大手スーパー「サニーマート」など類似名称のスーパーが複数あることもあり、2014年に現在の屋号に改称していた。
現屋号への改称後は、テレビCMの放映や同社の桑原哲也専務(通称:てっちゃん)、地元アイドル「愛の葉Girls」を前面に押し出した販促キャンペーンで知名度を高めていたが、2018年6月27日に本店を除く全店が一斉閉店、同年6月28日に民事再生法適用を申請するなど経営悪化が表面化、プレミアム商品券(てっちゃん商品券)を持つ多くの市民が押し寄せる騒ぎとなった。
その後、同社は同年7月24日にフジによる商品供給支援のもと、桑原店、道後店を営業再開させたが、一連の騒動により信用悪化が顕著なものとなっていた。同社はフジとの民事再生手続におけるスポンサー契約締結により、顧客・取引先との信用を回復、事業再建を本格化させるとみられる。

フジ傘下入り後も当面はそのまま営業か

フジは2012年に広島地盤の中堅食品スーパー「スーパーふじおか」(ピュアークック)を買収、2014年にも松山地盤の中堅食品スーパー「スーパーABC」を買収しているが、いずれも屋号及び店舗の営業形態は買収以前と同様のものとなっており、「サニーTSUBAKI」も当面はそのままの形で営業すると思われる。

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ななっく、2019年6月2日閉館-親会社の経営難で、大沼にも影響か

岩手県盛岡市の肴町商店街にあるコミュニティデパート(複合商業施設)「ななっく」(Nanak)が2019年5月に閉館する。
追記:閉館日は6月2日となった。

旧・中三盛岡店、企業再生ファンドの運営だった

旧・中三盛岡店は1981年5月に開店。売場面積は17,126㎡。もともと建物は1956年から川徳百貨店が使っていたものだったが、同店の移転に伴い空き店舗となっており、その建物を購入しての出店だった。中三盛岡店は2011年3月11日に発生した東日本大震災の3日後の3月14日に地震の影響とみられるガス爆発が発生。そのまま閉店となった。
中三において年商の約3割を占めていた同店が営業休止に陥ったことは、兼ねてより経営状況が悪化していた同社にとっては致命傷となった。青森店、弘前店も震災の影響で売上が落ち込み、3月30日に民事再生法の適用を青森地裁に申請・受理され、中三は倒産した。
その後、企業再生ファンド「マイルストーンターンアラウンドマネジメント」(MTM社、東京都)が中三から盛岡店の譲渡を受け「Nanak」(ななっく)として2012年10月に営業を再開した。店舗名の由来は「河南」から。
p1040784複合商業施設「ななっく」。

2019年現在、テナントとしては地場スーパー「マルイチ」が運営する食品館「プレンティ」を核に、「ダイソー」、「ABC-MART」、公共施設などが出店する。かつては「フランフラン」、「ラオックス」なども出店していたが近年はテナントの撤退が相次ぎ、一部フロアを閉鎖していた。

親会社「MTM社」の経営難か-「大沼」にも影響

岩手県内の地元メディアの報道によると、閉館は「ななっく」を運営する企業再生ファンド「MTM社」の経営悪化が一因だとされており、最近は同社側から入居テナントへの売上金入金もままならない状態であったという。
さらに、東京商工リサーチなど複数メディアの報道によると、MTM社の傘下となっている百貨店「大沼」(山形市)についても、別の投資会社も絡んだかたちでのトラブルが発生しており、その影響からMTM社による資金供給が予定通り行われておらず、同社の経営難から計画されていた本店の改装などができない状態であるとされる。
P1050047-
大沼山形本店。改装予定だったが計画どおりに進んでいない。

今後のMTM社の動向によっては、東北の小売地図が大きく変わる可能性もある。

外部リンク:Nanak(ななっく)
外部リンク:山形の老舗百貨店「大沼」の再建が暗礁(東京商工リサーチ)
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(仮称)ららぽーと愛知東郷町、2020年秋開業-愛知県2店目のららぽーと

愛知県東郷町に大型ショッピングセンター「(仮称)ららぽーと愛知東郷町」が2020年秋の開業を目指して2019年3月1日に着工される。

(仮称)ららぽーと愛知東郷町。

東郷町が進める「セントラル開発」の中核施設

「ららぽーと愛知東郷町」は三井不動産が開発するショッピングセンターで、愛知県2店目のららぽーととして愛知県東郷町の東郷中央土地区画整理事業地に出店。現在、予定地は田畑などとなっている。
同店の開発は、東郷町が進める「セントラル開発」の一環。区画整理地にショッピングセンターを核とする新たな町を整備し、地域の中心として整備する計画で、当初は2018年ごろの開業が予定されていたが、諸事情により着工が延期されていた。

「名古屋みなとアクスル」より大規模に

ららぽーと愛知東郷町の環境デザインコンセプトはコミュニティの拠点となる「街のクラブハウス」。
建物は延床面積約190,200㎡、店舗面積約63,900㎡の4階建て(売場は3階まで)で、総店舗数(テナント数)約230店、駐車場台数は約3,900台を予定している。愛知県のららぽーと1号店である「ららぽーと名古屋みなとアクルス」よりも大規模なものとなるが、具体的なテナント名などは2月時点では発表されていない。

館内・センターコートのようす。

また、屋外には約4,000㎡の緑地とイベントスペースも整備される。
最寄駅は日進駅だが2kmほどあるため徒歩でアクセスすることは難しい。敷地内にはバスターミナルや交通広場が設置される予定だ。
(画像は三井不動産より)

ららぽーと愛知東郷町

住所:愛知県愛知郡東郷町春木他(東郷中央土地区画整理事業地の一部)

外部リンク:愛知県中部エリア最大級となるリージョナル型ショッピングセンター「(仮称)ららぽーと愛知東郷町」3月1日着工 2020年秋開業予定
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イオンフードスタイル八王子店、2019年3月28日開店-ダイエー八王子店跡に

東京都八王子市のJR八王子駅近くにあったダイエー八王子店跡に、ダイエーが運営する食品スーパー「イオンフードスタイル八王子店」が2019年3月28日に開店する。

イオンフードスタイル八王子店が出店するブリリアタワー。

八王子のダイエー、食品スーパーとして再出店

前身となる「ダイエー八王子店」は1970年11月開店。建物は地上8階地下1階建、売場面積は12,778㎡。
ダイエー直営売場に加え、テナントとしてダイエーグループの婦人服店「ロベリア」、雑貨店「マルシェ」、100円ショップ「ダイソー」が入居するなど、八王子駅前を代表する大型総合スーパーとして、長崎屋(現・MEGAドン・キホーテ)とともに長年営業を続けていたが、末期には高層階を閉鎖、建物の老朽化に伴い2015年2月15日をもって44年の歴史に幕を下ろしていた。八王子駅近くの老舗ということもあり、閉店がアニメ「干物妹!うまるちゃん」に取り上げられるなど話題を呼んだ。
ダイエー八王子店。

その後、大手不動産ディベロッパー「東京建物」により高層新築分譲マンション「Brillia Tower 八王子」(ブリリアタワー八王子)が建設、イオン系スーパーの出店が決定していた。
イオンフードスタイル八王子店は地上17階建の建物のうち1階部分に出店、売場面積は約1,067㎡(323坪)。運営はダイエー。
同店は、旧ダイエー八王子店の利用客を始めとする「地域にお住まいの方々の日々の暮らしを支える店舗」を目指すという。
なお、テナントは出店しない見込み。

イオンフードスタイル八王子店(公式よりイメージ)。

イオンフードスタイル八王子店

住所:東京都八王子市横山町4番8号
営業時間:8時~23時(通常営業時間)

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ダイエーグルメシティ神崎川店、2019年2月28日閉店-旧マルエー、46年の歴史に幕

大阪府大阪市淀川区の神崎川駅前に位置する総合スーパー「ダイエーグルメシティ神崎川店」が、2019年2月28日午後6時をもって閉店する。

ダイエーグルメシティ神崎川店。

神崎川駅前のダイエー、46年の歴史に幕

ダイエーグルメシティ神崎川店は1972年9月に関西地盤のスーパー「マルエー神崎川店」として開店。ダイエー傘下となったのち、グループ経営再建の過程で進められた運営会社再編の一環で、2002年に「サカエ神崎川店」に改称、2007年に「グルメシティ神崎川店」に改称、2015年のダイエー直営化を機に現在の店名に改称している。

グルメシティ神崎川店・営業終了のお知らせ。

建物は地上4階建で、売場面積は2,874㎡。
1階は直営食品売場、2階は直営衣料・生活用品売場、3階は100円ショップ「シルク」として営業、4階は2006年まで屋内遊園地「らんらんらんど」が営業していたが、2019年現在は閉鎖されている。

競争激しい神崎川エリアの最古参スーパーだった

ダイエーグルメシティ神崎川店は長らく、神崎川駅前唯一の大型店として営業を続けていたが、2014年に駅西口の武田薬品工業倉庫跡地を住友不動産グループが再開発する形で「阪急オアシス神崎川店」が新規出店、徒歩圏内でも2014年4月にはコーヨー淀川新高店跡に「万代淀川新高店」が出店、2017年3月には阪急オアシス野中北店跡に「スーパーマルハチ野中北店」が出店するなど、競合店との競争が深刻化している。
加えて同店は近年、塔屋看板の破損や2階・3階を結ぶエスカレーターの利用停止など老朽化も顕著にみられるようになり、市場における競争力を失っていた。

神崎川駅前の阪急オアシスと住友不動産による分譲マンション。

同店の建物は築40年以上経過しており、閉店後は解体されるとみられる。建替えによる再出店も期待されるが、2019年2月現在閉店後の跡地の活用方法などは発表されていない。

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熊本パルコ、2020年閉店へ

熊本県熊本市中央区の下通商店街にあるファッションビル「熊本パルコ」が2020年中に閉館する。地元メディアなどが報じた。

熊本パルコ。

かつては長崎屋だった熊本パルコ

熊本パルコの入居する「新世界会館」は「サンバード長崎屋熊本店」として1971年10月に開店。長崎屋は1984年2月に閉店し、跡地に1986年5月に「熊本パルコ」が開店した。売場面積は9,051㎡。
もともとこの地には同名の映画館があり、建物はその跡地に建設された。建物は映画館内で飲食店を経営していた「三陽」が所有する。同社は現在熊本県内を中心に「三笠うどん」などを展開している。
店舗前には水圧で回転するオブジェ「グラニッドボール」が置かれており、市民に「パル玉」と呼ばれて親しまれている。

パル玉。

閉店は売上の低下に加えて建物の老朽化も大きな要因であると思われる。
2019年秋には熊本交通センター跡地の再開発が、2021年には熊本駅ビルの完成が予定されており、そちらとの棲み分けも課題となっていた。また、近年はテナントの撤退も相次いでいた。
建物の今後については2月現在は発表されていないが、築50年近いために再開発される可能性もあろう。

地方店の閉店すすめるパルコ

パルコは2012年より大丸松坂屋百貨店の傘下となっているが、とくに近年は都市部での再開発参画と地方店の閉店を進めており、2016年には千葉パルコ、2017年には大津パルコを閉店。2019年中には宇都宮パルコを閉店させる方針としている一方、2017年には上野パルコ(パルコヤ)、2019年には錦糸町パルコを開店させるほか、神戸市や川崎市などにも小規模店舗「ゼロゲート」を出店させている。

間も無く開店する錦糸町パルコ。

現在パルコは、大都市圏郊外の中規模店舗、地方都市の店舗を
コミュニティ店舗」と位置づけているが、それらのうち地方都市の店舗の殆どはここ数年の間に閉店しており、首都圏外で残るコミュニティ店舗は「松本パルコ」のみとなる。

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ジョイス水沢中央店、2019年2月24日閉店-メイプルの核、水沢駅前唯一の食品スーパー

岩手県奥州市のJR水沢駅前にあるショッピングセンター「メイプル」の核テナント「ジョイス水沢中央店」が、2019年2月24日午後7時をもって閉店した。

ジョイス水沢中央店。

水沢駅前唯一の食品スーパー、13年の歴史に幕

メイプルは1985年11月、総合スーパー「ジャスコ」を核に「ショッピングシティメイプル」として開業。建物は地上4階地下1階建。水沢駅前を代表する大型商業施設として、ダイエー水沢店(旧・ヤマニ三春屋)、水沢マルカン百貨店、マルサン百貨店とともに一時代を築いたが、2005年5月のジャスコ撤退を機に一時閉店していた。
その後、水沢市(現・奥州市)、水沢商工会議所(現・奥州商工会議所)が出資する「水沢クロス開発」が施設を取得し、日本ショッピングセンター協会による支援のもと、2006年4月に再開業を果たした。改装後の店舗面積は7,738㎡。
食品スーパー「ジョイス」を核に、ドラッグストア「クスリのダルマ」、100円ショップ「ダイソー&アオヤマ」、長崎屋の衣料品スーパー「サンバード」FC店舗を前身に持つ「暮らしの衣料館すまいる」(2013年7月に名称変更)など約30店舗が出店。
地下1階(旧ジャスコ食品売場)は公共施設として「市民活動支援センター」「地域包括支援センター」「勤労者福祉サービスセンター」など7施設が入居する。

メイプル。

ジョイス水沢中央店は水沢駅前唯一の食品スーパーであり、同店の閉店後、駅周辺のスーパーは駅徒歩15分ほどの距離にある「ユニバース水沢日高店」「ジョイス水沢原中店」のみとなるため、早急な後継店舗の誘致が期待される。

追記:マルイチが新たな核店舗として出店する。

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井筒屋、宇部井筒屋跡を宇部商工会議所に売却へ-ゆめタウン宇部には井筒屋小型店、2019年3月20日開店

北部九州・山口地盤の地方百貨店「井筒屋」(北九州市小倉北区)と「宇部商工会議所」(山口県宇部市)は、「宇部井筒屋」(山口井筒屋宇部店)店舗跡の土地・建物を宇部商工会議所に売却することを2019年2月19日に発表した。
その一方で、井筒屋はゆめタウン宇部に「井筒屋宇部ショップ」を2019年3月20日に開業させている。

宇部井筒屋。

旧店舗を商議所に売却

宇部井筒屋(山口井筒屋宇部店)は1933年に開業。建物は地上4階地下1階建、売場面積は7,683㎡、山口井筒屋が自社物件として保有する。年商は約28億円(2018年2月期)であった。
開業当初は山口地盤の百貨店「ちまきや」傘下の店舗であったが、1969年10月に井筒屋が資本参加して以降、井筒屋色を段階的に強め、1972年には現在の屋号、1977年には現在の建物で運営が行われるようになった。
同店は面積が狭く、無料駐車場もあるため近年も黒字を計上する年があるなど、地方都市にしては比較的好調であったが、井筒屋本体の経営経営悪化と老朽化のため、2018年12月31日をもって閉店していた。
宇部井筒屋跡では、2019年1月5日から3月中旬まで1階東玄関に「お問い合せカウンター」を設ける暫定利用が行われているが、3月下旬以降の跡地利用方針は未定であった。

井筒屋宇部ショップ、ゆめタウン1階に開店

井筒屋は同店に代わる新たな拠点として、ゆめタウン宇部1階に「山口井筒屋宇部ショップ」を3月20日に開店させる。同店の売場面積は444㎡で、取扱品目は食品(銘菓は「いのくま」「御堀堂」「山陰堂」など)、化粧品、婦人服、ファッション雑貨など。地元紙・宇部日報によると店員数は38人で、外商店員も擁する。
3月20日から24日までは記念イベントとして「伊万里真珠フェア」「お楽しみ袋販売」などが開催される予定。
また、税込2,160円以上お買い上げで先着500名に紅白饅頭がプレゼントされる。

宇部井筒屋の新店舗イメージ。

井筒屋が単独店の閉店後に店舗をゆめタウンに移店させるのは中津井筒屋、大牟田井筒屋に続いて3店舗目で、いずれも約500㎡前後の売場面積となっている。なお、このほか飯塚井筒屋についてはイオンに移店している。
ゆめタウン宇部では改装に合わせて「サマンサモスモスブルー」「エムニ」などの新規テナントも導入している。

地盤沈下進む宇部市中心部、新施設は起爆剤となるか

宇部市の中心部である琴芝・新天町エリアでは、宇部井筒屋が閉店したほかにも、2009年4月に大型衣料品店「エムラ宇部店」が店舗再編の一環として呉服専門店「エムラきもの館」に業態転換、2019年2月25日には地場大手総合スーパー「宇部丸信」跡の「レッドキャベツ新天町店」(現在はイオン系)が閉店、2018年10月にファミリーレストラン「ジョイフル」も閉店するなど地盤沈下が深刻化しており、10年の間に市街地から百貨店、大型スーパー、100円ショップ、衣料スーパー、ファミレスが消滅することとなった。
レッドキャベツ新天町店。

宇部商工会議所は、宇部井筒屋跡を2021年に解体、新たな複合施設を2023年に開設することを検討しているが、大型店の相次ぐ撤退により市中心部の先行きは不透明な状況にある。
宇部井筒屋跡が、市民生活の向上に繋がる「賑わい創出の起爆剤」として有効活用されることが期待される。

追記:宇部商工会議所は3月26日に臨時議員総会で取得を否決、会頭は辞任。跡地問題は棚上げされることとなる。

井筒屋宇部ショップ

住所:山口県宇部市黒石北三丁目4-1 ゆめタウン宇部 1階
営業時間:9:00~21:00

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ヤナゲン百貨店大垣本店、2019年8月31日閉店

岐阜県大垣市の大垣駅前にある「ヤナゲン百貨店大垣本店」が、2019年8月31日をもって閉店する。
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ヤナゲン百貨店。手前からA館、B館、C館。

創業109年の老舗百貨店、かつては3館体制だった

ヤナゲンは1910年に柳源呉服店として創業。1966年に百貨店化した。かつては「ヤナゲン百貨店」(A、B、C館の3館体制、約22,000㎡)とインテリア専門店「ヤナゲンFAL」(旧岐大ホームセンター)、スーパーの「ヤナゲンストアー」を擁していたが、債務超過に陥り2000年には大垣共立銀行管理となり、2005年には大手スーパー「平和堂」の傘下となるとともに本店B館1階の大規模改装とC館の閉鎖を実施した。
2011年にはヤナゲンFALを平和堂の「アル・プラザ鶴見」に縮小移転、2016年8月には再開発により本館の売場をA館1館に集約するなど経営合理化を進めていたが、名古屋・岐阜エリアの百貨店や大垣駅北口のショッピングセンター「アクアウォーク大垣」との競合もあり厳しい経営状況が続いていた。再開発の影響により食品売場が消滅したことも痛手だったと思われる。
ヤナゲンはFAL店の閉店も発表しており、同社は109年の歴史に幕を下ろすこととなる。

(続きは続報が出次第更新します)

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