三越伊勢丹は、首都圏の小型百貨店4店舗を2021年2月28日に閉店させる。
同グループでは、コロナ禍のなか中小店の閉店が相次いでいる。
追記:伊勢丹が運営する「イセタンセントレアストア」(愛知県常滑市)も2月28日に閉店。同日閉鎖は5店となる。
馬事公苑ちかくの三越エレガンス、50年の歴史に幕
三越馬事公苑店(東京都世田谷区)は、三越の地域密着型百貨店「三越馬事公苑エレガンス」として1978年11月に開業。三井グループの太平洋興発が開発を手掛けた大規模分譲マンション(パシフィック馬事公苑前・地上11階建)への出店であった。営業フロアは1階のみ。
三越馬事公苑店。
他の三越の外商事務所兼小型売店(ギフトサロン)と比べ、銘菓・グロサリーや高価格帯のファッションアイテムなど幅広く展開。催事スペースを備えていたこともあり、店名改称後も地域住民を中心に三越エレガンスとして親しまれていた。
三越馬事公苑店の閉店告知。
また、三越馬事公苑店には、東京都中野区に本店を構える有名洋菓子ブランド「ロイスダール(RUYSDAEL)」(本店:中野区)がテナントとして出店。ロイスダールとしては珍しくベーカリーカフェを併設するなど、中野に次ぐ同社の看板店舗であったが、そちらも三越の閉店にあわせて営業終了する予定となっている。
新所沢の「郊外型三越」、ロードサイド店だった
三越新所沢(埼玉県所沢市)は1990年2月に開店。建物は地上2階建。西武新宿線新所沢駅徒歩圏内のロードサイド型店舗であり、同社が運営する外商事務所兼小型売店のなかでは比較的規模が大きい店舗であった。また、2018年9月には三越伊勢丹全サテライトショップに先駆け、タブレット端末による自社ECサイトでの買物サポートサービスを開始していた。
イオンモール成田の正面にあった成田三越も閉店
三越成田(千葉県成田市)は2003年6月に開店。建物は地上2階建。
成田市土屋土地区画整理事業の一環として整備された「ウイング土屋」への出店で、道路を挟みイオンモール成田と隣接する。開店当初は千葉三越(後の三越千葉店)を母店とするサテライトショップであったが、2017年3月に千葉店が閉店したため、2021年現在は他3店舗と同様に三越日本橋本店・伊勢丹新宿本店のサテライトショップとなっている。
エムアイプラザ1号店のMI河辺は7年で閉店
エムアイプラザ河辺(東京都青梅市)は2013年9月に開店。売場面積は300㎡。JR青梅線河辺駅近くの大京が開発を手掛けた分譲マンション(ライオンズプラザ河辺駅前・地上12階建)1階の地場玩具チェーン跡への出店で、道路を挟み西友河辺店と隣接する。
河辺店は三越伊勢丹の編集型小型店新業態「エムアイプラザ」の1号店として、従来の高価格帯衣料や贈答品中心のサテライトショップと異なり、グロサリーや雑貨中心の商品構成とするなど、意欲的・実験的な売場づくりをめざしたが、僅か7年での閉店となってしまった。
三越伊勢丹、小型店「180店展開」めざすも閉店相次ぐ
三越伊勢丹は、小型店「エムアイプラザ」を三越伊勢丹HD経営改革の要となる新業態として、既存の外商事務所兼小型売店をリプレイスするかたちでショッピングセンターを中心に店舗網を急速に拡大。2016年2月には「2018年度(2019年3月期)までに180店舗体制」とする出店目標を打ち出した。しかし、大西洋社長(当時)の退任に伴い、MIプラザ業態での新規出店を凍結。小型店の出店自体も減っていた。
三越伊勢丹グループでは、2020年下期に松山三越が運営していた小型店「三越新居浜」「三越西条」「三越今治」を閉店したばかり。2021年2月28日には、2018年にリニューアルした恵比寿ガーデンプレイス内にある中型店「恵比寿三越」も閉店するほか、3月7日には仙台三越が運営する「エムアイプラザ三越登米佐沼」(2014年10月開店)が閉店する予定となっている。
恵比寿三越も2月28日に閉店する。
三越伊勢丹は、僅か数年前に打ち出した「小型店180店舗」の目標から大きく遠ざかることとなる。
(写真撮影:文鉄・お札とコインの資料館)
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