米・Jクルー、2020年5月4日倒産-米大手小売初となる新型コロナ関連破綻

米国大手カジュアルファッションブランド「J・CREW」(Jクルー)が2020年5月4日に連邦破産法11条(日本における民事再生法)の適用を申請し、経営破綻した。

J・CREW. (from facebook)

同社は米国小売大手初となる新型コロナウイルス関連の経営破綻になる。

経営再建進めていた米国大手アパレルブランド

Jクルーは1947年にカタログ販売「Popular Club Plan」として創業。1983年に現在のブランド名に改称、1989年に実店舗1号店をニューヨーク・マンハッタンに開店した。
1997年に米国ファンド「TPGキャピタル」傘下となり、2006年にはニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場したが、2010年に再び株式を非公開化、低価格ブランド「Madewell」(2006年買収)を次世代の主力業態に据え、経営再建を進めていた最中であった。

J・CREW Bromptoncross collection store. (from facebook)

日本市場再進出計画もあったが…

日本国内では、1992年に大手総合商社「伊藤忠商事」がJクルーブランドのマスターライセンス権を取得し、1993年以降大手アパレル「レナウン」との提携のもと、百貨店やファッションビルを中心に最盛期50店舗ほど展開していた。しかし、1990年代初頭より続くレナウングループ経営悪化の影響を受け、2006年に原宿旗艦店を閉鎖、合わせて郊外型ショッピングモール中心の店舗展開に路線転換を図ったが、2009年1月をもって日本事業から撤退、3月までに国内全23店舗が営業を終了していた。
レナウンによるJクルー事業撤退後も、米Jクルーによる日本再進出構想やファーストリテイリングによる米Jクルー買収計画もあったが、同社の経営不振もあり実現には至らなかった。

コロナウイルス終息を目処に営業再開めざす

米・Jクルーグループは連邦破産法11条の適用により、16億5000万ドル(約1760億円)の負債を株式に転換、合わせて4億ドル(約427億円)の一時的な運転資金融資(DIP融資)を受け、経営再建を目指す。
2020年5月現在、新型コロナウイルスの感染拡大による都市封鎖(ロックダウン)のため休業中のJクルーグループ各店舗(Jクルー181店舗、Madewell140店舗、FactoryStore170店舗)、ECサイト(3サイト)は、コロナウイルス終息を目処に営業を再開する見通しとなっており、ギフトカードやポイント、商品の返品・交換サービスも従来通り継続する。
また、業績が好調に推移しているMadewellも引続きグループに残留する計画となっている。

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