井筒屋(北九州市小倉北区)は、「コレット井筒屋」、「黒崎井筒屋」、「宇部井筒屋」の3店舗の閉店を7月31日に発表した。既に閉店を発表している「飯塚井筒屋」と合わせて、2019年5月までに4店舗を閉店することになる。
井筒屋小倉本店。
東証一部上場、北九州地盤の百貨店
井筒屋は1936年10月に現・小倉本店の建物で開店。九州本社の百貨店で唯一、東証一部に上場する。創業時の経緯から、現在も西日本鉄道が株式の1割程度を保有する。
1970年代には小倉本店のほかに、八幡、本城、若松、博多、久留米、浮羽、大牟田、中津に店舗を構え、大分市でも出店用地を確保(現:コンパルホール)していたが、営業規模を徐々に縮小。
近年は2007年3月に「博多井筒屋」を、2009年2月に「久留米井筒屋」を、2015年12月に「黒崎井筒屋ANNEX-1」(旧・八幡店)を閉店させていた。
久留米井筒屋。
その一方で、小型店の出店を増やしており、とくにかつて大型店を出店していた大牟田、中津や、百貨店が消滅した徳山などでは一定のシェアを集めている。
井筒屋中津店(ゆめタウン中津1階)。
かつて小倉、そして北九州市には玉屋、そごうなど多くの百貨店が出店していたがいずれも撤退しており、2018年現在は井筒屋が小倉唯一、北九州唯一の百貨店事業者となっている。
コレット井筒屋、2019年2月28日閉店-ロフト等も撤退か
コレットは旧「小倉そごう」のビルである「セントシティ北九州」に2008年4月に開店。伊勢丹と共同運営していた小倉伊勢丹の株式のうち、伊勢丹保有分を井筒屋が引き受けて経営を引き継いだ。井筒屋の子会社であるコレット井筒屋が運営する。
コレット。
井筒屋の売場面積は30,000㎡、全体の売場面積は46,282㎡。建物は北九州都心開発(セントシティ北九州、アイム専門店街を管理運営)が保有する。
コレット部分の年商は約103億円(2018年2月期、コレット井筒屋社の全体合計)であった。近年は1年半の間に社長が3度も変わっている。
館内のロフト、無印良品、ZARA、ニューヨークレボリューション(スーパー)などは井筒屋内に出店しているため、2月を以て閉店する可能性が高い。一方で、7階以上のフロアはセントシティ北九州がアイム専門店街として運営しており、営業を継続するものと思われる。
アイム専門店街。
黒崎井筒屋、2019年5月31日閉店-旧・黒崎そごう
黒崎井筒屋は八幡井筒屋として1959年11月に開店。「黒崎そごう」の閉店に伴い、2001年10月に現店舗へと移転した。旧店舗は「黒崎井筒屋ANNEX-1」となったが、2015年12月に閉店、解体されている。
黒崎井筒屋。
井筒屋の売場面積は25,026㎡、全体の売場面積は39,100㎡。建物はメイト黒崎(メイト専門店街を運営)が保有する。
黒崎井筒屋部分の年商は約129億円(2018年2月期)であった。
館内の無印良品、ABC-MARTなどは井筒屋内に出店しているため、5月を以て閉店する可能性が高い。一方で、メイト専門店街のベスト電器、レッドキャベツなどは営業を継続するとみられる。
宇部井筒屋、2018年12月31日閉店
宇部井筒屋は1933年に開店。山口井筒屋と同じく「ちまきや」の運営であったが、1969年10月に井筒屋が資本参加した。現在は子会社の山口井筒屋が運営する。
宇部井筒屋。
売場面積は7,683㎡、建物は山口井筒屋が保有する。年商は約28億円(2018年2月期)であった。
宇部井筒屋は面積が狭く、無料駐車場もあるため近年も黒字を計上する年があるなど地方都市にしては比較的好調であったとされる。
しかし、建物の老朽化が進行しており、耐震性問題が閉店の大きな要因になったと思われる。
追記:井筒屋は2019年3月中にゆめタウン宇部にサテライトショップを出店する。
飯塚井筒屋、2018年10月閉店
1949年開設、現店舗は1965年10月開店。近年は営業面積を縮小していた。
4月に一足先に閉店が発表されている。詳しくは飯塚井筒屋、2018年10月末までに閉店-筑豊唯一の百貨店を参照。
追記:6日閉店、イオン穂波に移転することとなった。
飯塚井筒屋。
井筒屋、今後どうなる?
井筒屋は、今後は小倉本店、山口井筒屋の2店舗と小型サロンのみで営業を継続することとなる。
山口井筒屋。
井筒屋の2018年2月期の売上高(年商、連結)は783億400万円であるが、今回の4店舗閉店に伴い、その約4割にあたる300億円近くを失う見込みだ。
井筒屋は九州唯一の東証一部上場百貨店でもあるが、今後さらなるリストラ・債務整理をおこなったのち、提携する大手百貨店との関係を強化することも考えられよう。
ニュースリリース:当社および当社子会社の店舗営業終了および特別損失の計上ならびに業績予想の修正について
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