山形県遊佐町に本社を置く「本間物産」が運営するスーパー「マルホン」「マルホンマート」「マルホンカウボーイ」が、クスリのアオキHDへの経営譲渡に伴い2025年2月24日までに全店閉店した。
天下の大豪商「酒田本間家」のスーパーだった
酒田本間家は1689年に現在の山形県酒田市本町において「新潟屋」の屋号で小売業を創業。日本屈指の大豪商・大庄屋として栄華を極め、庄内藩の財政再建にも寄与。「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」と謳われた。
本間物産は戦後に多くの財産を失った本間家再建の一環で1963年に設立。1981年にはディスカウントスーパー「マルホン」1号店を出店した。しかし、1990年10月に倒産・会社更生法を申請。のち北海道の流通大手「カウボーイ」の傘下となり、以降は「マルホンカウボーイ」の展開もおこなった。
マルホンカウボーイ三川店。
カウボーイがメインバンクの1つだった北海道拓殖銀行の破綻とそれに伴う道内不況で経営不振に陥ると(のちカウボーイはトライアルが買収)、本間物産は2008年2月に秋田県仙北市の地場流通大手「伏見屋」の傘下となった。伏見屋傘下となったのちも、「マルホン」や、北海道では消えてしまった「カウボーイ(マルホンカウボーイ)」の屋号で営業を続けていた。
そうしたなか、伏見屋は傘下のスーパー各社を大手ドラッグストア「クスリのアオキHD」に譲渡することを2024年12月5日に決定。これにより各店は「クスリのアオキ」として生まれ変わることとなった。
マルホン全店閉店-クスリのアオキに、一部は完全閉店
2025年2月24日までにマルホン各店は全店閉店。最終営業日となった2月24日には多くの棚が空の状態となり、一部店舗では什器や買い物籠など店内備品の販売もおこなわれた。
棚がカラとなったマルホン+エスモール店。(旧ダイエー)
マルホン各店は2月28日にはクスリのアオキHDに譲渡され、殆どの店舗は改装後、3月から5月ごろにかけて営業を再開する予定となっている。譲渡金額は非公表としている。
各店とも、クスリのアオキ譲渡後は、ドラッグストア強化型のスーパーマーケットに生まれ変わるものとみられるが、マルホンマート八幡店など一部店舗はそのまま閉店となる見込み。また、大型店はマルホンカウボーイ大館店のように営業再開について未定としている店舗もある。
一方で、JR鶴岡駅前の「エスモール(庄内交通モール・旧ダイエー鶴岡店)」に入居する「マルホン+ エスモール店」(3月中にアオキが開業予定)のように、すでに同一館内・隣接地内にドラッグストアが出店する店舗もあり、そうした店舗はどういった業態での営業再開となるのかが注目される。
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