カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

マツキヨとココカラ、経営統合協議を開始-2019年8月14日に発表、売上高「約1兆円」に

ドラッグストア大手「マツモトキヨシHD」(千葉県松戸市、以下マツキヨ)と「ココカラファイン」(神奈川県横浜市、本店は大阪府大阪市、以下ココカラ)は、経営統合に向けた協議を開始することを2019年8月14日に発表した。

ココカラファインの旗艦店(大阪市)。

スギ薬局も統合を打診していたが…。

マツモトキヨシは1932年12月に千葉県松戸市で「松本薬舗」として創業。首都圏地盤であったが、2000年以降からイズミと提携し「ゆめドラッグ」を展開、九州地盤の「ミドリ薬品」を傘下に収めるなど、地方における店舗網の強化を進めている。
ココカラファインは2008年4月に首都圏地盤の「セイジョー」と関西地盤の「セガミ」の経営統合により設立。2010年10月には関西地盤の「アライドハーツHD」(ライフォート・ジップドラッグ)と経営統合している。
マツキヨ・ココカラの経営統合は、2019年4月26日に発表された「資本業務提携に関する検討・協議」を発端としたもの。その後、ココカラに対してスギHD(スギ薬局)も経営統合を打診したが、ココカラの取締役会はマツキヨHDと経営統合したほうが大きな相乗効果があると判断したという。

スギ薬局。

売上高1兆円、アジア2位の巨大チェーンに

マツキヨHDはドラッグストア業界国内5位(かつては1位)、ココカラは7位(かつては3位)であるが、経営統合後の売上高は約1兆円と業界首位のツルハHD(北海道札幌市)の8000億円弱を大きく上回り、国内で首位・アジア全体でも「ワトソンズ」(香港)に次ぐ2番目の規模の巨大ドラッグストアチェーンとなる(2018年度数値より)。

ドラッグストア大手7社の売上推移(各社決算により作成)。

ニュースリリース:株式会社マツモトキヨシホールディングスとの経営統合の協議開始についてのお知らせ(ココカラファイン)
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イオン藤井寺ショッピングセンター、2019年9月14日開業-イオンモール跡、ダイエーを核店舗に65店が出店

大阪府藤井寺市の近鉄藤井寺駅前にあった「イオンモール藤井寺」跡地に「イオン藤井寺ショッピングセンター」が2019年9月14日に開業する。

イオン藤井寺ショッピングセンター(撮影:さわらさん)。
外壁には「藤」の花のイメージも設置される予定。

イオンモール跡、地域密着型のショッピングセンターに

イオン藤井寺ショッピングセンターの前身となる「ダイヤモンドシティ藤井寺ショッピングセンター」は1973年12月に総合スーパー「ジャスコ藤井寺店」を核として開業。1988年には「藤井寺アプト」(アプト館)を新設する増床を実施、複数回にわたる改装を実施することで、地域一番店としての地位を確立した。
その後、運営会社再編の一環として2007年8月に施設名を「イオンモール藤井寺」に改称、2011年3月に核テナントの店舗名を「イオン藤井寺店」に改称したが、施設の老朽化に伴う建替えのため、2014年2月28日をもって閉店していた。
イオンモールは当初、建替前と同様に総合スーパー(イオンスタイル)を核に据えた商業施設としての営業再開を計画していたが、施設規模の縮小を伴う度重なる計画見直しもあり、食をテーマとした地域密着型商業施設として一新することが決定していた。

核店舗はダイエーの「フードスタイル」-65店出店

イオン藤井寺ショッピングセンターの総賃貸面積は約15,300㎡。
コンセプトに「藤井寺Neighbor Food Center」を、施設コンセプトに「〜地域の皆さまに寄り添うショッピングセンターをめざして〜『これまでも、これからも。まちと人の、すぐそばに。』」掲げる。

館内「フードパーク」イメージ。

核店舗はダイエーの食品スーパー「イオンフードスタイル藤井寺店」で、テナント数は65店舗。そのうち雑貨「ピーチクラブ」、きもの「松葉」、化粧品「べにや」など15店が旧店からの再出店となる。

エントランス(撮影:さわらさん)。

大型テナントとしてはイオングループの靴量販店「ASBee fam.」家電量販店「ジョーシン」、ニトリの小型店「ニトリエキスプレス」、ファストファッション「GU」、100円ショップ「ダイソー」、ドラッグストア「ココカラファイン」、書店「アバンティ」、ゲームコーナー「プラザカプコン」などが出店する。館内に設けられる子供の遊び場は、古墳が多い立地にちなんで「こふんひろば」と命名された。
また、食品館「Food Park」には「阪急ベーカリー&カフェ」や「スターバックス」など25店舗が出店。フードパークにはイートインコーナー(70席)とフードコート(240席)も設けられ、再出店となる「スガキヤ」、ダイエーグループのスイーツ店「ディッパーダン」、関西地盤の焼肉チェーン「松屋」の「肉キッチン」、タピオカ「タピキング」などが出店する。

テナント一覧。※は再出店。

このほか、1階には市立図書館の返却ポストが、屋上には「芝生広場」が設けられる。芝生広場には古墳のモチーフが用いられる。

屋上イメージ。

2020年には松原にアリオ-競争激化する藤井寺周辺

隣接する松原市ではセブン&アイHDが開発を手掛ける「アリオ松原」が2020年を目途に開業を予定しており、近隣のイオングループ店舗も相次いでリニューアルをおこなっている。
旧・ダイヤモンドシティがダイエーを核店舗にリニューアルされたのは意外であったが、競争が激化するなかで地域に便利な駅前ショッピングセンターとなることが期待される。

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イオン富雄店、2019年10月31日閉店-旧ユニード・ダイエー、46年の歴史に幕

奈良県奈良市の近鉄富雄駅前にあるショッピングセンター
(総合スーパー)「イオン富雄店」が2019年10月31日に閉店する。

ダイエー富雄店。

旧・ユニードから46年の歴史に幕

イオン富雄店は1973年4月に「ユニード富雄店」として開店。ユニードは福岡市に本社を置いているスーパーであり、富雄店が最も東に位置する店舗であった。
1981年にユニードとダイエーが資本業務提携したのち、1983年に関西が地盤である「ダイエー富雄店」に転換された。
その後、2015年にダイエーがイオンの完全子会社となった際に総合スーパーの多くをイオンリテールに譲渡したことに伴い、2016年3月から「イオン富雄店」として営業している。
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イオンへの改装に合わせてテナント入れ替えも行われた。

売場面積は8,712㎡で、売場は地階・1階・2階。3階・屋上は駐車場。建物はダイエーグループが所有する。
テナントとして「メガネの三城」、「荒木メガネ」、イオン(ダイエー)グループの書店「アシーネ」、100円ショップ「キャンドゥ」などが出店する。なお、隣接地には2014年に地場スーパー「ヤオヒコ」が出店している。
閉店は店頭で告知されたもの。店舗跡の活用方法などについては8月現在発表されていない。

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イトーヨーカドー恵庭店、2019年9月29日閉店

北海道恵庭市のJR恵み野駅前にあるショッピングセンター「イトーヨーカドー恵庭店」が、2019年9月29日に閉店する。

イトーヨーカドー恵庭店。

37年の歴史に幕-近隣に7&iと提携の「ダイイチ」が出店

イトーヨーカドー恵庭店は1982年3月に大都ビルの核テナントとして開業。1階が売場、2階は駐車場で売場面積は8,492㎡。
恵庭市のニュータウン「恵み野」のタウンセンターとしての開業で、ほぼ同時期に国鉄恵み野駅、市立恵み野小学校が開設された。
2019年現在、テナントとして書店「アイブック」、100円ショップ「キャンドゥ」、時計「クロックハウス」、フードコート(ポッポなどが出店)、銘菓店などが出店する。

JR恵み野駅とヨーカドー。

永年、恵み野地区で最大の商業施設となっていたイトーヨーカドーであったが、2015年11月に駅西口(裏口)に大和リースのオープンモール型ショッピングセンター「フレスポ恵み野」が開業。
こちらには核テナントとして帯広市に本社を置く食品スーパー「ダイイチ」が出店しているが、2013年からはダイイチもセブン&アイHDと資本業務提携関係を結んでいる。

フレスポ開業後に建物売却-跡地は未定

イトーヨーカドー恵庭店が出店する大都ビルは道内企業からドイツ銀行グループのドイチェ信託の所有となっていたが、3年前に別の道内企業に売却されている。売却はフレスポ開業の影響もあったであろう。
賃貸物件であるため、後継テナントを募集する可能性もあるが、8月現在今後の方針については発表されていない。
(撮影:ウイングベイ小樽を応援してる人

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三宮ビブレ、2019年8月23日から全館「オーパ」に-地階のオーパ、ビブレを飲み込む

兵庫県神戸市の三宮センター街にあるファッションビル「三宮ビブレ」が2019年8月23日に「三宮オーパ」に改称する。
同店は2018年4月に下層階に「オーパ」が移転してきており、今回の改名により全館がオーパとなる。

三宮VIVRE。

センター街のビブレ、全館オーパに

オーパはもともとダイエー系のファッションビルで、名前は1号店の「新神戸オリエンタルパークアベニュー」に由来する。「三宮オーパ」は阪神大震災で被災し休業となったJR三ノ宮駅ビルのダイエー系百貨店「プランタン三宮」を全面改装・業態転換する形で1995年に開業。しかし、再開発のため2018年2月に閉館していた。
ビブレはもともとマイカル(ニチイ系)のファッションビル。「三宮ビブレ」は、総合スーパー「ニチイ三宮店」として1969年に開業。のちにファッションビルとなり「ビブレ21」、その後「ビブレ」に改名。現在はダイエー、マイカルのいずれもイオンとなっているため、2016年3月をもってビブレ全店とともに「OPA」に運営が移管されていた。
詳しい経緯は前の記事を参照

 三宮ターミナルビル・旧三宮OPA。(2018年2月閉館)

新たな三宮オーパの売場面積は6,049㎡。すでにオーパとなっている地階にはヤングレディスを中心としたアパレル店が、ビブレ部分には「GU」「FOREVER21」「スーパースピンズ」「HMV」「島村楽器」「ムラサキスポーツ」などの大型テナントのほか、以前から定評のあったゴスロリ・甘ロリ系の店舗なども出店している。
今回の改名に伴う大型改装などは現時点で予定されていないとみられるものの、同館は今年で築50年を迎えており、近い将来の再開発も予想される。

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東宝ツインタワービル、2019年12月閉館-日比谷のランドマーク、建て替えへ

東京都千代田区の日比谷駅前にある複合ビル「東宝ツインタワービル」が、再開発のため2019年12月末に閉館する。

東宝ツインタワービル。

日比谷のツインタワー、50年の歴史に幕

東宝ツインタワービルは東京宝塚創業の地に1969年5月開業。
地上9階、地下4階建て。すぐ近くには東京宝塚ビル(宝塚劇場)、東宝日比谷ビル、阪急メンズ東京(有楽町阪急)など阪急東宝系の施設が数多く集積する。
ツインタワーの由来は屋上にある2つの塔で、また東芝製垂直落下手すりエスカレーターがあることも特徴であった。
下層階には物販店、医院、ディスコなど多くのテナントが入居。
9階にはレストラン街、7階には東宝ダンスホールがあるほか、阪急東宝系のオフィスが数多く入居する。

東宝、11階建ての新ビル建設

新たなビルは地上11階、地下2階建て。現在と同様に商業施設とオフィスなどが入居する。
建て替えは2023年春に完了する予定で、総工費は約90億円を見込んでいる。

新ビルの完成予想イメージ(リリースより)。

東宝は「映画・演劇を中心とした上質なエンタテインメントの街『日比谷ブロードウェイ』の玄関口に相応しいビルの再生を目指します」としている。

ニュースリリース:東宝ツインタワービル 再開発計画の概要
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アヴァンモール菊陽、2020年3月開業-福岡地所系、ザ・ビッグを核にハンズマンと一体開発

熊本県菊池郡菊陽町の国道57号線(菊陽バイパス)に、福岡地所系の「九州リースサービス」、九州地場大手ホームセンター「ハンズマン」、阿蘇製薬グループの「アソインターナショナル」の3社が開発するショッピングセンター「Avant Mall菊陽」(アヴァンモール菊陽)が2020年3月末を目処に開業する。

Avant Mall菊陽。

菊陽に「ザ・ビッグ」核のショッピングセンターが進出

アヴァンモール菊陽の敷地面積は24,927㎡、延床面積は約7,769㎡。土地は阿蘇製薬グループ(アソインターナショナル)が所有する。
九州リースサービスが開発する商業施設は「クロス21UTO」(熊本県宇土市、2013年11月開業)に次いで2施設目。施設名の「Avant」は「Avant-garde(アヴァンギャルド)」の略でフランス語で「前衛的」を意味する。
基本コンセプトに「あらゆる世代のお客様が楽しめる」「一日いても飽きない新しさがある」「親しみがあり、地域のお客様に永く愛される」を掲げ、イオングループのマックスバリュ九州が運営する食品ディスカウント「ザ・ビッグ」を核に、ニューコ・ワンの複合書店「TSUTAYA」、総合衣料品店「サンキ」、ベビー服・ベビー用品店「西松屋」、そのほか飲食店複数店舗が出店する。

Avant Mall菊陽。

九州リースサービスは、アヴァンモールの地権者であり隣接地に店舗を構える「ハンズマン」とともに「地域の方々に新しい衣・食・住が集うコラボスペースを提供し、永く支持される施設を目指してまいります。」とコメントしており、ハンズマンも商業施設の開発・運営の一部に関与する形での開発を目指す。

近隣ではイオン菊陽が撤退発表済

イオングループは近隣のショッピングセンター「サンリー菊陽」に総合スーパー「イオン菊陽店」(旧・サンリー菊陽寿屋)を出店しているが、2020年2月末を目処に撤退を予定しているため、アヴァンモールの核テナントである「ザ・ビッグ」がイオングループ系スーパーの事実上の後継店となるとみられる。
熊本県内有数のロードサイド型商業施設集積地でもある「菊陽バイパス」には、サンリー菊陽のほかにもディスカウントストア「MEGAドン・キホーテ菊陽店」やコーナングループのホームセンター「HIヒロセ菊陽店」など大型店が数多く立地しており、アヴァンモールに進出予定のニューコワンも近隣に「TSUTAYA AVクラブ菊陽店」を出店していることから、店舗の統廃合が想定される。

サンリー菊陽ショッピングセンター・アスパ。

菊陽バイパス周辺では、光の森駅前の大型ショッピングセンター「ゆめタウン光の森」が2019年6月に増床リニューアルを実施。セブン&アイHDの大型雑貨店「ロフト」及びベビー服・ベビー用品店「アカチャンホンポ」の導入に踏み切るなど、施設間競争が激化している。
アヴァンモール菊陽の進出は、イオン撤退後の施設再生が喫緊の課題となる「サンリー菊陽」にも少なからず影響を及ぼすことになろう。

Avant Mall菊陽(アヴァンモール菊陽)

住所:熊本県菊池郡菊陽町大字津久礼平ノ上

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サントムーン柿田川オアシス館、2020年3月開業-大東紡織三島100年記念事業、3館を「連絡通路で接続」

静岡県駿東郡清水町の「大東紡スクエア」にあるダイトウボウグループの大型ショッピングセンター「サントムーン柿田川」が増床リニューアルし、新館「サントムーンオアシス」(オアシス館)が2020年3月中旬にグランドオープンを迎える。

サントムーンオアシス。

大東紡跡、「静岡東部最大級」のショッピングセンター

大東紡スクエアの前身となる毛織工場「東京モスリン紡織沼津工場」は1918年に操業開始。1936年の社名変更後も「大東紡織三島工場」として約60年間操業を続けていたが、紡績需要低下に伴う事業整理の一環により、1981年4月をもって三島工場を閉鎖、工場用地の一部を家電大手「ソニー」に売却していた。
その後、ダイトウボウにより1981年12月に総合スーパー「ユニー」を核とするショッピングセンター「サンテラス駿東」(現・サントムーンアネックス)が開業、1997年4月には「サントムーン柿田川」が開業し、静岡県東部において最大となる商業ゾーンが形成されることとなった。
SUN TO MOON」は恐らく「駿東」にかけた命名だと思われる。

ジャンボエンチョーホームアシスト。

サントムーン柿田川(本館)は1997年4月に第1期開業。当施設は当初、ユニーサンテラス駿東増床の一環として計画された施設であったが、既存店との棲み分け、バブル経済崩壊に伴う消費の冷え込みを受けて専門店街となった。
その後、ダイトウボウは2005年頃にソニーグループから工場用地を買い戻し、2007年に既存施設の再編と立体駐車場建設を伴う第2期開業及び大和ハウス工業の分譲住宅地造成を実施。2008年5月にはユニー跡をサントムーン柿田川アネックス棟「サントムーンアネックス」として第3期開業(増床)を実施している。

工事中のサントムーン柿田川。

サントムーン、第4期開業では新棟と連絡通路を建設

サントムーン柿田川本館の建物は地上3階建、売場面積は15,416㎡、アネックス棟の売場面積は10,722㎡、全館の敷地面積は108,325㎡、延床面積は119,284㎡。ダイトウボウグループの「大東紡エステート」が運営する。
核店舗はジャンボエンチョーの旗艦店「ホームアシスト」と九州地盤の食品スーパー「フードウェイ」(つるかめランド跡)を中心とする生鮮・惣菜6店舗により構成される「サントムーン生鮮館」で、そのほかにドラッグストア「ウエルシア」、ファストファッション「ユニクロ」、雑貨店「無印良品」、修善寺に本店を置く「長倉書店」、家電量販店「エディオン」、映画館「シネプラザサントムーン」(12スクリーン2,004席)など120以上の専門店が出店している。

楽しいが交差する「新・ジャンクション」。

第4期開業となる今回の増床は「大東紡織三島100年記念事業」の一環として整備が進められるもの。
開発テーマに「Happy New Junction」を掲げ、本館とアネックス棟の間に新棟「サントムーンオアシス」を建設する。3棟は増床に合わせて建設される連絡通路で結ばれることとなり、建物間の回遊性が大幅に向上することになる。
オアシス館の建設予定地には従来、ジャンボエンチョーグループのアウトドア用品店・雑貨店「SWEN」「casa」が出店する建物「スウェン・カーサ棟」があったが、両店舗ともに解体されて2018年末までに敷地内の別の場所へと移転している。また、本館にあるボウリング場「柿田川パークレーンズ」の一部も商業施設床に転用されている。

移転したSWENとcasa。既に新しい建物で営業。

オアシス館には31店舗が出店

サントムーンオアシスは3階建て、賃貸面積は約7000㎡で、コンセプトは「Bridge to a Brighter Life ── もっと輝く暮らしへ」。

オアシス館のロゴ。

1Fは「ライブラリーカフェ&セレクトフード」。
書籍・CD販売「TSUTAYA BOOKSTORE」、江戸時代から続く沼津の老舗ホームリビングショップ「わたやす」のほか、「Una casita」(オナカスイタ、グロサリー)、「麦豚工房石塚」などのフードセレクトショップ、大手ジェラート店「ヨゴリーノ」、沼津のケーキ店「シェ・ワタナベ」などといった喫茶・洋菓子・銘菓店、花店などが出店する。
2Fは「レストランストリート&セレクトグッズ」。
大戸屋」、「しゃぶ葉」といった大手店や、「ステーキDADA」(富士市)、「アールヌーヴォー」(沼津市)といった地元の店舗など10店からなるレストラン街が誕生。ネイルサロン、美容室なども出店する。
3Fは「キッズ&バラエティー」。
アパレル大手「マックハウス」、ゲームセンター「SEGA」などが出店する。

館内イメージ。

大東紡が「第2の故郷」と位置付ける大東紡スクエア・サントムーン。
近隣ではららぽーと沼津」が2019年10月4日の開業を目指して工事すすめているが、サントムーンも「オアシス館増床」により迎え撃つ体制を整えつつある

サントムーン柿田川

住所:静岡県駿東郡清水町玉川61-2
営業時間:10:00~20:00(生鮮館)など

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7Pay、2019年9月30日廃止-問題相次ぎ僅か3ヶ月で終了、nanacoポイント還元率見直しも検討

セブン&アイHDは、自社グループ独自のスマホ決済サービス「7pay」を2019年9月30日に廃止することを発表した。

セブン-イレブン

セブン&アイHD共通スマホ決済を目指した7Pay

7Payは、セブン&アイHDの金融統括会社「セブン・フィナンシャルサービス」と「セブン銀行」の共同出資により設立された「セブンペイ」により、2019年7月1日に傘下のコンビニ「セブン-イレブン」でサービスを開始。7Payはセブン-イレブン利用客を対象とした「セブン-イレブンアプリ」と一体的なサービスの展開、多様なチャージ手段の提供、7payでの支払いに応じた「nanacoポイント」「バッジ」「マイル」の付与を特徴として打ち出し、当初は将来的なグループ横断的ロイヤリティプログラムの実施も検討していた。

不正利用でサービス停止の7Pay、3ヶ月で完全廃止に

7Payはサービス開始に際して、店頭でのチラシ配布や7Pay登録者を対象に「税込160円未満のおにぎり」を1個配布する大規模販促イベントを実施していたが、7月1日のサービス開始直後より一部ユーザーのアカウントで、第三者による7Payアカウントでの不正アクセス(多額のチャージ、支払など)が行われる問題が生じていた。
セブン&アイHDは、上記の不正アクセス問題を受けて、7月3日より新規登録受付及び外部IDによるログインサービスの停止、段階的な7Pay残高チャージ機能の停止、海外IPを経由したアクセスの遮断、システムの改修や二段階認証提供の検討を進めるセキュリティ対策プロジェクトの設置を相次ぎ打ち出したが、サービスの全面再開に相応の期間が必要であること、利用客の不安を理由に7Payのサービス廃止に至った。

混乱続くセブン&アイ、今後は外部サービス中心に方針転換

セブン&アイHDが自社グループ共通スマホ決済として普及を目指した7Payであるが、発表当初からスマホ決済導入による集客力向上、買物客の利便性向上に結び付く効果については疑問視されていた。同社は2007年以来、自社グループ共通電子マネー「nanaco」を軸とした販促を実施していたが、今回の7Pay導入にあたりポイント付与率を「100円1ポイント」から「200円1ポイント」に半減、「セブンマイルプログラム」(2019年9月開始予定)との併用を必要とする複雑なサービス体系に変更したことで、買物客にとっては事実上従来のポイント数と同等のポイントが獲得可能であるが、nanaco1枚で決済・ポイント交換可能という利便性が損なわれる結果となった。
セブン&アイHDの7Pay普及に向けた取組みは、系列外企業のスマホ決済を導入しつつ既存自社グループ共通電子マネーの還元率増額を打ち出した「イオングループ」(WAON)や自社スマホ決済の導入に加え既存自社系クレジットの特典を大幅拡充した「ファミリーマート」(ファミペイ・ファミマTカード)と対照的な顧客視点やユーザビリティを軽視した施策であった。
さらに同社が7月30日に実施した「7iDパスワード」の強制リセットにより、7Pay利用者に加えて、セブン&アイHDの総合通販サイト「omni7」利用者にもさらなる混乱を引き起こしており、キャッシュレス決済のみならずインターネットサービスに対する信頼性を大きく毀損するものとなった。

セブン&アイHDは、7Pay廃止後のキャッシュ化への対応に関して「グループ外部の様々な決済サービスとの連携を積極的に推進する」とコメントしており、今後はPayPayやLINEPay、メルペイなど系列外企業のサービスを軸としたサービス提案を行っていくものとみられる。また、7Pay開始に伴いポイント還元率を半減したnanacoについても還元率の見直しを表明している。同社によるキャッシュレス決済の信頼性回復に向けた新たな取組みに期待したい。

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サンリー菊陽ショッピングセンター、2020年2月29日閉館-菊陽寿屋から33年の歴史に幕

熊本県菊陽町のJR三里木駅近くにあるショッピングセンター「サンリー菊陽ショッピングセンター」(菊陽ショッピングプラザ)・イオン菊陽店が2020年2月29日に閉店する。

サンリー菊陽ショッピングセンター・アスパ。

サンリー、33年の歴史に幕

サンリー菊陽ショッピングセンターは1987年3月に開業。売場面積は17,205㎡で、当時は熊本県で最大の大型ショッピングセンターであった。サンリーの名前の由来は所在地の「三里木」に因むもの。開店日には豊肥本線三里木駅まで臨時列車が運行され、九州出身の人気タレント・宮尾すすむ氏が来店した。
サンリーはカナダのショッピングセンター「ウエストエドモントンモール」にヒントを得たもので、キャッチフレーズは「カナダ型ショッピングセンター誕生」。西側に寿屋の旗艦店となる総合スーパー「寿屋菊陽店」と寿屋の児童図書館、文化教室、サンリー菊陽専門店街(売場面積17,205㎡)を、東側に「サンリースポーツクラブアスパ」を配した。

サンリー菊陽とアスパ。

アスパは夏はプール、冬はスケートリンクとなることが特徴で、このほかに卓球場も設けられ、寿屋の卓球実業団チームの練習場にも使用されていた。
寿屋時代は絶大な人気を誇ったサンリーであったが、ラララグループ寿屋が倒産したため2002年に閉店(当初は一時休業予定)。その後、同年に核テナントがジャスコ菊陽店(のちに「イオン菊陽店」)、アスパは宮城県仙台市で「アイスリンク仙台」などを運営するスケートリンク大手「加藤商会」の運営となったが、アスパ部分は2019年2月で閉館していた。

現在も寿屋系所有-跡地はどうなる?

開業時は田んぼに囲まれていたサンリー菊陽であるが、現在サンリーの近隣には「ゆめタウン光の森」をはじめとしてダイレックス、ドン・キホーテ、ハンズマン、HIヒロセなど様々な業種の大型店が立ち並ぶ状況となっており、競合店の増加も閉店の一因であろう。
サンリーの建物は現在も寿屋の後継企業であるカリーノグループが所有するが、店舗跡の活用方法については2019年7月現在発表されていない。

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