棒二森屋函館空港店、2020年6月30日閉店-棒二森屋「完全消滅」

北海道函館市の函館空港国内線旅客ターミナルビル2階で営業する「棒二森屋函館空港店」が2020年6月30日をもって閉店する。
現在、店舗では30日まで閉店セールがおこなわれている。

閉店直前の棒二森屋函館空港店。

函館の名門百貨店だった「棒二森屋」

棒二森屋の前身となる「金森森屋洋物店」は1869年に、「棒二荻野呉服店」は1882年に創業。両社の合併に伴い1936年に現在の屋号に改称、1937年には函館駅前に百貨店本館を建設した。

解体される予定の棒二森屋。

棒二森屋は、1981年に大手流通グループのダイエー傘下となったが、経営悪化を理由とする運営会社再編の一環として1994年2月にダイエー系の「アドバンスド・デパートメントストアーズ・オブ・ジャパン(ADS)」に運営を移行したため法人格が消滅。2005年9月からは同じくダイエー系の「中合」運営店舗となった。
その後も、ダイエーグループの百貨店として生き残りを図ったが、建物の老朽化のためイオングループ等が再開発をおこなうことになり、2019年1月をもって棒二森屋本館を閉店。同年2月には棒二森屋アネックス館が「函館駅前ビル」としてリニューアルを実施したため、函館駅前から棒二森屋が消滅することとなった。

新型コロナで休業続いていた函館空港唯一の百貨店

棒二森屋函館空港店は1971年9月に開店。函館空港新・国内線旅客ターミナルの第1期開業に合わせて2003年12月に移転リニューアルを実施した。
2019年1月の百貨店本館閉店後も、中合運営のもと従来通りの屋号・制服・包装紙・サービスを維持しており、棒二森屋の屋号で営業を続ける唯一の店舗となっていた。

閉店告知。

しかし、2020年4月25日に新型コロナによる臨時休業。28日には新型コロナウイルス感染症による空港利用客減少を理由として6月中の閉店を発表していた。
再就役行日近くの店内は、商品は残り少なくなっていたものの、貴重な「ボーニ」の紙袋に商品を包んでもらうために商品を購入しに来たとみられる客もみられた。その一方で、新型コロナウイルスの感染拡大もあり空港利用客自体が少なかったこともあり、静かな閉幕となった。

飛び地解消や中合の百貨店事業廃業も理由か

棒二森屋函館空港店を運営する中合は、ダイエーの百貨店事業中核子会社となった2005年当時、東北・北海道で百貨店5ブランドを展開していた。
しかし、同社は2012年に山形県酒田市の清水屋を地元企業に売却、2018年1月に山形市の十字屋山形店を閉店2019年11月には青森県八戸市の三春屋をやまきに売却したため、2020年6月現在の店舗網は福島県内中合2店舗(会津サテライト含む)と北海道函館空港の空港売店1店舗のみという状態となっていた。このため、函館空港店の閉鎖には経営効率の低い“飛び地店舗”解消という狙いもあった。
同社は2020年5月に福島県内中合2店舗を8月までに閉店する方針を発表しており、これにより同社の全店舗が消滅する。
(写真撮影:文鉄・お札とコインの資料館

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