カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

イオン小野店、2025年1月15日閉店-ニチイ・マイカル小野サティから42年の歴史に一旦幕、営業再開は未定

兵庫県小野市の小野市役所付近にあるイオングループ系総合スーパー「イオン小野店」が2025年1月15日をもって閉店する。

イオン小野店。

小野市随一のショッピングセンター

イオン小野店は1982年9月に関西地盤の流通大手系総合スーパー「ニチイ小野店」として開店。建物は地上3階建で店舗面積は21,745㎡。
ニチイ小野店は1992年11月の同社系生活百貨店「マイカル小野サティ」への業態転換を機に増床リニューアルを実施、小野市内随一の規模を誇る大型商業施設となった。2011年3月にはイオングループの総合スーパー事業会社再編にあわせて現在の店名に改称、直営フロアの刷新(オリジン弁当導入など)や新規専門店、地元情報発信フロア(おのナビ)の導入を進めたが、店舗1km圏内に同業食品スーパーやドラッグストアが10店舗近く立ち並ぶ激戦区という立地特性や老朽化を背景に2025年1月15日をもって一時休業、同年2月より解体工事が始まる予定となっている。

イオン小野店一時休業のおしらせ。

営業再開は未定、今後の行方に懸念の声も

イオンリテールはイオン小野店を「一時休業」であるとしているが、2025年1月現時点において営業再開時期や業態、店舗面積など明らかにしていない。
近隣住民への取材では、イオン小野店の閉店に対し「(ニチイの頃から使っていたが)空いてるフロアが目立つようになっていた」「(小野市は雇用もないから)若者が離れてく」(70代女性/小野市昭和町在住)、「イオンもバス停もどうなるか心配」(年齢未回答男性/小野市昭和町在住)との声が聞かれており、跡地活用の行方は地域の注目の的となりそうだ。

関連記事:三田阪急、2021年秋までに閉店-三田駅前キッピーモールの小型百貨店、16年の歴史に幕

イオン豊川開運通店、2025年1月新装開店-スズキ特機工場跡地の旧マイカル豊川サティ、イオンスタイルと区別化

愛知県豊川市の名鉄豊川線豊川稲荷駅近く、開運通商店街にあるイオン系大型総合スーパー「イオン豊川店」が「イオン豊川開運通店」として2025年1月1日に新装開店した。

イオン豊川開運通店の店名変更告知(同社公式より)。

豊川市内随一の店舗面積誇った「豊川サティ」

イオン豊川店は、1998年10月にマイカルの生活百貨店「豊川サティ」として「スズキ豊川特機工場」(豊川工場に移転統廃合)跡地に開店。建物は地上5階建で店舗面積は22,966㎡。
マイカル豊川サティは1995年4月開店の豊田サティ(現ギャザビル)に次ぐ同業態愛知県内2号店として、直営衣食住フロアに加え、複合映画館「ワーナーマイカルシネマズ」県内1号店、屋内型アミューズメント施設「ダイナレックス/パームボウル」を展開するなど、豊川市内最大の店舗面積(当時)を誇る複合商業施設として広域集客を図った。
豊川サティは2001年9月のマイカル経営破綻後も存続対象となり、2011年3月のイオンによる総合スーパー運営会社再編を機に「イオン豊川店」として新装開店した。

共通点多い豊川市内イオン2店舗

イオン豊川店は開業以来、マイカル豊川サティ時代の施設構成(映画館・アミューズメント含む)を踏襲した営業を続けてきたが、2023年4月に同店比約2倍の店舗面積を誇るイオン系商業施設「イオンモール豊川」が開業した。
イオンモール豊川は、旧マイカル豊川サティ同様に大手自動車メーカー「スズキ」工場跡地を再整備した施設であり、核店舗の総合スーパーも「イオンスタイル豊川」を称するなど、両店舗間で混同が生じる恐れがあった。

2025年初の「イオン」店名変更で明確化

イオンリテールは、2023年12月にイオン幕張店と各務原店を「イオン海浜幕張店」「イオンスタイル各務原インター」、2024年9月にはイオンスタイル新潟南を「イオンスタイル新潟亀田インター」として新装開店するなど、以前より運営会社再編や入居施設のリニューアルにあわせた名称変更を打ち出しており、豊川店に関しても豊川稲荷の開運通商店街にちなんだ名称に改めることとなった。

関連記事:フードマーケットマム豊川店、2025年1月31日15時閉店-プリオの食品核、アピタ跡再生から15年で
関連記事:イオンモール豊川、2023年4月4日開業-名鉄豊川線八幡駅前に

スーパーセンタートライアル鹿屋上野町店、2025年6月開店-同社鹿児島県内最大、大隅半島に

鹿児島県鹿屋市の鹿児島県道50号線(鹿屋環状線)沿いに、トライアルHD系総合ディスカウントストア「スーパーセンタートライアル鹿屋上野町店」が2025年6月18日を目途に開店する。

2015年12月に鹿児島進出したトライアル

トライアルカンパニーは1974年4月に福岡市博多区で「あさひ屋」として創業、1981年7月に法人化した。
同社は1984年10月に現在の社名に変更、1992年10月にディスカウントストア「トライアル」1号店を創業し、首都圏・九州を中心に多店舗化を図った。
一方、同社の鹿児島県での店舗展開は2015年12月の「スーパーセンタートライアル東開店」が1号店となるなど遅く、九州では長崎県に並び店舗数が少ない状況となっている。(2024年11月時点)

県内最大の店舗面積誇る24時間営業のトライアルに

スーパーセンタートライアル鹿屋上野町店の建物は平屋建で店舗面積は4,324㎡。(届出上)
同社は大隅半島に2018年5月に「スーパーセンタートライアル鹿屋店」(3,881㎡)を開店したが、新店舗は県内既存5店舗を上回る規模となる見込み。
鹿屋市内では2024年11月に「イオンかのやショッピングセンター」が開店しており、県外資本の影響力がますます強まることとなる。

スーパーセンタートライアル鹿屋上野町店

住所:鹿児島県鹿屋市上野町4865番1外
営業時間:24時間営業

関連記事:イオンかのやショッピングセンター、2024年11月21日開業-旧プラッセだいわ21鹿屋店跡、大隅半島初の無印良品も
関連記事:プラッセだいわ21鹿屋店、2022年9月25日閉店-大隅半島最大のショッピングセンター
関連記事:MEGAドン・キホーテ鹿屋店、2020年4月3日開店-鹿屋バイパス沿いのエディオン・WONDERGOO跡地に

スーパーセンタートライアル鹿沼店、2025年6月開店-鹿沼IC近くのさつき大通り沿いに

栃木県鹿沼市の東北自動車道鹿沼インターチェンジ(鹿沼IC)近くにあるさつき大通り沿いに、トライアルHD系総合ディスカウントストア「スーパーセンタートライアル鹿沼店」が2025年6月2日を目途に開店する。

鹿沼市初のトライアル

スーパーセンタートライアル鹿沼店の建物は平屋建で店舗面積は4,332㎡(届出上)。
トライアルは同業態創業初期より栃木県に進出しており、首都圏では茨城・千葉に次ぐ店舗展開を誇るが、鹿沼市の同社店舗は初となる。
トライアル鹿沼店予定地は、鹿沼市街地と鹿沼ICの中間地点という好立地にあるが、鹿沼市が主要産業と定める林業木材関連企業(鹿沼木工団地)や自動車会社事業所・部品メーカー(鹿沼あさひ台工業団地)が中心であり、物販系大型店はホームセンター「コメリパワー鹿沼店」(2018年6月開店/同業態栃木県初)しか存在しなかった。
鹿沼市内には同業ディスカウントも存在しないため、24時間営業のトライアルは重宝されることとなりそうだ。

スーパーセンタートライアル鹿沼店

住所:栃木県鹿沼市茂呂923番7外
営業時間:24時間営業

関連記事:喜久屋書店宇都宮店、2024年9月30日閉店-長崎屋ドンキホーテ内、北関東最大級の書店
関連記事:カトレアガーデン宇都宮南、2024年5月10日閉店-インターパーク隣接のトイザらス・ハードオフなど、20年の歴史に幕
関連記事:宇都宮テラス、2022年8月26日開業-LRT電停前にコジマなど出店、隣接地にはライトキューブ宇都宮も
関連記事:かましんカルナ駅東店、2021年11月4日再開業-JR宇都宮駅東口近くのLRT電停そばに、本部機能も移転
関連記事:ドン・キホーテ アピタ宇都宮店、2020年7月17日開店-アピタも存続する「ハイブリッド型」に

日南山形屋、2025年2月24日閉店-1階にギフトサロン出店、姶良ショップも3月に統合閉店

宮崎県日南市の油津運河通り商店街にある百貨店「日南山形屋」が2025年2月24日に閉店。3月より建物の1階に小型ギフトサロン「宮崎山形屋ギフトショップ日南店」を開設する。

日南山形屋、64年の歴史に幕

日南山形屋は1961年6月に宮崎山形屋の支店として開業。日南市中心部の油津商店街に立地しており、隣接地には複合再開発ビル「イッテンほりかわ」がある。日南市周辺には大型ショッピングセンターが出店していないため、油津エリアではサピア日南(寿屋→マルショク→ダイレックス)に次いで2番目の規模を誇る大型店であった。

日南山形屋。

日南山形屋の建物は4階建て、店舗面積は4,490㎡。テナントとして、100円ショップ「ダイソー」、フィットネス「カーブス」などが出店。また、生鮮品の売場は山形屋ストアが運営していた。
日南市には広島東洋カープのキャンプ地があることからコラボレーションセールを開催することがあったほか、クルーズ船客の買い物にも利用されていた。なお、日本百貨店協会には非加盟ではあったものの旧・九州百貨店協会には加盟。百貨店商品券も利用可能であった。
同店の閉店に伴い、宮崎県内の百貨店は宮崎山形屋のみとなる。

宮崎山形屋。

日南山形屋、建物1階に「小型ショップ」出店へ

日南山形屋は、閉店後に建物の1階を改装して小型のギフトサロン「宮崎山形屋ギフトショップ日南店」を開設する。
地元メディアによると、1階食品売場の山形屋ストア日南食選館は2月24日に撤退。カーブスは館内に残留するとしている。そのほかのフロアの活用方法などに関しては発表されていない。
山形屋は「新しい店舗は、これまで以上にお買物しやすく、コンパクトでオシャレな空間を目指し、厳選されたギフトアイテムや季節の贈り物をご提案いたします。」としている。

姶良ショップも3月に統合閉店へ

山形屋は、このほかに「山形屋サテライトショップ姶良」についても2025年3月30日に閉店する。近隣に加治木ショップや国分山形屋など複数の百貨店・サテライト・ストアがあるためだとしている。

関連記事:JR油津駅、2018年2月4日から愛称「カープ油津駅」に-日南市・広島東洋カープのキャンプ地
関連記事:Ittenほりかわ、2017年4月8日開業-日南中心部の再開発複合ビル
関連記事:サピア日南、2015年7月24日リニューアル-ダイレックス入居で

原宿アルタ、2025年2月28日閉店-新宿に続き竹下通りのアルタも閉店、残るは池袋のみ

東京都渋谷区のJR原宿駅近く・竹下通りにある三越伊勢丹グループのファッションビル「原宿アルタ館」(原宿アルタ)が、2025年2月28日に閉店する。

原宿アルタ、開店10年で閉店に

「原宿アルタ」は、2015年3月に開業。
建物は地上3階・地下1階、営業面積は1,450㎡。竹下通りを訪れる10代をターゲットにするとしていた。

原宿アルタ。

2024年現在はINGNIサンキューマートガチャガチャの森などが出店しているが、三越伊勢丹グループは「収益の改善が難しかった」ため閉店するとしている。閉店にともない、11月からはウェブサイトに閉店特設ページも開設された。
原宿アルタの建物は三井不動産が所有しており、今後の活用方法が注目される。

新宿も閉店、残るアルタは池袋のみ

アルタは札幌、新潟などにも展開されていたがすでに閉店済み。
旗艦店である新宿アルタも閉店を発表しており、今後アルタは池袋の「サンシャインシティ・アルタ」のみとなる。

関連記事:新宿アルタ、2025年2月28日閉店-三越が運営するファッションビル、「二幸」から約100年の歴史に幕
関連記事:東急プラザ原宿「ハラカド」、2024年4月開業-東急プラザ表参道原宿は「オモカド」に

関連記事:ウィズ原宿、2020年6月5日開業-「道」がある複合ビル、核は都心型イケア・ユニクロ

ロピアBBQ鼓山店、2025年3月開業-ロピア+バーベキュー場の複合新業態、はません鼓山魚市場に

台湾・高雄市鼓山区の複合施設「はません鼓山魚市場」が全面リニューアルし、核店舗としてロピアのバーベキュー併設型新業態「食生活♥♥LOPIA BBQ 鼓山店」が、2025年3月に開店する。

高雄の海沿いにある複合施設、経営難から休業していた

はません鼓山魚市場は、日本統治時代の「高雄魚市場・高雄魚市株式会社」、戦後は「高雄市漁會」を経て雑居ビルとなっていった建物(1929年築/高雄州高雄市新濱町二丁目10番)や、その隣接地に建てられた建物を活用するかたちで2022年10月にリニューアルオープン。「はません」は日本統治時代の地域名(濱線:臨港線があったため)に由来する。

はません鼓山魚市場。通路奥に新たな建物も設けられていた。

旗津への渡船場前にあり、海産物を中心とした特産品などを販売していたほか、飲食店も入居していたが、経営難などが続いており2023年9月に道路側に面したスターバックス、ハイライフなど一部を残して街区の大部分が休業していた。

ロピア+BBQ併設の新業態1号店か

ロピアは2024年10月に開店した漢神百貨高雄巨蛋店に続いて高雄市2号店。
ロピアを運営するOICグループは大手都心型BBQ運営会社「タイシステム」(本社:新潟県中魚沼郡津南町)と2024年4月18日付で資本業務提携を締結したことを5月28日に発表。今後、スーパーで購入した商品をバーベキュー場で食べることができるような新業態を出店させる意向を発表していた。
2025年1月現在は(ロピアがテナントとして入居するヤマトヤシキ加古川店の屋上にはバーベキュー場があるものの)、ロピアに直接バーベキュー場が併設された店舗はまだない。そのため、高雄の鼓山店が「新業態の第一号店」となる可能性が高い。

食生活♥♥LOPIA BBQ 鼓山店

高雄市鼓山區濱海一路109-1
營業時間:未定

関連記事:漢神百貨高雄巨蛋店、2024年10月リニューアル開業-食生活♥♥ロピア、台湾南部初出店
関連記事:DON DON DONKI高雄大立、2023年12月7日開店-ドンキ高雄市1号店、大立百貨店のデパ地下を転換
関連記事:台湾カルフール、統一グループが2023年中に買収-台湾「スーパー2強」時代に
関連記事:ららぽーと台中、2023年5月開業-南館1月17日先行開業、食生活♡♡ロピア海外初出店
関連記事:SKM PARK、2022年1月開業-三越伊勢丹、郊外型アウトレットモール初参入
関連記事:OICグループ、タイシステムと資本業務提携-2024年5月発表、ロピアに都心型BBQ場併設も

トラのもん、2024年12月31日で「22世紀に帰還」-虎ノ門ヒルズの「猫型ロボット」10周年で

東京都港区にある森ビルの複合オフィス街「虎ノ門ヒルズ」のシンボルキャラクターである猫型ロボット「トラのもん」が、2024年12月31日を以て22世紀に帰還。グッズ展開は2025年3月までとなる。

トラのもん。

虎ノ門ヒルズのシンボル「トラのもん」10年で帰還

トラのもんは2014年の「虎ノ門ヒルズ 森タワー」開業に伴い22世紀からやってきたというドラえもんと類似したタイプの猫型ビジネスロボット。
同年からグッズ展開も行われており、虎ノ門ヒルズの拡大とともに様々なグッズが生まれていた。
虎ノ門ヒルズはその後「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」(2020年)、「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」(2022年)、「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(2023年)と規模を拡大。トラのもんも近年はステーションタワーの地下吹き抜けなど場所を移動して、様々な場所で来街客を出迎えていた。

ステーションタワーで来街者を迎えるトラのもん。

森ビルは「『虎ノ門ヒルズ 森タワー』の開業から10年、『虎ノ門ヒルズ ステーションタワー』の開業から1年を経て、虎ノ門ヒルズで数多くのイノベーションの種を見つけたトラのもんは、2024年12月末をもって、22世紀の未来へ帰ることとなりました。これからさらに発展する街の未来を、22世紀で待っています。」としており、今後は22世紀の未来で会うことができるという。

「トラのもん」(森ビルリリースより)。

なお、公式グッズの販売は2025年3月末で終了する予定であるため、無くなり次第販売を終えることになるとみられる。

関連記事:麻布台ヒルズ、2023年11月24日開業-日本一高いビルに約150店出店、中央広場地下に食品ゾーン
関連記事:虎ノ門ヒルズビジネスタワー、2020年6月11日開業-下層階にスーパー・飲食街「虎ノ門横丁」など59店舗

フードマーケットマム豊川店、2025年1月31日15時閉店-プリオの食品核、アピタ跡再生から15年で

愛知県豊川市の名鉄豊川線諏訪町駅近くにある複合商業施設「プリオ豊川」の食品核を担うタカラ・エムシー系食品スーパー「フードマーケットマム豊川店」が2025年1月31日をもって閉店する。

アピタ核の複合商業施設として誕生

プリオ豊川は、1989年11月に「豊川市諏訪地区第一種市街地再開発事業」の一環として開業。建物は地上5階地下1階建で全館店舗面積は18,789㎡。
開業当初は豊川市と地元財界が出資する第3セクター「豊川市開発ビル」による、大手系総合スーパー「ユニーアピタ豊川店」を核に据えた複合商業施設だった。2001年10月には新館「プリオ2」(地上4階地下1階建)を開業、立体駐車場やシティホテルの整備を進めるなど、豊川市中心部の中核施設として、地域の象徴としての役割を担った。
一方、2010年8月にはユニーが競合店進出による業績低迷を背景に撤退。同年10月よりヤマダ電機系家電量販店「マツヤデンキ」や地場大手家具インテリア雑貨店「服部家具センター」といった大型専門店と公共施設・オフィスを主体に段階的な新装開業を実施したが、2020年2月には豊川市出資の温浴施設運営会社「本宮」に運営移行、2023年3月にマツヤデンキが撤退(現イオン豊川店/旧マイカル豊川サティに移転)するなど、依然として施設の持続的な経営や利活用に課題を抱えている。

プリオ(同社公式より)。

開店15年目で撤退、競合店の増加も続いていた

フードマーケットマム豊川店は、2010年10月にアピタ豊川店食品フロア跡を引継ぐかたちで開店したが、以前からの地場生協系食品スーパー「コープあいちコープ諏訪」に加え、2011年8月にはデライトHD系三河地場大手食品スーパー「クックマート諏訪店」、2023年4月にはスズキ豊川工場跡地にイオン系大型総合スーパー「イオンスタイル豊川」といった競合店が新たに開店するなど、競争激化が顕著となっている。
タカラ・エムシーは、フードマーケットマム豊川店の閉店を「諸般の事情」によるものと明らかにしているが、上記競合店の存在が営業継続に一定の判断を及ぼしたとみられる。
プリオ豊川は豊川市が出資する市街地随一の大型店であり、後継食品スーパーを含む早期の跡地活用が求められそうだ。

関連記事:イオンモール豊川、2023年4月4日開業-名鉄豊川線八幡駅前に

森トラストグループ、浅野屋を2025年1月31日子会社化-首都圏エキナカの常連、ホテルとベーカリーの相乗効果めざす

不動産大手「森トラスト」(本社:東京都港区)傘下のクラシックホテル「万平ホテル」(本社:東京都港区/所在地:長野県北佐久郡軽井沢町)は、老舗ベーカリー「浅野屋」(本社:東京都板橋区/本店:長野県北佐久郡軽井沢町)と2024年12月23日に株式譲渡契約を締結した。
浅野屋は同株式譲渡契約に基づき、2025年1月31日付で森トラストグループ傘下となる。

首都圏エキナカの常連、軽井沢の老舗ベーカリー

浅野屋は1933年に現在の東京都千代田区麹町6丁目で「浅野屋商店」として創業。創業当初より外国人外交官を主要顧客に抱えていたため、1940年には避暑地である軽井沢に「浅野屋軽井沢出張店」を開店、1944年には太平洋戦争の疎開先となった同地に現在の「浅野屋軽井沢旧道本店(常設店)」を開店した。
同社は長らく軽井沢旧道本店と四谷本店(工場併設)を中心に、東京都心部の高級商業施設(東京ミッドタウン・松屋銀座など)やデパートでの催事販売を行う店舗体制を敷いていたが、2010年の「ブランジェ浅野屋Dila西荻窪店」開店を機にエキナカ商業施設(JR東日本系)への店舗展開を開始。
コロナ禍後の2022年には同社史上最多となる5店舗(エキュート大宮ノース店・目白店・武蔵小杉店・戸塚店)、2023年には4店舗(大井町店・新宿南口店・大船店・etomo自由が丘店)を開店するなど、店舗数は一貫して増加傾向にあり、2024年12月現在の店舗数は19店舗体制(軽井沢3店舗/東京16店舗)となっている。

ブランジェ浅野屋池袋西口。

森トラスト傘下入りで相乗効果狙う

森トラストグループによる浅野屋の子会社化は、浅野屋と同じ軽井沢を本拠とする老舗ホテル運営会社「万平ホテル」を介して実施する。浅野屋と万平ホテルは以前より、主要納入先の1社として取引関係にあった。
森トラストグループは、万平ホテルのノウハウを活かした「ブランジェ浅野屋」カフェ業態の強化や浅野屋のノウハウを活かした万平ホテルの土産・食品部門商品開発といった相乗効果、森トラスト系宿泊/カフェ施設(国内35ヶ所)の商品力/バリエーション強化、浅野屋への取締役派遣といった施策を打ち出すとしている。

関連記事:JT日本たばこ産業、サンジェルマンをクリエイト・レストランツHDに2022年12月1日売却-元東急系ベーカリー、飲食大手傘下に