十字屋山形店が閉店-2018年1月31日に、「十字屋」創業から95年で歴史に幕

全国最後の十字屋デパートとなる「十字屋山形店」(山形県山形市)が2018年1月31日の何時に閉店し、十字屋山形店としては47年、十字屋創業からは95年の歴史に幕を下ろした。

十字屋山形店。

かつて全国展開した「十字屋」最後の店舗だった

十字屋は1923年に平塚市で「十字屋呉服店」として設立。のちに百貨店に進出し、1982年にダイエーと業務提携した。一時は全国展開したものの、2005年までに山形店以外の全ての店舗を閉店し、同年に同じダイエー傘下の百貨店「中合」(福島市)と経営統合された。
十字屋山形店は1971年7月に開店(それ以前は「大沼」などがある山形市七日町に小型店を出店していた)。売場面積は10,362㎡。建物は地上8階、地下1階建で、白蝶ビル株式会社が所有している。また、別棟として立体駐車場を備える。2015年の年商は約34億円。
2005年のダイエー山形店(山交ビル、現:ヤマザワなどが出店)の閉店後は山形市におけるダイエーグループの拠点的存在でもあり、2007年に全面改装された食品売場では「木曜の市」なども開催されていた。

山形駅前に立地する。左奥は山交ビル。

十字屋山形店の建物は新築から47年が経過。山形市がおこなった改正耐震改修促進法による耐震判断の公表で「震度6強以上で倒壊する危険性が高い建物」とされており、耐震補強問題から閉店を決めたものと思われる。なお、十字屋立体駐車場についても耐震性が不足しているという。

最終営業日、雪のなか多くの人が集まる

十字屋山形店では1月25日から最終セール「ご愛顧感謝ファイナルセール」を開催。最終営業日となった1月31日には朝から多くの人が来店し、レストランは15時過ぎまでの営業で完売となった。
朝は晴れていた山形市であったが、昼過ぎには雪となった。

店内では写真展も開催されていた。

閉店時刻(19時30分)を過ぎた19時40分に山川武店長の挨拶があったのち、19時42分にシャッターが下ろされた。

閉店式典。

そして20時10分には広告塔屋などが消灯され、十字屋山形店は47年の、そして十字屋は95年の歴史に幕を下ろした。

ショーウィンドウ。

先述のとおり、建物は老朽化のため耐震性が低いとされており、今後の活用方法などについては発表されていない。

閉店の影響、じわじわと

十字屋のすぐ近くにあるJR山形駅では2019年度の完成をめざして西口前の再整備事業が進んでいるが、その一方で中心部である七日町で300年以上に亘って営業している百貨店「大沼」が企業再生ファンドに譲渡されるなど、商環境は厳しさを増している。
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大沼百貨店は企業再生ファンドに譲渡される。

十字屋の閉店を受け、近隣にある山交ビル(旧ダイエー山形店)でも一部テナントが撤退を決めており(「あいのて」、「やしち屋」、「ドンドンダウン」が閉店、2階には新規テナント出店予定あり)、十字屋の跡地問題についても長期化しそうだ。

なお、学生服販売についてはイオン山形北店・山形南店の学生服コーナーが引継ぐほか、十字屋商品券はこれまで通りイオン、ダイエーの各店で利用することができる。

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