ロイヤルHD、西洋フードから高速道路SA・PA事業を買収-2023年12月までに完全子会社化、高速道路レストラン・ショップ最大手に

大手飲食グループ「ロイヤルHD」は、英国コンパスグループの日本法人「西洋フード・コンパスグループ(旧・西洋フードシステムズ」から、「高速道路のサービスエリア・パーキングエリアにおけるレストラン・ショップ運営事業(SA・PA事業)」運営会社を2023年12月まで完全子会社化する。

創業初期から空港などで食堂・売店を手掛けるロイヤル

ロイヤルは1951年10月に空港内食堂・喫茶事業1号店を開店。1973年11月の関門自動車道めかりPA開業に合わせて高速道路内食堂・売店1号店を開店した。2020年現在は、同社持株会社化の一環として設立された「ロイヤル空港高速フードサービス」を通じて、全国の空港・高速道路SA・PA内で飲食・売店事業を展開している。

ロイヤルめかりPA店(建替えのため写真の店舗は2016年閉店)。

ロイヤルは飲食・売店事業に加えて、1990年に住友商事との合弁で「ロイヤルマリオット&エスシー(現・ロイヤルコントラクトサービス)」を設立しコントラクト事業に参入。2005年には伊勢丹の食堂運営会社を買収し合弁会社「R&Iダイニング(ロイヤル66.65%:伊勢丹33.35%)」を設立、2007年には三越グループの食堂事業を取得し合弁会社「セントレスタ(ロイヤル66.6%:三越33.4%)」を設立するなど、百貨店や病院・介護施設でコントラクト事業を展開している。

総合コントラクト企業に転身した西洋フード、一転縮小へ

西洋フード・コンパスグループは1947年9月に「荏原食品工業」として創業。1976年には経営悪化を理由に西武セゾングループ傘下の「レストラン西武」と合併、1989年10月には「西洋フードシステムズ」に社名変更していた。
同社は長らく、西武セゾン系の大手総合外食チェーンとして、ファミリーレストラン「CASA」の運営を中核事業に据えていたが、西武セゾングループ解体の影響を受け、2002年1月からは英国に本部を構える大手総合コントラクト企業「英国コンパスグループ」の傘下に入り現在の社名に変更していた。

CASA西武大津店(2020年現在は閉店)。

西洋フードは、英国コンパスグループ傘下入りに合わせて、オフィス・工場を始めとする各種事業所の食堂運営受託や宿泊施設・公的施設・保養所・研修所・高速道路SAPAの運営受託など、コントラクト事業を中心とした経営に移行。その一環として、2011年6月には森永製菓傘下の「森永フードサービス(現・エムエスエル)」を買収し、同社が主に「森永レストラン」の屋号で運営していた社員食堂や国立・県立青年の家・少年自然の家宿泊滞在者向けの食堂、大学食堂、足柄SAの売店・レストラン事業の運営を取得、2019年8月までに外食関連事業から全面撤退するなど、コントラクト中心の事業体制を確固たるものとしていた。
足柄SA。
丸井高層階を始め最盛期全国100店舗ほど展開していた
「森永レストラン」最後の店舗が2010年代まで営業していた。

しかし、2019年9月には大手外食グループ「クリエイト・レストランツHD」に「スポーツ施設およびレジャー施設におけるレストランその他の飲食提供業務および宿泊業務に係る事業(スポーツ事業及びレジャー事業)」を売却するなど、英国コンパスグループ傘下入り後初となるコントラクト事業の整理を打ち出した。

ロイヤル、高速道路SA・PA事業最大手に

西洋フードは、2020年2月1日付でグループのSAPA事業を新会社「ハイウェイロイヤル(旧・CFS)」に承継し、新会社の株式の50%をロイヤルHDに譲渡した。
ロイヤルHDは新会社の出資比率を2021年12月に66.66%、2022年12月には94.99%に高め、2023年12月に全株式(1550万100株、)を取得、155億円で完全子会社化する。
ロイヤルHDは高速道路SA・PA14施設、新会社は高速道路SA・PA12施設で運営受託業務を手掛けており、両社の経営統合によりロイヤルHDは高速道路SA・PA業界最大手となる見込み。

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