三越伊勢丹HD、ソシエをTBCに2021年7月売却-買収から僅か4年で、「SOCIE」「TBC」経営統合へ

大手百貨店グループ「三越伊勢丹HD」(本社:新宿区)は、同社傘下のエステサロン「ソシエ・ワールド(SOCIE)」(本社:渋谷区)を大手エステサロン「TBCグループ」(本社:新宿区)に2021年7月1日付で売却。これにより、ソシエはTBCグループとなる。

伊勢丹。

大手エステサロンのTBCと老舗エステサロンのソシエ

TBCグループは1976年3月に設立。日本国内47都道府県の駅周辺に立地するオフィスビルやショッピングセンターを中心に女性向けエステサロン「エステティックTBC」、男性向けエステサロン「MEN’S TBC」、脱毛サロン「エピレ」を約200店舗展開する。同社の2018年3月期売上高は約309億円。

「エステティックTBC」のサロン。(熊本県熊本市)

ソシエ・ワールドは、1960年5月に神奈川県大和市で「高橋理容店」として創業、1970年に「ワールド」として理容室・美容室を出店開始した。その後、1971年9月に現法人を設立、1982年に現社名に変更、1987年に台湾法人「台湾施舒雅美容世界股份有限公司」を設立、2013年2月には持株会社「SWPホールディングス」を設立した。

「SOCIE」台湾1号店が出店するそごう台北忠孝館。(台北市)

同社は国内外の百貨店やラグジュアリーホテルといった“一等地”を中心に、エステ・ヘアーサロン「SOCIE」「GUERLAIN PARIS」、眉毛・睫毛専門サロン「BEAUTY GENE professional」などを約140店舗展開する。三越伊勢丹HDの連結対象であるソシエ国内法人の2021年3月期売上高は83億2700万円、台湾法人の売上高は33億600万円。

ソシエ、国内店舗の業績不振が深刻化していた

三越伊勢丹HDは2017年1月に投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループからソシエ・ワールドの持株会社「SWPホールディングス」全株式(61,400株)を取得。大西洋社長(当時)による“コト消費の強化”を目的とした多角化路線の一環として、トータル・ビューティ事業に参入することとなった。

SOCIEのサロン。

三越伊勢丹HDによるソシエ・ワールド買収当初、ソシエ国内法人の2017年3月期売上高は152億6700万円、台湾法人の2017年3月期売上高は28億2900万円とエステサロン業界上位の座を維持していた。

「SOCIE エステティック」「SOCIE AVEDA」。

しかし、翌年以降売上高は競争激化を背景に減少傾向にあり、2020年に本格化した新型コロナ感染拡大の影響(入居施設の休業など)を受け、売上高は買収当初から半減した。
三越伊勢丹HDは「本事業を取巻く環境変化、今後の事業の方向性を勘案した結果、今般当社が保有するSWP全株式をTBCに譲渡することが適切であると判断した」とコメントしており、ソシエ買収からわずか4年で事業撤退を強いられることとなった。
また、TBCは今回のソシエ買収により、同社が従来積極展開してこなかった百貨店・駅ビル・ホテルといったランドマーク施設や中国・台湾を始めとする海外に拠点を広げることとなる。

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