北海道札幌市中央区の札幌市営地下鉄大通駅近くで営業する「丸ヨ池内」運営の百貨店(実態は複合商業施設)「IKEUCHI ZONE(イケウチゾーン)」が、定期建物賃貸借契約の終了のため、2022年5月29日に閉店する。
IKEUCHI ZONE。(撮影:wbさん)
三越系ファッションビルからイケウチの店舗に
「IKEUCHI ZONE」の前身は大手百貨店の三越が運営していた札幌アルタ。2002年10月に開店し、三越札幌店(当時)にはなかったティーンエイジャーの取り込みを目的としていた。2010年4月には分社化に伴い札幌三越の運営となったが、リーマンショックの影響により同年8月に閉店した。
その後ビルは丸ヨ池内が引き継ぐことが決定したが、「IKEUCHI ZONE」が開業する2011年4月まで店舗閉鎖が長期にわたり、大通商業地域への影響や、テナント従業員の雇用問題への対応のために180日間限定で「NEX180」として再開店した。
NEX180の営業期間中にに運営は札幌三越から丸ヨ池内に引き継がれた。2011年4月に、同社が運営していた隣接地のファッションビル「IKEUCHI LIFESTYLE STORE(旧・丸ヨ池内本館)」と一体的なリニューアルを行い、IKEUCHI LIFESTYLE STOREは「IKEUCHI GATE」、NEX180は「IKEUCHI ZONE」となった。
IKEUCHI GATE.(閉店済み)
その後、イケウチは9年間に亘って「IKEUCHI GATE」「IKEUCHI ZONE」の二館体制で営業を行っていたが、2020年6月に老朽化による店舗建替えのため「IKEUCHI GATE」が閉店。「IKEUCHI ZONE」のみで営業を継続していた。
IKEUCHI ZONEの建物は地上9階地下2階建て、店舗面積は6,200㎡、延床面積は12,079㎡。ファストファッションの「ZARA」を核に、手芸用品店「ユザワヤ」、ネットワークビジネス直営店「アムウェイプラザ」、「IKEUCHI GATE」閉店に伴い移転した池内グループが運営するアウトドア専門店「iGATE IKEUCHI」といった専門店約10店舗をはじめ、オフィスやクリニックが入居している。
しかし、ここ数年は主に飲食店テナントの撤退が相次ぎ、空きテナントも目立っていた。今回の閉店は、ビル貸主と借主である丸ヨ池内との定期建物賃貸借契約の終了によるものだという。
隣接地に新「IKEUCHI GATE」2022年秋開業予定
運営会社である丸ヨ池内を中心とする池内グループは1893年に池内金物店として開業。1968年9月には道内大手の百貨店「丸井今井」傘下となり家具・インテリアに特化した百貨店「丸ヨ池内」を開業した。
1998年1月に丸井今井との資本業務提携を解消したのちは携帯電話販売、2010年代からは道内全域及び滋賀県・沖縄県にアウトドア専門店「iGATE」を展開するなど、多角化経営に取り組んでいる。なお、かつて百貨店業態だった名残から、2022年現在でも丸ヨ池内は日本百貨店協会に加盟している。
「IKEUCHI ZONE」に隣接し、2020年6月に閉店した本店格「IKEUCHI GATE」は2022年4月時点で建て替え中となっている。
現在、新「IKEUCHI GATE」として2022年秋ごろの完成を目指して工事がおこなわれており、完成後はイケウチが運営する複合商業施設としての営業再開を計画している。
2022年秋に開業予定の新「IKEUCHI GATE」。
大通周辺では2022年1月に閉店した4丁目プラザの跡地の再開発が検討段階であるほか、狸小路のサンデパート跡地、2020年5月に閉店したススキノラフィラ跡地などの再開発が進んでおり、「IKEUCHI ZONE」跡地も周辺地域と一体となった再開発が期待される。
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