カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

イオンそよら長原駅前、2025年春開業-大阪市営長吉長原東第3住宅跡地再開発、旧ダイエーの事実上の後継店に

大阪府大阪市平野区の大阪メトロ(旧大阪市営地下鉄)谷町線長原駅前に、イオンリテールのショッピングセンター「そよら長原駅前」が2025年春に開業する。

イオンそよら、長原駅前再開発の商業核に

そよら長原駅前は、大阪市による開発条件付き市有地「もと長吉長原東第3住宅用地(長原駅前用地)」売却の一環として行われた公募型プロポーザルを経て建設されるもので、建物は地上2階建で敷地面積は9,865㎡、店舗面積は7,500㎡、延床面積は12,757㎡。

イオンそよら長原駅前。

イオングループは長年、平野区内の出戸駅前で総合スーパー「イオン長吉店(旧ダイエー長吉店)」を営業していたが、再開発のため、2023年8月をもって閉店していた。イオン長吉店の事実上の後継店となる新施設では、コンセプトに「集う・通う・繋がる“ひらの”新しい街の生活拠点」を掲げ、同社直営スーパー「イオンスタイル長原駅前」を核とする都市型ショッピングセンターを形成する。

長原駅前では不動産各社による大規模マンション開発も

長原駅前用地の開発事業予定者には「長谷工コーポレーション」「SMFLみらいパートナーズ」「近鉄不動産株式会社」「NTT都市開発」「清水総合開発」といった大手不動産ディベロッパーが名を連ねており、各社によるグレードの高いマンションの開発が見込まれる。イオンリテールは再開発が進む同地において「地域における「にぎわい・集客拠点施設」としての機能」を担うとしている。

そよら長原駅前

住所:大阪府大阪市平野区長吉長原東二丁目1番街区

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イオン双葉店、2025年春開店-双葉駅東地区商業施設、町内では震災後初の食品スーパーに

福島県双葉郡双葉町のJR常磐線双葉駅前に、イオン東北(本社:秋田市)の食品スーパー「イオン双葉店」が2025年春に開店する。

双葉町の新たな玄関口に

イオン双葉店は、双葉町が「まちなか再生ゾーン」として位置づける双葉駅東側の公設民営型新施設「双葉駅東地区商業施設」の核店舗なるもので、建物は平屋建、敷地面積は約770㎡、建物面積は約300㎡。
同店の進出は、2023年10月11日の公募型プロポーザル方式による出店候補者の審査、2024年4月9日の「双葉町における商業環境整備に関する覚書」締結により決まったもので、イオン東北が震災復興の一環として立ち上げた業態(広野店・浪江店)のノウハウを活かした食料品・日用品・家庭用医薬品を取揃えるイートインスペース併設店舗となる。また、商業施設別棟(町立体育館跡地)には飲食店3棟も整備される。

イオン双葉店。

双葉町では駅東地区商業施設にあわせ、町新庁舎の整備を進めており、地域の玄関口の新たな拠点として、駅西側の新市街地ゾーンや中野地区復興産業拠点とともに、町内への帰還・定住促進に大きな役割を担っていくものとみられる。

イオン双葉店

住所:福島県双葉郡双葉町大字長塚字町西39-4(双葉町役場前)

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クスリのアオキ、ママイを2024年9月1日吸収合併-業績低迷続く愛媛地場大手、フレッシュバリューのアオキ化で再生めざす

大手ドラッグストア「クスリのアオキ」(本社:石川県白山市)は、グループの愛媛地場大手食品スーパー「ママイ」(クスリのアオキHD連結子会社/本社:愛媛県四国中央市)を2024年9月1日付で吸収合併する。

愛媛地場大手食品スーパー、年商は最盛期の「1/4」に

ママイは、1976年2月に愛媛県川之江市(現四国中央市)のニチレイ系冷凍食品製造会社「伊勢丸食品」を母体とする食品商社「伊勢丸商事」として設立。
設立当初は「ママイ」ブランドでの店舗展開を行っていたが、1994年にEDLP型新業態「エムツー」、1995年にはバリューグループ系新業態「バリュー」、1998年に現在の主力業態「フレッシュバリュー」を立ち上げるなど、業態開発を積極化。
2000年8月にはマイカル松山サティ跡の「銀天街GET!」、2006年5月にはダイエー南松山店跡の「ジョープラ」に食品核として進出するなど、店舗網の拡大と売場面積の大型化を図り、最盛期となる2005年8月期には売上高290億円を記録した。
一方、その後の同社の業績は競合他社との競争激化を背景に低迷が続いており、2018年11月には香川県から撤退、2023年8月期には売上高86億5400万円を記録するなど、最盛期の「1/4」ほどに落ち込んでいた。

アオキに吸収合併、フレッシュバリュー消滅か?

ママイの親会社である「伊勢丸ホールディングス」は、2024年3月1日にママイ株式の33.4%を大手ドラッグストア「クスリのアオキHD」に譲渡し、アオキ主導で「ママイを当社グループ(=アオキ)に迎えるための準備」となる既存店改装計画の策定に取組んでいた。
ママイ運営店舗は、クスリのアオキ傘下入り発表時点で15店舗存在したが、3月15日に4店舗(三島店・大生院店・今治本町店・松山店)が業態転換のため閉店、2店舗(土居店・新居浜店)が完全閉店となるなど事業規模の縮小が続いていた。

ママイフレッシュバリュー。(愛媛県新居浜市)

クスリのアオキHDは2020年6月のナルックス(本社:石川県金沢市)完全子会社化を皮切りに、同年10月にフクヤ(本社:京都府宮津市)を子会社化するなど、全国各地の地場食品スーパーを傘下に収め、自社のドラッグストア「クスリのアオキ」への業態転換を進めている。
クスリのアオキに転換した店舗の一部では、生鮮4品(青果・鮮魚・精肉・惣菜)の取扱いが維持されているもの、買収対象となった店舗ブランドは原則として消滅しており、1998年に誕生したフレッシュバリューのブランドも姿を消すこととなりそうだ。

クスリのアオキの生鮮取扱店舗。(京都府舞鶴市)
鮮魚精肉はプロセスセンター方式に移行、惣菜は全廃した。

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エミテラス所沢、2024年9月開業-西武鉄道・住友商事系モール、所沢車両工場跡地に

埼玉県所沢市の西武鉄道所沢車両工場跡地に、西武リアルティソリューションズと住友商事による商業施設「エミテラス所沢」が2024年9月に開業する。

エミテラス所沢の完成イメージ。

西武の「Emi」と住友商事の「Terrace」融合した新施設

エミテラス所沢は、西武鉄道所沢車両工場跡地を含む周辺一帯で進行中の「所沢駅西口土地区画整理事業」において、西武グループと住友商事グループが共同開発中のプロジェクト「所沢駅西口開発計画」の一環として開業するもので、建物は地上7階建で敷地面積は約34,000㎡、店舗面積は約43,000㎡、延床面積は約129,0000㎡。

西武鉄道所沢車両工場。

施設名は西武グループのスローガンに由来する「Emi」と住友商事グループの商業施設に由来する「Terrace」を組合せて表現したもので、ロゴデザインに関しても「Emi」のアルファベットを記号化し融合したものとなっている。

エミテラス所沢のロゴデザイン。

サミットを始め、12の大型専門店を核とする施設に

エミテラス所沢では「都市と郊外の2つの魅力を享受できる「所沢スタイル」を創造・発信する拠点」として「もっといいコトを、もっといいトコで。」を掲げ、142店舗が入居する予定(2024年5月時点では139店舗発表済み)。

エミテラス所沢周辺一帯の航空写真。(2024年3月20日時点)

なかでも、住友商事系食品スーパー「サミットストア」を始め、ファッションブランド「UNIQLO」「H&M」「nico and…」「ドットエスティ」、セブン&アイHD系総合ベビー用品店「アカチャンホンポ」、インテリア雑貨店「ACTUS」、家電量販店「ノジマ」、複合書店「ジュンク堂書店」、アミューズメント「namco」、シネマコンプレックス「T・ジョイ」といった大型専門店12店舗を施設を代表する核店舗(キーテナント)として展開。
加えて、金沢のセレクトショップ「CALNĒ」やNEW ERAセレクトショップ「THE CAP」、シンガポールチキンライス店「海南鶏飯食堂」、台湾料理店「ダパイダン105」、ベトナムフォー「フォーティントーキョー」、熊本珈琲回廊プロデュースのカフェ「武蔵國珈琲」といった埼玉初を含むバラエティ豊かな専門店が軒を連ねることとなる。

エミテラス所沢。

所沢車両工場のレガシーも

エミテラス所沢は、西武鉄道所沢車両工場跡地活用の一環として生まれた施設であることから、西武鉄道の本線と車両工場を結ぶ引き込み線や2000系運転用シミュレーターの一部を「跡地の歴史を未来へつなぐレガシー」として展示するなど、新しいシンボルとして事績を伝えるとしている。

エミテラス所沢に設置予定のシミュレーター。

エミテラス所沢

住所:埼玉県所沢市東住吉 エミテラス所沢

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イトーヨーカドー弘前店、2024年9月29日閉店-ロピア核の後継施設は10月31日から順次開業

青森県弘前市のJR弘前駅近くにあるセブン&アイHD系総合スーパー「イトーヨーカドー弘前店」が2024年9月29日をもって閉店する。

地場大手バス事業者系施設「弘南ビル」の核として開店

イトーヨーカドー弘前店は、弘南バス本社跡地に建設された「弘南ビル」の核店舗として1976年10月に開店。建物は地上8階地下1階建で敷地面積は約13,350㎡、売場面積は20,886㎡。2024年現在はイトーヨーカ堂が所有する。
同店は開業以来、弘南バスの主力営業拠点「弘前バスターミナル(旧・弘南ビルバスターミナル)」を併設しており、1995年3月の増床リニューアル後は、市内中心部で最大の売場面積を有する大型複合商業施設として営業している。
イトーヨーカドー弘前店。

2020年11月に新装、客層の若返りを図ったが

イトーヨーカドー弘前店は2020年11月に大規模リニューアルを実施。東北初のライフスタイルストア「無印良品」冷凍食品取扱店舗や弘前初となるセブン&アイHD系専門店「ロフト」「アカチャンホンポ」を導入するなど、客層の若返りを図った。
一方、ヨーカドーの親会社であるセブン&アイHDは、投資ファンドによる総合スーパー事業の分離要求を背景に、2023年3月に店舗削減(2026年2月期までに33店舗閉店)と衣料品撤退の方針を発表、同年9月に「首都圏へのフォーカス加速」の方針を発表していた。一環として、2024年2月にロピアを展開する「OICグループ」と事業承継等に関する契約を締結し、弘前店を含む北海道・東北・甲信越地方店舗の大部分をOICグループに譲渡する方針を示していた。

新施設は10月31日より段階的に開業

イトーヨーカドー弘前店の後継となる「(仮称)ロピア弘前店」のうち、一部専門店は2024年10月31日に先行開業、ロピア直営食品売場は2024年冬を目処に開店する予定。
イトーヨーカドーFC店舗のロフトを含め、新施設への専門店の再出店は2024年5月現時点において未定となっている。

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宮崎シーガイア、セガサミーHDが外資系ファンドに売却-2024年5月10日発表、マイステイズとの協業も

大手アミューズメントグループ「セガサミーHD」(本社:東京都品川区)は、「フェニックス・シーガイア・リゾート」を運営するを米国投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」の関連会社「夕顔合同会社」に2024年5月31日を目処に売却する方針を同年5月10日に発表した。

リゾート法第1号指定の目玉として誕生

フェニックスリゾートは、1987年6月施行の総合保養地域整備法(リゾート法)第1号指定「宮崎・日南海岸リゾート構想」中核施設「シーガイア」の運営会社として1988年12月に設立。
宮崎県内最高層となるホテル「ホテル・オーシャン45」や世界最大の屋内ウォーターパーク「オーシャンドーム」といったシンボル施設を核に、コンベンションセンターやゴルフコースを展開したが、バブル崩壊による慢性的な赤字体質を背景に事業費約2,000億円を回収できず、2001年2月に会社更生法を申請した。

外資との連携により黒字化

フェニックスリゾートは、再建の過程で2002年3月に「スターウッドホテル&リゾート(現マリオット・インターナショナル)」と業務提携を締結、同年6月に米国投資ファンド「リップルウッド・ホールディングス」傘下となり、ホテルの外資系ブランド「シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート」への転換やオーシャンドームの価格・サービス改定(季節営業を経て2007年9月閉鎖)、施設の再整備に取組み黒字化を達成していた。

セガサミー傘下で「IR」の試金石となったが

その後、フェニックスリゾートは2012年3月にセガサミーHDの完全子会社となり、同社が参入をめざす「カジノを含む統合型リゾート(IR)事業」の試金石としての役割を担うこととなった。
一環として、セガサミーHDが韓国で展開するIR「パラダイスシティ」とのメンバーシップ相互提携など打ち出したが、国内での統合型リゾート整備が暗礁に乗り上げており、米国投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」へのフェニックスリゾート全株売却に至ったものとみられる。

マイステイズと協業、セガサミーも支援継続

フォートレスは国内宿泊大手「マイステイズ・ホテル・マネジメント」を中核事業会社として176棟27,457室を展開している。
マイステイズは、2022年4月に日本郵政系宿泊施設「かんぽの宿」29施設を取得し同年7月に「亀の井ホテル」として運営開始。同年12月には「HOTEL ACAO(現ホテルニューアカオ)」の運営に参画するなど、事業拡大を進めている最中だった。

フォートレス傘下となるシーガイア。

フェニックスリゾートは、フォートレス・マイステイズとの連携により戦略的改装プランを策定し、稼働率の改善やターゲット層の拡大をめざし、フェニックス全体の企業価値向上を実現するとしている。
また、同社はフォートレス系による完全子会社化にあわせて、セガサミーHDに議決権20%の種類株式を新規発行し、戦略的パートナーシップを締結するなど、両社間で連携を継続するとしている。

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山形屋、事業再生ADRによる私的整理を開始-2024年5月10日発表、鹿児島銀行主導で再建めざす

鹿児島県鹿児島市の地場老舗百貨店グループ「山形屋」(ヤマカタヤ)は、2023年12月28日に事業再生ADR手続による私的整理を開始したことを2024年5月10日に発表した。

鹿児島天文館のシンボル的役割担う老舗百貨店

山形屋は1751年に現在の鹿児島県鹿児島市で呉服店として創業。1917年6月に法人化。県内外百貨店の買収により最盛期には鹿児島・宮崎・沖縄・熊本の4県に店舗を展開していた。

日南山形屋(宮崎県日南市)。

山形屋本店は1954年7月にはバスセンターを開設、1998年には設立80周年記念事業として1号館(本館)外壁をルネッサンス様式に復元するなど、鹿児島を代表する百貨店として、天文館のシンボル的役割を果たしている。

山形屋(鹿児島市)。

競争激化や耐震改修に加えコロナ禍、鹿銀主導で私的整理

山形屋は2009年5月の鹿児島三越閉店により、県内唯一の百貨店となったが、大型商業施設進出による競争激化や店舗老朽化にともなう設備投資(耐震工事・フロアリモデル)に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が重なるなど経営状態が悪化していた。そのため、同社のメインバンクである鹿児島銀行を始めとする取引金融機関との協議のもと、事業再生ADR手続を活用し、事業再生計画案の策定に取組んでいたとしている。

2006年開業の国分山形屋は専門店の導入を進めている。

今後は山形屋グループ各店舗の営業を継続しつつ、事業再生計画案の成立による経営再建をめざすとしている。

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イトーヨーカドー綱島店、2024年8月18日閉店-綱島駅前を代表する大型店、構造改革で

神奈川県横浜市港北区の東急東横線綱島駅・東急新横浜線新綱島駅近くにあるセブン&アイHD系総合スーパー「イトーヨーカドー綱島店」が2024年8月18日をもって閉店する。

綱島駅前を代表する大型店だった

イトーヨーカドー綱島店(横浜綱島8953ビル)は1982年3月に開店。建物は地上4階地下1階建で店舗面積は10,316㎡。
同施設は2004年6月の三菱商事UBS系投資法人「日本リテールファンド(8953)」による施設取得を経て、2024年5月現在は同投資法人の後継となるKKR系投資法人「日本都市ファンド(JMF)」が所有、イトーヨーカドーがマスターリースにより管理運営を担う体制を採っている。

イトーヨーカドー綱島店(JMF公式より)。

イトーヨーカドー綱島店は開店当初からの直営総合スーパーを核に、ドラッグストア「サンドラッグ」やイオン系100円ショップ「キャンドゥ」、イタリアンレストラン「サイゼリヤ」など専門店18店舗が入居する綱島駅前を代表する大型店であったが、同社の構造改革にともない2024年夏を目処に閉店する方針が決まっていた。

近隣では同業進出相次いでいた

イトーヨーカドー綱島店の近隣では、東急新横浜線新綱島駅の開業にともない住宅供給が盛んとなっているが、東急グループによる複合施設「ドレッセタワー新綱島/東急ストア新綱島スクエア店」「ピットテラス新綱島/OONOYA新綱島店」やユニー・ドンキの新業態「アピタテラス横浜綱島」など同業の進出も相次いでいた。
ヨーカドー綱島店は長年、地域随一の大型総合スーパーとして顧客の獲得を図っていたが、大部分を直営フロアが占める店舗構造や競争激化もあり、閉店に至ったものとみられる。
2024年5月現時点において跡地活用の方針などは発表されていない。

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メグリアセントレ、2024年6月30日閉店-豊田サティ後継のギャザビル核店舗、22年の歴史に幕

愛知県豊田市の豊田市駅前にある商業施設「豊田市駅東地区再開発ビル・ギャザ(GAZA)」の核店舗「メグリアセントレ」が2024年6月30日をもって閉店する。

マイカル核の再開発ビルとして誕生

豊田市駅東地区再開発ビル・ギャザは、1995年4月に「豊田市駅東地区再開発」の一環として開業。開業当初の商業フロアは1~5階で店舗面積は16,020㎡。
マイカルの生活百貨店「豊田サティ」を核に、屋内型テーマパーク「ダイナレックス」といった同社系専門店やGAZA専門店が立ち並ぶ施設構成であったが、マイカルが2001年9月に民事再生法を申請、同年11月に会社更生法を申請したため、再建の過程で2002年5月をもって一時閉店した。

マイカルの後継店、メグリア唯一の中心市街地店舗だった

メグリアセントレは2002年7月に開店。
トヨタ自動車系職域生協「トヨタ生活協同組合(メグリア)」は、マイカル豊田サティの閉店に先駆けて、2002年4月にサティの後継店として豊田市中心部初となる新店舗を開店する方針を表明。同社主導により同年7月に1階直営食品売場を再開、同年10月に2階直営衣料雑貨売場を再開するなど、豊田市駅前に早期に総合スーパーが復活することとなった。

メグリアセントレ。

あわせて、旧来のビル管理運営会社を引継いだTMO法人「豊田まちづくり」主導のもと、3階を「ユニクロ」を核とする専門店フロアとして刷新、4~5階をトヨタ自動車系企業を中心とするオフィスフロアとして転用するなど、商業フロアは縮小したもの、空きビル化の回避を実現した。

サティ時代の店内サイン類を青色に変更した案内板。

その後も、メグリアは2009年7月に2階直営衣料売場を「ファッションセンターしまむら」を核とするメグリア専門店フロアに転換。GAZA専門店街も2023年に大規模リニューアルを実施し、サティ時代を踏襲した館内デザインから木目調基調の館内デザインにイメージの刷新を図った。
一方、1階フロアはメグリア直営食品売場の開店からほとんど手が加えられていない状態にあった。

2度の核撤退、市内で相次ぐリニューアルの影響も?

豊田市内では2017年9月に「イオンスタイル豊田」が建替新装開業2019年10月にはヤマナカフランテ館跡地に「クロスモール豊田陣中」が開業、2022年に豊田市駅前のT-FACEに高級食品フロア「とよたまるごとフードマルシェ(食品核:成城石井)」「三越豊田(食品核:ジュピター)」が開店するなど、大型店のリニューアルが目立っている。
T-FACEと兄弟関係にあるGAZAにおいても、2023年より段階的にリニューアルが進んでおり、メグリアセントレの閉店に影響を与えたとみられる。

館内は木目調の内装へリニューアル。サティ感ゼロに。

地域の食を支えてきたGAZAの核はいかに?

メグリアセントレ閉店により、豊田市駅1km圏内からフルライン型食品スーパーが消滅することとなる。
マイカル時代から地域の食を支えてきたGAZAが果たす役割は大きく、T-FACEの2度の百貨店撤退(そごう・松坂屋)やGAZAの核店舗撤退(マイカル)を乗り越え、地域を代表する専門店ビルとして再生した実績がある豊田まちづくりの手腕発揮に期待したい。

メグリアセントレ

住所:愛知県豊田市喜多町1丁目140
営業時間:10時~20時

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ドンキホーテ新静岡店駅前店、2024年5月28日開店-旧ライブアピタ生活創庫・109・東急スクエアの「けやきプラザ」に

静岡県静岡市葵区の新静岡駅前に、流通大手「パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)」のディスカウントストア「ドンキホーテ新静岡駅前店」が2024年5月28日午前10時に開店する。

ユニーの都市型業態として誕生

静岡伝馬町プラザビル(けやきプラザ)は、1984年11月に「伝馬町第一地区第一種市街地再開発事業」の一環として開業。建物は地上11階地下1階建で延床面積は18,530㎡。
開業当初の核店舗はユニーの都市型ファッションビル新業態「ライブアピタ静岡店(後の生活創庫静岡店)」であったが、ユニーの撤退にともない、2000年8月に地権者主導のファッションビル「FIVE-J」となった。

静岡東急スクエア。(旧静岡109)

FIVE-Jは2006年3月の109系専門店フロア「SHIBUYA 109 DREAMS」導入を機に東急モールズデベロップメント(TMD)との連携を強化し、2007年10月に「静岡109」として、2017年7月には「静岡東急スクエア」として新装開業したもの、リニューアル当初からの業績低迷にコロナ禍が追い打ちをかけ、2023年7月をもって東急が撤退。同年8月より「けやきプラザ」として再び地権者主導による運営体制に移行した。

「ポップなドンキ」として静岡初の「キラキラ」商材展開

ドンキホーテ新静岡駅前店の営業フロアは2階のみで売場面積は約1,265㎡。
ドンキ新静岡駅前店は「ポップなドンキ」として、ドンキが得意とする理美容グッズに加え、静岡初となるグミに特化したコーナー「キャンディーショップ」や“推しごと”グッズを代表とする「好きなことを楽しめるアイテム」を展開。
同店徒歩圏内(約400m)にあるドンキホーテ静岡両替町店を「ディープなドンキ」と位置づけ、深夜営業や娯楽グッズを訴求することで棲み分けを図る。
ドンキホーテ新静岡駅前店。

ドンキは新静岡駅前店の開店により「静岡市・葵区をさらにドンキ色に染める」「同店から約 400m先で営業中のドン・キホーテ静岡両替町店とともに葵区をさらに盛り上げます」としており、静岡市中心部でのドミナントが実現することとなった。

ドン・キホーテ新静岡駅前店

住所:静岡県静岡市葵区伝馬町6-1 けやきプラザ2階
営業時間:午前10時~午後9時

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