国内アパレル業界3位「アダストリア」(本部:東京都渋谷区)は「アンドエスティHD」への社名変更にあわせ、2025年9月1日付で持株会社体制に移行した。
北関東で「福田屋洋服店」として創業
アダストリアは1953年10月に茨城県水戸市で洋服店「福田屋洋服店」として創業/設立。1973年3月開店のメンズFC「メンズプラザベガ」を転換するかたちで1978年に「POINT」事業を、1992年3月にレディスブランド「LOWRYS FARM」事業を開始するなど、自社独自ブランドの育成を本格化していく。なお、栃木地場百貨店の福田屋百貨店は同社の親類筋にあたるが、資本業務提携など関係はない。

アダストリア初のレディスブランド「LOWRYS FARM」(高雄市)。
2020年春夏からメンズを展開、ファミリーブランドとなった。
マルチブランド展開で急成長
福田屋洋服店は1993年3月に“魚の集まる場所”を由来とする主力ブランド「ポイント」を冠した社名に変更、1994年9月にモール向けファミリーブランド「THE WORKS(現GLOBAL WORK)」事業を開始し、1995年5月に本部を東京都墨田区に移転集約、2000年12月に株式の店頭登録(上場)を行うするなど、アパレル業界のなかでも急成長を遂げる企業として認知されることとなった。

THE WORKS前身の主力ブランド「GLOBAL WORK」(台中市)。
同社屈指の幅広い年齢層をターゲットにさだめたブランドだ。
その後も2001年3月に同社の主力となる新ブランド「GLOBAL WORK」「HARE」「Heather」事業を開始、積極的な国内外への店舗展開を経て、2004年2月に東証一部(現東証プライム)上場を果たした。

モード系ファッションブランド「HARE」(川崎市)。
積極的なM&Aで国内アパレル業界3位に
ポイントは2013年9月のグループ各社経営統合及び持株会社制移行にともないラテン語の格言“Per aspera ad astra”を由来とする新ブランド「アダストリアHD」に社名変更。2014年11月にはグループ統合WEBストア「.st(ドットエスティー/現and ST)」を開始し、実店舗/各ブランド間とECの相互送客強化を図った。
持株会社となったアダストリアHDであったが、2015年3月に主要子会社2社(ポイント/トリニティアーツ)を吸収合併するかたちで事業会社に復帰、同年6月に「アダストリア」に社名変更していた。

トリニティアーツ系レディスブランド「STUDIO CLIP」(山形市)。
旧社名はスタジオクリップ、ブランド名はスタディオクリップ。
アダストリアは国内同業首位(ファーストリテイリング)と同業2位(しまむら)に次ぐ事業規模であるが、両社を上回る「マルチブランド戦略」の一環として、2024年6月に飲食会社「ゼットン」への出資比率を引き上げ完全子会社化、7月にはDEAN&DELCA運営会社「ウェルカム」からライフスタイル雑貨店「TODAY’S SPECIAL」「GEORGE’S」を新会社に承継するかたちで取得するなど、積極的なM&Aによる事業多角化を実施。
あわせて、資本関係をもたない非グループ店舗(Wacoal・PEACH JOHN・MATY QUANT・FANCL・Zoff・DEAN&DELCA・靴下屋など)を自社プラットフォーム「and ST」に参画させることで、小売業からの脱却とプラットフォーマーへの変革を推し進めた。
持株会社化でOMO戦略深化めざす
アダストリアの持株会社体制移行は「各事業の魅力や収益力を可視化し、迅速な経営判断を可能とすること」を目的としたものであり、同社グループ実店舗(約1,500店舗)とデジタルプラットフォーム(and ST/会員数2,060万人超)融合(OMO)により「ファッションとライフスタイルのワクワクを国内外に広げる“Play fashion!プラットフォーマー”として新たな購買体験を創出」するとしている。
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セブン&アイ・クリエイトリンク、2025年9月1日社名変更-親会社の外資移行で「7&i」除去、施設名「セブンパーク」は当面維持
流通大手「セブン&アイ・ホールディングス」(7&iHD/本社:東京都千代田区)の中間持株会社「ヨーク・ホールディングス」(ヨークHD/本社:同上)傘下の商業不動産ディベロッパー「セブン&アイ・クリエイトリンク」(本社:同上)は「クリエイトリンク」に2025年9月1日付で社名変更した。
ヨーカドーと三井物産の合弁で誕生した「アリオ」
セブン&アイ・クリエイトリンクは、2005年3月に大手総合スーパー「イトーヨーカ堂」(出資比率60%)と大手総合商社「三井物産」(出資比率40%)の合弁による商業不動産ディベロッパー「モール・エスシー開発」として設立。同年4月の同社1号店「アリオ蘇我」(千葉市中央区)を皮切りに、広域商圏型商業施設「アリオ」の全国展開を進めた。

セブン&アイHD系専門店(当時)が揃った「アリオ上尾」。
セブン&アイの経営方針に揺れた「クリエイトリンク」
モール・エスシー開発は、2010年12月に系列総合スーパー「イトーヨーカドー深谷店」を業態転換するかたちで同社10号店「アリオ深谷」を開業、2016年4月にはセブン&アイHDにちなんだ施設名を冠した公園一体型複合商業施設「セブンパークアリオ柏」を開業するなど多角化を図ったもの、親会社のコンビニ事業集中にともない新規開発を一時凍結。2016年11月30日にセブン&アイHDが三井物産保有株を取得するかたちで完全子会社化し、同日中に「セブン&アイ・クリエイトリンク」に社名変更した。

イトーヨーカドーを業態転換した「アリオ仙台泉」。
セブン&アイ・クリエイトリンクは、2020年3月1日にイトーヨーカ堂」が株式の過半数(出資比率51%)を取得することで同社子会社に、2025年2月28日にはセブン&アイHDの非中核事業(SST事業)を統括する中間持株会社「ヨーク・ホールディングス」完全子会社となった。
親会社外資移行にあわせ本社移転、施設名は当面そのまま
クリエイトリンクへの社名変更は、2025年2月28日付で同社がセブン&アイHDの非中核事業(SST事業)を統括する中間持株会社「ヨーク・ホールディングス(ヨークHD)」完全子会社に移行、同年9月1日付でヨークHDが米国系投資ファンド「Bain Capital Private Equity, L.P.(ベインキャピタル)」傘下に移行するなど資本関係の変更が生じたため。
クリエイトリンクは2025年11月中旬を目途に「業務拡充」を理由として本社の移転を予定しているが、詳細は社名変更時点において発表していない。なお、同社はセブン&アイHDにちなんだブランドの施設「セブンパーク」「セブンタウン」を複数展開しているが、こちらに関しても名称変更を発表しておらず当面維持となる見込みだ。

セブン&アイにちなんだブランド冠す「セブンパークアリオ柏」。
2025年9月の社名変更時点で名称変更の発表はない。
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デニーズジャパン、2025年9月1日社名変更-セブン&アイ・フードシステムズ、資本関係変更で約18年ぶり原点回帰
流通大手「セブン&アイ・ホールディングス」(7&iHD/本社:東京都千代田区)の中間持株会社「ヨーク・ホールディングス」(ヨークHD/本社:同上)傘下の飲食事業会社「セブン&アイ・フードシステムズ」(7FS/本社:同上)は「デニーズジャパン」に2025年9月1日付で社名変更した。
デニーズ日本1号店「デニーズ上大岡店」(横浜市南区)。
米国発祥、日本独自の進化遂げた「デニーズ」
デニーズジャパンは、1973年11月に流通大手「イトーヨーカ堂」が米国飲食大手「デニーズ」と技術援助契約を結ぶかたちで設立。1974年4月に神奈川県横浜市南区の「イトーヨーカドー上大岡店」(2017年3月建替閉店)に日本1号店「デニーズ上大岡店」を開店した。
同社は「コーヒーショップスタイルレストラン」 を掲げ、高度経済成長を経て需要が高まった本格的な洋食メニューとおかわり自由のコーヒーを提供。1979年には地方都市圏進出の足がかりとなる名古屋営業所を新設した(同年中2店舗開店)。1984年11月には米国デニーズより日本国内における商標権を取得することで技術援助契約を解消し、和食主体の新メニューといった日本独自の業態改革を本格化。同月中にヨーカドー系食品スーパー運営会社「ヨークベニマル」とFC契約を締結(1997年3月直営化)することで、東北地方を足がかりに全国展開をめざすこととなった。
デニーズ都市型店舗「デニーズ名駅西口店」(名古屋市中村区)。
さらに1994年4月にはヨーカドー完全子会社「ファミール」から郊外型店舗を譲受することで、ヨーカドー系ロードサイド型ファミリーレストランの運営を一本化。2005年9月のグループ持株会社「セブン&アイHD」設立にともない同社完全子会社に移行することとなった。
デニーズ郊外型店舗「デニーズ我孫子つくし野店」(千葉県我孫子市)。
2007年のセブン&アイHD外食事業再編で現体制に
デニーズジャパンは、2007年1月のセブン&アイHD系新会社「セブン&アイ・フードシステムズ(7FS)」設立にともない同年3月に同社完全子会社に移行、同年9月にはグループ同業2社(ファミール・ヨーク物産)とともに親会社に吸収合併されることとなり現体制となった。
セブン&アイ・フードシステムズは以後、セブン&アイHDの外食事業中核会社として、レストラン事業(デニーズ)とコントラクトフードサービス(社員食堂/職域食堂/施設内セブンイレブン)、外販事業(Denny’s Table)を約18年間展開していた。(ポッポ事業は2022年9月にヨーカドー直営化)
7FS運営のセブンイレブン「セブンイレブン7FS大阪経済大学店」(大阪市東淀川区)。
約18年ぶり原点回帰、本業「デニーズ」冠した社名に
デニーズジャパンへの社名変更は、2025年2月28日付で同社がセブン&アイHDの非中核事業(SST事業)を統括する中間持株会社「ヨーク・ホールディングス(ヨークHD)」完全子会社に移行、同年9月1日付でヨークHDが米国系投資ファンド「Bain Capital Private Equity, L.P.(ベインキャピタル)」傘下に移行するなど「資本関係の変更」が生じたため。
同社は「これからも「デニーズ」を主力事業に据え、持続可能な経営を推進していく」としており、約18年ぶりに本業(主力事業)を冠した社名に原点回帰することとなった。
なお、セブンイレブンFCを含む関連事業、所在地・電話番号・代表者に関しては社名変更も従来通りとなる。
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セブン&アイHD、非中核事業「ヨークHD」を米投資ファンドに2025年9月1日売却-「イトーヨーカドー」「ベニマル」「ロフト」など29社、ベイン傘下で再成長図る
大手流通グループ「セブン&アイホールディングス」(以下セブン&アイHD/本社:東京都千代田区)は、2024年10月設立の中間持株会社「ヨーク・ホールディングス」(以下ヨークHD/本社:東京都千代田区)を米国系投資ファンド「Bain Capital Private Equity, L.P.(ベインキャピタル)」が設立するSPC(買収目的会社)「BCJ-95」完全子会社「BCJ-96」に吸収分割の手法を用いて2025年9月1日付で売却した。
セブン&アイHD、構造改革の要となる中間持株会社設立
セブン&アイHDは2019年10月に構造改革を発表。2020年6月の食品スーパー統合会社「ヨーク」設立や2023年9月の百貨店「そごう・西武」売却、2024年秋から祖業の総合スーパー「イトーヨーカドー」地方店舗(北海道・東北・信越)全面撤退、非食品部門の事業縮小(アダストリアとの協業/FOUND GOOD)を進めてきた。

創業店「食品館イトーヨーカドー千住店」もヨークフーズに。
あわせて、2024年10月には同社主力事業「セブン-イレブン・ジャパン(セブンイレブン)」を除く、SST事業(スーパーストア事業)を「非中核事業」と定義したうえで、非中核事業の株式を移転集約する中間持株会社「ヨーク・ホールディングス(ヨークHD)」を設立。
ヨークHD主要会社7社「イトーヨーカ堂(IY)」「ヨークベニマル(YB)」「ロフト」「赤ちゃん本舗」「セブン&アイ・フードシステムズ(7FS/当時)」「セブン&アイ・クリエイトリンク(当時)」「シェルガーデン」を含む計31社(連結子会社24社及び持分法適用会社7社/当時)を「戦略的パートナーの招聘(創業家との共同投資の可能性を含む)」を通じた持分法適用会社化を経て、IPO(新規上場)による経営分離を確実かつ速やかに実現するという方針を示していた。

梅田ロフトは阪急阪神系に移転するなどグループ外連携強化中。
セブン&アイHDは、ヨークHD経営分離に向けた取組みの一環として、米国系投資ファンド「Bain Capital Private Equity, L.P.(ベインキャピタル)」にヨークHD全株を8,147億円(53.7億ドル)で譲渡する最終契約を2025年3月6日に締結。ベイン系SPC「BCJ-95」完全子会社「BCJ-96」に、ヨークHDの本社機能及びSST事業計29社(連結子会社22社及び持分法適用会社7社)の管理機能その他全ての事業に係る権利義務を吸収分割の手法を用いて承継する「会社分割(吸収分割)契約」を同年7月1日に締結していた。
米ベインが6割、7&iと創業家が4割出資の新体制に
ヨークHDはベイン系SPCへの吸収分割にともない、ベインキャピタルが60%出資、セブン&アイHDが35.07%出資、創業家が4.93%出資する新体制に移行する。
なお、創業家は伊藤裕久横浜商科大学客員教授(IY創業家長男)と伊藤順朗ヨークHD代表取締役会長(IY創業家次男)、大高耕一路(YB代表取締役社長)の3名となっている。
セブン&アイHDは新体制のもとコンビニ事業に専念、ヨークHDは新体制のもとIPOによる再成長をめざすこととなる。
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マックスバリュエクスプレス南片江店、2025年8月31日閉店-イオン九州の筆頭拠点「旬鮮工房福岡」展開、旧寿屋系「くらし館」から27年の歴史に幕
福岡県福岡市城南区の福岡市地下鉄七隈線福大前駅近くにあるイオン系食品スーパー「マックスバリュ南片江店」が2025年8月31日午後7時をもって閉店した。
旧寿屋系「くらし館南片江店」として開店
マックスバリュエクスプレス南片江店は、1998年10月に九州地場流通大手「寿屋」(本社:熊本市)完全子会社「えじまや」(本社:福岡県大野城市)運営の食品スーパー「くらし館南片江店」として開店。建物は平屋建で売場面積は730㎡(閉店時点)。

マックスバリュ南片江店(2013年4月の全面改装直前)。
くらし館南片江店は、同年11月のラララグループ(寿屋)系地域子会社再編にともない「ハロー」(本社:佐賀市)運営に移行、2001年12月の寿屋民事再生法適用と2002年2月の寿屋直営店全店閉店後も従来通りの屋号で営業継続を図ったが、2003年11月のイオン系寿屋受皿会社「マックスバリュ九州」(本社:熊本市/後に福岡市博多区に移転)への吸収合併にともない「マックスバリュくらし館南片江店」となった。
その後、2008年9月にイオン系食品スーパー標準店舗「マックスバリュ南片江店」として新装開店、2018年に現名称に改称し水産惣菜プロセスセンター(現旬鮮工房福岡)を新設、2020年9月のイオン系地域子会社再編にともない「イオン九州」(本社:福岡市博多区/後に福岡市東区に移転)運営となった。
旬鮮工房福岡は2024年秋時点において「旬鮮工房」の“筆頭”として福岡市内32店舗に水産加工品を供給、同社が中心部で多店舗化を図る都市型食品スーパー拡大の要となっている。
建物老朽化理由に閉店、イオン系別業態への転換めざす
イオン九州は同店閉店の理由として「建物の老朽化」を挙げているが、「今秋頃業態を変えて新たな店舗をオープン」する方針を同時発表しており、イオン九州が2022年9月以降合弁会社を通じ展開するフード&ドラッグ「ウエルシアプラス」といった業態への転換が見込まれる。
なお、マックスバリュエクスプレス南片江店閉店時点において、旬鮮工房福岡は当面維持、業態転換後の新店舗の詳細は未発表となっている。
フジ、サニーTSUBAKIを2025年9月1日吸収合併-旧運営店舗は「フジ古川椿店」「スーパーABC道後樋又店・桑原店」として存続
イオングループの中四国地域子会社「フジ」(本社:広島市南区/本店:愛媛県松山市)は、同社完全子会社の不動産賃貸業「サニーTSUBAKI」(本社:愛媛県松山市)を2025年9月1日に吸収合併する。
一斉閉店と商品券騒動でフジ傘下となったサニー椿
サニーTSUBAKIは1954年に愛媛県東宇和郡野村町(現西予市)で創業。同社は長らく「サニーマート」の屋号を掲げ営業していたが、高知地場同業を始め類似名称のスーパーが複数存在したこともあり、2014年7月に現社名に改称した。
社名改称を機に同社桑原哲也専務(当時/通称:てっちゃん)を前面に押し出す販促キャンペーンで知名度向上を図ったが、2018年6月27日に本店を除く全店が一斉閉店、同年6月28日に民事再生法適用を申請するなど経営悪化が表面化したため、プレミアム商品券(てっちゃん商品券)を持つ多くの市民が押し寄せる騒ぎとなった。

サニーTSUBAKI道後店。
その後、サニーTSUBAKIは同年7月24日にフジカンパニーズによる商品供給支援のもと桑原店・道後店を営業再開し、2019年2月にフジとスポンサー契約を締結。2020年4月11日に再生計画認可決定を確定し、同年4月17日にフジの完全子会社となった。
一方、サニーTSUBAKIはフジによる完全子会社化後も、フジカンパニーズ各社(ピュアークック・ニチエー・スーパーABC・ニチエー)と異なり、店舗譲受を含めた新規出店やWeb上での情報発信(自社サイトの再開設など)がなく、店舗利用客からも旧経営陣による不祥事や騒動を連想する声が根強かった。
こうした背景もあり、同社運営全3店舗は2022年2月をもって全店閉店、同年3月に道後店・桑原店をフジマート四国運営店舗「スーパーABC道後樋又店」「スーパーABC桑原店」に移行、同年11月に古川店をフジ・リテイリング(当時)運営店舗「フジ古川椿店」に移行したため、旧運営店舗の不動産管理を目的とした会社に転身を図ることとなった。
フジによるサニーTSUBAKIの吸収合併にともない、愛媛県内で一時代を築いた迷ブランドは名実ともに消滅することとなる。
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ルミネ・ニュウマン高輪、2025年9月12日開業ーJR高輪ゲートウェイシティの中核商業施設、10月にはマリオットホテルも
東京都港区にあるJR高輪ゲートウェイ駅前の再開発エリア「高輪ゲートウェイシティ」の、中核施設となるJR東日本グループ・ルミネの複合商業ビル「NEWoMan Takanawa(ニュウマン高輪)」が、2025年9月12日にグランドオープンする。
高輪ゲートウェイシティ。
開業から6年近い高輪ゲートウェイ駅
高輪ゲートウェイ駅は田町駅から約1.3km、品川駅から約0.9km付近の旧・田町車両センターの敷地の一部に2020年3月に開業した新駅で、山手線、京浜東北線が停車する。JR山手線の新駅開業は1971年に開業した西日暮里駅以来となった。
また、JR東日本が主導する再開発プロジェクト「グローバルゲートウェイ品川」に因んだ特徴的な駅名は、決定時から大きな話題を呼んだ。
高輪ゲートウェイ駅。
高輪ゲートウェイ駅部分の建築デザインは建築家の隈研吾氏で、ガラス張りの壁と折り紙をモチーフにした大屋根が特徴。
照明デザインは、照明デザイナー・面出薫氏が手掛け、コンセプトに「街のランドマークとなる暖かな光の駅舎」を掲げている。
高輪ゲートウェイシティ、3月に一部開業していた
高輪ゲートウェイ駅前では、国家戦略特別区域の特定事業として国際ビジネス交流拠点の整備を目的とした品川開発プロジェクト「グローバルゲートウェイ品川」が進められており、「高輪ゲートウェイシティ」はその中核として整備されているもの。
敷地面積は約13万㎡(そのうち1期面積は約7.2万㎡)で、超高層ビル4棟(最高層は45階建て)などが建設され、オフィス、商業施設、ホテル、文化ホールなどが整備されている。
JR東日本はこの高輪ゲートウェイシティを「未来への実験場」であるとしている。
高輪ゲートウェイシティ、泉岳寺方面から。
2025年3月27日には、ルミネの商業施設「NEWoMan Takanawa(ニュウマン高輪)」のうち「ブルーボトルコーヒー」 と「ニコライ バーグマン」が先行開業していた。
また、先行開業部分の2棟の中間にはイベント広場「高輪ゲートウェイパーク」が設けられている。

3月27日に一部開業している。
このほか高輪ゲートウェイ駅には3月に南改札が設けられており、駅南街区にはシュークリームカフェ「トウキョウメゾンクラシック」、イベントスペース「アイマチ」などが開店している。

ニュウマン高輪「ザ・リンクピラー1」エントランス。
ニュウマン高輪、屋上庭園を併設-マリオットホテルも
ニュウマン高輪は延床面積計約6万㎡・約200店舗で構成され、2025年9月12日に延床面積約4万4000㎡・店舗数約170店舗規模の「South」「North」、North28・29階部分にあたる延床面積約8000㎡・店舗数約10店舗規模の「都心の別荘」をコンセプトとする屋上庭園「LUFTBAUM(ルフトバウム)」が、2026年春には延床面積約8000㎡・店舗数約20店舗規模の「MIMURE(ミムレ)」がそれぞれ開業する。
そのうちエルメス旗艦店「エルメス・イン・カラーズ」は同社世界最大級の店舗となる。
高輪ゲートウェイパーク。
North1階には食品核として高品質スーパー「明治屋」が登場。2階と3階には「無印良品」が複数フロアで展開する。
さらに5階のカルチャーエリア「こもれびら」には、日販グループの入場料が必要な書店「文喫」の旗艦店が核店舗として出店する。文喫は4号店(東京2号店)で、店舗面積は約3,300㎡と全店舗で最大、223席のカフェラウンジ併設となる。

BUNKITSU TOKYO イメージ(ニュースリリースより)。
また、10月2日には高層階にラグジュアリーホテル「JWマリオット・ホテル東京」も開業する。
2026年春には高輪築堤エリアの公開も
高輪ゲートウェイシティでは、今後も2026年春の全街区開業をめざして工事がすすめられる。オフィス部分では約2万人が勤務する予定となっているほか、街区内では明治初期の鉄道遺構である旧高輪築堤の公開もおこなわれるようになる。
また、2028年ごろからは乗用ドローン(空飛ぶクルマ)の発着も計画されている。
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ローソン、ポプラと2025年10月17日資本提携解消-8月29日発表、ポプラ株全株売却する一方「ローソン・ポプラ」など業務提携は維持
三菱商事/KDDI系大手コンビニ「ローソン」と中堅コンビニ「ポプラ」は、2014年12月8日締結の資本業務提携を2025年10月17日のポプラによる自己株式取得により解消する。
2014年に資本業務提携締結したローソンとポプラ
ローソンは2014年12月にポプラと資本業務提携契約を締結しポプラ株49万5,300株(約5%)を取得。資本業務提携の一環として、自社PB商品「ローソンセレクト」供給をはじめとする商品の仕入調達・販売促進・開発・物流インフラの共同展開に加え、2015年11月からは山陰地方のポプラ標準店舗をダブルブランド店舗「ローソン・ポプラ」に順次転換、同地方のローソン一部店舗でポプラの看板商品「ポプ弁」を取扱開始するなどシナジー発揮を図った。
2017年6月にはポプラの第三者割当増資を引き受け新たに165万5,000株(合計215万300株/約18.22%)を取得するなど関係強化を図ったが、2019年5月には両社の地域子会社「ローソン山陰」を市場環境変化と役割分担明確化を理由に挙げ完全子会社化する方針を発表、2020年3月にローソン山陰を吸収合併していた。
ポプラから業態転換された「ローソン・ポプラ」(鳥取市)。
一時債務超過となったポプラ、経営効率化に課題も
ポプラは2020年9月にローソンとメガフランチャイズ契約を締結し新会社「ポプラリテール」を設立。新会社に主力業態「ローソン・ポプラ」「ローソン」を移管することで、小規模閉鎖商圏型店舗(事務所、学校、病院、駅構内施設など)の運営に専念することとなった。
一方、2022年2月期決算で4億2900万円の債務超過、2023年2月期決算では6億9400万円の債務超過に陥るなど、中京地区本部開設といった進出地域拡大の失敗や感染症の影響も大きく経営体質は悪化の一途を辿った。
2023年5月に広島銀行系ファンド(HiCAP4号投資事業有限責任組合)と独立系ファンド(MIT 広域再建支援投資事業有限責任組合/中小企業基盤整備機構と金融機関4行出資)を対象とした第三者割当によるA種種類株式発行(1株5万円/HiCAP6,000株/MIT8,000株/合計14,000株)を実施し7億円を新規調達、2024年2月期に債務超過解消を実現したもの、依然として経営効率化に課題を残していた。

建物老朽化で解体となった1号店「ポプラ流川店」(広島市)。
「ローソン・ポプラ」はじめ、業務提携は継続
ローソンとポプラの資本業務提携解消は、ローソンによる「政策保有株式縮減の方針」を理由としたもの。
ポプラは2025年10月16日予定の株主総会決議にあわせ、広島銀行系ファンド(HiCAP5号投資事業有限責任組合)と上記独立系ファンドを対象とした第三者割当によるB種種類株式発行(1株5万円/HiCAP3,200株/MIT3,200株/合計6,400株)を実施し3億2000万円を新規調達、10月17日にローソン保有自己株式(215万3000株)の取得を行うことで資本業務提携解消を図る。
両社は2025年8月29日に新たな業務提携を締結したことを発表しており、ダブルブランドやメガフランチャイズ契約をはじめとする協業は当面維持されることとなる。
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大阪松竹座、2026年5月閉館ー道頓堀のシンボル的劇場、大正時代から103年の歴史に幕
大阪府大阪市中央区道頓堀一丁目にある老舗劇場「大阪松竹座」が、2026年5月に閉館する。

大阪松竹座と道頓堀の街並み。
1923年築の先進的な映画館だった
大阪松竹座は1923年5月に映画館兼劇場として開館。日本初の鉄筋コンクリート造の近代的映画館であった。
その後、1997年2月には外壁ファザードを保存しつつ建て替え新装。建て替え後はOSK日本歌劇団など松竹グループ制作の公演に加えてジャニーズ系の公演も多く行われていた。
大阪の一等地、今後は未定
松竹は閉館について施設の老朽化によるものだとしており、地下店舗も含めてビルは閉館する。
観光客が多く訪れる道頓堀の好立地であるが、松竹は土地・建物の今後については「検討を進めており現時点では未定です。方針が決まり次第発表させていただきます」としている。
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DON DON DONKI セントラル ウェストゲート店、2025年9月9日開店-タイでも郊外展開めざすドンキ、ノンタブリー県バーンヤイ市場近くに
タイ王国の首都・バンコク市郊外ベッドタウンのノンタブリー県にある市場商店街「バーンヤイ市場」近く・MRT紫線タラート・バーンヤイ駅直結の商業施設「Central Westgate(セントラル ウェストゲート)」内に、パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)のディスカウントストア「DON DON DONKI Central Westgate(セントラル ウェストゲート)」が2025年9月9日午前10時(タイ時間)に開店する。

DON DON DONKI セントラル ウェストゲート店。
(ニュースリリースより)
タイ郊外でも広がる日系スーパー
ドン・キホーテは2017年にバンコクにタイ初出店、セントラル ウェストゲート店はタイ8店舗目。ドンキは2021年にバンコク東急百貨店跡にタイの旗艦店を出店させるなどタイでも多店舗展開を実施しており、今後ノンタブリー県のような郊外エリアへの出店も増えると思われる。
ノンタブリー県にはすでに郊外エリアにマックスバリュが出店しているほか、県外ではあるがMRT紫線の沿線にはツルハも出店しているため、日系店舗の選択肢は大きく広がることとなる。
なお、バンコク市内ではこのほかに日系スーパーとして富士スーパー(富士シティオ)も出店している。
タイ郊外に日本文化を伝えるドンキに
DON DON DONKI Central Westgate店の店舗面積は約1,110㎡。
タイ郊外ではまだ広く知られていない日本の商品を知ってもらうべく、新鮮な日本の食材や総菜に加え、タイ国内で人気のある日本の化粧品やキャラクターグッズなども豊富に取り揃える。

ドンドンドンキの売場イメージ。(ニュースリリースより)
このほか、店内には寿司やケーキのバイキングコーナー、カプセルトイコーナーなども設置。まだ知られていない日本の”おいしい・かわいい・たのしい”を発信する店舗つくりを目指すとしている。
DON DON DONKI Central Westgate店
199/3 Moo 6, Central Westgate Building, Floor no. OG,
Room no. 101, Kanchanaphisek Rd., Sao Thong Hin,
Bang Yai, Nonthaburi 11140
営業時間:10:00~22:00
MRT紫線タラート・バーンヤイ(バーンヤイ市場)駅に直結
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