簡易宿泊施設(カプセルホテル)大手「ファーストキャビン」が、東京地方裁判所に破産手続開始の申立てを2020年4月24日に行った。
多くの店舗はこれに合わせて閉館となっているが、一部店舗は営業を継続する(詳細は後記)。
ファーストキャビン破産手続開始告示書。
「ファーストクラス」スタイルの客室で急成長したが…
ファーストキャビンは2006年7月に設立。
2009年4月に1号店「ファーストキャビン 御堂筋難波」を出店して以来、コンセプトに「コンパクト&ラグジュアリー」を掲げ、通常のカプセルホテルと比べ約2倍の床面積、120cm幅のベッド、大型液晶テレビを備える客室(ユニット)を導入するなど、高価格・高付加価値路線の簡易宿所として事業規模を急速に拡大した。
2012年4月には日本空港ビルデングとの提携のもと、東京都内初・空港施設内初となる「ファーストキャビン羽田ターミナル1」を出店。2017年2月にはJR西日本との合弁会社「JR西日本ファーストキャビン」(JR西51%・キャビン49%)を設立し、新業態となる複合型宿泊施設「ファーストキャビンステーション」をJR西日本グループ内外のシティホテル(一部フロア)や保養所跡に出店開始するなど、全国30近い施設を展開していた。。
ファーストキャビンステーションあべの荘(旧・安倍乃荘)。
佐藤栄作元総理ゆかりの施設として知られていた。
その一方、2020年4月5日に新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて17施設の休業を決定、4月16日にはJR西日本との合弁事業解消を正式発表するなど、今後の事業継続が不透明な状態にあった。
一部FC運営施設は「営業継続」へ
今回のファーストキャビン破産手続開始に伴い、同社直営施設5施設(築地・京橋・京都河原町三条・京都嵐⼭・柏の葉、いずれも休業中)が営業を終了する。また、資本業務提携関係にある貸会議室大手「TKP」運営1施設(TKP名古屋駅前)についても営業を終了、合わせて土地建物の売却を行うという。
その一方、阪急阪神HDが運営する1施設(阪神西梅田)やアキバキャビン運営の2施設(秋葉原昭和通り・秋葉原電気街)など、FC運営による一部施設は事業継続を発表しており、ファーストキャビンもしくは別ブランドの施設として、新型コロナウイルス感染症の収束を目処に営業再開するとみられる。
ファーストキャビンST和歌山駅。(2019年営業当時)
新ブランドへの転換後、営業再開する予定となっている。
閉店するファーストキャビンブランドの店舗
- ファーストキャビン築地(直営)
- ファーストキャビン京橋(直営)
- ファーストキャビン京都河原町三条(直営)
- ファーストキャビン京都嵐⼭(直営)
- ファーストキャビン柏の葉(直営)
- ファーストキャビンステーションあべの荘(JR西日本ファーストキャビン運営)
- ファーストキャビンステーション京都梅小路RYOKAN(JR西日本ファーストキャビン運営)
一部FCによる営業継続(予定)施設
- ファーストキャビンTKP市ヶ谷
(TKP運営、6月再開予定) - ファーストキャビン秋葉原昭和通り
(アキバキャビン運営、再開予定) - ファーストキャビン秋葉原電気街
(アキバキャビン運営、再開予定) - ファーストキャビン阪神西梅田
(ライフデザイン阪急阪神運営、再開予定) - ファーストキャビンステーション和歌山駅
(旧・JR西日本ファーストキャビン運営、別ブランドとして再開予定)
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