東京都千代田区のJR秋葉原駅近くにある大手漫画・同人誌専門店「虎の穴」(本社:東京都千代田区)の「コミックとらのあな秋葉原店C」が2021年4月4日に閉店、「コミックとらのあな秋葉原店B」が2021年4月6日に閉店した。
とらのあな秋葉原店A・とらのあな秋葉原店B。
角田無線電機本店跡の「C館」、ビル建替えで閉店
コミックとらのあな秋葉原店Cは、2013年11月に秋葉原店A・秋葉原店B正面の「東京角田ビル(旧・角田無線電機本店/カクタソフマップ本店)」に開店。
開店当初の営業フロアは1フロア(3階)かつ古書・古物専門の店舗であったが、うたわれるものシリーズで知られるゲーム会社「アクアプラス」(虎の穴グループ・ユメノソラHDと2013年10月資本業務提携)特設コーナーの開設などにより順次取扱い品目を拡大。当時、虎の穴やユメノソラHDの事務所があった4階・5階にイベントスペースを開設し、イベント重視の店舗となった。
東京角田ビルは、とらのあな秋葉原店Cに加えて、ビックカメラグループのPC専門店「ソフマップAKIBA2号店パソコン総合館」や、諏訪市公認キャラクターの諏訪姫で知られるPLUMのアンテナショップ「PLUM LIVE SHOP」、アイドル・モデル撮影イベント会場「Fresh! Akiba 新館」が出店するなど、秋葉原らしいPC・ホビー・イベント分野に特化したビルだった。
ソフマップAKIBA2号店パソコン総合館・とらのあな(上階)。
しかし、2021年2月にはPLUMが「東京角田ビル建て替えによる契約期間終了」を理由に撤退。さらに、3月にはソフマップがサポートカウンターやeスポーツ関連売場の移転を開始するなど、建替え・再開発される方針が明らかとなっていた。
閉店日のとらのあな秋葉原C館入口。
サトームセン跡の“とら”、女性専門「B館」だった
コミックとらのあな秋葉原店Bは、2006年8月に「コミックとらのあな秋葉原本店」として開店。2009年7月に現在の店舗名に改称した。
同店は2004年に閉店した家電量販店「サトームセン秋葉原中央通り2号店」跡への出店で、当時進めていた秋葉原地区における店舗再編の要であった。当初の営業フロアは6層(地上1~5階・地下1階)、従来の1号店(→A館)で取扱っていた映像ソフトやホビーに加え、女性向け商業誌・同人誌専門フロアや直営コンセプトカフェ「Café with Cat」(2009年5月閉店)を展開するなど意欲的な試みを行っていた。
その後も、2009年7月の店舗名改称にあわせて営業フロアを7層(地上1~7階)に拡大、低層を各種映像・音楽メディア(BD/DVD/CDなど)、高層を女性向けとする営業体制に移行。2019年6月には3階・4階にイラスト専門フロア「AKIBA ART STORE」「AKIBA ART GALLERY」を新設、同年12月には秋葉原唯一となる公認サンリオグッズ専門フロア「とらのあなサンリオ公認ショップ」を新設、2020年11月には3階をFateシリーズで知られる「TYPE-MOONフロア」に刷新するなど、女性特化・コンセプト重視の店舗に。2021年の閉店時点もサンリオとのコラボレーション看板が設置されていた。
閉店直前のB館・サンリオとシャニマスの看板(2021年4月4日)。
しかし、2020年からはコロナ禍により営業時間を段階的に短縮、2021年1月14日からは緊急事態宣言発令を受けて営業時間を同社全店舗最短となる4時間(15時~19時)に短縮。さらに、1月31日には秋葉原店Bのシンボルだった女性向け同人誌・商業誌の取扱いを終了(池袋店への移転統合扱い、一部一般商業誌のみ秋葉原店Aで取扱継続)するなど、規模の縮小が続いていた。
縮小続くとらのあな、秋葉原も大幅縮小に
虎の穴は2009年7月からの同人取扱い拡大以降、2016年に末広町駅前にあった若松通商ビル(現・秋葉原虎ビル)を取得、その後も中古ホビー専門店「とらのあな2nd」やバー併設の酒類販売店「とらのも(トラ(ノ)アナNOMOO)」、“オタク婚活”に強みをもつ結婚相談所「とら婚」を相次ぎ出店するなど、秋葉原を拠点とした事業多角化をおこなっていた。
しかし、2018年11月には「とらのも」を無期限営業休止(後に閉店)、2019年4月には「とらのあな2nd(本店)」を無期限営業休止。さらに、2020年にはコロナ禍を受け地方店の大半を閉店、2021年2月には古書・古物専門業態だった「とらのあな2nd PREMIUM 秋葉原ラジオ会館出張所」を閉店するなど、一連の多角化と経営規模の拡大で出店した店舗の大半を閉鎖。本業である「コミックとらのあな」についても秋葉原の店舗をA館に集約、さらには集客の要の1つだった女性向け同人の取扱いを終了することとなった。
秋葉原の「とらのあな」3店(A・B・C館)。
とらのあな秋葉原店は、今後A館のみで営業をおこなうとみられる。なお、女性向け同人誌については池袋店か同社の通販を利用するように案内されている。
それぞれの店舗跡地の活用方法は未定となっている(先述したとおり「角田ビル」は建て替えの方針)。
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