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フジ、2018年度中にイオンと資本業務提携-フジはマックスバリュ西日本株を取得、更なる「関係の深化」検討

四国地方地場流通大手「フジ」(愛媛県松山市)と「イオン」(千葉市美浜区)は資本業務提携を2018年10月12日に締結した。
イオンは2019年2月末を目処に、フジの発行済株式総数の最大15.0%を取得、フジは同年3月を目処に「マックスバリュ西日本」(広島市南区)の株を取得する。
両社は2021年以降、事業連合体として売上高1兆円達成を目標にさらなる「関係の深化」を検討しているという。

フジ最大の店舗である「エミフル松前」(愛媛県松前町)。

長年のライバルだった「フジ」と「イオン」

フジは1967年10月、愛媛県宇和島市に1号店「フジ宇和島店」を出店。2017年に50周年を迎え、ロゴマークを一新していた。
2018年現在、大型ショッピングセンター「エミフルMASAKI」「フジグラン」、食品スーパー「フジ」、ディスカウント「ZY」を四国4県、広島県、山口県に96店舗を展開する。
また、子会社を通じて愛媛県内で「スーパーABC」4店舗、広島県内で「ピュアークック」10店舗を展開する。
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フジグラン緑井(広島市安佐南区)

フジはもともと1946年創業、1950年設立の広島市の繊維卸問屋「十和織物株式会社」(法人格としては現「ヨンドシーHD」、宝飾品大手の「4℃」。卸業は4℃傘下の「アスティ」が引き継ぐ)をルーツに持っており、フジは2018年現在も4℃の筆頭株主となっている。

フジ宇和島店(現在は建替工事中)

ユニー、イズミヤと提携していたフジ

フジは2009年以降、流通大手「ユニー」(愛知県名古屋市)「イズミヤ」(大阪市西成区)とPB商品「スタイルワン」を共同開発するなど提携関係にあった。
しかし、2014年にイズミヤが「H2Oリテイリング」(阪急阪神百貨店)と経営統合、2016年にユニーが「ファミリーマート」と経営統合し、2018年10月にディスカウント「ドン・キホーテ」への売却が決定したことで関係が希薄化していた。

具体的協議は今後-岡田会長「イオンに加わって欲しい」

両社による今回の業務提携により、商品や店舗資材の共同調達、中国・四国地域限定PB商品の共同開発、店舗のリニューアル、物流・プロセスセンター・オフィス業務の統合、各種カードの共同利用などが行われる予定。
業務提携の具体的な方針及び内容は、今後協議するという。

マルナカの店舗(写真はマルナカイオンタウン宇多津店)

イオングループは10月10日、「中国・四国エリアにおける市場シェアNO.1のリージョナルSM企業」を目的に、2019年3月を目処にマックスバリュ西日本(広島市)とマルナカ(香川県高松市)、山陽マルナカ(岡山市南区)の経営統合を発表。
イオンの岡田元也社長は、この3社の統合にフジも加わってほしいと述べたとされている。
将来的には、フジのイオンまたはマックスバリュ西日本との経営統合、もしくはイオンによる子会社化も予想される。

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大銀ドーム(ビッグアイ)、「昭和電工ドーム」に-トリニータの本拠地、2019年3月から

大分県はJリーグ「大分トリニータ」の本拠地である「大分スポーツ公園総合競技場」(ビッグアイ、大銀ドーム)の新たなネーミングライツスポンサーが昭和電工(東京都)に決め、新名称を「昭和電工ドーム大分」とすることを10月10日に発表した。

大分スポーツ公園総合競技場(公式サイトより)。

ジョイフルとの争いを制した昭和電工

大分スポーツ公園総合競技場は2001年3月に開場。「ビッグアイ」の愛称がある。2002年にはサッカーワールドカップの開場となったほか「a-nation」など大型コンサートの会場として使用されたこともある。現在の収容人数は4万人。
2006年3月からはネーミングライツにより「九州石油ドーム」(契約額は年額7,350万円(税込))となっていたが、同社の経営統合により、2010年3月から「大銀ドーム」(同・年額4,200万円→2013年から4000万円(税込))となっていた。
ネーミングライツスポンサーにはファミリーレストラン「ジョイフル」(大分市)も応募していたという。
昭和電工は1969年から大分市で「大分石油化学コンビナート」を運営している。同社との契約金額は年5000万円(税別)。契約期間は2019年3月から5年間となる。

外部リンク:大分スポーツ公園
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ドン・キホーテHD、社名を「パン・パシフィック・インターナショナルHD」に-2019年から

ドン・キホーテHD」(東京都目黒区)は、2019年2月を目処に社名を「パン・パシフィック・インターナショナルHD」(Pan Pacific International Holdings Corporation、PPIH)に変更する方針を発表した。
追記:社名変更日は2019年2月1日。

MEGAドン・キホーテ渋谷本店。

ドン・キホーテHD、パンパシに社名変更

ドン・キホーテは1978年、ディスカウントストア「泥棒市場」として西荻窪に創業。1989年3月に「ドン・キホーテ」1号店を東京都府中市に出店して以降、急速に店舗網を拡大し、2017年11月の「MEGAドン・キホーテ山科店」開店により総店舗数400店舗を突破した。

400店となった山科店(公式サイトより)。

ドンキは、2006年2月に経営再建中だった大手総合スーパー「ダイエー」のハワイ店舗を買収して以降、2013年9月に米国本土・ハワイで店舗を展開する日系スーパー「マルカイ」を、2017年8月にハワイ地場スーパー「QSI」を相次ぎ買収、2017年12月にはシンガポール1号店を出店、2018年10月にはグループ初となる米国新規出店を行うなど海外事業の強化を進めていた。
現法人の「ドン・キホーテHD」は1980年9月、ジャストとして設立。1995年に「ドン・キホーテ」に社名変更、2013年12月に持株会社化に伴い現社名に変更した。

旧・渋谷店跡に超高層ビルを建設する計画も発表している。

世界展開するために「社名変更」

同社は社名変更の理由として、「当社が、新業態をグループ各社とともに今後も開発し、多様で変化していく消費者のニーズに応えるという決意をこめ、また、日本のみならず環太平洋地域において小売業の有力な企業として発展していくという決意をこめて、新たなスタートを切るに相応しい企業のあり方を表す新しい名称を設定した」としており、社名変更は更なる世界展開のためであるという。
「ドン・キホーテ」の屋号は変更されないとみられる。

ドンキが出店するオーチャード・セントラル(シンガポール)。

ドン・キホーテHDは2013年7月、長崎屋と共同で海外事業持株会社「Pan Pacific International Holdings Pte. Ltd」を設立していたが、2018年11月に「Pan Pacific Strategy Institute Pte.Ltd.」に商号変更する予定。
本商号の変更のための定款の一部変更は、ドン・キホーテHDにるユニーの完全子会社化が完了していることが条件とされている。
また、今回の社名変更に合わせて、ドン・キホーテ創業者である安田隆夫氏が新任取締役候補者として選任される。

ニュースリリース:商号の変更のための定款の一部変更及び役員の異動に関するお知らせ
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ドン・キホーテHDがユニーを完全子会社化、2018年10月発表-ファミマが売却、進むユニーの「ドンキ転換」

ユニー・ファミリーマートHD」(東京都豊島区)は、子会社の大手総合スーパー「ユニー」(名古屋市)の全株式を、資本業務提携している「ドンキホーテHD」(目黒区、以下ドンキ、社名変更予定)に売却することを2018年10月に発表した。

ユニーの店舗(アピタ田富店)。

2017年に業務資本提携していたユニーとドンキ

ユニー・ファミマHDは2017年にドンキホーテHDと業務資本提携を実施。ユニー・ファミリーマートHDの100%子会社「ユニー」株式の40%を取得していた。
さらに、2017年11月に「UDリテール」を設立、2018年2月からはユニーの既存店6店舗を、ドンキ主導型のユニーとドンキのダブルネーム店舗「MEGAドン・キホーテUNY」へと転換していた。
今回、残るユニー株の60%についてもドンキが取得することを発表。ユニーはドンキの完全子会社となる。譲渡時期は2019年1月、売却額は約282億円。

MEGAドン・キホーテUNYの店舗。

ユニーの金融子会社でクレジットカード発行などをおこなう「UCS」もドンキの孫会社となる。
また、ユニー・ファミマHDは合わせてドンキHDの株式を株式公開買い付けで約2119億円を投じて最大20.17%を取得、持ち分法会社にすることも発表している。

ユニーのドンキ化、更に進むか?

ドンキHDの発表によると「MEGAドン・キホーテUNY」へと転換した店舗では「転換後の2018年3月~8月の6ヶ月間において、累計の売上高が昨年同時期の68 億円から132 億円と昨対比約 190%を、6店舗累計の一日当たりの平均客数が約20,000 人から約32,000 人と昨対比約160%を記録」したといい、2019年にもユニー店舗のうち約20店舗をドンキ主導のダブルネーム店舗へと転換する方針を発表している。
今後は、ドンキが2008年に完全子会社化した総合スーパー「長崎屋」のように「アピタ」「ピアゴ」の多くの店舗がドンキ主導のダブルネーム店舗へと改装される可能性も高い。

ドンキは長崎屋の多くの店舗を「メガドンキ」に転換・再生させた。

一方で、ユニーはイオンモールなどに対抗すべく大型ショッピングモール「ウォーク」を展開しており、とくにアピタの大型店は地域一番店として百貨店のような使い方をされている店舗も少なくなく、また百貨店跡地に出店した店舗もあるため、こうした店舗の今後の処遇についても注目される。

アピタの大型店(レイクウォーク岡谷)。

ニュースリリース:株式会社ドンキホーテホールディングス株式(証券コード:7532)に対する公開買付けの開始予定及び子会社の異動を伴う株式の譲渡に関するお知らせ
ニュースリリース:ユニー株式会社の株式取得(子会社等の異動)及びユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社の完全子会社による当社株式に対する公開買付けの開始予定に関する意見表明のお知らせ
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マックスバリュ北海道、イオン北海道に2020年3月合併-旧ニチイ・ポスフール系に一本化

イオン北海道(札幌市白石区)とマックスバリュ北海道(札幌市中央区)は、10月10日に経営統合に関する基本合意書を締結し、2020年3月を目処に合併することを発表した。

イオン、道内のスーパー運営会社を一本化

イオン北海道は1978年4月、ニチイグループの北海道エリア事業会社「北海道ニチイ」として設立。1996年7月に「マイカル北海道」に社名変更したが、親会社の経営悪化に伴いマイカルグループから独立。2002年1月に「ポスフール」に社名変更し、イオングループと資本業務提携を締結。
2007年8月にはイオンから総合スーパー「ジャスコ」11店舗を承継し、現在の「イオン北海道」に社名変更した。
2015年9月には「ダイエー」から北海道内の総合スーパー9店舗と百貨店「カテプリ新さっぽろ」を承継したが、後者はイオンモールに運営移管されている。
imageイオン北海道の店舗(写真はイオン新さっぽろ店)。

マックスバリュ北海道は1961年3月、札幌フードセンターとして設立。北海道ジャスコとの経営統合により、2000年10月に現在の社名に変更した。
2015年9月には「ダイエー」から北海道内の食品スーパー7店舗を承継し店舗網を拡充、同年10月には帯広市の流通企業「いちまるグループ」から食品スーパーを承継し十勝エリアに進出、現在は檜山、根室、網走、宗谷エリアを除くほぼ全道に出店している。
店舗の屋号は「マックスバリュ」(派生業態含む)「ザ・ビッグ」「フードセンター」「ジョイ」「プライスマート」「いちまる」の6ブランド。
2018年2月期の年商は1,241億円、純利益は4億円。

マックスバリュ北海道の店舗(写真はフードセンター小樽)。

コープさっぽろを抜き、北海道内最大手スーパーに接近

経営統合後の存続会社の商号や本店所在地、代表者及び役員の構成、組織などは今後協議するという。
両社の年商の合計は北海道内スーパー2位「コープさっぽろ」の年商2,820億(2018年3月期)を抜く、3,107億円(2018年2月期)であり、道内最大手「アークスグループ」に接近する形となる。

ニュースリリース:イオン北海道株式会社及びマックスバリュ北海道株式会社の 経営統合(合併)に向けた基本合意書締結に関するお知らせ
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マックスバリュ東北、イオンリテール東北カンパニーと2020年3月を目処に経営統合へ

マックスバリュ東北(秋田市)とイオンリテール東北カンパニー(仙台市青葉区)は、2018年10月10日に経営統合に関する基本合意書を締結し、2020年3月を目処に経営統合することを発表した。
追記:新社名は「イオン東北」となる。

イオン、東北のスーパーマーケット運営会社を整理

イオンリテールは2008年4月、イオングループの持株会社化に伴い発足。2011年3月に「マイカル」と経営統合、2016年3月に「ダイエー」から東北・東海地方の店舗を承継した。
2018年現在、東北地方の店舗は「イオンリテール東北カンパニー」が運営を管轄する。
東北カンパニーは主に総合スーパー「イオン」を運営するほか、2013年から仙台市内で都市型食品スーパー「イオンエクスプレス」の出店を開始、2015年からは売場面積1,000㎡前後の食品スーパー「イオン」を仙台市太白区、福島県広野町に出店するなど、宮城、福島での食品スーパー事業から撤退した「マックスバリュ南東北」に代わり、小型食品スーパーの強化を進めていた。
東北カンパニー単体の年商、純利益は不明。

イオンリテール東北カンパニーの店舗(仙台市)。

マックスバリュ東北」は1981年12月、羽後ショッピングとして設立。経営破綻した「亀屋みなみチェーン」(青森市)や同和鉱業傘下のスーパー「同友」の店舗を承継し、現在は青森県、秋田県、山形県、岩手県の東北4県に出店している。
店舗の屋号は「マックスバリュ」「ザ・ビッグ」の2ブランド。
2018年3月期の年商は1,034億円、純利益は3億円。
マックスバリュ東北の店舗(写真は盛岡駅前北通店)。

イオンスーパーセンターなどは統合されず

なお、今回発表されたイオングループの機構改革に、東北地方でスーパーセンターを展開する「イオンスーパーセンター」(岩手県盛岡市)、福島県・宮城県で「ザ・ビッグ」を展開する「マックスバリュ南東北」は参加しない。
具体的な経営統合の方式、組織形態については、「イオン」「イオンリテール」「マックスバリュ東北」の3社で今後協議するという。

ニュースリリース:マックスバリュ東北株式会社、イオンリテール株式会社(東北カンパニー)の 経営統合に向けた基本合意書締結のお知らせ
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マックスバリュ東海、マックスバリュ中部と2019年9月に合併-旧「ヤオハン」が存続会社に

マックスバリュ東海(静岡県長泉町)、マックスバリュ中部(三重県松阪市)は、10月10日に経営統合に関する基本合意書を締結し、2019年9月に合併することを発表した。
マックスバリュ中部はマックスバリュ東海に吸収合併されることになる。

「MV東海」として生き残った「ヤオハン・ジャパン」

マックスバリュ東海は1930年、「八百半商店」として静岡県熱海市で創業。(現法人は1948年設立)
日系流通企業初となる海外進出を1971年に果たし、最盛期には米国、中国、東南アジアを始め世界各地に「ヤオハン」「ネクステージ」を出店するなど、積極的な経営をおこなっていたが、バブル期の過剰投資に伴う経営悪化により、1997年に「ヤオハン熱海本店」を含む優良店舗を「ダイエー」グループに売却(後に一部店舗を再取得)、同年9月の経営破綻を機にイオングループ傘下となり、2001年3月に現在の社名に変更した。

旧・ヤオハンが建てたマックスバリュ東海の店舗(熱海店)。

その後、経営破綻した静岡地盤の「ジョイフル東海」(旧・東海マート)、浜松・松菱百貨店グループの食品スーパーを前身に持つ「シーズンセレクト」(旧・松菱商事)、外資系スーパー「テスコ」「つるかめランド」の一部店舗を承継し、静岡県、神奈川県、山梨県、愛知県の4県に「マックスバリュ」「ザ・ビッグ」153店舗を展開する。(2018年9月30日時点)
近年まで「ヤオハン」屋号の店舗も少なくなかったが、2011年までに「マックスバリュ」へと統一されている。

マックスバリュ三島本町店。ヤオハン跡地に出店する。

また、2013年1月にはイオンや三菱商事、三菱食品との合弁により「永旺美思佰楽(広州)商業有限公司」(マックスバリュ広州)を設立し、ヤオハン時代以来の中国市場再進出を果たした。2018年10月現在、中国・広東省に9店舗を展開している。

イオンの創業地・三重を拠点としていた「MV中部」

マックスバリュ中部は1947年、「八百久」(のちのフレックス)として三重県松阪市で創業。(現法人は1973年設立)
イオングループと提携関係にあった「中部ウエルマート」「フレックス」と地場食品スーパー「アコレ」の経営統合に伴い1999年に「フレックスアコレ」に社名変更、2001年に現在の社名に変更した。
愛知県、岐阜県、三重県、滋賀県の4県に「マックスバリュ」「ザ・ビッグ」「ミセススマート」118店舗を展開する。(2018年7月28日時点)

マックスバリュ中部の店舗(写真はマックスバリュ岐南店)。

また、2013年5月にはイオンや三菱商事、三菱食品との合弁により「永旺美思佰楽(江蘇)商業有限公司」(マックスバリュ江蘇)を設立し、2018年10月現在、中国・江蘇省に3店舗を展開している。

紛らわしかった東海のイオン系食品スーパー、遂に一本化

イオングループ発祥の地である東海地方では、名古屋の地場中堅スーパー「ナフコはせ川」を前身に持つ「マックスバリュ名古屋」、イオンリテールの分社化により発足した「マックスバリュ中京」、大丸松坂屋百貨店系列のスーパー「ピーコックストア」(松坂屋ストア)など、複数のイオン系食品スーパー運営会社が重複する地域に存在し、同一の屋号を掲げながら異なるサービスを提供、もしくは屋号が異なるものの同じサービスという逆のパターンもあったため、顧客にとって分かりづらく利便性が損なわれる事態が長らく続いてた。
今回のグループ再編に伴い、東海地方におけるイオングループの食品スーパー運営会社が「マックスバリュ東海」に一本化され、各種サービス、セールなども共通化される見込み。
経営統合後の存続会社の商号や本店所在地、代表者及び役員の構成、組織などは今後協議するという。
また、マックスバリュ東海、マックスバリュ中部の2社が運営するディスカウント業態「ザ・ビッグ」に関しても、「イオンビッグ」(名古屋市中村区)への運営移管が検討されている。

外部リンク:マックスバリュ東海株式会社及びマックスバリュ中部株式会社の 経営統合(合併)に向けた基本合意書締結に関するお知らせ
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関連記事:マルナカ、マックスバリュ西日本に2019年3月合併へ-一部店舗はダイエーが継承
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マルナカ、マックスバリュ西日本に2019年3月合併へ(追記:子会社化に変更)-一部店舗はダイエーが継承

イオングループのスーパー「マルナカ」(高松市)、「山陽マルナカ」(岡山市)、「マックスバリュ西日本」(広島市)は、2019年3月1日に経営統合することを発表した。
経営統合によりスーパーを運営する企業としての「マルナカ」は消滅することになるとみられる。
追記:合併ではなく、MV西日本は2019年3月に株式交換によってマルナカと山陽マルナカを完全子会社化する形態に変更する。

マルナカとマックスバリュ西日本、統合へ

マルナカは1926年に高松市で創業。1960年に現在の本店を開店させた。1980年には岡山市のスーパー「福屋」を傘下に収めて本州に進出、のちに山陽マルナカとした。

マルナカ本店(田町店)。

マルナカは2011年にイオングループ入りし、その後はイオンタウンなどイオン系ショッピングセンターへの出店も積極的に行っている。

現在はイオンへの出店も多い(宇多津店)。

なお、マルナカHDはスーパー事業を切り離したのち、不動産業などをおこなっている。2014年には同社が朝鮮総連本部を買収したことでも話題となった(のちに北朝鮮系企業へと転売)。

マルナカHD本部。
現在同社はスーパー「マルナカ」を運営していない。

マックスバリュ西日本は1982年に姫路市に1号店を出店。2011年には旧・広島サティ(広島市南区)に本社を移転した。
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「ウエルマート」としても親しまれたが現在は屋号消滅した。

同社は2013年に中国・山東省に子会社を設立して進出していたものの、2018年に撤退している。

本店、屋号は現時点では未定-一部はダイエーに譲渡

3社は、2019年3月1日にマックスバリュ西日本を株式交換完全親会社とし、マルナカ、山陽マルナカを株式交換完全子会社とする株式交換を実施、経営統合することになる。
また、合併に先立ち3月1日付けで「山陽マルナカ」の店舗のうち近畿地方にある14店をダイエーが継承することも発表している。
なお、経営統合後の株式交換完全親会社の商号や本店所在地、代表者及び役員の構成、組織などは今後協議するという。
統合後は、空白エリアへの出店によるシェア拡大や徳島県西部の買い物困難エリアへの移動販売事業やネットスーパーをはじめとするノンストア事業の確立をおこなうとしている。 

ニュースリリース:経営統合(株式交換)に向けた基本合意書締結に関するお知らせ
関連記事:光洋、ダイエーに吸収合併へ-2020年3月から「ダイエー」の運営に
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光洋、ダイエーに吸収合併へ-2020年3月から「ダイエー」の運営に

イオングループの食品スーパー「光洋」(大阪府大阪市西区)は、イオングループの元・大手スーパー「ダイエー」(東京都江東区)に2020年3月1日付で合併することを発表した。

光洋の店舗。

ダイエー内で創業した「光洋」、ダイエーに吸収へ

光洋」は鮮魚専門店として1973年に大阪府八尾市のダイエー八尾ショッパーズ内で創業。
かつては高級スーパー路線であり、「成城石井」からの商品供給や駅ビルへの出店などといった積極的な経営をおこなってきたが、2007年に創業者一族が株式の大半をイオンに譲渡したことで、イオングループの傘下に入った。
「カルフール」のPB商品導入や、既存のマックスバリュ店舗の「KOHYO」転換など、イオングループ内でも独自性を発揮しているものの、2008年にマックスバリュ西日本が関西地区の15店舗を光洋に移管して以降は「マックスバリュ」ブランドでの新規出店を加速。
2015年には、かつて百貨店「大丸」傘下の高級スーパーであった「ピーコックストア」(旧・大丸ピーコック)の関西全店舗を承継している。
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ピーコックストア。

光洋は、2020年3月1日を効力発生日として、ダイエーに吸収合併されることとなる。
光洋は今回の経営統合により、地域に根差した商品やサービスの提供を図り、地域密着型経営を実践することに加え、各社の経営資源・ノウハウを共有してシナジーの最大化を図るとしている。

近畿の「マルナカ」もダイエーが承継へ

合併に先立ち、2019年3月にはイオングループのスーパー「山陽マルナカ」のうち近畿地方にある14店をダイエーが、「マックスバリュ西日本」が運営するマックスバリュ8店を光洋がそれぞれ承継することも発表されており、これらの店舗も2020年からダイエーが運営することになる。
なお、マルナカの残る店舗はマックスバリュ西日本が承継する。
合併後・承継後の屋号などは発表されておらず、当面はそのままの屋号での営業することも予想されるが、イオングループは「ダイエー」に関しては「屋号を消滅させる」という方針を発表している。

2019年3月から光洋運営となるマックスバリュ西日本店舗
  • マックスバリュ星陵台店(神戸市垂水区)
  • マックスバリュ塩屋北店(神戸市垂水区)
  • マックスバリュ長田南店(神戸市長田区)
  • マックスバリュ須磨海浜公園駅前店(神戸市須磨区)
  • マックスバリュ東難波店(兵庫県尼崎市)
  • マックスバリュ金楽寺店(兵庫県尼崎市)
  • マックスバリュ西宮浜町店(兵庫県西宮市)
  • マックスバリュ西宮上田店(兵庫県西宮市)
2019年3月からダイエー運営となるマルナカ店舗
  • マルナカ三国店(大阪市淀川区)
  • マルナカ此花店(大阪市此花区)
  • マルナカ住之江店(大阪市住之江区)
  • マルナカ摂津店(大阪府摂津市)
  • マルナカ東大阪店(大阪府東大阪市)
  • マルナカ大東寺川店(大阪府大東市)(旧マックスバリュ)
  • マルナカ堺店(大阪府堺市堺区)
  • マルナカ泉大津店(大阪府泉大津市)
  • マルナカ泉佐野店(大阪府泉佐野市)
  • マルナカ和泉店(大阪府和泉市)
  • マルナカ貝塚店(大阪府貝塚市)
  • マルナカ新在家店(兵庫県神戸市灘区)
  • マルナカ西宮店(兵庫県西宮市)
  • マルナカ富雄南店(奈良県奈良市)(旧マックスバリュ)

ニュースリリース:株式会社ダイエー及び株式会社光洋の経営統合ならびに近畿エリアにおける、スーパーマーケット事業の運営の承継に関する基本合意書締結のお知らせ
関連記事:イオン、九州のスーパー3社を2019年9月に経営統合
関連記事:ピーコックストア、関西23店舗を光洋に経営譲渡

イオン、九州のスーパー3社を2019年9月に経営統合【追記:2020年9月に延期】

イオン九州マックスバリュ九州イオンストア九州(いずれも本社:福岡県福岡市)は、10月10日に経営統合に関する基本合意書を締結し、2019年9月に新会社を設立することを発表した。
追記:2019年4月に統合延期を発表した。業績悪化のため。
追記:2020年9月に合併による経営統合をおこなう。存続会社はイオン九州。

イオン、九州の3事業者を事実上合併

今回経営統合する3社はいずれもイオン株式会社の子会社。
イオン九州」は1972年に福岡ジャスコとして設立。
2003年にホームセンター「ホームワイド」(大分市)と、2007年に「マイカル九州」と合併した。店舗の屋号は「イオン」「ホームワイド」「ワイドマート」「イオンスーパーセンター」など。
2018年3月期の年商は2,147億円、純利益は1億円。

イオン九州の店舗(筑紫野店)。

マックスバリュ九州」は2002年に経営破綻した「寿屋」(熊本市)のスーパー「くらし館」事業を引き継ぐために設立。
店舗の屋号は「マックスバリュ」「くらし館」「ザ・ビッグ」など。2015年には旧・グルメシティ九州の多くの店舗の運営を引き継いだ。
2018年3月期の年商は1,752億円、純利益は9億円。
追記:2020年2月にはレッドキャベツ(福岡市、元本社は下関市)の店舗を全店引き継いだ。

マックスバリュ九州の店舗(別府新港店)。

イオンストア九州」は2015年に「ダイエー九州事業本部」の店舗のうち総合スーパー24店舗の資産管理を目的に設立。
現在の屋号はイオンだが、全店舗ともに2015年までダイエーの屋号で運営されていた。
なお、現在店舗の運営はイオン九州が行っている。
2018年3月期の年商は543億円、純利益はマイナス11億円。

イオンストア九州の店舗(ショッパーズ福岡)。

競合激しい九州、イオンも「苦境」に

九州はドラッグストアなどとの価格競争が激しい地域として知られ、またショッピングセンター事業ではイズミ(ゆめタウン)、サンリブの大型店など競合事業者も少なくなく、イオン九州は近年赤字を計上することもあり店舗整理を進めていた。

九州は競合が激しい地域として知られる(サンリブ)。

とくにイオンストア九州は設立後に大型店7店舗が閉店、もしくは閉店を発表しているほか、イオン九州でも旧マイカル九州の旗艦店であったイオン上峰店の閉店、旧ダイエーの旗艦店であったショッパーズ福岡の縮小などを発表している。

マイカル時代は旗艦店だったイオン上峰も閉店。

新会社は2019年9月設立-比率は検討中

3社は共同株式移転によって新たな親会社を設立する。比率は今後検討に入る。
イオン九州、マックスバリュ九州は上場廃止となり、新会社として2019年9月に東京証券取引所JASDAQ市場に新規上場申請を行う予定としている。
追記:3社は合併による経営統合をおこなう。存続会社はイオン九州。比率はイオン九州1:MV九州1.5となる予定。

外部リンク:イオン九州株式会社、マックスバリュ九州株式会社及びイオンストア九州株式会社の経営統合(株式移転)に向けた基本合意書締結に関するお知らせ
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