愛知県豊川市の名鉄豊川線諏訪町駅近くにある複合商業施設「プリオ豊川」の食品核を担うタカラ・エムシー系食品スーパー「フードマーケットマム豊川店」が2025年1月31日をもって閉店する。
アピタ核の複合商業施設として誕生
プリオ豊川は、1989年11月に「豊川市諏訪地区第一種市街地再開発事業」の一環として開業。建物は地上5階地下1階建で全館店舗面積は18,789㎡。
開業当初は豊川市と地元財界が出資する第3セクター「豊川市開発ビル」による、大手系総合スーパー「ユニーアピタ豊川店」を核に据えた複合商業施設だった。2001年10月には新館「プリオ2」(地上4階地下1階建)を開業、立体駐車場やシティホテルの整備を進めるなど、豊川市中心部の中核施設として、地域の象徴としての役割を担った。
一方、2010年8月にはユニーが競合店進出による業績低迷を背景に撤退。同年10月よりヤマダ電機系家電量販店「マツヤデンキ」や地場大手家具インテリア雑貨店「服部家具センター」といった大型専門店と公共施設・オフィスを主体に段階的な新装開業を実施したが、2020年2月には豊川市出資の温浴施設運営会社「本宮」に運営移行、2023年3月にマツヤデンキが撤退(現イオン豊川店/旧マイカル豊川サティに移転)するなど、依然として施設の持続的な経営や利活用に課題を抱えている。
プリオ(同社公式より)。
開店15年目で撤退、競合店の増加も続いていた
フードマーケットマム豊川店は、2010年10月にアピタ豊川店食品フロア跡を引継ぐかたちで開店したが、以前からの地場生協系食品スーパー「コープあいちコープ諏訪」に加え、2011年8月にはデライトHD系三河地場大手食品スーパー「クックマート諏訪店」、2023年4月にはスズキ豊川工場跡地にイオン系大型総合スーパー「イオンスタイル豊川」といった競合店が新たに開店するなど、競争激化が顕著となっている。
タカラ・エムシーは、フードマーケットマム豊川店の閉店を「諸般の事情」によるものと明らかにしているが、上記競合店の存在が営業継続に一定の判断を及ぼしたとみられる。
プリオ豊川は豊川市が出資する市街地随一の大型店であり、後継食品スーパーを含む早期の跡地活用が求められそうだ。