東京都渋谷区のJR代々木駅前にある大型雑居ビル「代々木会館」が再開発のため2019年8月から解体されることが分かった。

代々木会館。
ドラマの舞台で話題に
代々木会館は地上8階、地下1階建ての雑居ビル。1974年に日本テレビ系ドラマ「傷だらけの天使」の舞台となったことにより一躍脚光を浴びた。また、2019年7月に公開予定の新海誠監督によるアニメーション映画「天気の子」の舞台にもなっている。
かつては飲食店街に予備校、ビリヤード場、パチンコ店など様々なテナントが出店していたビルも、ここ最近はほぼ空き家に。何度も再開発の話が持ち上がるも、多くの区分所有者が居たこともあって断念されてきたという経緯があった。
しかし、6月下旬にビル前に「解体告知」が掲出され、その長い歴史に幕を下ろすことが確実なものとなった。

かつてのテナント看板。
6月現在、館内では1階のラーメン居酒屋「きぬちゃん食堂」と3階の中国語書籍専門店「東豊書店」が営業しているが、きぬちゃん食堂は移転を決めており、東豊書店については6月29日を以て閉店する予定だという。

東豊書店。
追記:東豊書店は6月30日も営業する模様。
再開発の概要は不明
代々木会館前に掲げられている解体告知によると、解体は8月1日から来年の1月31日まで。告知板には横浜市に本社を置くという「合同会社代々木開発」という会社の名前が掲げられている。

代々木駅前の一等地。NTTdocomoタワーと。
都心駅前の一等地における再開発であるものの、7月現在はどういった内容の開発が行われるのか一切明かされておらず、今後の動向が注目される。
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イオン所沢店、2019年9月30日閉店-旧・ダイエー、38年の歴史に幕
埼玉県所沢市の西武鉄道所沢駅近くに位置する総合スーパー「イオン所沢店」が、2019年9月30日をもって閉店する。

イオン所沢店。
西武のお膝元「所沢」の旧ダイエー、38年の歴史に幕
イオン所沢店は1981年11月に地元不動産会社が建設した「東栄ビル」の核テナント「ダイエー所沢店」として開店。建物は地上7階地下1階建で、店舗面積は24,497㎡。「西武とダイエーどちらが優勝してもセールをする店舗」として知られていた。
開業当初は、建設予定地の一部を西武グループが取得したことで歪な構造となっていたが、1988年10月の増床を機に現在の建物になった。
同店はダイエーが産業再生機構傘下となった翌年2005年2月に不採算店として閉鎖店舗の対象に加えられたものの、同年9月には賃料負担軽減を理由に営業継続が決定、2006年3月には直営売場の集約と有力専門店導入を伴う大規模リニューアルを実施した。

タリーズコーヒーがあるエントランス。
その後、2016年3月にはダイエーの総合スーパー事業撤退の方針に伴い、イオンリテールに店舗運営が移管され、現在の店名に改称した。
なお、新耐震基準に適合しているとみられ、耐震性の無さによる閉店ではない。
約50店舗が出店
2019年6月現在はテナントとして、旧ダイエーグループの婦人服店「ロベリア」「ラ・ジョセフ」、家電量販店「ヤマダ電機 by ベスト電器」、手芸用品店「ユザワヤ」、未来屋書店が運営する「アシーネ」、ホビー用品店「アニメイト」「ホビーステーション」、フレーベル館の絵本専門店「キンダープラッツ」、玉光堂のCD・DVD専門店「バンダレコード」スポーツ用品店「ときわスポーツパシオン」、ゲームコーナー「モーリーファンタジー」、100円ショップ「ダイソー」など50の専門店が出店しており、ショッピングセンターとして運営されている。

アニメイトとダイソー。

ヤマダ電機byベスト電器の看板。
競争激化が深刻な所沢駅前、テナントは何処へ?
所沢駅周辺では2015年に所沢駅前の総合スーパー「西友所沢駅前店」が全館改装と耐震補強を実施、2017年5月からはセブン&アイHD傘下の「西武百貨店所沢店」(西武所沢店)が食品売場(西武食品館)を増床したことを皮切りに全館リニューアルを進めているほか、2018年3月には西武鉄道グループの駅ビル「グランエミオ所沢」が一部開業、2020年夏には第2期開業を控えるなど、競争が激化している。また、イオンのすぐそばには同じくイオングループ(元ダイエーグループ)のマルエツも立地、2017年12月には業務スーパーも出店している。

西友所沢駅前店。
イオン・ダイエー跡地の活用方法については6月時点で発表されていないものの、解体してマンション用地として活用することなどが予想される。
一方で、イオン内には多くのテナントが出店しており、所沢駅前で唯一の店舗も少なくないため、それらの移転先にも注目が集まる。
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アスタラビスタ、祐徳バス傘下の「ユートク食品館」を2019年6月21日買収-一部店舗は閉店に
福岡県筑後地方地盤の総合スーパー「アスタラビスタ」は、祐徳自動車が運営する食品スーパー事業部「ユートク食品館」4店舗を2019年6月21日に買収した。

ユートク食品館。(佐賀県吉野ヶ里町)
アスタラビスタ初となる競合他社のM&A
アスタラビスタは1995年11月に、藺草(イグサ)販売メーカー「イケヒココーポレーション」傘下の総合スーパーとして福岡県大木町に創業。2019年現在、福岡県に11店舗、佐賀県に4店舗を展開する。
同社が運営する全店舗が総合スーパー業態もしくはスーパーセンター業態として営業しており、一部店舗では玩具、家電、呉服の取扱いも行われている。
アスタラビスタはスペイン語で「さようなら、また会おう」という意味で、映画「ターミネーター2」で話題となった言葉。

アスタラビスタ佐賀店。
ユートク食品館は1996年6月に、祐徳自動車流通事業部の「ホームセンターユートク久留米店」を業態転換する形で福岡県久留米市で創業。2019年現在、福岡県に1店舗、佐賀県に4店舗を展開するが、食品館のうち3店舗(牛津店・北方店・鳥栖店)は、ホームセンターユートクと隣接する立地であり、長らく共同での販促が実施されていた。

祐徳バスと祐徳稲荷。
ユートク食品館は7月下旬まで通常営業、北方店は閉店
祐徳自動車はユートク食品館を分社化し、アスタラビスタに売却する。アスタラビスタへの店舗引渡しは2019年7月下旬を予定しており、引渡し予定日までは「ユートク食品館」として通常営業が行われるが、近く店名も変更されるとみられる。
なお、今回譲渡対象店舗とならなかった「ユートク食品館北方店」は、今後閉鎖が予定されている。
祐徳自動車は「ホームセンターユートク」については店舗の積極的なスクラップ&ビルドに加えて近年は店舗のロゴマークも変更するなどのリニューアルを進めている。
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マルイチメイプル店、2019年6月27日開店-ジョイス水沢中央店跡に、駅前唯一の食品スーパー復活
岩手県奥州市のJR水沢駅前にあるショッピングセンター「メイプル」に新たな食品スーパー「マルイチメイプル店」が、2019年6月27日午前9時に開店した。

メイプル。
水沢駅前唯一の食品スーパー、4ヶ月ぶりに復活
メイプルは1985年11月、総合スーパー「ジャスコ」を核に「ショッピングシティメイプル」として開業。建物は地上4階地下1階建。水沢駅前を代表する大型商業施設として、ダイエー水沢店(旧・ヤマニ三春屋)、水沢マルカン百貨店、マルサン百貨店とともに一時代を築いたが、2005年5月のジャスコ撤退を機に一時閉店していた。
その後、水沢市(現・奥州市)、水沢商工会議所(現・奥州商工会議所)が出資する「水沢クロス開発」が施設を取得し、日本ショッピングセンター協会による支援のもと、2006年4月に再開業を果たした。改装後の店舗面積は7,738㎡。
メイプルでは2006年4月の再開業以来、核店舗として食品スーパー「ジョイス水沢中央店」が営業を行っていたが、競合店との競争激化を理由に2019年2月24日をもって閉店していた。
メイプルは水沢駅前唯一の大型商業施設であり、ジョイスもまた駅前唯一の食品スーパーであったため、早急な後継店舗の誘致が必要とされていたが、2019年3月に「マルイチ」の出店が決定、開店準備が進められていた。

ジョイス水沢中央店。(2019年2月24日閉店)
マルイチ、業務スーパー・産直併設の複合業態として出店
今回開店した「マルイチメイプル店」は、メイプル1階ジョイス跡に出店。同社の店舗は奥州市2店舗目となる。
同店は、マルイチが岩手県フランチャイズ本部を担う神戸物産の「業務スーパー」、産地直送食品販売店「産直はなまる市場」、酒専門店「タストヴァン」を併設するフラッグシップ業態として営業するため、水沢駅から徒歩15分ほどの距離にある競合店「ユニバース水沢日高店」「ジョイス水沢原中店」との商品・価格面での差別化も期待される。
メイプルでは「マルイチオープン協賛セール」として、衣料品・雑貨、宅配ボックスの割引、レシート抽選会や沖縄物産展、ストレッチ教室の1週間無料体験といった企画を7月15日まで実施する。
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ビックカメラ・ビックトイズアリオ八尾店、2019年7月1日開店-家電店+玩具店の新業態
大阪府八尾市の近鉄八尾駅前近くに位置するショッピングセンター「アリオ八尾」に、家電量販店「ビックカメラアリオ八尾店」玩具量販店「ビックトイズアリオ八尾店」が2019年7月1日に開店する。

アリオ八尾。
アリオ八尾の端と端に「ビックカメラ新業態」
ビックカメラアリオ八尾店及びビックトイズアリオ八尾店の売場面積は約3,000㎡。
ビックカメラは、アリオ八尾2階北側の商業ゾーン跡に出店。ビックカメラ業態としては関西4店舗目で、同社が主力とする家電製品や時計、防災用品、薬、日用品、酒類を中心とした商品展開を行う。
同店では、同社のインターネット通販サイト「ビックカメラ.com」にアクセス可能なQRコードや商品レビューの掲示、ビックカメラ.comと共通の価格設定を実現する電子棚札の採用、同社大阪ECセンター(大阪府堺市)に加えて関西・中国地方各店舗からの商品取寄せにも対応した「ネット取り置きサービス」の提供により、オンラインでもオフラインでも便利な店舗を目指す。
また、イヤホンやカメラレンズ、ドローンに加え、歯ブラシやマスク、絆創膏の質感、肌触りを体感可能な展示を行うなど、実店舗ならではの売場づくりを行う。
BIC CAMERA.
ビックトイズは、アリオ八尾3階南側のイトーヨーカドー直営フロア「キッズタウン」に出店。ビックトイズ業態の単独店舗としては国内2店舗目(関西初)で、同社最大の売場面積を擁するおもちゃ売場として、知育玩具、ゲーム、文房具、自転車を中心とした商品展開を行う。
同店では、店内全ての展示台を子供目線の高さに設置し、知育玩具やプログラミング教材を試遊可能な机型の展示台を設けるなど、幅広い年齢層の顧客が買物を楽しめる店舗を目指す。
今回のビックトイズ開店に伴い、イトーヨーカドー直営売場では玩具の取扱いを終了する。

BIC TOYS.
ビックカメラ、セブン&アイ運営施設への出店拡大なるか
セブン&アイHDは、業績不振の総合スーパー「イトーヨーカドー」の経営改革を進めており、既存店のショッピングセンター業態(アリオ)への転換や老朽化が進む都市型高層店舗の建替え、複合店舗化(食品館+マンション)に取り組んでいる。
総合スーパーから食品館+マンションとなったヨーカドー千住店。
セブン&アイHD運営商業施設に出店するビックカメラグループの店舗は2019年6月現在、プライムツリー赤池、イトーヨーカドーたまプラーザ店(2019年秋開店予定)、そごう大宮店の3店のみであるが、今後も総合スーパー改革の一環として、イトーヨーカドー直営家電売場・直営玩具売場の「さらなるビックカメラ化」が起こる可能性もある。
ビックカメラアリオ八尾店・ビックトイズアリオ八尾店
住所:大阪府八尾市光町 2-3 アリオ八尾内 2F・3F
営業時間:午前10時~午後9時
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イオンスタイル岡山青江、2019年7月26日開店-旧イオン岡山店跡地、4年ぶり再出店
岡山県岡山市北区のイオン岡山店跡地に、総合スーパー「イオンスタイル岡山青江」が2019年7月26日午前9時に開店する。

イオンスタイル岡山青江。
青江のジャスコ、約4年ぶりに復活
イオンスタイル岡山青江の前身となる総合スーパー「ジャスコ岡山店」は1976年12月に開店。建物は地上3階建、売場面積は13,113㎡。

イオン岡山店。
同店はイオングループの店舗ブランド再編に伴い、2011年3月に店舗名を「イオン岡山店」に改称し営業を継続していたが、岡山駅前の林原社有地(ザ・ハヤシバラシティ予定地)跡に建設が進められていた「イオンモール岡山」への事実上の移転により、2014年9月30日をもって閉店。
閉店後もイオンモール岡山の臨時駐車場兼シャトルバス拠点として約2年間暫定利用していたが、建物は新店舗建設のため2017年をもって解体されている。
イオンモール岡山。
食物販充実、生活必需品も「ワンストップ」で購入可能に
イオンスタイル岡山青江の建物は平屋建で、敷地面積は約27,972㎡、売場面積は約7,676㎡。

イオン岡山青江・店舗入り口。
キーワードに「ワンストップ」「ショートタイム」を掲げ、主要顧客層を共働きで忙しい30~40代のファミリー、20代や70代の単身者に設定、毎日の必需品が1ヶ所で揃う店舗を目指す。
同店直営食品売場では、対面形式で惣菜約30種類を提供する「リワードキッチン」、珈琲・輸入食品専門店「caférrant」(カフェランテ)を導入する。

SUPER MARKET.
イオンのグローサラント型売場「ここdeデリ」では、ステーキショップ「ガブリングステーキ」、海鮮丼の店「魚魚彩」、インストアベーカリー「カンテボーレ」を導入。カンテボーレでは中国四国初となるコッペパン専門店「こっぺん堂」コーナーを展開するほか、、岡山の人気洋菓子店「Le Foyer」(ル・フォワイエ)の生ケーキ、イオンドリップカフェのコーヒーを提供する。
ここdeデリ。
そのほか、イオングループの専門店として中国四国初となるインナーカジュアルストア「iC」、靴専門店「グリーンボックス」、美と健康の専門ショップ「グラムビューティーク」「サルーステーション」を導入。
iC.

Glam Beautique.
このほか、外部棟(別棟)にはミツウロコグループの「元町珈琲」、「ホリデイスポーツクラブ」(2020年春開業予定)も出店する。

別棟としてスポーツクラブなどが建設中。
スーパー激戦区ながら総合スーパーが消滅していた青江
イオンスタイル岡山青江の出店エリアは、イオン岡山店時代よりイオングループの「マルナカ」「ザ・ビッグ」、地場大手食品スーパー「ハローズ」、天満屋グループの「天満屋ハピーズ」、両備グループの「リョービプラッツ」、マルイ(津山市)傘下の「わたなべ生鮮館」が営業するなど、岡山市内有数のスーパー激戦区であった。
しかし、イオン岡山店の閉店を機に地域から総合スーパーが消滅、食料品や衣料品、化粧品を1ヶ所で購入可能な商業施設もイオンから徒歩20分ほどの距離にある「Pモール泉田」(リョービプラッツ泉田店)1施設のみとなっていた。
イオンスタイル岡山青江は旧店舗の半分ほどの売場面積となるもの、店舗内でワンストップショッピングが可能となることから、地域住民にとっては嬉しい営業再開となるであろう。
イオンスタイル岡山青江
住所:岡山県岡山市北区青江2丁目7番11号
営業時間:8時~23時(食品ほか)
(7月26日~29日は9時開店)
(ガブリングステーキ・魚魚彩のオーダー時間:11時~21時)
営業時間:9時~20時(調剤薬局)
営業時間:7時~23時(元町珈琲)

(撮影:ヨークセブンさん )
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上海高島屋、2019年8月25日閉店-中国から撤退【追記:閉店撤回】
中国・上海市長寧区の伊犁路駅前にある百貨店「上海高島屋」が2019年8月25日に閉店する。
追記:家賃交渉と地元政府の支援により営業継続が決まった。
上海高島屋、開業から7年で閉店
上海高島屋は2012年に開業。売場面積は約4万㎡。
フルラインの百貨店で、日系のテナントも多く出店していた。

上海高島屋(画像は公式サイトより)。
2015年には5階に日本の産品を販売する「日本館」が開業。地元で人気の日本製オムツなどの販売も行うなどテコ入れが行われていたが、近年は全館でテナントの撤退が相次いでおり、他の日系百貨店(大丸、久光:香港そごう系)に比べて見劣りがすると言われていた。
高島屋は閉店に至った理由として、周辺エリアの開発が遅れており赤字が続いていたことに加えて、通販との競合、貿易戦争の激化を理由にあげている。
運営する子会社「上海高島屋百貨有限公司」も清算。閉店と子会社清算に伴い、約20~30億円の特別損失が発生する見込だという。
東南アジアに経営資源を集中へ
残る高島屋の海外大型店は台湾・大葉高島屋天母店(FC店)、シンガポール店、ベトナム・ホーチミン店、タイ・サイアム店となる。

高収益店として知られるシンガポール高島屋S.C.。
東南アジアの高島屋各店舗は地元の支持を大きく集めており、同社の経営を支える大きな収益源となっている。
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プラリバ、2019年7月26日再開業-西新エルモール岩田屋跡、減築で再開
福岡県福岡市早良区の西新駅前にある東京建物の商業施設「PRALIVA」(プラリバ)が2019年7月26日に営業を再開する。

プラリバ。
旧・西新エルモール岩田屋だった
プラリバの前身となる「西新エルモール」は1981年6月に地場百貨店「西新岩田屋」を核とした商業施設として開業。建物は地上8階地下2階建で、売場面積は20,208m、延床面積は約29,348㎡。1983年の地下鉄空港線の延伸開業に伴い西新駅とも直結されたが、このとき西新駅には新たなエレベーターが設置されず、当ビルと共用となった。
地下鉄の開通により10分圏内となった「岩田屋天神本店」(当時は地下鉄天神駅直結)との差別化の一環として、1990年代には岩田屋傘下だった食品スーパー「サニー」や、当時提携関係にあった西武セゾングループの「無印良品」「リブロ」を相次ぎ導入するなど、カジュアル志向の地域密着型百貨店として刷新したが、岩田屋の経営悪化に伴い2003年2月をもって閉店、東京建物の特別目的会社(SPC)に土地・建物を一括売却した。

西新エルモールプラリバ。
その後、東京建物グループにより「西新エルモールプラリバ」として2003年4月に再開業、西新岩田屋時代の専門店を引継ぎ営業したが、東京建物主導の再開発事業「西新リボーンプロジェクト」施行に伴い、2015年7月31日をもって閉店していた。
「減築」でリニューアルへ
西新リボーンプロジェクトでは、旧・西新エルモールプラリバの高層階を減築し、一部躯体を再利用しつつ、新たに高層分譲マンション「Brillia Tower西新」(ブリリアタワー西新、地上40階地下2階建、高さ約137m)を増築する手法を採用。2019年7月に商業施設棟が先行開業、2021年春に新施設全館(敷地面積約4,200㎡、延床面積約51,000㎡)が全面開業する計画となっている。
左後方がブリリアタワー西新。
なお、当初プラリバは2018年中に営業再開する見込みであったものの、先述の通り「地下鉄用エレベーターが館内にある」構造であったため、工事が遅れたという経緯がある。

プラリバ・地下鉄入口。
フードウェイなど36店出店-無印良品は再出店
西新リボーンプロジェクト商業施設棟「プラリバ」の建物は地上4階地下2階建。

地下鉄入口とテナント看板。
2019年7月の先行開業時には、食品スーパー「フードウェイ」を核に、グロサリー専門店「カルディコーヒーファーム」、JR九州グループのドラッグストア「ドラッグイレブン」、西鉄インキューブの雑貨新業態「プラットインキューブ」、京都の老舗ベーカリー「グランディール」、福岡市で人気を集めるカフェ「ハニー珈琲」、子供英語フィットネス「MY GYM」、「くまざわ書店」、再出店となる「無印良品」など36店舗が出店する。2021年春の全館開業時には、屋上テラスやイベントスペースの開設、カフェの出店を予定している。
PLAT INCUBE.

くまざわ書店福岡西新店。
西新駅周辺では2015年7月のプラリバ閉店以降、「イオン西新店」(旧トポス・ダイエー)も2016年5月に閉店しており、買物する場所が少なくなっていた。プラリバの復活は西新商店街やその近郊住民にとって待望の出来事となる。
なお、イオン西新店跡にはイオン九州が再出店を検討するとしていたものの、西鉄グループが高齢者住宅「(仮称)サンカルナ西新」を建設する方針だという。
PRALIVA(プラリバ)
住所:福岡県福岡市早良区西新4丁目1-1
営業時間:10時~20時
営業時間:7時~24時(フードウェイ)
営業時間:8時~23時(ドラッグイレブン)
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イオン湯川店、2019年6月29日リニューアル-フードコート、約2年ぶりに復活
北海道函館市の函館市電湯の川温泉電停近くに位置する総合スーパー「イオン湯川店」が、10日間の休業を経て、2019年6月29日にリフレッシュオープンする。

イオン湯川店。
かつてはグルメシティ北海道本社を併設
イオン湯川店は1981年10月に、ダイエーグループの「ホリタ」が運営する総合スーパー「ホリタショッパーズプラザ湯川店」として開店。運営会社再編の一環により、1990年3月に「ダイエー湯川店」に改称、2006年に「グルメシティ湯川店」に改称、2015年9月のダイエー北海道地方撤退に伴うイオン北海道への店舗承継を機に現在の店名に改称している。
売場面積は6,047㎡。建物は道内でテーオーハウスやテーオーデパートを展開するT.O.HD(テーオーホールディングス) が所有する。
2019年現在、テナントとして旧ダイエー系の婦人服店「ロベリア」、100円ショップ「キャンドゥ」、ゲームコーナー「モーリーファンタジー」などの専門店が出店している。なお、2009年までグルメシティ北海道の本社事務所が併設されていたため、高層階に大型のオフィススペースがある。
地場産品と専門店を強化
今回の改装では、コンセプトに「忙しい毎日に新たな食と彩りを」を掲げ、1階食品売場、フードコートを中心に全面改装を実施。直営食品売場では、イオン北海道初となる老舗洋菓子店監修のシュークリームや地元人気店のスフレなどを取り揃えたオリジナルスイーツブランド「Delica´Sweet´」を導入するほか、「函館牛」「道南レッドポーク」、道南地域の食材を使用した惣菜の品揃えを拡大するなど地場産品を強化する。その他直営売場でも「専門店化」を推進、ヘルス&ビューティーケア(H&BC)売場の増床移転やリカー売場での道産ワイン、道内・青森地酒拡充に取組む。
フードコートは約2年ぶりに完全復活
フードコート「DINING PLAZA」(座席数100席以上)には、大衆中華料理店「餃子の王将」、札幌のカレー専門店「ミスターカレー」、美唄焼き鳥・総菜専門店「炎」といった函館市内初となる飲食店ブランドに加え、函館を代表する老舗洋食店「五島軒」のケーキショップ、「ロッテリア」、石屋製菓グループのおはぎ店「サザエ」、ハンバーガーチェーン「ロッテリア」など6店舗が出店。(サザエのみ館内移転)

DINING PLAZA.
オレンジフードコートが運営する「オレンジキッチン」「キッチンクレープ」「ドムドムハンバーガー」の閉店以来、飲食店が全店撤退していたフードコートが約2年ぶりに復活することとなった。
函館で最強のイオン、客層のさらなる拡大なるか
イオン湯川店は函館空港からも近いうえ、道南を代表する温泉街「湯の川温泉」、函館市電「湯の川温泉」電停から徒歩圏に位置するため、タイガーエア台湾の機内誌で「函館最強的AEON湯川」(函館で最強のイオン)として紹介されるなど、以前から近隣住民に限らず、国内外からの観光客の来店を想定した品揃えが特徴であった。
今回の改装では、地場産品の強化や北海道の人気店が揃うフードコートの新設が行われるなど、近隣競合店舗との差別化や観光客取込みに向けた施策がより一層顕著なものとなっており、観光客の利用増加に期待がかかる。
イオン湯川店
住所:北海道函館市湯川町3丁目14-5
営業時間:8時~21時45分
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多治見駅前プラザ・テラ、2019年6月30日閉館-再開発で29階建てビル建設へ
岐阜県多治見市のJR多治見駅前にある複合商業ビル「多治見駅前プラザ・テラ」(TERRA)が、再開発により2019年6月30日で閉館する。

多治見駅前プラザ・テラ(再開発組合公式サイトより)。
旧・名鉄パレから48年の歴史に幕
多治見駅前プラザ・テラは1971年10月に「名鉄ストアー多治見駅前店」(のちの名鉄パレ)を核店舗とした商業ビル「名鉄多治見ショッピングセンター」として開業。売場面積は6,455㎡。建物は地権者組合の「多治見駅前ビル」が所有する。
1999年に名鉄パレが撤退し「駅前プラザ・テラ」となった。

テラと再開発エリア(再開発組合公式サイトより)。
2019年現在はスーパー「パワーズ」を核店舗に、地元・岐阜県で創業した衣料スーパー「オンセンド」、100円ショップ「ダイソー」、書店「東文堂」、三菱UFJ銀行、FMたじみのサテライトスタジオなどが出店するが、閉館を前に一部テナントはすでに退店している。
多治見駅前、再開発で29階建てタワマンなど建設
閉館はJR多治見駅南口周辺の再開発のため。
多治見駅南口では多治見駅南地区市街地再開発組合による再開発計画が進んでおり、テラの跡地には3階建ての複合商業ビル、12階建てのホテル、29階建てのタワーマンションが建設される。
マンションの総戸数は約220戸で、再開発の費用はマンションの分譲収益と行政の補助金によって賄われる。

再開発エリア(再開発組合公式サイトより)。
多治見駅前では駅北口の整備がおこなわれたほか、市役所の駅北庁舎が建設されるなど、再開発が続いている。
今回の南口の再開発により、駅周辺の景観は一変することとなる。

再開発後の完成予想図(再開発組合公式サイトより)。
この図にはのちに追加された「ホテル棟」がないため、実際の計画図は変更されている可能性が高い。
外部リンク:多治見駅南地区第一種市街地再開発事業(超高層ビル・都市開発研究所)
外部リンク:多治見駅南地区市街地再開発組合
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