そごう川口店、2021年2月28日閉店-「最終日にエスカレータ故障」のハプニングも、跡地は未定

埼玉県川口市のJR川口駅前にある百貨店「そごう川口店(川口そごう)」が、2021年2月28日午後7時30分すぎに閉店した。

最終日を迎えた川口そごう。

そごう30号店、30年弱の歴史に幕

川口そごうは1991年10月に再開発ビル「川口駅東口第3工区再開発ビル」の核テナントとして開店。1978年に出店表明してから開店まで13年もかかっており、また「そごうグループ30号店」の記念すべき店舗でもあった。
キャッチフレーズは「世界へ。そごう新世紀、始まる」。店舗面積は37,635㎡で、建物はそごう・西武が所有する(そのほか地権者の持ち分あり)。2020年2月期の年商は約153億円であった。

エントランスドアの金色の取っ手やエレベーターのドアには川口市花「テッポウユリ」がデザインされていた。

そごう出店と前後して川口駅周辺は再開発が進み、鋳物の街の駅前は首都圏有数の都市に相応しい姿となった。
出店から約29年が経過したそごうの建物は駅前のシンボルとなっており、まだそれほど古さを感じさせないものの、バブル期に建設された建物であり、豪華な造りも経営の重荷になったと考えられる。

最後の輝きを見せた川口そごう。

晴天に恵まれた最終営業日-「挨拶なし」静かな終幕

最終営業日となった2月28日は、晴天に恵まれ朝から多くの客が詰めかけた。

JR川口駅に掲げられた感謝の看板。

3階にはそごう開業当時からのポスターや写真が数多く飾られたほか、10階の「川の流れる名店食堂街」には寄せ書きコーナーも設けられた。

3階には開店当時の写真が。


10階には寄せ書きコーナーが。
寄せ書きには多くの「まるちきり」と「ぴえん」の姿があった。

午後になり閉店が近づくと、店内はさらに混みあった。
あまりに多くの客が訪れたためか、エスカレータが故障するハプニングもあった。

エスタレータが故障するハプニングも。

閉店時間を迎えた19時半が近づくと、3階の出口は多くの人で混み合い、また川口駅前に続くペデストリアンデッキも多くの人で埋め尽くされた。

閉店間際、多くの人が出口へと向かう。

19時30分過ぎに3階の店内入り口のシャッターが閉まり、19時40分頃には3階デッキ入口に緞帳が張られるとともに照明が消え、川口そごうは29年半の歴史に幕を下ろした。

閉店を見守る人々。

店舗前には大勢の人が集まっていたものの、閉店時の挨拶などは無く、静かな幕切れとなった。

川口そごうは29年半の歴史に幕を下ろした。

跡地の活用問題、長期化か-ロフトはアリオに移転

川口そごうの閉店により、川口市からは百貨店が消滅する。
跡地の活用方法などについては、2021年2月時点で何も発表されていない。館内の一部を建設予定の市立美術館として使う案も出ているとされるが、具体化するのはメインテナントの入居等が決まってからのことになろう。
テナントのうち、そごう・西武傘下の雑貨店「川口ロフト」は徒歩圏の「アリオ川口」に移転し、2021年4月23日にグランドオープンするほか、ネイルサロン「Gフィンガー」、レストラン「エスタリア」などの一部テナントも近隣への移転を発表している。一方で、新型コロナの影響が続いていることもあってか、殆どの店舗は川口市から撤退することとなった。
川口そごうの売上は最盛期の半分程度だったといえども、2019年時点で150億円以上もあり、首都圏郊外の百貨店のなかでは比較的好調なほうであった。首都圏有数の大都市の駅前が空き店舗となり、さらにこの規模の売り上げがほぼ消失・市外に流出するとなれば、市にとっても大きな痛手となろう。

川口駅前には大きな空き店舗が聳え立つことに。

「本当に住みやすい街」(アルヒ調べ)2年連続首位に輝いた同市であり、そごう裏の商店街では大型再開発事業も行われているものの、駅前の大型空き店舗問題は長期化しそうだ。
(写真撮影:文鉄・お札とコインの資料館

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