佐賀県上峰町の大型ショッピングセンター「イオン上峰店」が2019年2月28日に閉店する。
イオン上峰店。
かつての地域一番店、今や客もまばらに
イオン上峰店は1995年3月に九州ニチイの「上峰サティ」として開業。
久留米市と佐賀市のほぼ中間、両市から20分圏という好立地への出店で、開業当時は佐賀県・長崎県・福岡県筑後エリアで最大級の商業施設だった。
1996年にはワーナーマイカルシネマズ、レストラン街などが新たに増床開業し、広域集客に成功。マイカル九州(1996年に九州ニチイから社名変更)の旗艦店として、名実ともに佐賀・福岡筑後エリアの地域一番店となった。当時の売場面積は21,200㎡(映画館などが入る別館を除く)。さらなる増床計画も発表されていた。
上峰サティ。
しかし、開業から僅か2年後の1997年10月、隣接する鳥栖市にジョイフルタウン鳥栖寿屋が開業すると、地域一番店の座は奪われる。
1998年にはゆめタウン武雄、1999年にはイオン唐津ショッピングセンター、2000年にはゆめタウン八女が相次ぎ開業、商圏は徐々に狭まった。
とくに、2000年のイオン佐賀大和ショッピングセンター、2003年のゆめタウン久留米の開業は、メイン顧客であった久留米市・佐賀市周辺の客の動きに大きな影響を及ぼした。
このほか、商圏内には2003年にモラージュ佐賀が、2006年にゆめタウン佐賀が開業している。
(かつて一番のライバルであったジョイフルタウン鳥栖寿屋は2002年の寿屋経営破綻後に客足が大きく減少、現在はフレスポ鳥栖となっている)
ジョイフルタウン鳥栖寿屋(現:フレスポ鳥栖)。
さらに、2009年9月に店舗真向かいに大型ディスカウントストアのトライアル上峰店が開業すると、客足は大きく陰りを見せた。
2010年3月にはワーナーマイカルシネマズ(現:イオンシネマ)がイオンモール筑紫野(2008年12月開業)と事実上の店舗統合により閉鎖されると、もはや活性化は放棄された状態となった。
2012年に大型改装が行われたものの、専門店は大きく減り、事実上の「大幅グレードダウン」となった。
イオンモール筑紫野。
2018年現在、飲食店は殆どが閉店、もしくは解体されているほか、近年は一部内装も傷んでおり、とくに3階はフロア全体で客が僅か数人という状況も少なくなかった。
競合多いエリア、巨大な店舗跡はどうなる?
現在、建物はイオン九州が所有している。
老朽化したといえどもまだ築22~23年ほどで、巨大な建物は解体するにも多額の費用がかかるため今後の活用策が注目されるが、店舗の周辺には真向かいにあるトライアルをはじめとして徒歩圏にはスーパードラッグストア、コンビニ、書店、家電量販店、大手衣料チェーンが立地。車で数分の距離を含めると競合するスーパー、ディスカウントストア、ドラッグストアは複数あり、店舗小型化(食品スーパー化)などで成功するかも懐疑的であるため、当面は巨大な空き店舗となる可能性もある。
近隣エリアは九州の交通結節点にあたり、物流基地としての再活用や、エリアへの出店意欲が高いパチンコ店の出店なども考えられるが、果たして…。
外部リンク:イオン上峰店閉店についてのお知らせ – イオン九州株式会社
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