マックスバリュ東海(静岡県長泉町)、マックスバリュ中部(三重県松阪市)は、10月10日に経営統合に関する基本合意書を締結し、2019年9月に合併することを発表した。
マックスバリュ中部はマックスバリュ東海に吸収合併されることになる。
「MV東海」として生き残った「ヤオハン・ジャパン」
マックスバリュ東海は1930年、「八百半商店」として静岡県熱海市で創業。(現法人は1948年設立)
日系流通企業初となる海外進出を1971年に果たし、最盛期には米国、中国、東南アジアを始め世界各地に「ヤオハン」「ネクステージ」を出店するなど、積極的な経営をおこなっていたが、バブル期の過剰投資に伴う経営悪化により、1997年に「ヤオハン熱海本店」を含む優良店舗を「ダイエー」グループに売却(後に一部店舗を再取得)、同年9月の経営破綻を機にイオングループ傘下となり、2001年3月に現在の社名に変更した。
旧・ヤオハンが建てたマックスバリュ東海の店舗(熱海店)。
その後、経営破綻した静岡地盤の「ジョイフル東海」(旧・東海マート)、浜松・松菱百貨店グループの食品スーパーを前身に持つ「シーズンセレクト」(旧・松菱商事)、外資系スーパー「テスコ」「つるかめランド」の一部店舗を承継し、静岡県、神奈川県、山梨県、愛知県の4県に「マックスバリュ」「ザ・ビッグ」153店舗を展開する。(2018年9月30日時点)
近年まで「ヤオハン」屋号の店舗も少なくなかったが、2011年までに「マックスバリュ」へと統一されている。
マックスバリュ三島本町店。ヤオハン跡地に出店する。
また、2013年1月にはイオンや三菱商事、三菱食品との合弁により「永旺美思佰楽(広州)商業有限公司」(マックスバリュ広州)を設立し、ヤオハン時代以来の中国市場再進出を果たした。2018年10月現在、中国・広東省に9店舗を展開している。
イオンの創業地・三重を拠点としていた「MV中部」
マックスバリュ中部は1947年、「八百久」(のちのフレックス)として三重県松阪市で創業。(現法人は1973年設立)
イオングループと提携関係にあった「中部ウエルマート」「フレックス」と地場食品スーパー「アコレ」の経営統合に伴い1999年に「フレックスアコレ」に社名変更、2001年に現在の社名に変更した。
愛知県、岐阜県、三重県、滋賀県の4県に「マックスバリュ」「ザ・ビッグ」「ミセススマート」118店舗を展開する。(2018年7月28日時点)
マックスバリュ中部の店舗(写真はマックスバリュ岐南店)。
また、2013年5月にはイオンや三菱商事、三菱食品との合弁により「永旺美思佰楽(江蘇)商業有限公司」(マックスバリュ江蘇)を設立し、2018年10月現在、中国・江蘇省に3店舗を展開している。
紛らわしかった東海のイオン系食品スーパー、遂に一本化
イオングループ発祥の地である東海地方では、名古屋の地場中堅スーパー「ナフコはせ川」を前身に持つ「マックスバリュ名古屋」、イオンリテールの分社化により発足した「マックスバリュ中京」、大丸松坂屋百貨店系列のスーパー「ピーコックストア」(松坂屋ストア)など、複数のイオン系食品スーパー運営会社が重複する地域に存在し、同一の屋号を掲げながら異なるサービスを提供、もしくは屋号が異なるものの同じサービスという逆のパターンもあったため、顧客にとって分かりづらく利便性が損なわれる事態が長らく続いてた。
今回のグループ再編に伴い、東海地方におけるイオングループの食品スーパー運営会社が「マックスバリュ東海」に一本化され、各種サービス、セールなども共通化される見込み。
経営統合後の存続会社の商号や本店所在地、代表者及び役員の構成、組織などは今後協議するという。
また、マックスバリュ東海、マックスバリュ中部の2社が運営するディスカウント業態「ザ・ビッグ」に関しても、「イオンビッグ」(名古屋市中村区)への運営移管が検討されている。
外部リンク:マックスバリュ東海株式会社及びマックスバリュ中部株式会社の 経営統合(合併)に向けた基本合意書締結に関するお知らせ
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