店舗撤退で公共化進む山形・七日町、AZも公共化検討へ-再開発に期待かける七日町(2)

前回の記事はこちら:山形セブンプラザ、再開発で解体へ-再開発に期待かける山形市七日町(1)

山形市最大の繁華街である七日町商店街の複合商業施設「AZ七日町」の商業フロアの大部分が、公共施設化の検討に入った。
七日町商店街では、すでに複合商業施設「ナナビーンズ」も商業フロアを公共施設やオフィスに転用しており、地盤沈下が深刻な状況となっている。
P1050043藤崎のサテライト店が1階に入居するアズ七日町。

山形市七日町は、JR山形駅から北西に1kmほどの距離にある山形県最大の繁華街である。
七日町には、前回の記事で再開発を報じた「セブンプラザ」に加え、山形県最大の百貨店である「大沼本店」や、複合商業施設「アズ七日町」、「ナナビーンズ」、「イイナス」などといった大型店が点在しているが、近年は深刻な地盤沈下に陥っており、商業施設の公共化転用が起きている。
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閉館予定のセブンプラザ。

店舗撤退で公共施設化が進む七日町、AZも公共施設化か

AZ七日町」は山形市と地元地権者が共同で整備した複合商業施設として1987年に開業。正式名称は「七日町再開発ビル」。
売場面積は3,685㎡で、1~3階はショッピングフロア、4~8階は山形市中央公民館となっている。
P1050040宮脇書店が撤退し1階以外の完全公共化も議論されている。

現在、AZ七日町の1階には藤崎百貨店(仙台市)のサテライト店舗や無印良品といった専門店が入居。しかし、2015年11月に2階と3階の大部分を占めていた宮脇書店が撤退すると、ショッピングフロアは深刻な空洞化に陥った。
1987年の開業当初は32店舗あった専門店も6店舗にまで減少しており、新規テナントが入居する見込みも立っていない。このため、2016年1月、アズを管理する株式会社七日町再開発ビルは山形市に対し、1階以外のショッピングフロアに公共テナントの入居を申し入れるなど、商業施設としての存在価値が危ぶまれている。P1050074山形松坂屋跡に開業したナナビーンズ。

一方で、ナナビーンズは閉店した山形松坂屋跡に2002年に開業。8階建てで、店舗面積は4,464㎡。
ビルの運営は民間業者だが、商業テナントや飲食店、ホテル、公共テナントを複合する商業施設であった。
2015年には「建物を2分割する」という日本初の工法での耐震化を実施した。
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切断されたナナビーンズ(ストリートビューより)。

しかし、かつては1~3階を占めていたショッピングフロアは、現在は1階のみの営業となっているうえに、1階にはかつて食品売場が入居していたものの、2010年に撤退して以後は小規模な雑貨店が入居するにとどまるなど、商業施設としての面影はほとんどなくなっている。P1050089ナナビーンズのショッピングフロアは1階のみに。

中心部の道路拡幅で逆に不便に…?

七日町では、大型店のショッピングフロアが空洞化し、公共テナントの入居に頼らざるを得なくなっている状態である。
さらに、七日町の顔ともいうべき山形県最大の百貨店である「大沼」(1700年創業)も、老朽化が進んでいるうえに、売場面積が僅か11,952㎡と、県都の百貨店としての品揃えが難しい規模で、仙台の百貨店との競争に勝つことが難しい状態となっている。
また、大沼は2013年より直営の立体駐車場や、七日町商店街駐車場など一部の提携駐車場が中心市街地の道路拡幅工事のために閉鎖されており、現在は車での来店が不便な状況となっている。そして、核店舗の集客力減・駐車場の不便さは、七日町の客足にも大きな影響を与えている。
中心部へ来街しやすくするはずの道路拡幅が、結果的に中心部から足を遠ざける結果となり、またこれを機に(道路用地に取られた、道路が広くなり徒歩回遊性が減ったなどの理由で)郊外移転する個人商店もあるなど、結果的に自動車優先政策が車も遠ざけ裏目に出る結果となり、一筋縄ではいかない状況だ。
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大沼百貨店も老朽化が進む。正念場の七日町。

セブンプラザ再開発に期待かける七日町

地盤沈下の著しい山形最大の繁華街。それだけに、セブンプラザ跡の再開発にかける期待は非常に大きいであろう。
今回、再開発が行われるセブンプラザ以外の店舗も多くは老朽化しており、再開発や道路拡張の進捗状況によっては街の姿が大きく変わることも予想され、目まぐるしく動く七日町の各店舗の状況から目が離せない。

関連記事:山形セブンプラザ、再開発で解体へ-再開発に期待かける山形市七日町(1)
外部リンク:セブンプラザ
外部リンク:アズ七日町
外部リンク:NANA BEANS(ナナビーンズ)
外部リンク:大沼

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