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丸栄、2018年6月30日閉店-サカエの顔、403年の歴史に幕

愛知県名古屋市中区栄の老舗百貨店「丸榮」(丸栄)が2018年6月30日午後7時すぎに閉店し、前身の「十一屋呉服店」から403年の歴史に幕を下ろした。

百貨店営業終了日の丸栄。

創業403年、名古屋が誇る「4M」の一角

丸栄は1615年に創業した「十一屋呉服店」を起源に持つ。
太平洋戦争最中の1943年、企業整備令に基づく百貨店整理統合により、当時大手百貨店であった「丸物」傘下の「三星百貨店」と合併して現在の屋号となった。1952年には建築家・村野藤吾の設計で、戦後に出来た建物を増築する形で現在の本館(地下2階、地上8階)が完成。外観にモザイクタイルの壁画(1枚目参照)や、1階エレベーターの扉にあしらわれた東郷青児の絵など、豪華な内外装は栄地区の名物となった。

日本建築学会賞受賞作品である。

その後は繰り返しの増床や別館「丸栄スカイル」の開館(1973年)などを行い、名古屋の百貨店群を指す「4M」(丸栄、松坂屋、三越、名鉄百貨店の共通する頭文字Mを取ったもの)の一角として大きな存在感を示してきた。
また、消費低迷の煽りを受けていた1999年には、当時百貨店では異例であったギャル系アパレルフロア「モード&ヘルシー」を本館1階・2階に導入。当時“名古屋嬢”と呼ばれた地元の若者からは、丸栄ならぬ「ギャル栄」としてコアな支持を集めた。
しかし、名古屋パルコ(1989年開店)、JR名古屋高島屋(2000年開店)、三越ラシック(2005年開店)といった競合店の進出(進出計画)もあり、2003年には丸栄スカイルからの実質的な撤退を決めるなど、厳しい経営状況が続いた。

興和との提携から10年、ついに閉店

丸栄は2008年に製薬(コルゲンコーワ)などで知られる大手商社「興和」(名古屋市)と業務資本提携を締結、2010年には豊橋丸栄(現・ほの国百貨店)を投資ファンドに売却し、経営再建を加速させた。
しかし、2017年2月期決算では3期連続の赤字を記録するなど慢性的な業績不振からは抜け出せず、2017年7月には興和の完全子会社入りし、同年12月には丸栄の営業終了と近隣施設との一体的な再開発が発表された。
再開発についての詳細は過去記事を参照

賑わう最終日-パネル展や過去の人気催事も開催

丸栄では5月17日から全館で閉店セールを開催。一部テナントが先行して営業を終了していたもの、閉店を惜しむ買物客で賑わった。
7階では企画展示イベントとして「マルエイ75年のあゆみ-伝えたい記録、残したい記憶-パネル展」が開催された。

「マルエイ75年のあゆみ」パネル展

歴代の紙袋・包装紙からお中元・お歳暮カタログ、案内員の制服といった百貨店では定番のアイテムから、丸栄の顔でもあった「モード&ヘルシー」のポスターやミニファッション情報誌「スナッピー」、人気催事「鉄道模型展」や「KYOSHOフェア」で販売された特注商品まで並べられ、買物客は物思いにふけっていた。

丸栄らしさあふれるパネル展。

最終営業日となった6月30日は、5月17日から続いていた閉店セールにより売場が大幅縮小しており、地下食品売場「できたて栄市場」「とれたて栄市場」では、生鮮食品のみならず、菓子からワインまで商品棚から姿を消していたが、閉店を惜しむ買物客で売場は普段以上の賑わいを見せた。
閉店に伴い、名古屋から完全撤退する人気飛騨牛ステーキ店「キッチン飛騨」では、商品が最大半額以下となるセット販売企画を打ち出していたこともあり、店員がいくら商品の補充を続けても、買物客がすぐ商品を買い占めるといった光景がみられた。
また、惣菜専門店各店でも多くの店が昼過ぎには商品を売りつくした。
数日前から店舗用品の新規発注を止めていたこともあり、丸栄の買物袋を店舗間で融通し合う様子もみられた。

7時55分、ついにシャッター降りる

午後7時10分から丸栄東玄関口では閉店式典が始まり、浜島吉充丸栄社長により同社の歴史と買物客への御礼が語られると、周囲の買物客から拍手が巻き起こった。7時37分には「永年のご愛顧、誠にありがとうございました。」と書かれたカーテンが売場を覆い隠し、55分頃から玄関のシャッターがおり始めた。

閉店式典のようす。

丸栄では、子供にハイタッチし「やりきったぞ!」と微笑む社員や涙を流す常連客も見られるなど、最終営業日ならではの光景が広がった。その一方、丸栄では閉店30分以上前から顧客の誘導を行っていたこともあり、店舗では閉店による目立った混乱は見られなかった。
丸栄は百貨店店舗の営業終了後も当面は外商事業に特化して事業を継続すると発表しているが、丸栄跡地に建設される予定の再開発ビルの運営に携わるかについては未定となっている。

外部リンク:丸栄 MARUEI – 名古屋・栄の百貨店 催事や名古屋名物Shopping
関連記事:丸栄、2018年6月30日閉店-403年の歴史に幕、再開発へ
関連記事:名古屋市営地下鉄の「サークルK」8店、ローソンに-池下駅店は“ドアラまみれ”
関連記事:KITTE名古屋、4月1日グランドオープン-「名古屋駅バスターミナル」開業に合わせて

JR宇都宮駅東口再開発、公民8棟を整備へ-野村不動産らが開発、LRT開業に向けて

宇都宮市は、JR宇都宮駅東口における再開発事業の優先交渉権者を、野村不動産など複数企業が作る「うつのみやシンフォニー」に決定したことを6月25日に発表した。
同社の計画が実現すれば、民間・公共合わせて8棟の施設が建設されることになる。

再開発後のイメージ。

JR駅東口の2万7千㎡、現在は餃子専門店が立地

再開発対象地域はJR宇都宮駅東口「宮みらい地区」の市有地約2万7千㎡。
現在は「宇都宮餃子館」、「みんみん」といった餃子専門店が立地する以外、ほとんどのスペースが平面駐車場として利用されている。

現在は餃子専門店が立地している。

LRT開業に合わせた再開発、野村不が交渉権獲得

市では、2022年3月に「宇都宮ライトレール」(以下、LRT)の優先整備区間(JR宇都宮駅東口〜本田技研北門)が開業するのを前に、LRTの停留所(ターミナル)が出来る同地区の再開発事業者を募集。
5月31日の日本経済新聞社の報道によると、野村不動産、大和ハウス工業、イオングループ、ヨドバシカメラを代表とする4組から応募があったが(うち1組は途中辞退)、選考により野村不動産らが作る「うつのみやシンフォニー」が優先交渉権者となった。

JR駅東口に掲げられたLRT整備を目指す看板。

民間・公共8棟を整備へ-景観は一変か

優先交渉権者に選ばれたうつのみやシンフォニーは、「『うつのみや』を世界都市にするまちづくり」をコンセプトに、民間・公共合わせた8施設を整備する予定。
民間施設は「商業・宿泊・業務を複合した14階建てビル」、「5階建て立体駐車場」、「生活サポート・業務・宿泊・駐車場を複合した25階建てビル」、「6階建て医療施設」、「20階建て分譲マンション」の5棟。
公共施設は「最大2,000人収容のホール・会議室を複合した4階建てコンベンション施設」、「コンベンション施設との一体利用が可能な3フロアの交流広場」、「3階建て市営駐輪場」の3棟で、市の負担額は約105億円となる。

再開発後のイメージ。(別角度)

2022年3月のLRT開業に加え、これらの大規模再開発が実現すれば、長らく低密利用が続いてきたJR宇都宮駅東口の景観は一変することとなりそうだ。

(イメージ画像は宇都宮市公式サイトより)
外部リンク:宇都宮駅東口地区整備事業に関する優先交渉権者の決定(宇都宮市公式サイト)
関連記事:宇都宮オリオンスクエア、全天候型広場に改修へ-109跡地、2020年度までの完成目指す
関連記事:「宇都宮ライトレール」まもなく着工!-日本初の「新設LRT」、その計画概要は?(ハーバービジネスオンライン様提供記事)
関連記事:「ライトレール」に期待懸ける宇都宮市中心部――「タイムリミット」はすぐそこに(ハーバービジネスオンライン様提供記事)

棒二森屋、2019年1月31閉店-親会社のイオン、再開発か

閉店当日の様子はこちら

函館駅前の百貨店「棒二森屋」(ボーニモリヤ)を運営するダイエー傘下(イオングループ)の中合(福島市)は、同店を2019年1月31日に閉店させることを発表した。

棒二森屋。

函館駅前の顔、創業150年で閉店へ-現在はイオン傘下

森屋は大分県出身の渡辺熊四郎が「金森森屋洋物店」として1869年12月に創業、棒二は佐賀県出身の荻野儀平が「棒二荻野呉服店」として1882年に創業した。
両者は1936年に合併、「棒二森屋」となり、1937年に現店舗の本館を建設している。

現在の本館は戦前に建てられたもの。

1981年にダイエーが資本参加、1982年に専門店を多く導入した新館「アネックス館」が完成し、現在の姿となった。全館を合わせた売場面積は22,153㎡。
現在、本館は老朽化により耐震性が低いことが発表されており、ダイエーの親会社であるイオンは再開発をおこない、マンションや宿泊施設等を核とした建物に建て替えたい意向を発表していた。

手前が新館、奥が本館。

2017年4月にはアネックス館の人気テナントであった無印良品が五稜郭地区の再開発ビル「シエスタハコダテ」に移転している。

ダイエー傘下の百貨店、相次ぐ閉店-残るは2店

ダイエー傘下で百貨店事業をおこなう「中合」は2010年以降に「中合会津店」、「清水屋」(経営譲渡して存続)、「中合福島店2番館」、「十字屋山形店」店舗の多くを閉店しており、残る店舗は中合福島店、中合サテライト会津、三春屋(八戸市)の3店舗のみとなる。

2018年1月に閉店した十字屋。

閉店当日の様子はこちら

(写真撮影:地理人研究所

外部リンク:中合・棒二森屋店
関連記事:シエスタハコダテ、4月22日開業-旧ホリタ・ダイエー五稜郭店跡の大型再開発ビル
関連記事:福島駅東口再開発、野村不動産が参画発表-中合福島店、近い将来解体へ
関連記事:中合福島店二番館、8月31日閉館-旧・山田百貨店、築44年で老朽化

新宿スバルビル、2018年7月中に全テナントが撤退-旧富士重工業本社、小田急の再開発検討地域に

東京都新宿区のJR新宿駅西口にある「スバルビル」で、最後のテナントとなっている「マクドナルド新宿スバルビル店」が7月21日に閉店する。
スバルビルなどがある新宿西口エリアでは、小田急電鉄が大型再開発を検討している。
追記:8月から解体をおこなう方針だという。
追記:7月22日より閉鎖される。


新宿スバルビル。

旧・富士重工本社、2011年には小田急へ売却

新宿スバルビルは、富士重工業が1953年の設立時に入居していた東富士ビルを建て替える形で1966年1月に完成。
ビル完成と同時に1954年〜1965年まで丸の内にあった富士重工業(現:SUBARU)が再移転し、渋谷区恵比寿の新社屋に再び移転する2014年8月まで同社の本社として使用された。
その後、ビルは2011年3月に富士重工業から小田急電鉄へと売却されている。
建物は地下4階、地上9階建てで、地下2階と地下1階の「スバル名店街」に商業テナントが出店。地下1階には彫刻家・宮下芳子制作のオブジェ「新宿の目」が設けられている。

新宿の目。

小田急の再開発検討地域に-老朽ビルの将来は?

スバルビルでは富士重工業本社の移転以降、「JTB」や「クスリの龍生堂薬局」など商業テナントの撤退が加速。7月21日の「マクドナルド」の閉店をもって、ビルの全てのテナントが撤退することとなった。マクドナルドのみとなったテナント。

スバルビルを所有する小田急電鉄は、小田急百貨店本館、小田急ハルク、小田急ミロードといった自社施設が集中する新宿西口エリアでの再開発を検討中で、2020年度以降に各種整備事業に着手する予定だという。

現時点でスバルビルの今後についてはアナウンスされていないものの、築52年と老朽化しているビルの余年はそう長くはないとみられ、 今後の大型再開発に向けた動きが注目される。
追記:8月から解体をおこなう方針だという。

関連記事:コムサストア新宿、7月16日閉店-コムサの旗艦店、18年の歴史に幕
関連記事:ユニオンレコード新宿、4月20日開店-ディスクユニオンのレコード店、半世紀ぶり「再誕」
関連記事:小田急グループ、セブンアイと業務提携へ-駅売店は「セブンイレブン」に転換

サニーTSUBAKI、2018年6月27日に本店以外営業できず-商品券販売直後で市民殺到

愛媛県松山市の地場食品スーパー「サニーTSUBAKI」(サニー椿)が6月27日に古川店(本店)以外の営業をおこなわず、古川店でも商品が少ない状態となり、商品券を持った多くの市民が押し掛ける騒ぎとなった。

サニーTSUBAKI道後店(2014年撮影)。

松山市の地場スーパー、旧名「サニーマート」

サニーTSUBAKIは1954年創業。愛媛県松山市に古川店(旧・椿店)、桑原店、道後店の3店舗を展開する。
(道後店は閉店した旧・エフコ跡地の居抜き出店)
松山市民を中心に長らく「サニーマート」の屋号で親しまれていたが、高知県に本社を置く地場大手スーパー「サニーマート」など類似名称のスーパーが複数あることもあり、2014年に現在の屋号に改称していた。同社は高知県に本社を置くサニーマートと資本関係はなく、単に名前が同一なだけであった。
近年はテレビCMを増やし、同社の桑原哲也専務(通称:てっちゃん)を前面に押し出した、販促キャンペーン(てっちゃんカード、てっちゃん商品券、てっちゃん楽々便など)で知名度を高めていた。また、自動車展示会をおこなったり地元アイドル「愛の葉Girls」を一日店長として招くなど、店舗でのイベント開催も大きく増やしていた。
サニーTSUBAKIは先週もプレミアム商品券(てっちゃん商品券)を販売したばかりで、営業している古川店には商品券を持った多くの市民が詰めかけた。

地場大手スーパーが支援か

地元メディアの報道によると、サニーTSUBAKIの”一時閉店”(本店以外)は資金繰りの悪化によるもので、地場大手スーパーの支援を受けることができれば7月中に営業を再開する見込みだというが、6月27日現在交渉中だという。
てっちゃんカードは今後使用することができなくなるため、7月10日(火)と7月24日(火)に商品券への交換がおこなわれる。今後支援企業が決まった場合、商品券は支援企業が引き継ぐものとみられる。

追記:民事再生手続開始、伊予銀とフジの支援で再建図る

サニーTSUBAKIは民事再生法申請を6月29日発表した。
同社は今後も、伊予銀行による融資と地場大手スーパー「フジ」による物流支援により営業を継続する予定としている。商品券に関して詳細な発表はないもの、営業中の古川店では29日時点でも利用可能となっている。

外部リンク:ウェブサイトは現在アクセス不可(6月27日現在)
関連記事:フジ、3月から店舗ロゴを変更へ-創業50周年で、新スローガンも制定
関連記事:道後温泉駅の駅舎内に「スタバ」、12月22日開店

イトーヨーカドー、シェアサイクル事業に参入-総合スーパー初、2020年度まで30店で展開へ

総合スーパー「イトーヨーカドー」(千代田区)は、「シナネンサイクル」(港区)と「OpenStreet」(港区)との協業でシェアサイクル事業に参入した。
総合スーパーがシェアサイクル事業に参入するのははじめて。

イトーヨーカ堂に設置されるシェアサイクルの駐輪場。
(イトーヨーカドー公式サイトより)

イトーヨーカドー浦和店から事業開始

シェアサイクル事業は、イトーヨーカドーが敷地内に電動自転車を借用・返却できる駐輪場(ステーション)を提供し、シナネンサイクルが自転車の管理・運営、OpenStreetがシェアサイクルのプラットフォーム「HELLO CYCLING」のシステム提供をそれぞれ行うというもの。
6月21日よりJR浦和駅前の「イトーヨーカドー浦和店」でサービスを開始。利用料金は15分60円で、24時間まで1,000円。最大駐輪可能台数は11台。

イトーヨーカドー浦和店。

浦和店が位置するさいたま市では、「HELLO CYCLING」のステーション(駐輪場)が、同じセブン&アイHDのセブンイレブンを中心に128ヶ所(5月28日時点)で展開しており、駅近のイトーヨーカドー浦和店は利用頻度の高い「マザーポート」となることが期待される。

「駅近」多いヨーカドー、20年度末まで30店展開へ

今後はさいたま市のように「HELLO CYCLING」が展開されているエリアのイトーヨーカドー店舗を中心にステーションの設置を進め、2018年度中に10店200台、2020年度末までには全国30店、500台規模の展開を目指すという。
首都圏のイトーヨーカドーでは、浦和店のように「駅近」に立地する店舗が多く、ヨーカドーを拠点としたシェアサイクルの普及により「放置自転車の削減」や「住民の移動利便性の向上」といった都市問題・生活環境の改善が期待される。

「駅近」立地の多いイトーヨーカドー。
(写真はJR大森駅、京急大森海岸駅にほど近い大森店)

ニュースリリース:総合スーパー初!全国へ本格展開を開始イトーヨーカ堂とシナネンサイクル、OpenStreet が シェアサイクルで協業~2020 年度末までに 30 店 500 台を設置~(イトーヨーカドー公式サイト)
関連記事:ファミール、閉店ラッシュ続く-ヨーカドーでお馴染み、サイゼリヤへの転換相次ぐ
関連記事:ポッポ、2月末までに大量閉店-ヨーカドーでお馴染みのファストフード店、10年間で半分以下に
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金石堂書店城中店、2018年6月24日閉店-変わる書店街、老舗大型書店も閉店

台北市中正区の書店街「重慶南路」(旧・本町通り、榮町)にある老舗大型書店「金石堂書店城中店」が6月24日に閉店した。
(金石堂書店城中店、6月24日結束營業。)

金石堂書店城中店。

日治時代のビルに出店-歴史的建造物としても知られる

金石堂書店城中店は1984年に開店。開店当時は台湾を代表する大型書店で、金石堂書店の旗艦店として多くの市民に親しまれた。
金石堂書店の建物は1923年に建設された歴史的建造物で、日本統治時代は写真機材店「西尾商店」(西尾商会)であった。
当地は戦前から西尾商店の向かいに台北市最大の大型書店「新高堂書店」(1898年開店)が出店していたこともあり、古くから「書店街」として知られてきたエリア。台北駅や台湾博物館からも近く、日本人観光客にも親しまれてきた。
なお、書店街の基礎を築いた「新高堂書店」は戦後都内に移転し、現在も中目黒駅前で営業中である。

変わる台北の書店街-「駅チカ」で異業種進出相次ぐ

台北市中心部の書店街として永年親しまれた重慶南路であったが、台北駅に近い好立地であるが故に、近年はホテルや飲食店が多く出店。地価の高騰と、近隣エリアへの新興の大型書店出店(誠品書店、アニメイトなど)やネット通販の台頭により、書店が相次ぎ閉店している。

重慶南路の書店街。

金石堂書店は2013年に店舗を改装し、雑貨なども扱う複合書店へと転換したものの、結局34年の歴史に幕を下ろすこととなった。
地元メディアの報道によると、閉店は建物のオーナーの意向によるもの。
今度は新たな店舗が出店するものと思われるが、地域を代表する大型書店の閉店により「書店街の華」がまた1つ消えることとなる。

外部リンク:金石堂:中文書、英文書、雜誌、文具、服飾、禮品、百貨購物
関連記事:新光三越台北南西店2号館、5月15日閉店-旧・衣蝶の旗艦店
関連記事:西門紅楼、3月1日リニューアルオープン-台北の市場建築、築110年で
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天ぷらスガキヤ万松寺通り店、2018年6月21日開店-スガキヤ「天ぷら専門」の新業態

ラーメン・甘味専門店「スガキヤ」を運営するスガキコシステムズ(名古屋市)は、名古屋市中区大須万松寺通に天ぷら専門の新業態「天ぷらスガキヤ万松寺通り店」を2018年6月21日に開店させた。

天ぷらスガキヤ万松寺通り店。

試行錯誤の歴史もつスガキヤの天ぷら店

スガキコシステムズは名古屋市栄に「甘党の店」として1946年創業。1958年に「株式会社寿がきや」を設立し、1994年に現社名となった。
東海地方を中心に「スガキヤ」、上質志向のラーメン店「らーめん寿がきや」、博多うどん店「木村屋」を運営するほか、合弁会社を通じて台湾、インドネシアにも店舗を展開する。
同社は2015年にも天ぷら専門店「寿、一得庵」を岩倉市に出店したが2016年6月に撤退。その後、2016年7月には天ぷら・博多うどん専門店「一得庵」を名古屋市に出店したものの、新規出店はおこなわれていなかった。

セルフサービス導入で低価格化を実現

「天ぷらスガキヤ万松寺通り店」では「ごはん」「味噌汁」のセルフサービス化を実施。先述の「一得庵」よりも販売価格が抑えられたことが特徴となっている。
ごはん、味噌汁もセルフサービスとなっている。


とり天ぷらセットはこのボリュームで400円台。
セルフ盛り付けのため大盛りも自由自在だ。

近年、天婦羅業界は「和食さと」で知られるサトレストランシステムズや「丸亀製麺」で知られるトリドールなどが新規参入しており、競争激化しつつある。
新規参入となった「天ぷらスガキヤ」がセルフサービスで差別化をおこない、店舗網を増やしていけるか注目される。
サトが運営する「天丼・天ぷら本舗さん天」。

外部リンク:平成30年6月21日(木) 「天ぷらスガキヤ 万松寺通り店」オープン
関連記事:コメダ珈琲店、近く「全都道府県」への出店達成-「空白地」沖縄・青森の進出めざす
関連記事:丸栄、2018年6月30日閉店-403年の歴史に幕、再開発
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大沼米沢店、2018年4月25日全館リニューアル-再建中の大沼、米沢店の売場を3フロアに集約

経営再建中の百貨店「大沼」(山形市)は、支店の「大沼米沢店」の売場を3階以下の3フロアに集約する改装をおこない、4月25日に全館リニューアルオープンした。

大沼百貨店米沢店。

投資ファンド傘下で経営再建中の大沼

大沼は1700年に創業。1950年に百貨店となった。
1970年には支店として米沢店、1971年には酒田店を出店し、経営規模を拡大した(酒田店は酒田大火により移転、その後ダイエーに譲渡され閉店)。2018年現在は、山形本店、米沢店、新庄ショップの3店体制となっている。
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大沼百貨店山形本店。

大沼は仙台市の大型店や県内の郊外店との競合により2016年度まで4期連続の経常損失を出すなど経営状態が芳しくなかったが、2017年度より企業再生ファンドの「マイルストーンターンアラウンドマネジメント」(MTM社、東京都)の出資を受け再建を図ることを発表。折しも山形市内では十字屋山形店の閉店が決まっており、山形店、米沢店を改装することで新たな顧客の獲得に向けて動き始めていた。

大沼米沢店、売場を3階以下に-今後は本店も改装

大沼米沢店は1970年に大沼百貨店(山形市)の支店として開店。
6階建てで、売場面積は6,769㎡。山形県置賜地方で唯一の百貨店となっている。2016年度の年商は16億円であった。
改装後の米沢店は売場として1階から3階までの3フロアを活用。4階の一部は文化教室となり、5階から6階は閉鎖されることとなる。
1階は食品、化粧品、宝飾、婦人服。生鮮品の面積を拡大するなど、食品を充実させた。
2階には婦人服を集約、4階から子供服売場を縮小・移設した。
3階は従来は婦人服売場であったが、婦人服(縮小)に加えて5階からリビング売場、4階から紳士服売場を縮小・移設している。

化粧品売場の向かいにあるワールドの「シューラルー」(右)は大沼がFC運営する。

大沼米沢店の改装はあくまでも第一段で、今後も改装の可能性があるという。同店には現在飲食店が入居していないが、高齢者が多いほか、観光地である米沢城跡や上杉神社も近い店舗だけに、喫茶・休憩スペースの設置も望まれるであろう。
今後は大沼山形本店の改装も行われるという。

大沼米沢店

住所:山形県米沢市中央1-2-17
営業時間:10:00~18:30

外部リンク:大沼
ニュースリリース:大沼米沢店 新フロア案内図
関連記事:大沼、企業再生ファンドに経営譲渡で再建へ
関連記事:十字屋山形店、1月31日閉店-全国最後の十字屋デパート
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関連記事:店舗撤退で公共化進む山形・七日町、AZも公共化検討へ-再開発に期待かける七日町(2)

「びっくりドンキーに侵食されたファミマ」、6月30日閉店-ファミリーマート塚西店

大阪市西成区玉出東のコンビニ「ファミリーマート塚西店」が、6月30日に閉店する。
同店は「びっくりドンキーに覆われたコンビニ」として話題を集めていた。

ファミリーマート塚西店(下)。

「コンビニとしての意識があるうちに殺してくれ」と話題

ファミリーマート塚西店は阪堺電気軌道阪堺線塚西電停そばに立地する。2階にはハンバーグレストラン「びっくりドンキー帝塚山店」が出店。その強烈な外観から、ネット上では「びっくりドンキーに命を吸い取られそう」と大きな話題を呼んだ。

6月30日に閉店-びっくりドンキーは営業継続

ファミリーマート塚西店の閉店日は6月30日。都商研の取材によると、閉店の理由は明らかに出来ないといい、今後の用途についても未定だという。
また、上階で営業するびっくりドンキー帝塚山店は現時点で閉店の予定はないという。
ファミリーマートは6月30日で閉店。

ネット上で話題になり、最近は高級住宅街・帝塚山の新名所(?)と化していた同店も「コンビニとしての意識があるうちに消滅」となってしまうことになる。閉店前に一度訪れてみてはいかがだろうか。

外部リンク:びっくりドンキー帝塚山店
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関連記事:ファミリーマート、「フィットネスジム」併設店を展開へ-2018年2月から
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