長崎県佐世保市にある小型百貨店「佐世保玉屋」が、2025年6月末に閉店する。
佐世保玉屋。(2024年7月)
131年の歴史がある百貨店
佐世保玉屋は1894年に佐賀県小城市牛津町を発祥とする卸問屋「⽥中丸善蔵商店佐世保出張所」として開業。1905年に「田中丸呉服店佐世保支店」に改称、1920年に現在地に建物を新築してグループ初となる百貨店「玉屋」に業態転換、1941年の分社化を機に現在の「佐世保玉屋」となった。
佐世保玉屋・ここまでの経緯はこちら。
佐世保玉屋、最近は1階の一部のみ営業だった
佐世保玉屋は建物が老朽化しており耐震性が不足しているため、将来の建て替えを目標としつつ売場を縮小、2023年12月より1階食品館の大部分を穴吹系の地場スーパー「ジョイフルサン」の運営へと転換し、改装リニューアルをおこなっていた。
その後、2024年7月末を以て殆どのテナントに閉店を通知したため、多くのメディアで「建て替えのため2024年7月末で閉店」と報じられたものの、玉屋側はそれを否定していた。
佐世保玉屋は閉店せず営業を続ける。
2024年9月からは売場を「1階のみ」に集約、これに伴い、殆どのアパレル・ホームファニシングなどのテナントは撤退した。
都商研が関係者に取材したところ、佐世保玉屋は営業規模の縮小にともない、縮小前に在籍していた正社員の殆どが退職・もしくは退職予定になっており、来たる再開発に向けて人員整理を推し進めているということだった。
さらに2024年9月には食品売場のジョイフルサンを閉店、1階の一部でラヴィアンローズのサンドイッチなどを売るのみとなっていた。
具体的な再開発は不明-近年建替えの2支店はスーパーに
佐世保玉屋は閉店後、建て替え・再開発のため解体されるものとみられる。
一方で、具体的な再開発の内容や、新店舗の概要などは発表されていない。再開発組合もまだ設立されておらず、2021年に設立された「栄・湊地区市街地再開発準備組合」の段階だ。
近年、佐世保玉屋グループで建て替え・再開発した百貨店「長崎玉屋」、スーパー「マルタマ住吉店」はいずれもディスカウントスーパー「ダイレックス」になっており、今後の動きが注目される。
なお、地元メディアによると佐世保玉屋は周辺に仮店舗を設けるとしており、今後も近隣でラヴィアンローズのサンドイッチ販売などを行うと思われる。
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