カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

マックスバリュ若松店、2019年9月27日開店-函館棒二森屋の後継店、「マックスバリュ若松店」は2店舗に

北海道函館市の函館駅近くに、マックスバリュ北海道の食品スーパー「マックスバリュ若松店」が2019年9月27日午前9時に開店する。

マックスバリュ若松店。(北海道函館市)

函館駅前に待望の食品スーパー復活

マックスバリュ若松店は地上2階建、店舗面積は1,743㎡。(イートインスペースを含めた店舗面積は1,964㎡)
1階食品売場では函館市や北斗市の地場野菜や函館市場直送の魚介類、北海道平取町の「びらとり和牛」や道南生まれ道南育ちの豚肉「道南レッド」など鮮度にこだわりを持った生鮮品、上北農産加工の「スタミナ源たれ」や源たれで味付けした牛肉など地元で親しまれる商品を展開。インストアベーカリーでは100円均一価格のパンや専用オーブンで焼き上げたピザを販売する。

1階デリカゾーン。

また、店舗周辺に駅や宿泊施設が数多く立地することから、訪日外国人観光客を対象とした外貨両替機の設置や免税販売を実施。函館・青森製造の商品を拡充し、ホリの「夕張メロンピュアゼリー」やラグノオの和菓子、函館タナベ食品のたらこ、桃川の日本酒を取扱うなど観光・ビジネス需要で函館を訪ねる買物客の手土産品需要にも対応する。
2階イートインスペース「くつろぎひろば」では、椅子やソファを約95席設置、フリーWi-Fiや電子レンジを整備する。

2階くつろぎひろば。

函館駅周辺ではイオングループの百貨店「棒二森屋」本館地階に直営食品スーパー(旧・ダイエーグルメシティ棒二森屋店)が2019年1月31日まで営業していたが、同店の閉店に伴い函館駅前から食品スーパーが消滅していた。
最寄りのスーパーは徒歩20分近い距離にある「マックスバリュ堀川店」「スーパーアークス大縄店」「コープさっぽろ末広西店」3店舗のみとなっており、函館駅前に新規出店したマックスバリュは地元住民が待ちに待った食品スーパーと言える。

「マックスバリュ若松店」は国内2店舗に

イオングループのマックスバリュ東海(旧・マックスバリュ中部)は三重県鈴鹿市に「マックスバリュ若松店」を出店しており、今回のマックスバリュ北海道によるマックスバリュ若松店の新規出店により、マックスバリュ若松店は国内に2店舗存在することとなる。

マックスバリュ若松店

住所:北海道函館市若松町25-1
営業時間:9時~22時

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MEGAドン・キホーテ徳島店、2019年9月27日開店-PPIH、全都道府県出店達成

徳島県徳島市の県道39号線沿いに、ディスカウントストア「MEGAドン・キホーテ徳島店」が2019年9月27日午前9時に開店する。

MEGAドン・キホーテ徳島店。

長らく徳島県はPPIHグループの店舗空白地域だった

ドン・キホーテを傘下に持つ「PPIHグループ(旧・ドン・キホーテHD)」は2004年に四国地方1号店「ドン・キホーテパウ高松店」を香川県内に出店して以降、2009年に愛媛1号店「ドン・キホーテ松山店」、2010年には高知1号店「長崎屋高知ヴィアン店」(衣料スーパー業態)を立て続けに出店していたが、店舗網の拡充が進む四国他県と異なり徳島県は長らくPPIHグループの店舗が未出店の地域となっていた。

ドンキ、徳島1号店は四国大学近くに

MEGAドン・キホーテ徳島店は、パチンコ店「パーラーグランド古川店」跡の建物を改装して居抜き出店。建物は地上5階建で営業フロアは1階部分のみ、売場面積は4,212㎡。
同店は「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)グループが、初めて徳島県に出店する店舗」として、食品や日用消耗品などの生活必需品に加え、アパレルや化粧品、スマホパーツ、玩具などドンキならではの商品を強化。また、ピザやチーズハッドグなどの軽食を取扱う「チョウマソ」や焼き芋・タピオカ専門店「tapi-mo(タピモ)」が出店するフードコートを併設する。

残る「ドンキ未出店」は高知県のみに

PPIHグループとしてはMEGAドン・キホーテ徳島店の開店により日本国内全都道府県への出店を達成。ドン・キホーテが未出店の都道府県も残るは高知県のみとなる。

MEGAドン・キホーテ徳島店

住所:徳島県徳島市応神町古川字戎子野48-1
営業時間:午前9時~翌午前2時

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MEGAドン・キホーテUNY武豊店、2019年9月24日開店-知多武豊駅前のピアゴ跡に

愛知県知多郡武豊町の名鉄知多武豊駅前に、総合ディスカウントストア「MEGAドン・キホーテUNY武豊店」が2019年9月24日午前8時に開店する。

MEGAドン・キホーテUNY武豊店。

知多武豊駅前のピアゴ、生鮮取扱いのMEGAドンキに

MEGAドン・キホーテUNY武豊店の前身となる「ユニー武豊店」は1973年12月に開店。現店舗は1995年10月に開店した。ユニーグループの店舗ブランド再編に伴い、建て替え前の2009年2月に店舗名を「ピアゴ武豊店」に改称したが、ドンキへの業態転換のため2019年6月30日をもって一時閉店、一部専門店のみが営業を継続していた。
MEGAドン・キホーテUNY武豊店の建物は地上3階建、営業フロアは1~2階、店舗面積は7,207㎡、直営売場面積は5,100㎡。ユニーの100%子会社として設立された「UDリテール」が運営する。ドンキとしては愛知県内28店舗目で、ユニー・ドンキ双方のブランドを冠したダブルネーム店舗としては愛知県内9店舗目となる。
ピアゴ時代と同様に生鮮食品売場をフルラインで展開するほか、近隣に「大型総合スーパーが少なくディスカウント店もほぼ無い」ことを理由に、機能性アウターウェアや家電、スマホパーツ売場を新設する。
また、東海地方地盤の眼鏡店「キクチメガネ」や100円ショップ「Seria」、ラーメン・甘味処「スガキヤ」、名古屋きしめん専門店「ホテーフーヅ」、ゲームセンター「パルス」、新美南吉が通った老舗書店「同盟書林」など12店舗が引続き出店する。

知多武豊に「ディスカウントストア復活」

知多武豊駅前には以前よりユニーに隣接して「武豊ショッピングセンターTAK21」が営業しているが、TAK21は2008年まで東海地盤の食品スーパー「ハローフーヅ」(現・コノミヤ)と系列のディスカウント「ビッグワン」により構成される商業施設であった。
ビッグワンは2008年10月にドン・キホーテの完全子会社となるが、ビッグワン武豊店はドンキに引継がれず閉店、店舗跡には東海市地盤のディスカウント「マックスワールド」が居抜き出店するもの2014年をもって閉店していた。
マックスワールドの撤退後、知多武豊駅周辺からはディスカウント業態の店舗が消滅しており、ピアゴのドンキ化を機に約5年ぶりにディスカウント業態の店舗が復活を果たすこととなった。

MEGAドン・キホーテUNY武豊店

住所:愛知県知多郡武豊町字西田崎19番地の1
営業時間:8時~23時55分

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ストライプ、百貨店向けネット通販「DaaS」発表-2019年9月から、トキハ別府店にポップアップショップ1号店

アパレル大手「ストライプインターナショナル」(本社:岡山県岡山市、以下「ストライプ」)は、子会社のネット通販サイト「ストライプデパートメント」による百貨店向けネット通販「DaaS」(Department EC as a Service)を発表した。
第一段として百貨店「トキハ」(大分県大分市)、「大和」(石川県金沢市)と提携、1号店としてトキハ別府店(大分県別府市)にポップアップショップを2019年9月12日から期間限定で開設した。

トキハ別府店。

「コストがかかる」「商品が入らない」を解決

ストライプインターナショナルは「earth music&ecology」や「アメリカンホリック」などを展開するアパレル大手。
ストライプデパートメントはストライプインターナショナルとソフトバンクが2018年2月に設立した合弁会社で、同名のネット通販サイトを運営する。
地方百貨店はネット通販サイトに対するノウハウがないところも少なくなく、さらに独自のネット通販サイトを運営している場合でも大手と比較して見劣りがすることも多い。
また、近年は百貨店不況により「百貨店向け人気ブランド」自体が地方百貨店に商品を卸さず、より売上が見込める首都圏などの店舗のみに商品を卸しているという現状がある。
そのため、ストライプデパートメントは「DaaS」のシステムを用いて各百貨店ごとにカスタマイズされたネット通販サイトを運営する。
百貨店側のイニシャルコスト、ランニングコストともに0円で、約1000ブランドを取り扱うことが可能。百貨店には登録者数と売り上げに応じた手数料が入る。

ストライプデパートメント・DaaSのシステム。
(ニュースリリースより)

さらに、百貨店の実店舗では通販サイトで販売される一部商品を展示したポップアップショップを開設する。
このポップアップショップでは、サイズやカラーバリエーションなどを豊富に取り揃えている訳ではなく、ネット通販を通じて自分にあった商品を選ぶかたちを採る。

トキハ別府店にポップアップショップ1号店

ストライプデパートメントのポップアップショップ全国1号店は2019年9月12日より「トキハ別府店」の2階連絡通路に開設された。
2階連絡通路には普段は同店で販売されていないクロエやマルニのバッグなどが陳列され、興味深そうに眺める買い物客の姿も見かけられた。今回の開催予定は9月25日までだが、今後も商品を入れ替えた上で展開される予定。
トキハでは期間中に会員登録をすると1000円分のクーポンがプレゼントされるキャンペーンもおこなわれている。

ストライプデパートメント・ポップアップショップ。

また、9月13日から15日までは、ストライプが運営する「hotel koe tokyo」(東京都渋谷区・パルコ隣)においてもストライプデパートメントのポップアップショップが開設されている。
ストライプでは、今後トキハや大和以外の百貨店とも提携をおこなっていく方針を示しており、商品数が限られる地方百貨店においてこうした「実店舗+ネット」の融合が実現するのかどうかが注目される。

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琉球王国市場、2019年9月7日閉館-旧・沖縄三越、「国際通りのれん街」として再生めざす

沖縄県那覇市国際通りの「沖縄三越」跡に開業したばかりの商業施設「琉球王国市場」が2019年9月7日に閉店した。

琉球王国市場。

僅か半年ほどの営業だった「琉球王国市場」

琉球王国市場の前身となる「沖縄三越」は1957年に地場百貨店「大越」として開店。1970年に三越との業務提携により沖縄三越となったが、経営不振のため2014年9月に閉店。2015年春からリウボウが運営する観光客向け商業施設「ハピナハ」となった。

沖縄三越。

ハピナハは再開発のため2017年6月に閉館していたが、地権者の同意が得られなかったため、建物は地元企業などにより「琉球王国市場」として再生されることとなった。
琉球王国市場のコンセプトは「美味しいと楽しいを結ぶマーケット」。館内には地階、1階、2階の3フロアに飲食店、アニメグッズ販売店、土産品店などのテナントが2018年12月から2019年1月ごろにかけて順次開業していた。
しかし、早くも春にはテナントの撤退が相次ぎ、4月に運営会社が破綻。規模を縮小して営業していたものの、2019年夏にはほとんどの店舗が撤退した状態となっていた。

「Re:ゼロから始める異世界生活」のラムとレムが飾られる店内。
同小説では「死に戻り」が重要なカギを握るが、建物は
「3度目の閉鎖」となってしまった。

12月に別企業が「国際通りのれん街」開業へ

琉球王国市場跡では、飲食・宿泊業を手掛ける「スパイスワークスHD」など複数社がビルを借り受け、2019年12月までに地階と1階を飲食店街「国際通りのれん街」として新たに営業開始する構想を立てている。
なお、3階でエンターテイメント公演をおこなっていた劇場「TEE!Family専用劇場」については、9月から休業しているものの、2019年12月(予定)より営業を再開する方針を示している。
(一部の写真は琉球王国市場公式Twitterと地理人研究所より)

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ドン・キホーテ栃木平柳店、2019年9月19日開店-ヤオハン、e3・ガラクタ鑑定団跡

栃木県栃木市のヤオハン平柳店跡に「ドン・キホーテ栃木平柳店」が2019年9月19日に開店する。

ドン・キホーテ栃木平柳店。

紆余曲折あったヤオハン跡、ドン・キホーテに

ドン・キホーテ栃木平柳店の建物は地上2階建、同社の営業フロアは1階のみ、売場面積は約1,384㎡。ドンキは栃木県内5店舗目、栃木市内では初の店舗となる。
元々、ドンキが出店する建物は栃木市に本社を置く八百半商店が運営する食品スーパー「ヤオハン平柳店」として開店したもので、近隣には八百半の本部も立地していたが、八百半の経営悪化を理由とした地域企業再生ファンド傘下入り及び新旧分離に伴い閉店。その後、栃木県内を中心にCD・DVD・ゲームソフト販売店を展開する「ハーマングループ」のゲームセンター・ネットカフェ「e3栃木店」となったが、事業廃業に伴い2011年6月をもって閉店。同年7月には系列の倉庫系リサイクルショップ「ガラクタ鑑定団栃木店」に業態転換するもの、2018年6月30日をもって閉店していた。

価格訴求に加え「栃木」ならではの独自の取組みも

ドン・キホーテ栃木平柳店は「“地域密着”と“お買い物のエンターテイメント性”を融合させた店舗」として、価格訴求性を強めた日配品やコスメ、カラコン、時計・宝飾品、家電、幼児玩具に加えて、地元メーカーとのコラボコーナーや子育て支援パスポート事業への協賛など地域に密着した店舗づくりを行う。
また、栃木市の市街地に蔵造りの街並みが保存されており、「小江戸」「小京都」と称されることから「和」を意識した内装、売場演出を行う。

驚安の殿堂ドン・キホーテ栃木平柳店。

ドン・キホーテ栃木平柳店

住所:栃木県栃木市平柳町2-26-26
営業時間:午前9時~翌午前1時

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イズミヤ泉佐野店、2019年9月16日閉店

大阪府泉佐野市の国道26号線バイパス沿いにある総合スーパー(ショッピングセンター)「イズミヤ泉佐野店」が2019年9月16日18時に閉店する。

イズミヤ泉佐野店(公式サイトより)。

イズミヤ泉佐野店、34年の歴史に幕

イズミヤ泉佐野店は1985年4月に開業。売場面積は12,550㎡で、建物は3階建てでイズミヤが所有する。2002年以降の一時期には「イズミヤパレットIZUMIYA Pallet)」として営業していた。
テナントとして100円ショップ「ダイソー」、写真館「スタジオアリス」、ゲームコーナー「キッズUSランド」などが出店するが、一部テナントは閉店に先駆けて撤退している。

館内のようす(写真:浅葱さん)。

泉佐野市内には「いこらもーる」(旧ダイエー)、「イオンモール日根野」、「りんくうプレミアムアウトレット」など大型ショッピングセンターがあるもののイズミヤからはかなり距離がある。イズミヤの近隣には、2キロメートルほど海側に「イオンタウン羽倉崎」が、1キロほど東側に食品スーパー「松源」があるが、同規模の商業施設は存在していないため、跡地の活用方法が注目される。

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西洋フード、事業再編で2019年8月までに百貨店内飲食店を全閉店-「カーサ」は全国4店のみに

英国コンパスグループの日本法人「西洋フード・コンパスグループ(旧西洋フードシステムズ)」と傘下の「エムエスエル(旧森永フードサービス)」は、事業再編により百貨店・スーパー内飲食事業(CASA、○かつ亭など約20店舗)を2019年8月31日までに廃業した。

CASA Grande 西武高槻店(西洋フード運営店舗、現在は閉店)。

今回の廃業は、事業再編によって百貨店内にある店舗以外の事業が譲渡されたため。
西洋フード・コンパスグループの事業のうち「スポーツ施設およびレジャー施設におけるレストランその他の飲食提供業務および宿泊業務に係る事業」(以下、スポーツ事業及びレジャー事業)が「エスエスエル」に吸収分割承継、外食大手「クリエイト・レストランツHD」に2019年9月1日に経営譲渡され、それ以外の百貨店内の店舗は閉店されることとなった。

事業整理をすすめていた西洋フード・コンパス

西洋フード・コンパスグループは1947年9月、森村武次郎により「キンケイカレー」を手掛ける荏原食品工業として創業。創業以来、同一の創業家(森村家)を持つエバラ食品や平和食品工業と緊密な関係にあったが、1975年には経営悪化を機に西武セゾングループの傘下となり、1976年に「レストラン西武」と合併、その後1989年10月には「西洋フードシステムズ」に社名変更していた。

CASA西武大津店(西洋フード運営店舗、Grande転換後閉店)。

1991年には九州地盤の大手スーパー「寿屋」からファミレス「グルッペ」を買収し地域子会社「西洋フードシステムズ九州」を設立、グルッペからの転換店舗やFC店舗を含め、最盛期にはファミリーレストラン「CASA」を全国展開していた。2001年には経営破綻した旧そごうグループの「そごう商事」からとんかつ専門店「双葉亭」、和食店「四季」など自社グループ店舗や繁華街で営業していた飲食事業を取得し更なる事業多角化を推し進めたもの、同年中にCASA首都圏・関西店舗の大半をゼンショー傘下の「ココス」に売却、2002年1月から西武セゾングループの経営悪化に伴い「英国コンパスグループ」の傘下に入り現在の社名に変更した。

四季梅田店・立呑みうめや(西洋フード運営店舗、営業中)。

2007年8月には本業であったファミリーレストラン「CASA」や居酒屋「」「居食処 博多五風(旧・グルッペ→CASA)」「京らーめん 糸ぐるま」などのレストラン事業約120店舗を「西洋レストランシステムズ」に分社化し、モルガン・スタンレー証券とオフィス井上に売却。西洋フード・コンパスグループはオフィス・工場を始めとする各種事業所の食堂運営受託、宿泊施設・公的施設・保養所・研修所・高速道路SAPAの運営受託を中心とした事業展開に移行していた。

ランチ&ダイニングバーごふう二又瀬店
(西洋フード九州運営店舗、CASA・博多五風から転換後閉店)。

全国にあった「カーサ」、アンドモワの「4店のみ」に

西洋レストランシステムズ(約120店舗)はファンド傘下となったのち、2010年代初頭に個室居酒屋チェーン大手「川中商事(現・アンドモワ)」へ売却、博多五風をCASAに再転換するなど経営改革を推し進めていたが、川中商事の経営悪化により九州から全面撤退。今回の閉店により、「CASA」屋号(アンドモワ運営)の店舗は首都圏に4店舗を残すのみとなる。
なお、西洋フード・コンパスグループが継続運営していた百貨店内飲食店舗に関しては、レストラン事業分社化もロードサイド型店舗と共通ブランドで営業を行っていたが、西洋レストランシステムズの川中商事傘下入りに伴い、商標等の関係などから、西洋フード直営の「CASA」を高級業態「CASA Grande」に一本化、「小吃坊」を「皇雅」に、「双葉亭」を「○かつ亭」に変更している。

CASAつくばエポカル店(オークラフロンティアホテル)
(アンドモワ運営店舗、営業中)。

クリエイト・レストランツHDは1999年5月に創業、2010年に持株会社制に移行した。「マルチブランド・マルチロケーション戦略」を掲げ、百貨店やショッピングセンターにしゃぶしゃぶ食べ放題「しゃぶ菜」、自然食レストラン「はーべすと」、クレープ・タピオカ専門店「デザート王国」など222ブランド925店舗を展開する(2019年2月末現在)。

クリエイト・レストランツHD運営の飲食店。

百貨店内の旧セゾン・そごう系飲食店は「全て閉店」

今回、西洋フード・コンパスグループからクリエイト・レストランツHDに譲渡される134店舗(スポーツ事業92 店舗、レジャー事業42店舗)に、百貨店(そごう・西武)内での飲食店事業は含まれておらず、これらは全て閉店する。
今後、西洋フード・コンパスグループは食堂・SAPAの運営受託に専念することとなる。

そば処信濃東名海老名SA下り店。
(西洋フード運営店舗、営業中

そごう・西武の飲食街壊滅-新店誘致が課題

西洋フード・コンパスグループは成立の経緯から大手百貨店「そごう・西武」のレストラン街に相当数の店舗を出店しており、今回の百貨店内飲食事業全面撤退に伴い、そごう及び西武百貨店各店舗のレストラン街では多くの空き床が発生することとなった。西武東戸塚店(オーロラシティ東戸塚)ではレストラン街8店舗のうち2店舗(CASA、いろどり家)が8月に閉店したもの、閉店に先駆けて後継店2店舗(ベーカリーレストランサンマルク、とろ麦)の新規出店が決定するなど影響の少ない店舗がある一方で、西武所沢店ではレストラン街6店舗のうち西洋フード運営4店舗(CASA、○かつ亭、トラットリアパスクーア、皇雅)が閉店、そごう徳島店ではレストラン街5店舗のうち3店舗(ファミリーレストラン、○かつ亭、京まいこ)が閉店するなど飲食店区画の半分以上が閉鎖状態となるそごう・西武店舗もみられており、こうした店舗では新たな飲食店の誘致が喫緊の課題となりそうだ。

そごう徳島店ファミリーレストラン。

2019年9月までに閉店した西洋フードの百貨店内飲食店舗
CASA Grande(カーサグランデ)(旧・CASA、西洋系)
  • CASA Grande西武所沢店
  • CASA Grandeそごう大宮店
  • CASA Grande西武東戸塚店
  • CASA Grande西武福井店
  • CASA Grande西武大津店
  • CASA Grande西武高槻店(H2OAM西武高槻店内)
いろどり家
  • いろどり家西武池袋本店
  • いろどり家そごう横浜店(旧・ほの家)
  • いろどり家西武東戸塚店
○かつ亭(まるかつ亭)(旧・双葉亭、そごう商事系)
  • ○かつ亭西武池袋本店
  • ○かつ亭西武所沢店
  • ○かつ亭そごう横浜店
  • ○かつ亭そごう徳島店
china cafe 皇雅(旧・china cafe 小吃坊)
  • china cafe 皇雅西武池袋本店
トラットリアパスクーア
  • トラットリアパスクーア西武所沢店
中華料理 皇雅(旧・小吃坊)
  • 中華料理 皇雅西武所沢店
京風らーめん 京まいこ(そごう商事系)
  • 京風らーめん 京まいこそごう徳島店
そば処信濃
  • そば処信濃西武所沢店

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三春屋百貨店、2019年11月からやまきの運営に-中合、福島県内のみに

イオン傘下(ダイエーの子会社)である百貨店「中合」(福島市)が運営する青森県八戸市の百貨店「三春屋」が、2019年11月から不動産会社・商業コンサルタント「やまき」(東京都港区)に経営譲渡される。

三春屋百貨店。

三春屋百貨店、やまきに売却・譲渡

三春屋は1953年3月に開業。1985年にダイエーの傘下となった。現在の売場面積は15,584㎡。徒歩圏にあるさくら野百貨店八戸店とともに、永年に亘って八戸市の中心商業地の核となってきた。
やまきは「ミナーラ」(旧・奈良そごう)、「アルピコプラザ」(旧・イトーヨーカドーアリオ松本店)、「いせはらcoma」(旧・東急ストア伊勢原店)や「ラクーン沼津」(旧・沼津西武)、「エキータ」(旧・イトーヨーカドー前橋店)、下館スピカビル(旧・下館サティ)、「アクア木更津」(旧・木更津そごう)などといった商業施設の再生・再活用を手がけているが、百貨店自体を運営するのは初となる。

中合の店舗、創業の地・福島県内のみに戻る

ダイエーグループは経営規模拡大とともに東日本各地の百貨店を
傘下に収め、2005年までにそれらを「中合」の運営に一本化したものの、今回の経営譲渡により、中合が運営する百貨店は中合福島本店、中合会津サテライト店の2店舗のみとなる。

中合福島店。

中合は福島本店の再開発を控えており、今後の動きが注目される。

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平和堂フレンドマート野々市店、2019年9月7日開店-マルエー二日市店跡、石川県内初となるフレンドマートに

石川県野々市市のJR北陸本線野々市駅近くに「平和堂フレンドマート野々市店」が2019年9月7日午前9時30分に開店する。

平和堂フレンドマート野々市店。

DCMカーマとマルエーのショッピングセンターだった

平和堂フレンドマート野々市店の前身となる地場大手スーパー「マルエー二日市店」は2009年4月に開店。建物は平屋建、延床面積は約2,640㎡。
同店は隣接するDCMグループのホームセンター「DCMカーマ野々市店」とともにショッピングセンターを形成していたが、2019年6月26日をもって閉店していた。

平和堂小型店の「プロトタイプ店舗」-100均など出店

平和堂フレンドマート野々市店の建物は平屋建、敷地面積は6,619㎡、店舗面積は2,571㎡、売場面積は1,686㎡、初年度の年間売上目標高は10.1億円。
同店の直営食品売場は酒を中心とした品揃えの充実と頻度品の価格強化を両立した「プロトタイプ店舗」の位置付けで売場を構成、1737年創業の石川銘菓「圓八」の「圓八あんころ餅」や金沢尾張町の佃煮店「壺屋壺亭」、地元の生乳100%使用を特徴とした能登の「マルガージェラート」など地元ブランド商品の品揃えを強化する。また、テナントとして100円ショップ「Watts with(ワッツ ウィズ)」が出店する。

北陸では馴染み薄い「フレンドマート」ブランド

平和堂は1989年11月に石川県内1号店「アルプラザ小松」を出店して以来、金沢市、鹿島郡中能登町、加賀市、河北郡津幡町など店舗網の拡大を推し進めたが、いずれも大型ショッピングセンター「アルプラザ」業態での新規出店であったため、2015年7月に石川県内初となる食品スーパーを出店する際もアルプラザを全面に押し出した「アルプラ フーズマーケット」ブランドでの出店を行っていた。
フレンドマート野々市店の開店により、北陸では未だに馴染みが薄い「フレンドマート」ブランドの浸透と店舗網の拡大が予想される。

フレンドマート野々市店

住所:石川県野々市市二日市四丁目143番地
営業時間:9:30~21:00

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