7Pay、2019年9月30日廃止-問題相次ぎ僅か3ヶ月で終了、nanacoポイント還元率見直しも検討

セブン&アイHDは、自社グループ独自のスマホ決済サービス「7pay」を2019年9月30日に廃止することを発表した。

セブン-イレブン

セブン&アイHD共通スマホ決済を目指した7Pay

7Payは、セブン&アイHDの金融統括会社「セブン・フィナンシャルサービス」と「セブン銀行」の共同出資により設立された「セブンペイ」により、2019年7月1日に傘下のコンビニ「セブン-イレブン」でサービスを開始。7Payはセブン-イレブン利用客を対象とした「セブン-イレブンアプリ」と一体的なサービスの展開、多様なチャージ手段の提供、7payでの支払いに応じた「nanacoポイント」「バッジ」「マイル」の付与を特徴として打ち出し、当初は将来的なグループ横断的ロイヤリティプログラムの実施も検討していた。

不正利用でサービス停止の7Pay、3ヶ月で完全廃止に

7Payはサービス開始に際して、店頭でのチラシ配布や7Pay登録者を対象に「税込160円未満のおにぎり」を1個配布する大規模販促イベントを実施していたが、7月1日のサービス開始直後より一部ユーザーのアカウントで、第三者による7Payアカウントでの不正アクセス(多額のチャージ、支払など)が行われる問題が生じていた。
セブン&アイHDは、上記の不正アクセス問題を受けて、7月3日より新規登録受付及び外部IDによるログインサービスの停止、段階的な7Pay残高チャージ機能の停止、海外IPを経由したアクセスの遮断、システムの改修や二段階認証提供の検討を進めるセキュリティ対策プロジェクトの設置を相次ぎ打ち出したが、サービスの全面再開に相応の期間が必要であること、利用客の不安を理由に7Payのサービス廃止に至った。

混乱続くセブン&アイ、今後は外部サービス中心に方針転換

セブン&アイHDが自社グループ共通スマホ決済として普及を目指した7Payであるが、発表当初からスマホ決済導入による集客力向上、買物客の利便性向上に結び付く効果については疑問視されていた。同社は2007年以来、自社グループ共通電子マネー「nanaco」を軸とした販促を実施していたが、今回の7Pay導入にあたりポイント付与率を「100円1ポイント」から「200円1ポイント」に半減、「セブンマイルプログラム」(2019年9月開始予定)との併用を必要とする複雑なサービス体系に変更したことで、買物客にとっては事実上従来のポイント数と同等のポイントが獲得可能であるが、nanaco1枚で決済・ポイント交換可能という利便性が損なわれる結果となった。
セブン&アイHDの7Pay普及に向けた取組みは、系列外企業のスマホ決済を導入しつつ既存自社グループ共通電子マネーの還元率増額を打ち出した「イオングループ」(WAON)や自社スマホ決済の導入に加え既存自社系クレジットの特典を大幅拡充した「ファミリーマート」(ファミペイ・ファミマTカード)と対照的な顧客視点やユーザビリティを軽視した施策であった。
さらに同社が7月30日に実施した「7iDパスワード」の強制リセットにより、7Pay利用者に加えて、セブン&アイHDの総合通販サイト「omni7」利用者にもさらなる混乱を引き起こしており、キャッシュレス決済のみならずインターネットサービスに対する信頼性を大きく毀損するものとなった。

セブン&アイHDは、7Pay廃止後のキャッシュ化への対応に関して「グループ外部の様々な決済サービスとの連携を積極的に推進する」とコメントしており、今後はPayPayやLINEPay、メルペイなど系列外企業のサービスを軸としたサービス提案を行っていくものとみられる。また、7Pay開始に伴いポイント還元率を半減したnanacoについても還元率の見直しを表明している。同社によるキャッシュレス決済の信頼性回復に向けた新たな取組みに期待したい。

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