カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

高島屋洛西店、2026年8月3日閉店-ラクセーヌの核店舗、老朽化と業績不振で43年の歴史に幕

京都府京都市西京区の洛西ニュータウンショッピングセンター「ラクセーヌ」核店舗「高島屋洛西店(洛西タカシマヤ)」が2026年8月3日をもって閉店する。

洛西ニュータウンの中核施設「ラクセーヌ」

洛西ニュータウンショッピングセンター「ラクセーヌ」は、1975年7月設立の京都市出資による財団法人「洛西ニュータウン管理公社(現京都市住宅公社)」主導のもと、1982年4月に同ニュータウンの商業核として開業。
ラクセーヌは2002年4月に新コンセプト「リボーン・ラクセーヌ」を掲げ増床リニューアル(13,360㎡→15,915㎡)を実施、2023年7月から12月にかけて耐震改修工事/長期休業をともなう大規模リニューアルを実施するなど、施設の現代化に取組んだ。
2025年10月現在はケーワイカンパニー運営食品スーパー「キッチンランドSunSun」を食品核に、大型家具インテリア雑貨店「ニトリ」や谷山無線電機FC家電量販店「エディオンタニヤマ」、複合書店「ふたば書房」、100円ショップ「キャンドゥ」、ファストフード「マクドナルド」、喫茶店「ホリーズカフェ」など関西地場大手や個人経営店を中心に31店舗が入居する。。

ラクセーヌ(公社公式より)。

43年の歴史に幕おろす洛西高島屋、代替で衛星店整備

高島屋洛西店の建物は地上3階建で店舗面積は8,079㎡。
高島屋洛西店は同社運営の日本百貨店協会加盟店(=標準店/ローズサロンやメゾン業態を含まず)のなかでも最小規模にあたる郊外型店舗であるが、2025年10月現在も高島屋ストアの流れを汲むイズミヤ系食品スーパー「カナート洛西店(食料品セルフコーナー)」をはじめ、コスメ「資生堂「ちふれ」、和洋惣菜「RF1」「古市庵」、銘菓「モロゾフ」「ユーハイム」「ブールミッシュ」「菓匠清閑院」「井筒八ツ橋本舗」、ファミリーファッション「a.v.v」、レディスファッション「Cour Carre an」、アメリカンカジュアル「McGREGOR」「Golden Bear」、ベビー子供服「MIKIHOUSE」、スポーツウェア「DESCENTE」といったブランドを展開するなど、洛西ニュータウンの上質商品/贈答品需要に応える店舗づくりを行っている。
一方、高島屋洛西店の商圏(洛西ニュータウン)は以前から続く住民高齢化や京都市営地下鉄東西線延伸計画の凍結/白紙化に加え、2023年10月には京都市立芸術大学の京都駅付近への移転が生じるなど暗雲立ち込めていた。洛西店では市内旗艦店「高島屋京都店(京都タカシマヤS.C.)」分店への移行といった経営合理化を進めていたが、営業赤字や店舗改修を背景に43年の歴史に幕をおろすこととなった。
高島屋洛西店は2026年9月に「隣接する商業施設内の一区画にサテライトショップの出店を計画」する方針を示しているが、現店舗から大幅に減床することとなる。

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西友小金井店跡、2025年10月から解体開始-閉店から8年以上、住友不動産の主導で再開発始動

東京都小金井市のJR武蔵小金井駅北口にあり、2017年に再開発のため閉店した大型総合スーパー「西友小金井店」跡の解体が、2025年10月にようやく開始される。

西友小金井店。

築52年、近く再開発で解体か

西友小金井店は1965年に開店。売場は地階から8階までで、店舗面積は6,818㎡。開店当初は地域随一の高層ビルであったという。
テナントとして無印良品、ダイソー、三井住友銀行なども出店しており、最上階のレストランからは駅周辺を一望できることで人気を集めていた。
 
最上階にあった中華レストラン「魯吃房 」。

西友小金井店はJR武蔵小金井駅前の再開発計画に合わせて2017年7月に閉店。近く再開発がはじまるものと期待されたものの、具体化には長い期間を要することとなり、ビル内にはいくつかのテナントが残留していた。
2025年8月31日には最後までビル内に残っていた三井住友銀行小金井支店が駅南口に2020年に完成した野村不動産の再開発ビル「SOCOLA武蔵小金井クロス」1階の「デイリーテーブル紀ノ国屋」跡に移転。解体への準備が整った。

西友小金井店跡、住友不動産のタワーマンションに

西友小金井店跡は2025年10月に解体を開始。解体だけでも約1年間以上かかる見込みだ。
解体後は住友不動産が中心となって「武蔵小金井駅北口駅前東地区第一種市街地再開発事業」をおこなう。

東京都庁ウェブサイトより。

「武蔵小金井駅北口駅前東地区第一種市街地再開発事業」は2025年6月に都から事業認可されており、地上35階・高さ約125mの商業施設を併設したタワーマンションなど2棟が建設される計画となっている。
全体の完成は2029年度を見込んでいる。

再開発すすむ武蔵小金井

近年の武蔵小金井駅周辺では北口、南口ともに再開発が活発化している。

長崎屋・MEGAドンキホーテ小金井店。

先述したとおり2020年にはJR武蔵小金井駅南口(イトーヨーカドー南側)に野村不動産の分譲マンションを中心とする再開発ビル「SOCOLA武蔵小金井クロス」(26階建て)が完成したほか、具体化はしていないものの西友跡に隣接する「長崎屋MEGAドンキホーテ小金井駅前店」(1963年開店、現在のビルは1971年新築)周辺でも再開発計画があり、JR武蔵小金井駅周辺は大きく変化を遂げることになる。

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マミーマート生鮮市場TOP籠原店、2025年10月11日開店-同社初大型複合店舗「モアショッピングプラザ籠原」に

埼玉県熊谷市のJR高崎線籠原駅近くにあるマミーマート系商業施設「モアショッピングプラザ籠原」に、同社の生鮮ディスカウント食品スーパー「生鮮市場TOP籠原店」が2025年10月11日に開店した。

開店当日の生鮮市場TOP籠原店。

マミーマート初の大型複合店舗として開業

モアショッピングプラザ籠原は1991年8月に首都圏地場大手系食品スーパー「マミーマート」初の大型複合店舗として開業。建物は地上2階建で店舗面積は4,799㎡。
開業以来長らく、直営食品スーパー「マミーマート籠原店」を核に、田原屋の総合衣料スーパー「ファッションプラザパシオス」や100円ショップ「Seria」といった専門店が入居していたが、2025年1月より段階的なリニューアルを実施、2025年9月9日に「業態変更」を理由として閉店していた。

緑色のマミーマートから赤色の生鮮市場TOPに外装を全面刷新。

生鮮強化型の業態に全面刷新

生鮮市場TOP籠原店の売場面積は2,594.7㎡(784.9坪)。
マミーマート籠原店からの業態変更にあわせて建物外装や塔屋を全面刷新。青果部門では売場レイアウトの見直し、惣菜部門では作業場新設による作りたて商品提供やピザ・ベーカリーの導入を図る。また、鮮魚専門店「魚耕」では豊洲市場仕入調達商品を対面販売、精肉専門店「あまいけ(天池)」では一頭買いした深谷牛を取り揃えるなど「他店にはない豊富な品揃えも追及」するとしている。

生鮮市場TOP籠原店のピザ売場。

生鮮市場TOP籠原店

住所:埼玉県熊谷市大字新堀新田523
営業時間:午前9時~午後9時

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大賀薬局、持株会社「オーガホールディングス」に2025年10月1日移行-ドゲンジャーズ生み出した福岡地場大手、産業競争力強化法に基づく事業再編で動物と不動産強化

福岡地場大手ドラッグストア「大賀薬局」(本社:福岡市博多区)は産業競争力強化法に基づく事業再編計画認定を2025年9月30日に受けた。同社は事業再編計画に基づき、持株会社「オーガホールディングス」に2025年10月1日に移行した。

ドゲンジャーズ生み出した福岡地場大手ドラッグストア

大賀薬局は1902年に現在の福岡県筑紫野市二日市で「大賀商店」として創業、1927年に現在の福岡市中央区天神に食料品/薬品店を開店、1949年11月の西鉄街店開店(天神コアを経て現在のONE FUKUOKA BLDG.)にあわせて法人化した。
同社は1976年6月の天神コア開業にあわせて輸入雑貨店「木馬館」1号店を開店(2020年7月VIOROに移転)し、福岡市中心部の西鉄系商業施設を中心に多店舗展開するなど業容を拡大。1990年代からは福岡都市圏でのドミナント深耕を図りつつ、2015年6月には沖縄地場同業「グリーンドラッグ」を買収するなど九州全域に郊外型ドラッグストアを展開することとなった。
2019年10月には大賀崇浩同社代表取締役社長による「薬剤戦師 オーガマン」がSNSで話題となり、2020年4月より同社主導の特撮TV番組「ドゲンジャーズ」が首都圏を含む幅広い地域で放送に至るなど、九州を代表するローカルヒーローを生み出したドラッグストアとして高い知名度を誇っている。
九州を本拠とする独立系ドラッグストア各社のなかでは「コスモス薬品」(2025年5月期の売上高:1兆113億9,000万円)、「ナチュラルHD」(2025年3月期の売上高:3,118億円/ドラモリ単体売上高2,127億円)に次ぐ業界3位、2024年9月期の売上高は346億5,800万円となっている。

2024年からは動物強化、持株会社化で不動産強化

大賀薬局による持株会社体制移行は、オーガHDが「事業会社の支援とガバナンスを強化」「中長期的な視点でグループ全体の最適化」を担い、各事業会社が「意思決定の階層を簡素化し、現場で迅速に判断・実行できる体制」「変化する市場に素早く対応し、新たな付加価値の創出と持続的な成長」をめざすため。

大賀薬局西鉄福岡駅店。

大賀薬局は2025年6月30日付で持株会社体制の要となる新会社「オーガホールディングス」を設立し、同年10月1日付で新会社に大賀薬局の経営管理事業及び不動産管理事業を移転、2026年4月1日付で新会社に系列不動産会社「大賀ビル」を吸収合併することで不動産事業強化を図る。

大賀薬局都府楼南店。

また、2029年に向けたビジョン「One Health Leading Company(ワンヘルス リーディングカンパニー)」実現に向けた取組みの一環として、2024年12月に日本唯一の動物専門調剤「わんにゃん薬局」に出資、2025年2月に福岡県小郡市の動物病院「藤野動物病院」運営会社を事業承継するなど、動物関連への業容拡大を進める。

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デリシアガーデン川中島、2025年10月9日より順次開業-マルハン跡地、アルピコHD系食品スーパーとサンドラッグを核に

長野県長野市にアルピコホールディングス系複合商業施設「デリシアガーデン川中島」が2025年10月9日より順次開業する。

デリシアでは食生活提案強化、専門店拡大予定

デリシアガーデン川中島は、2023年5月に閉店したパチンコ「マルハン川中島店」跡地をアルピコHD系食品スーパー運営会社「デリシア」が「(仮称)川中島複合店舗」として再整備していた商業区画で、建物は平屋建で店舗面積は2,902㎡。

デリシアガーデン川中島のインフォメーション。

デリシアガーデン川中島の食品核「デリシア川中島店」(売場面積約1,814㎡)は、コンセプトに「食材から食事まで」を掲げた「デリシアミールズ」として同社標準店の取扱商品に加え、クッキングサポートコーナーや惣菜冷凍食品を拡充するなど「食生活提案型の店舗として日常の食卓をより便利で豊かに彩る売場「お客様の記憶に残る店」をめざす。
施設内では同日開店のドラッグストア「サンドラッグ川中島店」をはじめ、専門店が順次開店予定となっており、マルハン跡地の広大な敷地面積を活かしたショッピングモールとして発展していくものとみられる。

デリシアガーデン川中島

住所:長野県長野市川中島町原575-2
営業時間:午前9時~午後11時(デリシア川中島店)

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旧さくら野百貨店仙台店、2025年11月解体-ドンキが再開発めざす仙台駅前一等地、2017年2月の経営破綻から約8年の廃墟状態に幕

流通大手「パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)」は、宮城県仙台市青葉区の百貨店「さくら野百貨店仙台店」跡の解体工事を2025年11月より開始する。
解体工事を控えた「さくら野百貨店」(2025年10月10日)。

仙台駅前の象徴、マイカル系百貨店連合の本店格だった

さくら野百貨店仙台店の前身「丸光」は、1946年6月に宮城県仙台市青葉区の仙台駅前で創業。丸光は1953年にシンボル的設備「ミュージックサイレン」を整備するなど戦後復興の象徴として、駅前を代表する百貨店として段階的に店舗建物の増床を実施。1968年6月までに東北地方太平洋側全域(青森・岩手・宮城・福島)に支店を展開するなど店舗網を急拡大し、1978年3月には流通大手「ニチイ(後のマイカル)」主導のもと東日本百貨店4社と新会社「百貨店連合(DAC)」を設立し連合の主要企業となった。
解体工事を控えた「さくら野百貨店」(2025年10月10日)。
写真右側が「丸光」百貨店開業当初の建物にあたる。

丸光は1981年6月にDAC加盟百貨店「小美屋」と共同で神奈川県厚木市に百貨店新ブランド1号店「ダックシティ厚木百貨店」を開店、1982年3月に小美屋と経営統合、1982年9月にDAC加盟各社を経営統合したことで、1985年3月に「ダックシティ丸光」に改称、1991年3月の同社運営店舗「ビブレ」転換開始にあわせて同年10月に「ダックシティ仙台ビブレ」として新装開業(リニューアル)、1998年1月の社名変更にあわせて「ダックビブレ仙台ビブレ」となった。
仙台ビブレの運営会社「ダックビブレ」は隣接複合再開発施設「AER仙台(アエル)」に本社移転、東証上場準備や北海道への進出計画を打ち出すなど、マイカルグループ唯一の日本百貨店協会加盟企業として存在感を示したが、2001年9月の親会社民事再生法適用申請にあわせて連鎖倒産するなど信用力が大幅に低下した。

高島屋やOPAと連携、武田さくら野と再統合も失敗

ダックビブレ仙台ビブレは、2002年5月に運営会社設立母体の一角を占める青森地場不動産会社「武田」など地場複数社出資による経営体制に刷新。同年10月にマイカルグループから正式に独立したうえで「さくら野百貨店仙台店」として新装開業することとなった。
さくら野百貨店仙台店は、2005年4月の仙台店設備管理事業及び地方店舗の分社化後も従来通りの都市型百貨店としての経営体制を維持しつつ、高島屋との業務提携に基づく「高島屋ハイランドグループ」(2025年10月現在は解散を冠した販促やダイエー系ファッションビル「OPA」との業務提携に基づく若年層向けアパレル雑貨店導入を進めるなど、個店経営による迅速な経営基盤と信用力/集客力の回復、武田過半数出資の地方店舗運営会社(さくら野東北)との再統合をめざした。一方、さくら野百貨店仙台店では再び経営悪化が浮き彫りとなっていた。

17年2月自己破産後もドンキ親会社が保守管理、再開発へ

さくら野百貨店仙台店では2010年6月には東北最大の複合新古書店「BOOKOFF仙台さくら野店」、2012年11月には東北初となる外資系ファストファッションブランド「H&M」をを導入するなど大型専門店導入による業態改革をしつつ、2010年8月には社名を「エマルシェ」に変更、2011年9月には経営陣出資新会社「エマルシェ・フェニックス・プロジェクト」による自社株買収(MBO)により武田からの独立を図るなど、経営面でも全面刷新を図った。
一方、2016年4月には東京都港区に本社を置く「東北リテールマネジメント(2025年10月現在はPPIH本社所在地=東京都目黒区青葉台に本社移転)がエマルシェ株を取得するなど経営状態が不透明化、2017年2月に自己破産し71年の歴史に幕をおろすこととなった
自己破産当日2017年2月27日のさくら野百貨店仙台店。

さくら野百貨店仙台店は、1995年1月の阪神淡路大震災翌年の1996年度に大規模耐震改修工事を実施しており、2011年3月の東日本大震災被災時においても被害は少なく早期の営業再開を実現した。2017年2月の自己破産後も土地建物の約7割を有するドン・キホーテ親会社「パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)」による保守管理や落下防止改修工事が行われたもの、東北地方における首都ともいえる仙台の一等地は約8年間未活用状態となっており、宮城県民を中心に廃墟化進む旧さくら野百貨店仙台店跡の早期再開発を期待する声が聞かれていた。
PPIHは2023年8月開業の超高層複合商業施設「道玄坂通 dogenzaka-dori」同様のホテル複合施設として再開発する意向を示しており、旧さくら野百貨店仙台店跡地の解体が一等地再生の一歩となりそうだ。

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スーパーセンタートライアル岡山豊浜店、2025年9月17日開店ー2024年12月閉店のDCMダイキ豊浜店跡に

岡山県岡山市南区の岡山赤十字病院近くに、トライアルHDのディスカウント総合スーパー「スーパーセンタートライアル岡山豊浜店」が2025年9月17日に開店した。

岡南のダイキ跡にトライアル出店

スーパーセンタートライアルが出店するのは、DCMダイキ豊浜店の跡。同店は2024年12月末をもって閉店していた。トライアルは建物をそのまま利用しており、居抜き出店となる。
近隣にはロードサイド店が多く立地しており、ヤマダデンキ、ヒマラヤ、ナフコなどが近接している。

一般的なトライアルの店舗。(イメージ)

スーパーセンタートライアル岡山豊浜店の営業時間は24時間。
食品に加えて生活雑貨、衣料、寝具、小型家具、家電などを販売するディスカウント総合スーパー業態となる。また、直営のドラッグストア売場を併設する。

トライアル岡山豊浜店

岡山県岡山市南区豊浜町13−68 
営業時間:24時間

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スーパーセンタートライアル鹿沼店、2025年10月1日開店-さつき大通りのパチンコ店跡地に

栃木県鹿沼市のさつき大通り沿いに、トライアルHDのディスカウント総合スーパー「スーパーセンタートライアル鹿沼店」が2025年10月1日に開店した。

鹿沼にトライアル初出店

スーパーセンタートライアルが出店したのは、鹿沼市の桜の名所として知られるさつき大通り沿い。ここにはもともと「パチンコでるでる」があった。なお、敷地の一部にはすでにマルハンが出店している。
また、近隣にはコメリやカスミが出店している。

一般的なトライアルの店舗。(イメージ)

スーパーセンタートライアル鹿沼店の建物は平屋で店舗面積は4332㎡、営業時間は24時間。
食品に加えて生活雑貨、衣料、寝具、小型家具、家電などを販売するディスカウント総合スーパー業態となる。

トライアル鹿沼店

栃木県鹿沼市茂呂923-7
営業時間:24時間

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ツインモールプラザ北上、リオ・コンサルティングに2025年12月15日運営移行-TMさくら野百貨店運営「北上都心開発」撤退、北上市が土地建物取得

岩手県北上市と不動産大手「リオ・ホールディングス」(本社:東京都千代田区)系「リオ・コンサルティング」(本社:同上)は、北上市内の複合商業施設「ツインモールプラザ北上」再生に向けた基本協定を2025年10月6日に締結した。
ツインモールプラザ北上は同協定に基づき、北上市出資の第3セクター「北上都心開発」(本社:岩手県盛岡市)からリオ・コンサルティングに同年12月15日を目処に運営移行、2026年春を目処に新施設として新装開業する。
さくら野百貨店北上店。

北上市を代表する複合商業施設「ツインモールプラザ」

ツインモールプラザ北上は、1993年11月設立の組合「北上市本通り・新穀町地区市街地再開発組合」施行による再開発事業の一環として2000年3月に開業。建物は地上8階建で営業フロアは1~4階、店舗面積は24,795㎡。
再開発組合は発足当初、岩手地場老舗百貨店「川徳」(本社:岩手県盛岡市)を核とする都市型複合商業施設の開業をめざす方針であったが、1997年8月に川徳が再開発事業より撤退したため、同年10月に流通大手「マイカル」(本社:大阪市中央区)出資の東北地場百貨店連合「ダックビブレ」(本社:仙台市青葉区/後のエマルシェ)を代替に施設整備を進めることとなった。
建物は同方針に基づき1999年3月に着工、2000年2月に竣工したもので、鉄筋コンクリート造(RC造)地上8階建、延床面積は87,093㎡。北上市出資の第3セクター「北上都心開発」が施設全体の管理運営を担う。

核店舗「北上さくら野」、開店時は「北上ビブレ」だった

ツインモールプラザ北上の核店舗「ツインモールプラザ北上さくら野(TMさくら野)」は、2000年3月にマイカルグループ系百貨店「北上ビブレ」として開業。
北上ビブレ開業当初は、百貨店直営フロアを核に系列複合映画館「ワーナーマイカルシネマズ北上」やスポーツクラブ「エグザス北上」を併設するなど、時間消費型商業施設に強みをもつ親会社のノウハウを活かした売場を展開した。一方、2001年9月の親会社の民事再生法適用にあわせて同店運営会社も連鎖的に経営破綻したため、2002年5月にダックビブレ設立母体にあたる不動産会社「武田」(本社:青森市)など地場複数社出資による新体制に移行。同年10月にマイカルグループから正式に独立したうえで「さくら野百貨店北上店」として新装開業することとなった。

さくら野百貨店北上店。

北上さくら野、紆余曲折経て第3セクター傘下に

さくら野百貨店北上店は2002年10月の新装開業を機に経営再建に向けた営業改革を本格化。2005年4月には武田が過半数出資する新会社「さくら野東北」(本社:仙台市青葉区→青森市/現さくら野百貨店)に運営移行し、高島屋との業務提携に基づく「高島屋ハイランドグループ」(2025年10月現在は解散を冠した販促を行うなど、若年層向けファッションビル色の強い旧ビブレから高級志向を高める戦略に方針転換した。
一方、同戦略は2017年2月のさくら野百貨店仙台店運営会社「エマルシェ」自己破産や高島屋との業務提携解消、北上市商圏の競争激化や高齢化により見直しを迫られることとなり、2018年3月に直営食品スーパーを岩手地場大手生協系食品スーパー「いわて生協ベルフ北上」に転換、ドラッグストア「アサヒドラッグ」やアウトドア用品店「好日山荘」を導入するなど、都市型ショッピングモール色を再び強めることとなった。

2018年3月に新装した「さくら野百貨店北上店」。
大型専門店「Belf」「Seria」「DAISO」の看板が目立つ。

さくら野百貨店北上店は、2020年代初頭の感染症拡大を背景として武田傘下から独立、2023年8月14日に新会社「いわて北上リテールマネジメント」に事業承継(分社化)したうえで同年8月31日に北上都心開発が同社全株式を取得、同年9月1日より現名称/現体制に移行した。

北上都心開発、さくら野承継で経営悪化

ツインモールプラザ北上全館の運営会社となった北上都心開発は、2021年4月に西館1~2階を北上市保健子育て支援複合施設「hoKko」に転換、2024年秋には半導体営業拠点「東京エレクトロンFE北上ステーション」を従来の4階レストラン街跡に加えて3階大部分に増床するなど、西館土地建物の北上市への一部売却や東館商業フロアの集約及びオフィスフロア転換といった取組みにより百貨店存続を図った。
一方、北上都心開発は百貨店事業承継にあわせて約1.5億円の借入れを実施、6期連続営業赤字となるなど経営悪化が深刻化しており、施設運営継続が極めて困難な状態に陥っていた。

市が土地建物取得、リオ社主導でオフィスを大幅拡大

北上市は「北上都心開発の経営破綻によるツインモールプラザの機能停止を避け、円滑かつスピードある移行によって、テナントの事業と雇用の継続を確保」することなどを目的に、北上都心開発及び地権者27名より区分所有権を約9億4000万円で取得。2025年4月22日に非公開での市議会全員協議会を開催、5月28日の北上市議会臨時会議で「ツインモールプラザ再生事業」に向けた補正予算審議を可決、6月9日に公募型プロポーザルを公告するなど、北上都心開発に代わる新たな運営事業者選定を急いだ。
北上市によるツインモールプラザ北上再生に向けた取組みの一環として、2025年10月6日に新たな運営事業者「リオ・コンサルティング」と基本協定を正式締結、12月15日に新事業者に運営移行し、2026年春を目処にリオ・コンサルティング主導のもと新装開業する。
ツインモールプラザ北上の運営体制変更にともない、TM北上さくら野の親会社でもある北上都心開発は運営撤退、新事業者による「市場の需要に基づくビルの最大限の活用による最大の経済効果」を意識したオフィスフロアが半数近くを占める複合施設として生まれ変わることとなる。
なお、開業以来の主要テナントである複合映画館「イオンシネマ北上(旧ワーナー・マイカル・シネマズ北上)」も2026年2月に契約期間満了見込み(更新未定)であり、市中心部での役割を大きく変えることとなりそうだ。

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トライアル西友花小金井店、2025年11月28日開店ー西友花小金井店としては10月26日閉店、初の複合店舗に

東京都小平市にあるトライアルHD系の総合スーパー「西友花小金井店」が2025年10月26日に一旦閉店し、11月28日に「トライアル西友花小金井店」としてリニューアル開業する。

西友花小金井店。(公式サイトより)

トライアルは2025年7月に西友を傘下に収めたが、トライアルと西友の複合店舗を出店するのは史上初となる。

花小金井駅近くの西友、開業50年目の大転換

西友花小金井店は1976年5月に開店。売場は1階から3階で、屋上は現在はフットサルコートとして利用されている。同店は「すごいよマサルさん」の舞台の1つとしても知られる。
2018年11月には直営フロアを減らし、3階にヤマダデンキが、2階の一部にセリアが新規出店していた。

西友花小金井店としては10月26日に閉店となる。

西友とトライアル双方の「良いとこどり」に

トライアルによると「トライアル西友」ではトライアルと同様に同社のレジカート「スマートカート」を導入。またPB「みなさまのお墨付き」など西友とトライアル双方の商品を販売、九州周辺の商品も多く取りそろえるなど「トライアルと西友の良いとこどり」になるとしている。
また、多くの西友やトライアルと同様に24時間営業を継続する。なお、現時点ではヤマダデンキなどのテナントは営業を続けるとみられる。

トライアル西友 花小金井店

東京都小平市花小金井1丁目2−23
24時間営業
(全ての画像は公式サイトより)

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