アパレル大手系ファンド「ワールドインベストメントネットワーク」と「日本政策投資銀行(政投銀/DBJ)」の合弁会社「W&Dインベストメントデザイン」が、アパレル大手「ライトオン」にTOB(株式公開買付)を実施する方針を2024年10月8日に発表した。
ライトオンの店舗(神戸市中央区)。
ワールドとDBJの合弁、ノウハウ活かしアパレル支援
W&Dインベストメントデザインは、2017年6月にワールド系とDBJの合弁会社として設立。同年12月に第1号案件としてセレクトショップ運営会社「YOUR SANCTUARY」、2019年3月に第2号案件として高級靴/雑貨ブランド「ヒロフ(HIROFU)」に出資するなど「事業と金融を両輪にファッション産業の再生投資に精通した投資会社」として、アパレル系の再建に取組んできた。
ライトオン、ワールド系子会社化での再建めざす
ライトオンは1980年4月に東京都杉並区で設立。2017年8月時点では地方都市圏を中心に国内外513店舗を展開したが、2018年6月には業績不振や都心回帰を背景として本社ビル「ライトオンつくばビル」(茨城県つくば市)を売却。2023年8月時点では国内外373店舗に減少していた。
その後も赤字体質からの脱却に至らず、2024年8月期の売上高は388億800万円、営業損失は50億円、純損失は121億4200万円と6期連続の赤字に陥っていた。
ライトオンつくば本社(2018年6月売却/2019年5月本店閉店)。
ライトオンは経営再建の一環として、2024年2月よりワールド系との交渉を開始。創業家依存型マネジメントの機能不全や内外環境の変化への適応力の不足に伴うブランド価値の棄損、分業体制による現場レベルでのコスト意識の欠如といった経営課題の解消を目的として、創業家との資本関係解消や不採算店の整理を含む構造改革に向けた準備を進めていた。
ライトオン創業家は退任、ワールド流での再建なるか
W&Dインベストメントデザインは、ライトオンによる創業家資産管理会社「藤原興産」への第三者割当増資とTOBを併用することで同社を子会社化する。これらのスキームにより、ライトオン創業家の藤原祐介社長は退任、同社と創業家間の資本関係を解消することとなる。
ライトオンはワールドとの資本業務提携により、人材業務支援、MD・仕入調達、情報システム、新規事業/店舗開発など幅広い分野でシナジー創出を図るとしている。
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