沖縄地場大手ビールメーカー「オリオンビール」(本社:沖縄県豊見城市)は、大手富裕層向け高級不動産グループ「ケン・コーポレーション」にオリオンビール系シティホテル「オリオンホテル那覇」を売却し、2025年10月1日より新体制で営業開始することを同年6月2日に発表した。
オリオンと西武セゾンの合弁会社として創業
オリオンホテル那覇は、1972年11月のオリオンビールと西武流通グループ(後の西武セゾングループ)による宿泊合弁会社設立に基づき、1975年6月にシティホテル「ホテル西武オリオン」として開業。建物は地上9階地下2階建で敷地面積は約3,467㎡、延床面積は約18,613㎡。
同社創業以来長らく、西武セゾングループ各社と親密な関係にあり、西武セゾンと資本業務提携にあった沖縄地場百貨店「リウボウ」に直営食物販ショップ「四川菜飯(陳建一/四川飯店系)」「デリベイク」や菓子銘店街を展開するなど、相互送客の取組みも打ち出していた。
一方、2000年7月に西武セゾンの中核企業「西洋環境開発」が特別清算を申立て事実上倒産するなど経営環境が悪化、2006年4月にオリオンビール完全子会社運営の新ブランド「ホテルロイヤルオリオン」として新装開業することとなった。
2006年にオリオン直営化、2023年に現ブランドに
ホテルロイヤルオリオンは2006年4月の新装開業後も那覇市内屈指の老舗シティホテルとして営業、2015年1月にリウボウから全面撤退し宿泊事業に経営資源を集中、2023年3月にはコロナ後の観光需要回復を受けた大規模改修工事にともない長期休館を開始。同年11月に現名称「オリオンホテル那覇」を冠し新装開業した。

オリオンホテル那覇。(2023年11月新装開業当時)
オリオンホテル那覇ではコンセプトに「知っているけど、新しい」を掲げ、オリオンビールのオールデイダイニング「THE ORION BEER DINING」や沖縄初となるワインショップ「エノテカ」、公式限定グッズショップを新たに導入するなど、沖縄を代表するビールブランドとのシナジー創出に取組んだ。
一方、親会社であるオリオンビールは、2025年7月開業予定のテーマパーク「ジャングリア沖縄」を見据えた沖縄県北部の系列ホテル「オリオンホテル モトブ リゾート&スパ」への投資拡大、本業であるビール事業の再構築(名護工場設備拡充)のため、オリオンホテル那覇の売却を検討していた。

ファザードも全面刷新した。(2023年11月新装開業当時)
高級不動産大手が取得、10月以降もブランドは維持
ケン・コーポレーションは、富裕層向け高級不動産事業大手として、自社ブランド「プレミアホテル」や外資系ブランド(ハイアットリージェンシー・ヒルトン・リーガロイヤル・オークラニッコーなど)を冠した宿泊施設を国内外に展開している。
同社によるオリオンホテル那覇取得後も、2025年9月30日までオリオン系がリースバックにより運営を継続する予定であり、同年10月1日の新体制での運営開始後も施設名称や専門店は当面維持となる。
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