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とらのあな札幌店・とらのあな広島店、2021年6月30日閉店-オンラインシフトで東名阪圏・岡山・台北のみに

東京都千代田区に本社・本店を置く大手漫画・同人誌専門店「虎の穴(コミックとらのあな)」は、北海道札幌市中央区の「とらのあな札幌店」、広島県広島市中区の「とらのあな広島店」2店舗を2021年6月30日に閉店する。

道内唯一のとら、18年の歴史に幕

とらのあな札幌店は2003年11月に同社北海道1号店として開店。札幌店は積極的な統廃合や移転を行う同社店舗としては極めて珍しく、開店以来一切の店舗移転を行っておらず、左隣にある高桑ビル(旧・丸井今井札幌店南館/MARUZEN&ジュンク堂書店・ポポンデッタなど入居)、右隣にある丸大ビル(アニメイト・メロンブックス・らしんばんなど入居)とともに、道内随一のサブカル分野に特化した集積を形成していた。
同店は他閉鎖店舗と異なり定休日の導入を実施しなかったが、新型コロナ感染拡大を受けて段階的に営業時間を短縮していた。

とらのあな札幌店とアニメイト札幌店。

広島・紙屋町のとら、規模縮小の末に閉店

とらのあな広島店は、2001年9月に同社中国地方1号店として開店。初代店舗は広島本通商店街アーケードの西端に位置しており、徒歩圏内のサンモール(ボークスなど入居)やアニメイト、イエローサブマリン、ドスパラ、パソコン工房(2013年1月閉店)とともに、サブカル分野に特化した集積を形成していた。2013年3月には競合関係にあるアニメイトグループのデオデオネバーランド跡増床移転に事実上対抗するかたちで、現在の広電紙屋町東電停前に増床移転した。(初代店舗は広島旧店として同年5月まで営業継続)

とらのあな広島店。

現店舗では公共交通機関からのアクセス改善や売場の回遊性向上、女性向け商品の拡充を図ったが、2019年10月からは他閉鎖店舗と同様の定休日を導入、2021年1月31日には売場をワンフロアに集約するなど営業体制の縮小を進めていた。

好調なオンラインに集中、直営店はさらなる減少も?

虎の穴は2021年6月に発表した「事業構造転換の取り組みと実績」にて、好調な通信販売(売上高145億円見込/2021期)やFantia(売上高71億円見込/2021期)といったオンライン事業への投資拡大を打ち出した。その一方、同社の祖業である店舗事業に関しては「選択と集中の推進」を掲げ、今後もinShop流通の拡大と中期的な旗艦店への集約をめざす方針を示している。
とらのあな札幌店・広島店の閉店により、2021年7月以降同社の直営店は東名阪の三大都市圏周辺と岡山、台湾台北のみとなる。

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イオンモール白山、2021年7月19日開業-北陸初出店53店「食とエンターテインメント」充実

石川県白山市(旧・松任市)横江町の北陸自動車道白山インターチェンジ近くに、イオングループのショッピングモール「イオンモール白山」が2021年7月19日午前9時にグランドオープンする。

イオンモール白山。

イオンモール、開発すすむ区画整理事業地区の核に

イオンモール白山は北陸自動車道白山インターチェンジ付近で白山市が実施している「横江町土地区画整理事業施行地区」に出店するもの。金沢外環状道路海側幹線や幹線道路の県道194号も近く、アクセスが良好なことから、北陸3県からの広域集客も期待できる立地で、土地区画整理事業施工地区内には、近年「コメリパワー白山店」の出店や「クスリのアオキ本社」が新築移転するなど、発展が進む地域となっている。
イオンモール白山は地上3階建、敷地面積は約175,000㎡、総賃貸面積は約74,000㎡、延床面積は約110,000㎡、総店舗数は約200店。駐車台数は約3,800台。
施設テーマは「地域とともに、地域のために、『かがやきたい』を叶える街を。」で、幅広い世代の方々に「喜び」、「驚き」、「感動」体験をご提供し、地域の交流拠点を担う、街のにぎわい拠点としてオープンするとしている。

イオンシネマやスポーツゼビオなどが出店。

外装・内装は「白山の特徴」を表現

イオンモール白山の外装コンセプトは「URBAN LIFE SCAPE 雄大な白山連峰の自然と街並みの融合」。傾斜屋根や立体感ある外装によってり白山連峰の山並みを表現している。
また建物中央部にはランドマークの大屋根とガラスカーテンウォールを設置している。

モール中央部。

また、内装コンセプトは「白山のふもとに街をつくる」で、雨などの天候でもモール内で街歩きを楽しめるよう、白山の緑豊かな自然を感じられる街路樹がある空間を創出。メインモール中心部の「かがやきストリート」は木々があふれ、モダンな街並み空間を目指したという。
また日本三大紬で「石川県指定無形文化財」と「経済産業大臣指定伝統的工芸品」である「牛首紬」をガラスに挟み込むなど、白山の様々な工芸品を組み込んだモールとなっている。

かがやきストリート。

1階は「Dramatic Street(ドラマチック ストリート)」をコンセプトに、スイーツやベーカリー、生鮮食品、地元食材などが揃うフードゾーンや非日常を楽しめるレストラン、大型ファッションなどの四季折々のライフスタイルが楽しめるゾーンとなる。
2階は「Daytime Street(デイタイム ストリート)」をコンセプトに、ファミリーカジュアルを中心に、ライフスタイル雑貨、スポーツ、家電まで幅広い品揃えで日常に寄り添いライフスタイルをサポートするゾーンとなる。
3階は「Wonderland(ワンダーランド)」をコンセプトに、最新鋭のアミューズメントやシネマを導入するなど「体感」をキーワードにしたエリアや、子育て世代を応援するサービス・コミュニティ機能、話題の飲食店が集まるフードコートがあるゾーンとなる。

フードコート。

テナントとしては、イオンリテール運営の総合スーパー「イオンスタイル白山」を核店舗に「TSUTAYA BOOKSTORE(約1,800㎡)」や大型スポーツ専門店「スーパースポーツゼビオ」、家電量販店「ジョーシン(上新電機)」やカプコンが運営するスポーツとアミューズメントを融合した体験型アミューズメント「MIRAINO(ミライノ)」、10スクリーン1118席を擁する「イオンシネマ」などが準核店舗として出店する。
なお、1階の準核店舗「ユニクロ」「ジーユー」は2021年秋に開業予定。合わせて約3800㎡の大型店となる。

館内イメージ。

イオン「AIカメラ」など新デジタルシステム多数導入

核店舗となるスーパー「イオンスタイル白山」では、近年イオンリテールが進めている専用端末でお客様が商品スキャンを行い、専用レジで会計を行う「どこでもレジ レジゴー」や、店内カメラを通じてお客様へお待たせすることなく接客を行えるほか、カメラ映像を通じて売場レイアウトや地域特性を生かす売場づくりに活用する「AIカメラ」が石川県初導入される。

イオンスタイル白山。

鮮魚コーナーでは、金沢港や加賀の橋立漁港で水揚げされた魚を対面コーナーで提供するほか、壁面のライブモニターで店内調理のライブも実施する予定だという。

鮮魚コーナーのイメージ。

量り売り総菜を提供する「リワードキッチン」では、能登牛の柔らか煮豚などの石川県の地元食材を使用した総菜を提供するほか、リカーコーナーでは、「能登ワイン」や地元酒蔵が生産した商品の販売やイオンスタイル白山だけの季節限定商品も取りそろえるなど、地元商品の販売に力を入れる。
イオンスタイル白山1階に隣接するゾーンでは、食物販を中心とした「白山マルシェ」を展開。地元の生鮮食品や洋菓子、グロサリーなどを展開する12店舗が出店する。

白山マルシェ。

モール1階には、日本を代表する5名のシェフがプロデュースし、地元食材を使用した特別メニューを提供するレストラン「Grand Chef’s Kitchen(グランシェフズキッチン)」や金沢の人気レストラン6社が結集し、スペイン料理、イタリアン料理、ステーキ、中華料理、和食、スイーツ、アルコールなど17種類の多彩なメニューを展開する新業態「FOOD HALL LOKU(フードホールロク)」なども展開する。

FOOD HALL LOKU(フードホールロク)。

専門店ゾーン、53店が「北陸初出店」

専門店ゾーンには、アメリカンスタイルファッションの「トミーヒルフィガー」や北欧スタイルの雑貨ブランド「フライングタイガーコペンハーゲン」、食をテーマにしたライフスタイルショップ「スリーリトルソングバーズ」などが石川県内初出店する。
イオンモール白山全体では、北陸初(新業態含)の店舗が53店舗、石川県初の店舗が22店舗となる予定である。

専門店ゾーン。

館内には「~“トキ”を楽しむ・遊ぶ・過ごす~」をテーマに、エンターテインメントとサービスの専門店も出店する。
1階には、書店とカフェが一体化した店舗である「TSUTAYA BOOKSTORE」が石川県初出店する。この書店にはスターバックスコーヒーが併設されており、書籍やカフェを楽しめる空間となる。

TSUTAYA BOOKSTORE。

2階のレストラン街「フードストリート」は全14店舗。
名古屋の老舗うなぎ店「うなぎの中庄」など6店舗が北陸初出店。そのほか、金沢の寿司店「もりもり寿し」などが出店する。

フードストリート。

3階には、カプコンが運営するスポーツとアミューズメントを融合したアミューズメントスペース「MIRAINO(ミライノ)」が出店する。

CAPCOM MIRAINO(ミライノ)。

カプコンミライノ館内では、クレーンゲームや音楽ゲームなどのアーケードゾーンをはじめ、10mの高さを誇るクライミングウォールやレクレーショントランポリンなど大型遊具を設置している「Crazy BANet」、カプコンオリジナルVRを楽しめる「VR-X」などの様々なアミューズメントで楽しめる空間となっている。

大型遊具「Crazy BANet」。

3階のフードコート「フードフォレスト」は、1000席の客席を備え、14店舗が出店する。

フードフォレスト。

今回のイオンモール白山は、白山市が実施している「横江町土地区画整理事業施行地区」への出店であり、イオンは年間800万人の来客を想定している。
今後は、モールを中心としてより人の流れが活発になることが期待されている。
なお、イオンモール白山の開業により、同店から2キロほど東にあった「イオン御経塚ショッピングセンター(旧・御経塚サティ)」は5月31日に閉館、23年の歴史に幕を下ろすこととなった。

イオン御経塚店は代替閉店に(写真提供:@んぜんぴんさん)

イオンモール白山

住所:石川県白山市横江町土地区画整理事業施行地区内1街区 
営業時間(イオンモール専門店街):午前10時~午後9時
営業時間(イオンスタイル1階):午前8時~午後10時
営業時間(イオンスタイル2階・3階):午前9時~午後9時
営業時間(レストランゾーン):午前11時~午後10時
営業時間(イオンシネマ):午前10時~午後12時

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MEGAドン・キホーテUNY石和店、2021年6月22日開店-アピタ跡、直営アウトドア店「好天日和」導入で「女児とキャンプ」強化

山梨県笛吹市石和町のアピタ石和店跡に、パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)の総合ディスカウントストア「MEGAドン・キホーテUNY石和店」が2021年6月22日午前9時に開店する。

MEGAドン・キホーテUNY石和店。

笛吹・石和のアピタ、3月から一時閉店していた

アピタ石和店は2005年9月に開店。建物は地上4階建、営業フロアは1~2階、店舗面積は12,992㎡。敷地面積は32,195㎡、延床面積は28,763㎡。
ユニー直営の食品・衣料品・生活用品売場を核に、ドラッグストア「ココカラファイン」やファミリーファッション「COMME CA ISM(コムサイズム)」「Right-on(ライトオン)」「HusHusH(ハッシュアッシュ)」、ユニーグループの複合書店として創業した「夢屋書店」、アミューズメント施設「ハローズガーデン」、飲食店「マクドナルド」「築地銀だこ」「ビアードパパの作りたて工房」など専門店20店舗超が入居していた。

アピタ石和店。

アピタ石和店は、笛吹市内ではイオン石和店(旧・マイカル石和サティ)に匹敵する大型商業施設であったが、2021年3月14日をもってユニー直営売場を閉店。ドンキとのダブルネーム店舗への転換に向けた工事を進めていた。

県内初のMEGAドンキUNY、「女児」「キャンプ」で集客

MEGAドン・キホーテUNY石和店の直営売場面積は8,466㎡。ドンキとしては山梨県内4店舗目、ダブルネーム業態としては県内初となる。
1階ではアピタ時代から引続き生鮮4品(青果・鮮魚・精肉・惣菜)を展開するほか、冷凍食品と持ち帰り惣菜を拡充するなどコロナ禍を背景に高まる“中食”需要への対応を図る。また、フードコートを刷新し直営ピザ・丼物・鉄板焼き店を導入する。
2階では家電・インナーウェアの拡大に加え、ドンキが強みとするカラーコンタクトレンズ・香水・インポートブランド・スポーツ用品・カー用品の取扱いを開始。直営アウトドアコーナー「好天日和」(約700㎡)の導入により、キャンプ用品・アウトドアブランドウェア・登山用品需要の獲得を図る。
このほか、女児向け雑貨品コーナー「ざっかや」や子供服・文具・自転車などを集積したキッズゾーンを展開。キッズイベントを毎週開催するなど、「週末に親子で行きたいお店 No.1」を目指すとしている。
なお、MEGAドンキUNY石和店の開店にあわせ、徒歩圏内にある「ドン・キホーテいさわ店」(元祖国際秘宝館跡)は2021年6月20日をもって閉店する。

MEGAドン・キホーテUNY石和店

住所:山梨県笛吹市石和町窪中島154番地
営業時間:午前8時~翌午前0時
(22日から24日まで営業時間を「午前9時~午後10時」に短縮)

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ドン・キホーテいさわ店、2021年6月20日閉店-元祖国際秘宝館・山梨石和館跡のドンキ、近隣のアピタに事実上移転

山梨県笛吹市石和町の国道20号線(甲州街道/甲府バイパス)沿いにあるパン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)系ディスカウントストア「ドン・キホーテいさわ店」が2021年6月20日をもって閉店する。

「秘宝館」の跡に開業した異色のドンキ

ドン・キホーテいさわ店は、2003年12月にドンキ系のショッピングセンター「パウいさわ」として開業。建物は地上3階建、営業フロアは1~2階、店舗面積は3,588㎡。土地建物は八光地産グループが所有する。

ドン・キホーテいさわ店。

パウいさわとして開業した当初は、山梨県内初のドンキ系商業施設としてドンキプロデュースの生鮮テナントゾーン「ドンキ生鮮館」や飲食店、ゲームセンターを配する店舗づくりを行っていたが、2021年5月現在は経営方針や競争環境の変化もあり直営主体の店舗に転換している。
ドンキいさわ店は、近畿観光開発運営の「元祖国際秘宝館石和甲府館」(1981年開館)跡を大規模改修した複合施設に居抜き出店した経緯もあり、宮殿を彷彿させるような独特な意匠を残していることで有名だったが、グループの総合スーパー「アピタ石和店」(MEGAドン・キホーテUNY石和店に転換予定)に事実上移転するため閉店することとなった。
なお、PPIH社は一部リリースで「いわさ店」としているが、正しくは「いさわ店」である。

MEGAドンキUNYに転換予定のアピタ石和店。

築40年超の旧・秘宝館、跡地活用は未定

ドン・キホーテいさわ店は、八光地産グループが開発する商業施設「ファミリーパーク石和」の商業核として、ラウンドワン山梨・石和店(2009年8月開業/同社100号店)や飲食店数棟とともに営業しているが、ドンキが出店する建物は秘宝館開館から40年ほど経過しているため、建物の跡地活用を含め今後の方針は未定となっている。

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三越伊勢丹HD、ソシエをTBCに2021年7月売却-買収から僅か4年で、「SOCIE」「TBC」経営統合へ

大手百貨店グループ「三越伊勢丹HD」(本社:新宿区)は、同社傘下のエステサロン「ソシエ・ワールド(SOCIE)」(本社:渋谷区)を大手エステサロン「TBCグループ」(本社:新宿区)に2021年7月1日付で売却。これにより、ソシエはTBCグループとなる。

伊勢丹。

大手エステサロンのTBCと老舗エステサロンのソシエ

TBCグループは1976年3月に設立。日本国内47都道府県の駅周辺に立地するオフィスビルやショッピングセンターを中心に女性向けエステサロン「エステティックTBC」、男性向けエステサロン「MEN’S TBC」、脱毛サロン「エピレ」を約200店舗展開する。同社の2018年3月期売上高は約309億円。

「エステティックTBC」のサロン。(熊本県熊本市)

ソシエ・ワールドは、1960年5月に神奈川県大和市で「高橋理容店」として創業、1970年に「ワールド」として理容室・美容室を出店開始した。その後、1971年9月に現法人を設立、1982年に現社名に変更、1987年に台湾法人「台湾施舒雅美容世界股份有限公司」を設立、2013年2月には持株会社「SWPホールディングス」を設立した。

「SOCIE」台湾1号店が出店するそごう台北忠孝館。(台北市)

同社は国内外の百貨店やラグジュアリーホテルといった“一等地”を中心に、エステ・ヘアーサロン「SOCIE」「GUERLAIN PARIS」、眉毛・睫毛専門サロン「BEAUTY GENE professional」などを約140店舗展開する。三越伊勢丹HDの連結対象であるソシエ国内法人の2021年3月期売上高は83億2700万円、台湾法人の売上高は33億600万円。

ソシエ、国内店舗の業績不振が深刻化していた

三越伊勢丹HDは2017年1月に投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループからソシエ・ワールドの持株会社「SWPホールディングス」全株式(61,400株)を取得。大西洋社長(当時)による“コト消費の強化”を目的とした多角化路線の一環として、トータル・ビューティ事業に参入することとなった。

SOCIEのサロン。

三越伊勢丹HDによるソシエ・ワールド買収当初、ソシエ国内法人の2017年3月期売上高は152億6700万円、台湾法人の2017年3月期売上高は28億2900万円とエステサロン業界上位の座を維持していた。

「SOCIE エステティック」「SOCIE AVEDA」。

しかし、翌年以降売上高は競争激化を背景に減少傾向にあり、2020年に本格化した新型コロナ感染拡大の影響(入居施設の休業など)を受け、売上高は買収当初から半減した。
三越伊勢丹HDは「本事業を取巻く環境変化、今後の事業の方向性を勘案した結果、今般当社が保有するSWP全株式をTBCに譲渡することが適切であると判断した」とコメントしており、ソシエ買収からわずか4年で事業撤退を強いられることとなった。
また、TBCは今回のソシエ買収により、同社が従来積極展開してこなかった百貨店・駅ビル・ホテルといったランドマーク施設や中国・台湾を始めとする海外に拠点を広げることとなる。

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ライフ学園前店、2021年8月31日閉店-学研奈良登美ヶ丘駅前の大型総合スーパー、規模縮小を経て23年の歴史に幕

奈良県奈良市の関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)にある大型総合スーパー(ショッピングセンター)「ライフ学園前店」が2021年8月31日午後6時をもって閉店する。

ライフ学園前店。

登美ヶ丘のライフ、1万㎡超える大型旗艦店だった

ライフ学園前店は、学園前の由来となった帝塚山学園(近鉄奈良線学園前駅)から3kmほどの距離にある登美ヶ丘に1998年5月に開店。建物は地上4階地下1階建、店舗面積は10,500㎡。
同社直営の食料品・衣料品・日用品・書籍・医薬品売場を核に、ワールドのニューファミリー層向けセレクトショップ「SHOO・LA・RUE」や100円ショップ「Seria」、バローグループのスポーツクラブ「AXTOS Will_G」といったテナントが入居している。             

「駅チカ」となるも2018年からは規模を大幅縮小していた

ライフ学園前店は開店当初、同社の看板店舗として直営の総合スーパーや各種専門店が入居する本館に加え、低層階に大型専門店としてホームセンター「コーナン学園前登美ケ丘店」が入居する立体駐車場2館を併設していた。
店舗徒歩圏内では2006年3月に近鉄けいはんな線学研奈良登美ヶ丘駅(生駒市)が開業し“駅近立地”になったが、同年7月にはより駅に近い場所にイオン奈良登美ヶ丘ショッピングセンター(現・イオンモール奈良登美ヶ丘)が開業するなど施設間競争が激化。2017年12月にはコーナンが撤退し、2018年1月からは立体駐車場2館が解体となるなど施設規模を大幅に縮小していた。

2018年に解体されたコーナンと立体駐車場。

閉店理由や跡地活用などは未発表

ライフ学園前店本館の閉店理由や建物の処遇、ライフネットスーパーの管轄エリア引継ぎなどは、2021年6月時点においては明らかになっていない。
学園前店の建物はいずれも築20年ほどであるが、同時期に建設された第1立体駐車場は解体後にマリモの分譲マンション(ポレスター)、第2立体駐車場は解体後にスギ薬局核のロードサイド店舗として跡地活用されており、本館についても「学研奈良登美ヶ丘駅徒歩圏内」という好立地を活かした跡地活用が図られるであろう。

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パレマルシェ神宮、2021年6月20日閉店-駅東口にミュープラット神宮前、7月21日開業

愛知県名古屋市熱田区の熱田神宮前・名鉄神宮前駅西口にある駅ビル「パレマルシェ神宮(名鉄神宮前百貨店、神宮前駅西ビル)」が、2021年6月20日に閉店し、7月21日に東口に開業する新たな駅ビル「ミュープラット神宮前」にその機能を移す。

パレマルシェ神宮(名鉄神宮前百貨店)。

名鉄神宮前百貨店から37年の歴史に幕

パレマルシェ神宮は1984年9月に「名鉄神宮前百貨店」として開店。2005年6月に運営会社の変更に伴い現在の名称となった。
売場は1階から6階、店舗面積は10,951㎡で、2021年時点ではオークワグループの総合スーパー「パレマルシェ」のほかスターバックス、マツモトキヨシ、ダイソー、名鉄カルチャースクールなどが出店。3階には神宮前駅連絡口が設けられている。

駅と直結されていた。

しかし、老朽化のため閉店し、駅東口に7月に開店する「ミュープラット神宮前」にその機能を移すこととなった。

新たな駅ビル「μPLAT神宮前」7月21日開業

名鉄神宮前駅東口に7月21日に開業する「ミュープラット神宮前」は12階建て、そのうち商業棟は4階までで店舗面積は3,019㎡。

ミュープラット神宮前・商業棟。

核店舗として1階に食品スーパー「パレマルシェ神宮前」が出店するほか、「スターバックス」「マツモトキヨシ」などが旧店舗から移転。そのほか「キャンドゥ」、無印良品の小型店「MUJI.com」、栄のベーカリー「ル・シュプレーム」新業態「ジャーマン・スープレックス.」など全21店舗が出店。2階には神宮前駅連絡口が設けられるほか、改札前もリニューアルして名鉄が運営するコンビニ「ファミリーマートエスタシオ」、三洋堂書店の小型店「スマ本屋」などが出店する。
また、12階建ての住居棟は賃貸マンション「メリブ神宮前」(1K:66 戸、2LDK:23 戸)となる。

ミュープラット神宮前 テナント一覧
店名 業種 フロア
パレマルシェ スーパーマーケット 1F
スターバックス カフェ 2F
MUJI.com(無印良品) 生活雑貨 2F
マツモトキヨシ ドラッグストア 2F
メガネの和光 メガネ 2F
ジュピター グロサリー 2F
German sup/ex. ベーカリー 2F
キャンドゥ 100円ショップ 3F
鈴の屋 豆腐料理 3F
嘉文 和食 3F
フジヤマ55 つけ麺・ラーメン・台湾まぜそば 3F
宮きしめん きしめん 3F
松月 天ぷら 3F
ゆうゆうパソコン教室 パソコン教室 4F
シャンティ ネイルサロン 4F
ワイ/ジングウ 美容室 4F
プルチーノ歯科・矯正歯科 クリニック 4F
ファミリーマート エスタシオ コンビニエンスストア
(7月13日先行開店)
2F改札前
スマ本屋(三洋堂書店) 書店 2F改札前
メゾンデュミエル 洋菓子・パン 2F改札前
十み果 和菓子 2F改札前
μPLAT神宮前

住所:愛知県名古屋市熱田区三本松町1801番

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ローソン マチの本屋さん、2021年6月3日出店開始-コンビニ+書店、狭山に1号店

コンビニ大手「ローソン」(東京都品川区)と書店取次大手「日本出版販売(日販)」(東京都千代田区)は、小型書店併設型ローソン「LAWSONマチの本屋さん」の出店を2021年6月3日に開始する。

ローソンと日販が連携、既存店を「書店併設」に

「LAWSONマチの本屋さん」1号店は「ローソン狭山南入曽店」(埼玉県狭山市)を改装したもので、通常のローソンの商品に加えて約9000タイトルを販売する約70㎡の書籍売場を設ける。営業時間は24時間となる。

LAWSONマチの本屋さん。

ローソンは一般書店と協業で書店併設型店舗を21店(2021年5月時点)出店しているが、同社によると2020年度の書籍・文庫本などの売上高は、前年実績を約2割も上回ったという。
ローソンは今後も書店併設型店舗の拡大を目指すとしており、ローソンの手によって書店が消えた町にも「書店復活」となる例が現れるかも知れない。

ローソン マチの本屋さん 狭山南入曽店

住所:埼玉県狭山市南入曽1018-2
面積:281㎡(約85坪)そのうち書店部分70㎡(約21坪)
24時間営業

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イオンビッグ、マックスバリュ長野を2021年6月1日吸収合併-イオンのディスカウント運営会社、さらなる再編も?

イオングループの「イオンビッグ」(本社:名古屋市中村区)は、同じくイオングループの「マックスバリュ長野」(本社:長野県松本市)を2021年6月1日に吸収合併する。
(以下、マックスバリュ=MV)

マックスバリュ長野運営のザ・ビッグ信濃大町店。
(旧・信州ジャスコ新大町店/転換1号店/長野県大町市)

イオンビッグ、さらにビッグに

「イオンビッグ」は2011年8月21日に設立。設立にあわせてイオンリテール運営の総合ディスカウントストア(北関東・中部・近畿エリアのザ・ビッグなど21店舗、すべて本州)を承継した。
同社は設立直後より「イオンスーパーセンター」「メガマート」をディスカウントスーパー「ザ・ビッグ」に一本化する業態転換を開始。2014年1月には関東・中部・近畿のザ・ビッグ運営に特化した事業会社となった。

イオンビッグ運営のザ・ビッグエクストラ平群店。
(奈良県生駒郡平群町)

「MV長野」は2009年12月4日に設立。2010年2月にイオンリテールから長野県内の中小型総合スーパー(中小規模のジャスコ4店舗)と食品スーパー(MV全店舗)を承継し事業を本格的に開始した。
同社は消費者の節約志向の高まりなどにより設立直後の2010年6月より「ジャスコ」「マックスバリュ」を、長野県内初出店の「ザ・ビッグ」に一本化する業態転換を開始。2011年8月にイオンリテールから新たに承継したメガマート信州池田店の業態転換を経て、2014年10月には長野県内のザ・ビッグ運営に特化した事業会社となったため、2021年時点では「全店舗がザ・ビッグの店舗」となっていた。

マックスバリュ長野のザ・ビッグ。(長野県大町市)
同社が運営するジャスコからの転換1号店だった。

イオンのディスカウント、さらなる再編も?

イオングループは、イオンリテールの総合スーパー事業会社化とMVの地域密着体制構築を目的として、2010年1月にリテール運営のMVをイオン100%出資の地域子会社6社(北東北・南東北・関東・中京・長野・北陸)に分割する機構改革を実施した。
MV地域子会社6社のうち「MV北陸」は石川県・富山県・新潟県の食品スーパー事業会社として存続、「MV関東」はイオン系スーパー2社(マルエツ・カスミ)と経営統合、「MV北東北」「MV中京」は近隣の地域子会社と合併するかたちで2021年5月現在もMVを運営している。一方「MV南東北」「MV長野」はディスカウント志向を強め、2015年までにザ・ビッグのみを運営する会社となった。

イオンビッグは2019年9月に行われたMV東海・MV中部の経営統合に先駆け、同年6月に東海運営のザ・ビッグ35店舗、同年7月に中部運営のザ・ビッグ13店舗を吸収分割により譲受するなど、東海地方のザ・ビッグ運営会社を統合するかたちで経営規模の拡大を図っている。

イオンビッグによる「MV長野」の吸収合併と同様、スケールメリットを活かした価格訴求の強化を目的として、ディスカウント事業会社のさらなる再編が行われる可能性が高いと見込まれる。

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岡ビル百貨店、2021年5月31日閉館-名鉄東岡崎駅ビル、63年の歴史に幕

愛知県岡崎市にある名鉄東岡崎駅ビルの商業施設「岡ビル百貨店」が、2021年5月31日に閉館する。

名鉄東岡崎駅・岡ビル百貨店。

東岡崎駅のレトロな駅ビル、63年の歴史に幕

岡ビル百貨店は1958年開業、1967年増築。
館内は1970年代前後の内装のまま改装されていない部分が多く、21世紀に入ると数店舗のみでの営業となっていた。

館内は昔の内装のままだった(2021年)。

東岡崎駅ビル再開発計画、いよいよ始動か

駅ビルは当面は駅機能のみ活用される。
将来的に再開発されるとみられるが、具体的な開発案などは5月時点で発表されていない。

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