カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

ベイシアIS伊勢崎店、2023年10月下旬閉店-いせや創業から64年の歴史に幕

群馬県伊勢崎市の東武伊勢崎線新伊勢崎駅近くにあるベイシアグループのショッピングセンター「ベイシアIS伊勢崎店」が2023年10月下旬を目途に閉店する。

伊勢崎で生まれた流通大手「ベイシア」

ベイシアは1959年6月に群馬県伊勢崎市で衣料品店「いせや」として創業。
創業当初は北関東中心の店舗展開であったが、1978年にホームセンター「いせやホームセンター」(現カインズ)1号店を栃木県栃木市に開店、1980年には作業着店「ワークマン」1号店を群馬県伊勢崎市に開店、1983年にはコンビニ「セーブオン」1号店を群馬県渋川市に開店するなど業容を拡大。流通大手「ベイシアグループ」(2023年2月末時点30社2,069店舗)として発展した。

伊勢崎のシンボル、64年の歴史に幕

ベイシアIS伊勢崎店は1989年4月26日に「ISEYA IS(イセヤ イズ)」として開店。建物は地上4階建で店舗面積は11,131㎡、自社グループ所有物件となっている。
同店は創業店「いせや伊勢崎店」の建替再出店として、直営衣食住フロアに加え、グループの家電量販店「いせやデンキ」や文化施設「イズカルチャーセンター」「イズホール」を展開するなど、創業30年にふさわしい施設づくりを打ち出し、伊勢崎市中心部を代表するシンボルのひとつとなった。

ベイシアIS伊勢崎店。

ISEYA ISは1994年4月に増床リニューアルを実施、1998年10月に現在の店名に変更、2015年4月にはグループのホームセンター「カインズ」を導入するなど、地域随一の大型店としての役割を引続き担ったが、老朽化のため現店舗は34年の歴史に幕を下ろすこととなった。

開店以来地域の文化拠点だった「イズカルチャーセンター」。

伊勢崎市内では、2015年3月に伊勢崎駅周辺第一土地区画整理事業の核として「ベイシアスーパーマーケット伊勢崎駅前店」が開店したが、市中心部には大型スーパーが極めて少ない。
ベイシアグループがこのまま伊勢崎市中心部での64年の歴史に幕をおろすのか、今後の跡地活用に注目が集まりそうだ。

創業30周年を記念した豪華な店舗だった。

(写真提供:ならロー
関連記事:イトーヨーカドー伊勢崎店、2021年2月21日閉店-ヨーカドー、群馬県から完全撤退
関連記事:MEGAドン・キホーテUNY伊勢崎東店、2019年6月25日開店-アピタ跡に

イオンスタイル赤羽、2023年7月28日開業-忠実屋→ダイエー跡、ヤマダ・ドムドムなど出店

東京都北区神谷の赤羽警察署前にあったショッピングセンター(総合スーパー)「イオン赤羽北本通り店」跡地に、総合スーパー「イオンスタイル赤羽」が、2023年7月28日に開店する。

イオンスタイル赤羽。

忠実屋から数年おきに名前が変わった店舗だった

イオンスタイル赤羽の前身「イオン赤羽北本通り店」は1982年3月に「忠実屋赤羽店」として開店。のちに同社のディスカウントストア「DISPA!」となったが、1994年にダイエーと合併したことに伴い、同社傘下のディスカウントストア「Dマート」に、その後、通常のダイエー店舗「ダイエー赤羽北本通り店」となった。

イオン赤羽北本通り店。

さらに、ダイエーがイオン傘下となり、2012年に改装。主要大型店をイオンリテールが継承することになったことに伴い、2016年3月に「イオン」に転換したが、建物の建て替えのため2020年5月に閉店していた。
もともと当地は理研グループの「理研コランダム」が工場を構えていた土地で、建物は同社が所有していた。売場は1階から3階(4階・5階・R階は駐車場)、店舗面積は9,909 m²だった。

エントランス。一見綺麗だが「裸火厳禁」などの古い看板も。

イオンスタイル赤羽として復活、ドムドムも再出店

イオンスタイル赤羽は地上3階建て、売場は1階と2階、売場面積は以前の約8割ほどにあたる約8,070㎡(イオン直営売場:約4,190㎡、専門店:約3,880㎡)。
コンセプトは「住みたい街、東京赤羽で近くて便利な都市型ワンストップショッピングストア」。
食品売場は旧店の1.6倍の面積に拡大、食のニーズの多様化に対応する。とくに冷凍食品コーナーでは約870品目を揃え、ロイヤルホストの味を家庭で楽しめる「ロイヤルデリ」、ロック・フィールドの冷凍食品ブランド「RFFF(ルフフフ)」と「神戸コロッケ」の商品、韓国グルメ、冷凍スイーツなどを導入する。また、約2キロ先に「荒川岩淵関緑地バーベキュー場」があるためバーベキュー用のステーキ・焼肉、おつまみも拡充した。
そのほか、食品に加えて日用品、くらしの品、肌着、化粧品、医薬品なども扱い、短時間で手軽に買い回りできる売場づくりを目指すとしている。

漫画家・清野とおる氏によるオリジナルのイラストをイートインに展示する。

イオン系テナントとして、旧マイカル系のベーカリー「カンテボーレ」、調剤薬局「イオン薬局」などを導入。
そのほかテナントとして「ヤマダデンキ」、「キャンドゥ」、「ドムドムハンバーガー」「丸亀製麺」「スターバックス」「ミスターミニット」「ポニークリーニング」などが出店する。
ドムドムは旧店から再出店で「どむぞうくんぬいぐるみ赤羽店バージョン」も発売する。

「北区の銘店」コーナーも充実

北区の地元商品も充実。梶原商店街「菓匠 明美」の「都電もなか」、東京23区最後に残る乾麺製造メーカー「江戸玉川」のうどん・きしめん、日本酒「丸眞正宗」、通称キンミヤと言われている「亀甲宮焼酎」、東京ヴェルディ・オリジナルクラフトビール、「トンボ鉛筆」コーナー、「渋沢栄一」コーナー、カプセルトイ「赤羽コレクション」などを設置する。

イオンスタイル赤羽

東京都北区神谷3丁目12-1
営業時間:
1階 食品 8時~22時
2階 日用品・化粧品 9時~22時
イオン薬局(調剤)10時~20時
(専門店など一部営業時間が異なる)

関連記事:ドン・キホーテ赤羽東口店、2023年6月30日開店-北区初出店で23区全出店達成
関連記事:西友赤羽店、2023年5月2日閉店-西友本社所在地、土地・建物を売却して再開発へ

関連記事:ダイエー赤羽店、2023年9月10日閉店-開店54年・建替えから僅か11年で、隣接地に新店舗開設

ドン・キホーテ三宮オーパセンター街店、2023年6月30日開店-旧ビブレ地階に

兵庫県神戸市中央区のイオン系(旧マイカル系)商業施設「三宮オーパ(2代目、旧三宮ビブレ)」の地階に、パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)のディスカウントストア「ドン・キホーテ三宮オーパセンター街店」が2023年6月30日朝10時に開店する。

ドン・キホーテ三宮オーパセンター街店。

旧三宮ビブレ、2023年2月に地階を一旦閉店していた

現在「三宮OPA」が出店する旧「三宮VIVRE」は、総合スーパー「ニチイ三宮店」として1969年に開業。売場面積は6,049㎡。
1969年の開業以来、ニチイから社名変更したマイカルを前身の1つに持つイオンリテールが運営を行っていたが、2016年3月をもってビブレ全店とともに「OPA」に運営を移管。2018年2月に三宮OPA(旧店)が再開発のため閉館したのに伴い、ビブレの一部をOPAに転換、その後、リニューアルを進め、全館を二代目「三宮OPA」とした。
改装前の三宮OPA地階。(旧三宮ビブレ)

地階にはレディスアパレルなどが出店していたが、2023年2月末までに閉店。その後、改装が続けられていた。

「学割イベント」などでドンキ三宮店と差別化

ドン・キホーテ三宮オーパセンター街店の売場面積は約812㎡。
近隣には「ドン・キホーテ三宮店」があるものの、三宮センター街は10~30代女性の比率が高い地域特性であることから、メインターゲットをZ世代の女性に設定し、トレンドをおさえたコスメ、スキンケア、カラコンを強化。さらに、近隣に短大、専門学校が多く存在していることもあり、学生応援サービスとして期間限定の「平日店内全商品5%OFF」などの学割イベントなどを実施することで、差別化を図るとしている。

ドン・キホーテ三宮オーパ センター街店

兵庫県神戸市中央区三宮町1-5-26(三宮オーパ 地下1階)
営業時間:10:00~21:00

関連記事:三井アウトレットパーク マリンピア神戸、2024年度リニューアル開業-現店舗は2023年1月15日閉店
関連記事:ソフマップ三宮センタープラザ店、2022年7月31日閉店-文教堂アニメガ跡を転換した異色の店舗、 神戸ハーバーランド店と統廃合
関連記事:神戸ロフト、2022年4月1日縮小リニューアル-神戸阪急新館、紀伊國屋書店も5月8日閉店

佐藤長、2023年6月26日に倒産・民事再生法申請ー青森県津軽地方中心に「さとちょう」展開、店舗は営業継続の方針

青森県津軽地方を中心に食品スーパー「さとちょう」を展開する「佐藤長」(青森県弘前市)が2023年6月26日、青森地裁弘前支部に民事再生法を申請・受理された。さとちょう城東店(青森県弘前市)。

さとちょう、近年は下北半島に進出

佐藤長は1897年に佐藤商店として創業。1978年に弘前市に「さとちょう」1号店を出店した。
長らく店舗展開は津軽地方に留まっていたが、2011年11月にイオン系食品スーパー「マックスバリュ東北」(現・イオン東北)からむつ市内の2店舗を譲渡され、下北地方に進出した。2012年には商業ビル「むつ松木屋」(青森県むつ市)の食料品売場に店舗を開店。現在は津軽地方とむつ市に計26店舗を展開している。さとちょうむつ新町店(青森県むつ市)。

さとちょう、経営破綻ー前社長逮捕の影響も

佐藤長と関連会社の「青森食研」(黒石市)が2023年6月26日、青森地裁弘前支部に民事再生法を申請・受理された。負債総額は2社合計で63億4785万円、債権者は390人。
経営破綻の原因は価格競争の激化や青森食研の設備投資が経営を圧迫したこととしているが、一部報道では前社長が2022年11月に反社会勢力と関りを持ったなどとして職業安定法違反で逮捕されたことから金融機関からの信用が失墜したことを要因として指摘されている。
地元メディアの報道によると、店舗は営業を継続しながら再建を図る方針だという。

関連記事:さとちょうヒロロ店、2023年1月15日閉店-ヒロロはリニューアルへ
関連記事:THREE、2023年4月25日開業-中三青森店跡、複合商業施設に
関連記事:マエダガーラモール店、2023年5月7日閉店-旧亀屋みなみのガーラタウン、A棟の専門店も
関連記事:イトーヨーカドー弘前店、2020年11月18日リニューアル開業-弘前初「ロフト」「アカチャンホンポ」出店

アークスクエア御経塚、2023年6月28日開業-サティ跡、ヤマダ+ムサシ+イオンの複合店に

石川県野々市市にあったショッピングセンター「旧イオン御経塚ショッピングセンター」(旧マイカル御経塚サティ)跡地に、アークランズとヤマダHDが運営するショッピングセンター「アークスクエア御経塚」が、2023年6月28日に開業する。

アークスクエア御経塚。

開業23年で閉店した旧御経塚サティ

イオン御経塚店は1998年3月にマイカル系ショッピングセンター「御経塚サティ」として開店。館内にはワーナー・マイカル・シネマズ御経塚(現・イオンシネマ)も併設されていた。

イオン御経塚店・イオンシネマ。(撮影@んぜんぴんさん)

その後、2011年3月にイオンとマイカルが経営統合されたことに伴い、イオン御経塚ショッピングセンター(イオン御経塚店)となった。
建物は地上3階建で、店舗面積は26,512㎡だったが、2021年にイオン御経塚店の西側約1.5kmにイオンモール白山」が開業。
イオン御経塚店は、イオンモールの開業を前に2021年5月に閉店していた。

ヤマダ+ムサシ+イオンの3核に

イオン御経塚店跡地に建設された「アークスクエア御経塚」は、ヤマダデンキを運営するヤマダホールディングスと、アークランドサカモトを運営するアークランズによるショッピングセンター。
「アークスクエア」は初業態で、売場面積は約3万1100㎡となる。

核テナントは「ホームセンタームサシ」「イオンスタイル」、「ヤマダTecc LIFE SELECT」(6月30日開店)。
そのほか、テナントとしてアークランドサカモトグループの「ニコペット」、「アークホーム」、「チェントペルチェント」が出店する。
食品核店舗「イオンスタイル御経塚」は建替え前からの再出店となる。イオン直営店舗面積は2,308㎡。
イオンではネットで注文して店頭で受け取る「ピックアップ!」、店舗で購入した商品を自宅に届ける「イオン即日便」 、売場で商品をスキャンすることでレジ待ち時間を減らす「レジゴー」を導入。売場では、1枚ずつ丁寧に伸ばした生地を高温短時間で焼き上げることで、小麦の風味にこだわったもちもち食感のピッツァを提供する「ピッツァソリデラコーナー」を導入する。

アークスクエア御経塚

石川県野々市市御経塚2丁目92
営業時間:イオンは7時~23時(7月9日までは9時開店)

関連記事:金沢ロフト、2021年7月閉店-片町きららの核店舗
関連記事:めいてつエムザ、2021年3月にヒーローに売却-茨城のディスカウントストア、百貨店業態で運営継続
関連記事:クロスゲート金沢、2020年6月開業-高層階はハイアット系ホテル

MEGAドン・キホーテUNY嬉野店、2023年6月27日開店-伊勢中川駅前のユーストア・ピアゴ跡に

三重県松阪市嬉野町の伊勢中川駅前にあったピアゴ嬉野店跡に、パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)の総合ディスカウントストア「MEGAドン・キホーテUNY嬉野店」が2023年6月27日朝8時に開店する。

MEGAドン・キホーテUNY嬉野店。

伊勢中川駅の再開発で生まれた店舗

ピアゴ嬉野店の前身であるユニー・ユーストア嬉野店は伊勢中川駅前区画整理に合わせて1999年12月に開業。
建物は2階建てで、店舗面積は9,189㎡。2009年にはピアゴ嬉野店に改称・リニューアルしたが、メガドンキへの改装のため2023年4月16日にピアゴ直営売場を閉店していた。

食品を拡大、書籍売場を廃止して家電売場に

メガドンキ化に伴い、テナントのセリア、マクドナルド、四六時中、不二家、カットカットプチ3ACE、クリーニングルビー、あーる工房、宝くじ、ペグなどは営業を続けている(一部は店内移転・改装)が、ユニー系列の書籍売場「夢屋書店」は廃止される。
1階の食品売場は1.3倍に拡大。松阪牛コーナーが設けられるほか、ドンキのピザショップ「トロリスタ」が設けられる。
2階にはリニューアル前にはなかった家電売場を新たに導入。おもちゃ・文具やスポーツ用品などにも力を入れ、大人から子どもまでワクワクドキドキお買い物を楽しんでいただけるお店を目指すとしている。
内装は地区最大の祭り「嬉野おおきん祭り」のマスコットキャラクター「ウレッピ―」と、ドン・キホーテのマスコットキャラクター「ドンペン」「ドンコ」がモニュメントや壁面デザインとして店内でコラボする。

MEGAドン・キホーテUNY嬉野店

三重県松阪市嬉野中川新町四丁目205番地
営業時間:8時~24時

関連記事:イオンタウン伊勢ララパーク、2022年9月23日新装開業-全館改装で無印良品・宮脇書店など新規出店
関連記事:松阪ショッピングセンターマーム・イオン松阪店、2022年1月31日閉店-30年の歴史に幕
関連記事:ヴィソン、2021年7月20日全面開業-4月29日1期開業、多気にイオンなど参画の複合商業リゾート
関連記事:MEGAドン・キホーテ伊勢上地店、2018年6月13日開店-三重県内最大のドンキ、ユニー・ピアゴ跡に

ドン・キホーテ赤羽東口店、2023年6月30日開店-北区初出店で23区全出店達成

東京都北区の赤羽駅前に「ドン・キホーテ赤羽東口店」が2023年6月30日に開店する。

ドン・キホーテ赤羽東口店。

ドンキ、赤羽出店で23区全区制覇

「ドン・キホーテ赤羽東口店」が出店するのは、赤羽駅東口にあった「パチスロMAX」跡。店舗面積は約493㎡で、ドンキとして小型店になる。
北区にドン・キホーテが出店するのは初のことで、ドンキはこれで東京23区全てに出店することとなる。

「せんべろ」対応型ドンキ

赤羽は「せんべろ」と呼ばれる安価な飲み屋など飲食店が多い商店街に立地することから、食品売場には屋台風の演出を採用。ほろ酔いで立ち寄って楽しめるようなアミューズメント系商品を充実。周囲にはダーツバーや雀荘も多く、街に合わせてバラエティグッズ、ボードゲーム、パーティーグッズなども強化する。

ドンキ赤羽店の開店告知。

ファッションアイテムは20~30代をターゲットにトレンド系商品を戦略的に拡充するほか、日用品はファミリー需要に加え、アクティブなシニア向けのものも取りそろえ、幅広い年代の需要に応えるとしている。

ドン・キホーテ赤羽東口店

東京都北区赤羽1丁目5-4
営業時間:24時間営業

関連記事:西友赤羽店、2023年5月2日閉店-西友本社所在地、土地・建物を売却して再開発へ
関連記事:ダイエー赤羽店、2023年9月10日閉店-開店54年・建替えから僅か11年で、隣接地に新店舗開設
関連記事:イオン赤羽北本通り店、2020年5月31日閉店-旧・忠実屋・ダイエー、建替えで

GAPフラッグシップ銀座、2023年7月31日閉店-GAP日本旗艦店

東京都中央区のヒューリック銀座数寄屋橋ビル(晴海通りと並木通りの交差点)にあるファストファッション「Gap」の日本旗艦店「Gapフラッグシップ銀座」が2023年7月31日に閉店する。

GAPの日本旗艦店、12年で閉店

Gapフラッグシップ銀座」は2011年3月にヒューリック銀座数寄屋橋ビルの核テナントとして1階から4階に開業。売場面積は1,435㎡。
銀座の一等地でGapの商品をフルラインナップする日本最大級の旗艦店として営業してきた。

Gapフラッグシップ銀座。

Gapはかつて日本各地の大都市中心部に路面店型の旗艦店を構えていたが、2017年に東京渋谷、2018年に大阪心斎橋、2019年に東京原宿、2020年に名古屋栄から撤退するなど、路面店の多くを閉店。
ショッピングセンター入居中心の店舗網へと変わりつつある。

渋谷パルコ前に立地していたGAP渋谷。

関連記事:ダイソーマロニエゲート銀座店、2022年4月15日開店-旧プランタンのニトリ跡、「THREEPPY」「STANDARD PRODUCTS」併設のダイソー世界旗艦店に
関連記事:東急百貨店ヒンカリンカ銀座、2021年11月15日閉店-東急プラザ銀座3-5階、僅か5年で
関連記事:東京會舘銀座スカイラウンジ、2020年12月30日閉館-交通会館の回転レストラン、55年の歴史に幕

TMD(宝田無線電機)、2023年6月5日特別清算開始-「でじこビル」看板でも有名、消費税不正還付で倒産・解散へ

東京都千代田区のJR秋葉原駅前にあった電気店・免税店「宝田無線電機TAKARADA、現社名:TMD)」が、2023年6月5日に東京地裁より特別清算開始命令を受けた。

宝田無線ビルとその周辺。

宝田無線、ゲーマーズのでじこ看板でも有名だった

宝田無線電機は1950年に創業。秋葉原駅電気街口の宝田ビルは1973年に建設されたもので、半世紀に亘って秋葉原の顔の1つとなっていた。
大型テナントとして2002年より「ゲーマーズ」が出店しており、ビル屋上には「デ・ジ・キャラット」のキャラクターでゲーマーズのマスコットでもあった「でじこ」の「WELCOME TO AKIHABARA」看板を設置。「でじこビル」とも呼ばれて秋葉原のシンボル看板の1つとして親しまれたが、2015年に宝田無線の看板に変えられている。

「でじこ」看板があった当時の宝田無線ビルとその周辺。

宝田無線は秋葉原に来る外国人観光客をターゲットとした免税店「TAKARADA」として経営規模を拡大。2002年にビル増築、2007年にはロケット1号店跡を取得するなどしていたが、そうしたなか外国人従業員の不当な扱いによる労働争議も発生していた。

売上1000億円→消費税不正還付で倒産

倒産・会社清算を報道した帝国データバンクによると、倒産は消費税不正還付による信用低下のため。
2017年5月期の年収入高は約1092億7400万円に達していたが、2017年に東京国税局が訪日外国人向けの免税制度を悪用した約70億円の消費税不正還付を指摘。販売したはずの商品の多くが海外に持ち出されていないこと、都内の取引先との間で仕入れと買い戻しを繰り返す循環取引を行い、外国人に販売した実績はないことなどが認定され、悪質であるとして約100億円の追徴課税を受けたという。
この信用低下によって、2017年末に店舗を閉鎖、2019年末には家電製品卸から撤退。近年は不動産賃貸および通販サイト向けのスポット販売などを手がけていたが、2021年5月期の年収入高は約3億5900万円に下落、2023年2月27日株主総会の決議により解散を決定した。負債総額は2020年5月期末時点で約73億9100万円。清算にあたり、社名をTMDへと変更している。
なお、所有不動産は売却されており、また、宝田無線の直営免税店売場の跡には、2018年にマツモトキヨシが出店している。(追記:マツキヨも既に閉店、カードショップになる予定)

関連記事:GIGO秋葉原4号館、2022年9月25日閉店-電気街口前のセガ、契約満了で
関連記事:とらのあな、2022年8月31日にほぼ全店閉店-残るは池袋店・台北店とサテライトのみ
関連記事:ラオックス秋葉原本店、2022年6月10日休店-リニューアルめざすも再開未定
関連記事:ソフマップAKIBA駅前館、2022年4月29日開店-秋葉原駅前のサトームセン・ヤマダ跡に
関連記事:オリンピック外神田店、2021年9月17日開店-秋葉原駅・AKIBAカルチャーズZONE近くに
関連記事:とらのあな秋葉原店B館・C館、2021年4月6日までに閉店-同社旗艦店、女性向け同人誌は秋葉原での取扱終了
関連記事:ボークス秋葉原ホビー天国1、2021年5月16日閉店-6月5日全館開業の「ホビー天国2」に統合で
関連記事:ジーストア・アキバ、オノデンビルに2020年11月28日移転-キュアメイドカフェ・コスパなども
関連記事:ツクモ秋葉原駅前店、2020年8月30日閉店-ヤマダ、旧サトームセン1号館から完全撤退

一畑百貨店、2024年1月14日閉店・廃業へ-島根県唯一の百貨店

島根県松江市のJR松江駅前に本店を置く電鉄系百貨店「一畑百貨店」が、2024年1月14日に閉店する。

一畑百貨店松江本店。

三越と提携、山陰を代表する百貨店だった

一畑百貨店は三越との提携により一畑電鉄(一畑電車)の直営百貨店として1958年に創業(のち一畑百貨店松江本店)、のちに子会社化された。
初代松江店は松江城下の松江市殿町に店舗を構えた。1964年には支店として電鉄出雲市駅前に一畑百貨店出雲店を出店。三越グループからの商品供給もあり、三越の専売ブランドやレストラン「銀座ライオン」を導入するなどして絶大な人気を集めた。

1998年に閉店した一畑百貨店旧松江本店新館。(山陰中央ビル)

殿町の店舗は1982年に新館を建設して2館体制となったが、1998年4月にJR松江駅前にあった山陰ジャスコ松江店・ピノ専門店街(1982年築、食品はみしまや)の跡を全面改装して駅前に移転した。
なお、徒歩圏には当時から大型ショッピングセンター「松江サティ」(1994年開業、現「イオン松江ショッピングセンター」)があった。
また、出雲店も2000年に建替えをおこない、ツインリーブスホテル一畑の1階・2階に再出店した。
このほか、出雲空港(グループ他企業に移管)、大田市、浜田市などにも小規模店を構えていた。

一畑百貨店出雲店。

出雲店は2019年に一旦閉店、2021年にゆめタウン出雲1階に再出店したが、2022年に閉店。また、近年は松江店でもレストランの閉店や子供服の大幅縮小など経営規模の縮小がおこなわれていたほか、出雲空港売店を一畑グループの他企業へと移管していた。
松江店は地上6階・地下1階、店舗面積は13,824㎡だった。
松江本店は築41年が経過しており、建物の老朽化も課題となっていたと思われる。

島根県から百貨店消滅、最寄は米子

複数の地元メディアによると、廃業は新型コロナ禍などによる業績悪化のため。従業員は一畑グループ他企業への就職を斡旋するとしている。
一畑百貨店の廃業により、島根県からは百貨店が消滅する。
今後、いわゆるデパコスなど百貨店向け商品を購入するには、鳥取県米子市にあるJU米子高島屋や米子しんまち天満屋などに行く必要がある。

JU米子高島屋。(地元企業のFC店)

関連記事:シャミネ米子、2023年7月29日開業-新・米子駅ビル完成、南北自由通路も
関連記事:マックスバリュJU米子高島屋店、2022年6月18日開店ーマックスバリュ鳥取1号店、デパ地下に

関連記事:松江タウンスクエア・キャスパル、2021年4月18日閉館-旧アピア、40年の歴史に幕