JT日本たばこ産業、サンジェルマンをクリエイト・レストランツHDに2022年12月1日売却-元東急系ベーカリー、飲食大手傘下に

たばこ・医薬・加工食品を核とする複合企業グループ「日本たばこ産業」(本社:東京都港区/JT)は、同社子会社「サンジェルマン」(本社:横浜市港北区)と「北海道サンジェルマン」(札幌市西区)を、居酒屋などを展開する大手飲食グループ「クリエイト・レストランツHD」(本社:東京都品川区)に売却する株式譲渡契約を2022年9月15日に締結した。

東急系ベーカリーとして創業したサンジェルマン

サンジェルマンは1970年10月に東京都渋谷区の東急百貨店本店で創業。
創業当初は東急百貨店出資の飲食事業子会社「東横食品工業(後の東急フーズ)」運営のインストアベーカリーとして、東急沿線やグループ百貨店内への出店を主としていたが、セントラル工場による首都圏・北海道での多店舗化に加え、親会社の海外戦略に従うかたちでハワイ(白木屋)や香港、シンガポールにも進出。1993年10月にベーカリーカフェ新業態「フラマンドール」を立ち上げ、同業態によるFC事業を開始した。
サンジェルマンは1994年5月に同名の新会社に運営移行し、新業態の開発を始めとする業容拡大を図ったが、景気低迷により経営悪化。2001年12月にはフランス発祥のベーカリー「メゾンカイザー」と業務提携し国内1号店を出店、既存業態においてもメゾンカイザーとの技術指導契約を活かし差別化をめざしたが、2002年5月には親会社再建の一環としてJT傘下となった。

「サンジェルマン」「チョイクロ」複合店舗。(愛知県)

JTグループ傘下入りを機に、2003年8月に高級業態「プルミエサンジェルマン」を1号店を出店、2004年6月に北海道地盤でニチロ完全子会社のインストアベーカリー「ニチロベイカーズ」を買収するなど経営基盤強化を進めたが、コンビニ・量販店との競争激化や人件費・原材料などによるコスト上昇が課題となっていた。

飲食大手傘下で生き残りめざす

JTとクリエイト・レストランツHDによるサンジェルマン株式譲渡契約は、複数社からの入札を経て決まったもの。株式譲渡契約に基づき、JTはクリエイト・レストランツHDに子会社2社の株式を2022年12月1日に売却する予定。
クリエイト・レストランツHDは同社所有の240を超える外食ブランドとともに、今後も「サンジェルマン」「レフボン」「サンヴァリエ」といったブランドを活かした事業展開を図るとみられる。

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