大手流通グループ「イオン」は、商標「AEON Pay(イオンペイ)」を2019年10月7日に出願した。
AEON Pay(特許情報プラットフォームより)。
4月にPayPay導入のイオン、利用可能店舗は一部のみ
イオングループは2007年4月に自社グループ主導の電子マネー「WAON」をサービス開始して以降、「Suica」を始めとする各種交通系電子マネー、「iD」「QUICPay」など後払い方式の電子マネーを順次導入するなど、競合他社と比較し早くから複数の決済手段を導入していた。
その一方、スマホ決済については2019年4月17日にイオンリテールが関東1都6県・山梨県の総合スーパー32店舗に「PayPay」を導入、4月25日にはイオン九州がイオンショッパーズ福岡店(旧・ダイエーショッパーズ福岡店)に「PayPay」「LINEPay」「OrigamiPay」を導入したが、利用可能店舗数は増加しておらず、9月にPayPayの全店導入を開始したイトーヨーカドー、西友、ライフといった競合企業と比較したても、大きく出遅れている現状がある。
また、2020年までにイオングループ約16,700店舗(10万台のレジ)に導入予定の大手クレジットカード会社による「NFC決済」についても、イオンカードへの「Visaのタッチ決済(コンタクトレス決済)」標準搭載が始まったもの、実店舗での普及は進んでいない。
相次ぐ「Pay」出願、イオンペイのサービス開始は未定
小売業各社では以前より、顧客の囲い込みを目的とした利用可能店舗が自社店舗に限られる競合との優位性の乏しい独自電子マネーの発行が数多くみられる。
2019年7月にセブン&アイHDがサービスを開始した「7Pay」についても、スマートフォン端末によるキャッシュレス決済普及による既存のグループ共通電子マネー「nanaco」からの顧客流出を防ぐ狙いがあったとされるが、不正アクセス問題により9月30日をもってサービスを終了している。
2019年1月28日には大手家電量販店「ヨドバシカメラ」が商標「ヨドペイ」を出願、7月1日にはファーストリテイリングが商標「UNIQLOPay(ユニクロペイ)」を出願しているが、どちらもサービス開始に至っておらず、ファーストリテイリングは8月以降「ユニクロ」「GU」へのPayPayの全店導入を進めているため、イオンが新たな決済サービスとして直ちにAEON Payをサービス開始する可能性は低く、当面の商標保護を目的としたものと考えられる。
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